いつかあの顔面に拳を叩き込むまで 作:上手い話なんてある訳ない
取り敢えず連続投稿。
この後は亀更新気紛れ投稿です。
昔、この世界がまだ巨大な砂漠だったはるか昔。生き物一匹存在出来ない世界を嘆いた女神様が、己の身を投げ打って大地に神の血を注いだ。
その血は砂漠を覆いつくし、やがて緑を作り、水を作り、海を作った。世界は一人の名も無き女神様によって生き物が住める世界となった。
ある時神様は言った。女神の命を分けられた生き物全てに、祝福を与えると。
神様は大地に住まう生き物全てに祝福を授け、《スキル》という形で定着した。
その力はまさに神の御業。様々な力が宿り、生き物はその生を謳歌した。
やがて大地は人と魔族が別れて住み、いつしか対立し始めた。
争いは止まず、いつしか争いは全ての大陸に影響を及ぼした。
全ての生き物は願った。神様、どうかこの争いを終わらせて下さい。
天に乞い、神様に祈った。しかしその願いは聞き届けられることも無く、争いは何十年何百年と続くこととなった。
人々は終わらない争いを嫌悪し、魔族は人類の敵だと宣った。
魔族は終わらない争いに嫌気が刺し、人類は下等生物だと蔑んだ。
終わらない争い。終わらない負の連鎖。
我らの行く末は、一体どうなるのか。
誰にも分からない。分かるはずもない。
何処かで、大地を潤した名も無き女神様の、悲しむような声が聞こえた気がした━━━━━。
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この前スキルは使わないとか言ってたやつ覚えてる?
そう、俺だ。
いやね、この前はスキルなんてよく分からん代償払ってるかもしれない恐怖の力使うなんて信じられないみたいなこと言ってたけどさ、《幸運》やっぱり強えや。
確率を上げるんだぜ?当たる確率が1%でもあれば50/50、はたまたそれ以上の確率に上げられるんだぜ?こんな手使わない訳ないだろ。
というわけで、俺は現在闘技場に来ております。
闘技場と言うのは、奴隷制度によって奴隷堕ちした人や魔族が戦う場所だ。4人で闘うバトルロイヤル。それぞれ1試合ごとにオッズが出ている為、まあ現代の競馬とか競艇とかみたいに勝てば配当が貰えるわけだ。
奴隷と言う言葉に少しむず痒さを感じるが、奴隷と言うのはこの世界では現代で言う囚人みたいな存在である。
罪を犯したから奴隷となる。犯罪者に対して後ろ指を現代人が指すように、この世界では奴隷はそれと同じぐらいの人達なのだ。
唯一違うとすれば、奴隷から解放される方法は、誰かから購入される事。よくあるのは、男性は性別関係なく炭鉱などの力仕事に。女性は若ければ娼婦や個人的な奴隷。年老いた奴隷は買われにくいと言うのがこの世界の常識だ。
まあ年老いたと言っても、この世界での年老いたって言うのは現代で考えれば30代とかそれぐらいの年齢から。女性としての能力が落ち始めたらそれはもう奴隷としては価値が無いのだとか。
まあ考えても仕方ないよね。やった事にはそれ相応の責任ってのがあるわけだ。俺も、この世界に送り込んだクソジジィに相応の責任ってやつを支払ってもらわなきゃならんのでな!!
まあそんなこんなで、俺は5歳ながらにして父親に頼んで大儲けしようと直談判。現代で公営ギャンブルは儲からないとか言われていたけど、公営ギャンブル以外にやってる人いるんですか?って話しよ。この闘技場は別に公営ギャンブルという訳では無いので、まあかなり色々と黒そうではあるが、こんな俺のスキルを使わない場所はそうそうない。
え?負けるかもしれない?ギャンブルやるのに負けること考えるやついる?いねぇよなぁ!!
というわけで直談判。俺のスキルが《幸運》であると伝えて、その効果も披露。まあ一度くらいならと、言うことで父親に連れてきてもらった今日闘技場。
すっごい盛り上がってる、という訳では無いが閑散としている訳では無い。まあ都心部にあるだけあって人の集まりは多そうではあるが。
早速オッズを確認。まずは小手調べで2番人気の奴隷にかけてみよう。取り敢えず掛け金は1試合1ペイ(1ペイ=約100円相当)から。5ペイかけてさあ観戦。賭ける時から既に《幸運》スキルは発動済み。さあ結果は。
はい勝ちぃ。んほぉ〜この勝どきがいちばん気持ちいいって何処の世界でも変わんないのねぇー!!
取り敢えず配当金75ペイ。ギャンブルは7倍儲けが一番いいと言われているが、《幸運》スキルがあれば7倍なんてなんのその。100倍だろうが200倍だろうが当ててやるぜぇ!!
という事で、そっから俺のギャンブル無双。賭けては勝ち、賭けては勝ちを繰り返し、掛け金5ペイから気が付けば115000ペイにまで儲けた。気持ち良すぎる。父親もワナワナと震えて大興奮状態。ふっ、どうだこの親孝行息子の姿を。父親の目ん玉にはどう写ってんだろうな俺はよぉ!!
よく異世界転生のチートスキルで無双ヒャッハーなんて寒すぎとか思ってたけど、ごめん!!チートスキル使ってギャンブル勝つの気持ち良すぎるぅ!!ドーパミンドバドバ出てんのよぉー!!
なーんて、気持ちよくなってたら、俺達の前になんか周りの人達とは服装が違う大柄な人達がやってきた。
なんだなんだと思ってたら、別室に案内されてしまった。思わず興奮が冷めて警戒アラート最大ボリューム。これはなんかやらかしただろうか。
案内された部屋には、なんか太ったおじさんが一人。どうやらこの闘技場のオーナーらしく、今日の配当全てに絡んでいる俺たち事が怪しかったから話を聞かせて欲しいと。
あー、疑われてるのか。まあそりゃそうだ。今日だけで凄い額稼いじゃったもんな。そりゃそうなるわ。
さて、どうしよう。スキルは人それぞれのギフトだが、おいそれと他人に話す事は避けるべきだ。ここで運といえばそれまでだが、納得してくれる訳がない。
さてどうするべきか、と考えた時に閃いた。
「━━━━━実は、僕は資金集めの為に今回参加しました」
話の流れはこうだ。俺はこの闘技場で奴隷持ちになりたくて来た。その為の資金を集めていた。奴隷はそちらが所有している奴隷を買い取りたい。今回配当で得た資金全て使い切ってもいい。これでチャラにしようと。
《幸運》スキルを使いながら、この話を口にし、成功率を上げる。父親はガクブルしていたが、正直今の父親に何かを求めるのは酷な話だ。これは、俺が何とかこの場を切り抜けなきゃならないな。
クソ。こんなテンプレなろう展開なんて期待してなかったよクソが!!
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「……えっと、何かね?つまり君は奴隷主になりたいと?」
「はい。その認識で構いません」
奴隷主、詰まりは奴隷を所有するオーナーという事だ。馬主といえばわかりやすいだろうか。
どっぷりと高級そうなソファーに座り込む闘技場のオーナーは、訝しげに少年を見ながらも、その目には品定めと言った感じで少年の一挙手一投足を睨んでいる。
「……君、いくつ?」
「今年5歳です」
5歳っ!?周りに控える護衛達が口々に驚愕の声を上げる。当然だ。奴隷主となるには年齢は関係無いが、常識的に考えてこのような年齢の少年がなるものでは無い。
隣にいる、恐らく父親らしき男は、ガクガク震えて会話にすらならないだろう。
オーナーが今回この2人をこの部屋に呼んだのは、不正がないかの確認だ。全試合的中など、闘技場始まって以来。何か不正、誰かに賄賂など渡して全て勝ったのかと、そう思っていたのだが。
(……この父親にそういうツテがあるようには見えんな。疚しい気持ちがあって、バレたのかと恐怖で震えている、という訳では無さそうだ)
対してこの5歳児がそんな手を思いつくだろうか。いや、奴隷主になりたいと言う辺、地頭は同年代に比べてもかなり高いように思えるが。
オーナーは改めて考える。恐らく賄賂などの類では無い。であるならば、正当な報酬としてこの2人は配当金を受け取った。
しかし、この少年はこの状況を打破すべく奴隷主になりたいと言っている可能性がある。恐らく疑われているのならば、その本元を無くせばいいと考えているのだろう。
5歳の考えることでは無いと思いながらも、オーナーは損得勘定に考えを切替える。
配当金を全て使って奴隷を買うと言っている。それも、オーナーが所有する奴隷をだ。奴隷を一人売り飛ばすのは気が引けるが、配当金約100000ペイ程度であるならば、訳あり奴隷でも充分。オーナーの所有する
オーナーはニヤリと笑い、少年に視線を向けた。
「……いいだろうボウズ。奴隷を売ってやる。ただ、今回の配当金全部じゃ出せる奴隷も限りあるが、それでも構わんか?」
「具体的には?」
「……まあ訳あり奴隷と言ったところだ。身体的に傷付いていたり、欠損してたり。まあ五体満足とは言えない奴隷だな」
「相場だとどれくらいなんですか?」
「大体欠損奴隷なら5万ペイって所だな。ただ、ウチはどの奴隷も戦闘訓練を積ませてる。諸々込みでも相場よりは高くなるぞ?」
「まあ1人2人ぐらい買えれば、って思ってます。早速見せてもらっても?」
「ああ。着いてきな」
部屋を出て、地下へ進む。階段を降りた先には広い空間があって、まるで訓練所のような場所に見える。
中心には既に奴隷達が整列しており、皆緊張した趣で立っていた。
どの奴隷も傷が目立つ。火傷や切り傷。酷い人は腕が無い人、片目を包帯で覆っているものと様々。流石に足欠損は居ないらしい。戦えない奴隷はそもそも置かないという感じのようだ。
少年は少し生々しい光景に居心地が悪そうにしていた。
当然だ。5歳には少し刺激が強い。それに、多くの奴隷は女性。服としては役割を果たしていないボロ雑巾のようなものを着ているので目のやり場にも困るし、傷と相まって直視出来るものではなかった。
「……少しボウズには刺激が強いか?」
「……確かに。ちょっと想像してた光景と違いましたね……」
「まあ奴隷だ。犯罪者に人と同じ感性を持って接すると心を壊すぞ。さぁどの奴隷を買うんだ?」
その言葉に奴隷達はギョッとした。まさか、この少年に買われることになるなんて、微塵も考えていなかったのだ。
明らかに少年。かなり幼い見た目だ。そんな子が奴隷主に。奴隷達の中で困惑が広がる。
「……じゃあボウズよ。どんな奴隷が欲しい?」
「……別にこれっていうのはないんですよ。配当金全部使えるなら誰でも」
「じゃあ例えばこいつはどうだ?傷はあるが、将来美人になるだろう亜人のガキ。
「ッ!?」
「……いや、そういう奴隷を探してる訳じゃないんですよね」
「じゃあこの女はどうだ?人間だが年齢はもうすぐ30を超える。
「………」
「……あの、本当にそう言うの求めて無いんで」
少年はうんうんと唸る。オーナーから紹介された
配当金を全て使い切る為に買おうとしていただけで、どんな奴隷が欲しいのかなんて考えていなかった少年は、奴隷達の間をぐるぐると回り何かを考えながらジッと身体を見るのだった。
(……ぶっちゃけるとこういう奴隷購入テンプレとか期待してなかった訳じゃないけど、正直奴隷という存在自体に抵抗がある。犯罪者っていうのは理解してるけど、あの亜人の子とか明らかにやりたくてやった訳じゃなさそうだし。この世界でクソジジィのミッションとか言うクソクエスト攻略のために、将来戦力になりそうな存在を用意しておく必要があるけど……。気持ちいいぐらいに女の人ばっかり。なんかな、こんなクソテンプレ用意されてウハウハ喜んでるのがアホみたいに感じる……。ん、アレ、このお姉さん……)
「……オーナーさん。この中で戦闘力というか、争い事に慣れてたり戦いならこいつみたいな奴隷ってどれですか?」
「……強いて言うなら、最初に言ったこの
「……お小遣い出してもいい?」
「……構わんが、もしその奴隷2匹買うなら配当金全部だぞ?お小遣いとやらがいくらか知らんが、足りてるから追加分は必要無いが」
「いやさっきのお姉さん買おっかなって」
「……この女か?さっき
「……オーナーさんの僕に対する認識ってそんな暴力振るうみたいに見えるんですか?」
「その年齢でギャンブルやってんだ。将来暴力振るう男になるって思うのは普通だろ?」
ぐうの音も出なかった。少年はぐっとお腹を抑える。
「……まあこの女も戦闘向きでは無いしな。在庫処分で安くしてやるよ」
「あ、その前に」
「……は?なんだ、まだなんかあるのか?」
「いやーね、このお姉さん欲しいんですけど、多分お金足りないと思うんですよ」
「は?じゃあどうするんだ」
「今日行われる