TS異世界転移したので最強無双ダウナーお姉さんごっこをします 作:ゆきゆき(ダウナーお姉さん(本物))
Ep.11 え? 誰が超美人冒険者だって?
「ヒャッハー! 皆殺しだァ!」
ぽろんぽろんぽろんぽろんっ!!
1個くらい『ぼろん』って胸を露出してもバレねぇんじゃねぇか?
ボクはそんなくだらない考えを部屋の隅に置いて目の前を見る。
今回の依頼はオークの巣の殲滅である。が、もう終わった。
こればっかだとつまんねーのでたまに肉弾戦もしてるんだけど、別にそっちでも圧倒することになるのであんま変わらない。
『お、おぉ。凄いですねエルさん。何したんですか?』
「ダウナーお姉さん・マジックさ」
『はぁ……?』
つーか質問しながらボクの胸見てきてるのバレてるからね。
視線は魔法で感知しているため、見られた時の認知率は100%である。想像の10倍見られててびっくりしちゃったよ。
ま、ボクもこんなでっっっかいのを持ってる人が居たら流石に一度は見てしまうだろうから仕方ない。
見たことねぇもんこんな胸。
ニッチなエロゲのヒロインみたいな乳になっちゃったからね。
エロとギャグのギリギリの境界線ってサイズだ。この言い方だと人によって違いすぎるかな?
まぁボクの基準は結構広いとだけ言っておこう。
『ところで、なぜ私を助けて……』
人を殺すのは良くないことである。なぜなら生産力が減るからだ。
使えるものは全部使いましょうねぇ。
というワケでキミには働いてもらうぞ、蝙蝠系魔族。
『いやぁ……私がやることありますか、これ?』
「ほら、魔石取り出すとかさ」
『雑用ですか……』
渋々といった表情で彼はオークの死体から魔石を取り出していく。
この世界は魔石を渡したら討伐証明になるタイプの世界であった。
『終わりましたよ』
「よし、それじゃあこの袋の中に入れて」
大体……20個くらいか?
まぁぼちぼちだね。
「よーし、帰るよー」
『なぜ私がこんなことを……』
「あ、ちなみに裏切ったらぶっ殺すから」
『怖いですねぇ』
◇◇◇
「なぁ、その箱って中に何入ってんだ? あんた最近いっつも紐で引っ張ってるが……」
「んー?」
「はぁ……まぁいいけどよぉ、あんまヤバいことはやらん方がいいぜ? いくら冒険者でも流石に……いや、中身は知らんけどよ」
「ははは」
いったいボクをなんだと思ってるのやら。そんなコソコソしなきゃいけない事なんかやるワケないだろう?
まったくクラッシュくんは心配性だなぁ。
「あ、これ魔石でぇす」
「はい、受け取りました……確認終わりました。こちら依頼料となります」
「わぁい」
元の世界に居た頃はあんまお金に困ってなかったからねぇ。
こっちに来てからというもの、全然お金無くてやんなっちゃうね、もう。
まぁでもボクはまた再び金持ちに返り咲いてやるのさ。
そのためにもランクを上げていかなきゃならないんだけど、Aランク以上になるには何か大きな実績が必要になってくるとのこと。
だから一般的な冒険者はBランクになるのを目指す……といった感じらしい。
Bランクでさえも実は結構審査がシビアで、ボクがこんな簡単に上がれたのはかなり珍しい、とも聞いた。
まぁボクってば天才なのでね、そんなの当たり前だけど。
「そういやあんた、別の街行くって本当か?」
「え? あぁうん、ボクもそろそろ他の街見てみたいなって思って」
だってこの街なんもねぇんだもん。事件起こりそうな雰囲気とかないし。
ダンジョンある街とかもあるんでしょ? ならそことか行ってみたいよね。
「そうか……寂しくなるな。女でここまで行ける奴ぁ貴重なんだが」
「え? 誰が超美人冒険者だって?」
「そこまでは言ってねぇ……が、まぁそれは認めざるを得ないだろうな」
「ふふん、ボクに見惚れてくれたっていいんだぜぇ?」
「胸と顔は良いが、性格がダメだな———うっ!? あ、頭が痛い……おいあんた何した、絶対これあんたの仕業ぁぁ……今なんか聞こえた! ぽろんって聞こえた!」
そんなこんなでボクがいつものように遊んでいたその時……突如、ギルド内の空気がピリッとした。
ボクは周りに合わせて表情をキリッとさせること決めた。クール系お姉さんってやつだ。別名は『黙っていれば美人』
「よぉ、邪魔するぜぇ」
誰だコイツ。なんかめっちゃ荒くれっぽい外見だけど(レッテル貼り)
有名な冒険者とかかな?
そんな風に考えていると、隣のクラッセウスくんがボクに小声で話しかけてきた。
「あいつはA級冒険者、〝粉砕剣〟のガラワルだ。あの大剣はすべてをぶっ壊すとの噂だぜ…….おぉ、怖い」
前から思ってたけどクララくんって冒険者マニアだよね。やけに詳しいっていうか……
「おい、そこの女」
「ボクのことカナ?」
「あぁ。今ここに女は1人しかいねぇんだから分かるだろ?」
「それもそうだね」
マジで全然見かけないんだよね、女性の冒険者。
まぁ性格的に冒険者やりたがるのは男が多いって感じだろうか。
一応戦闘能力とかで言うなら差はあんま無い気がするけど……それも身体強化とかが出来る、という前提だしねぇ。
「俺ぁ魔族を探している。ここらで目撃情報があったってんでな、一応聞いとくが……見たことは?」
「無いよぉ」
「そうか。ところで……それは?」
「どれのことだい?」
「お前が引っ張ってる、その動いてる箱だ」
「これはなんでもないよ」
「本人がそう言おうが、怪しいモンは勝手に調べるのが冒険者だ。それ、よこせ」
やだなぁ、なんでボクがそんなに疑われているんだい?
こんなにおっぱいが大きいのに……
どこからどう見ても清廉潔白だろう。
「お前の主観は聞いてねぇ。いや胸がデケェのは事実だが、それは調べねぇ理由にはならん。つーことで寄越せ」
「あっこら」
そう言って彼はボクの箱を奪おうとした。だがしかし、ボクはそんな無理やりしてくる男には屈しない。
箱を蹴飛ばし、遠くに移動させる。
「……おい、ふざけてんのかテメェ」
「このボクがふざけていたことなんか一回でもあったかな?」
「常にふざけてるだろあんた」
「ウスクラくんは黙ってなさい」
「ちょっと惜しいか……」
「どこがだよ」
ボクはずっと真面目である。ふざけたことなんか一生で一度もない。
ボクがすることすべてに理由はあり、例えふざけて見えたとしても、それはふざけていないのである。
ボクは自分の真面目さに惚れ惚れしてしまった。きゅん。
「女冒険者風情が……調子乗ってんじゃねぇぞ!」
ガラワルさんはボクを壁ドンした。おそらく告白なんだろうが、少し荒々しすぎる。あとボクの恋愛対象は女の子だから、ね……?
「俺はA級冒険者だぞ、殺すぞ!!」
「こ、こんな超美人冒険者を殺そうとするなんて……」
ボクは驚愕した。こいつもしかしてアホなんじゃないか?
ボクみたいな人間国宝を殺害するだなんて、控えめに言って世界の終わりである。
そもそも告白している相手に向けて『殺すぞ』だなんて-100点の対応だ。そんなので成功するワケがない。
ま、まさか……告白されたのでは、ない……!?
「テメェ、何か返事しろ。この俺を本気で舐めているのか……?」
「舐めるワケないだろ、ボクは人の肌を舐める趣味なんか無いぞ」
「ブハッ!」
「おいらクラウス、笑ってないで流石に助けた方が……」
なぜかガラワルさんはさらに顔を真っ赤にしていく。恥ずかしがってる……ワケではなさそうだ。
いやぁ……何がどうなってるのか、これっぽっちも分からないなァ!
ギャハハハハ!!!
「よし分かった、テメェぶっ殺す」
「おいおいガラワ
「死ね」
さらに真っ赤になったガラワルくんが、ボクに大剣を振り下ろした。
完全に頭をカチ割る軌道である。これで告白の線は100%絶たれた。
「やっぱり冒険者ってのは野蛮だねェ」
「あ……?」
指先一つで大剣を受け止める。ボクはこれでも色々な状況を想定して対策しているんだ、ただの冒険者ごときに負かされることはない。
「冒険者ギルドの中で荒事を起こすのはダメだって……講習で習わなかったのカナ?」
「がっ……!?」
がしっ、と腕を掴みそのまま反対方向に捻じ曲げる。
身体強化を使えるようだが、だいぶ荒い使い方だ。もっと耐久力も上げてかないとこうなっちゃうよぉ〜?
ボクはさらに続けて他の部位も適当に正反対に折っていく。まぁこの世界の人間って丈夫だし死にはしないだろう。
そうこうしている内に、なかなか滑稽なオブジェが完成した。
ククク、どうやらボクはモニュメント制作においても才があったらしい。
「ギャハハ! あの〝粉砕剣〟が粉砕されてやがるぜ!! 早くこの話他のギルドの奴に伝えねぇとなぁ!!」
「いーっひっひ! こいつ〝
周囲の冒険者たちが騒がしい。まったく、これだから冒険者ってやつは……
「あ、店員さん。エーリを一杯ください」
「は、はい……」
ぐいぃーーーっ、ボクはビールっぽい何かを一気飲みした。
だんっ! 勢いよくグラスを机に叩きつける。なんか割れた気がするけど気のせいだ。
フゥ! やっぱり面白い奴を見ながら飲む酒は最高だな!
この酒はそんなに美味しくないんだけど、それも良い芸を見ながらだったら最高の味になるのだ。
これがプラシーボ効果ってやつか……おそらく違うが気にしないでおこう。感情転移って感じだっけ? よく分かんねぇや。それよりもっと飲もうぜェ! おかわり!
「「ワーッハッハッハッハ!!」」
ガチン!! ボクはクラーウスとジョッキをかちあわせる。
グビグビ、グビグビ……ボクはビールっぽい何かを一気飲みした。
ダン! 2人で勢いよくグラスを机に叩きつける。
「「麦茶だこれ!!」」
注文がどこかで混ざったらしい。まぁいいや、なんでも美味しいし。