TS異世界転移したので最強無双ダウナーお姉さんごっこをします 作:ゆきゆき(ダウナーお姉さん(本物))
「もぐぅっ!! むっちゃむっちゃむちゅもぐもぐ……!」
「ほんとに食べ方汚いっすね」
「あ?」
「あっゴメンナサイ……」
フン……分かればいいのさ。むっちゃもぐもぐ……!
「で? どうなの最近はさァ」
「ぼちぼちです。あ、最近ドラゴン討伐したんですよ。めっちゃ強かったですけど」
「へぇ〜〜〜」
いいじゃん、ドラゴン。ボクも戦ってみたいねぇ。
「エルさんは最近大物を倒したりとか……」
「んー……ないねぇ。シンプルに依頼たくさん受けてランク上げたから。あ、でも……」
「でも?」
「依頼じゃあないんだけどさ、さっきこの近くの古代都市でやけに強い魔物倒したんだよね」
「へぇ。それは……戦っているところが見てみたかったですね」
「ボクの戦ってるところとか見ても面白くないよぉ? ていうかボクの新曲聞いてかない? 最近作詞にハマっちゃってさァ」
「いや、また今度で」
「そう? いやぁ、遠慮しないでも……いいんだぜ?」
「遠慮しときます」
「大丈夫だって」
ぽろん、ぽろろん。ボクは竪琴を鳴らし始めた。
シュンくんは耳を塞いでいる。なんで?
「シュン様、そちらの方は?」
「ボク? ボクはエル=レイヴィア……どこにでもいるダウナーお姉さんさ!」
ぽろんぽろんと演奏しながら、ボクはシュンくんのパーティメンバーらしき女の子に自己紹介する。
「彼女は……なんというか……他人っていうのかな」
「親友と言ってくれたまえ」
「いや、絡みほとんど無かったですよね? 3回くらいしか話してないような……」
「3回も話したら親友と言っていいだろう。2回話していたくらいじゃあ友人止まりだが、ネ……」
「あー、もしかしてこの人……例の〝
「もうその呼び方してる奴皆殺しにしようかな」
「物騒なこと言ってんじゃねぇよ……」
つーかキミこそ誰だよパーティメンバーっぽいシスターさんよぉ。自己紹介するってのが礼儀じゃあないか?
ボクはそう思う。\ボクモソウオモウ!/
今の誰?
「あっ、自己紹介遅れました……私はレアと申します」
「コモンちゃんね、覚えた」
「レアです」
「アンコモンちゃん……?」
「いやだから、レアです」
「なるほど、スーパーレアちゃん……」
「さっきから何言ってるんですか本当に。その『スーパー』どこから出てきたんですか?」
「コイツいっつもこんなんだからマトモに取り合わない方がいいぞ」
『こんなん』ってどういうことだよ。まさかボクがふざけているとでも?
「いや、カッコいいなって意味です」
「なんだ、それならいいや」
「全然意味通ってないのにすんなり信じたな……」
「ところでコモンちゃん、キミってばシスターみたいな格好してるけど……それは宗教的な義務みたいな?」
あんま聞くの良くないんだろうけど、あいにくボクは常識が無いのでね。色々聞ける時に聞いとくべきだろう。
「私は〝聖女〟である、と守護神さまより神託を受けたのです。同時に、勇者を守るのだ、と」
「勇者だって? 薄々そんな気はしてたけど……やっぱりクラウスくんは勇者だったのか」
「さっきから2連続で名前間違えてるんですけど……まぁ、はい。勇者です。別に隠してる訳じゃないんですけど、わざわざ言ったりはしてないんで、あんまり名前は知られてないかもしれませんが」
「いや、いいじゃん。ボクは好きだぜそういうタイプの勇者も」
「そういうタイプじゃない勇者を知っているような口ぶりですね……」
「実はボク神様だからね。最近蘇ったんだよ」
「守護教の聖女の目の前でよくそんな冗談言えますね……」
「実は冗談じゃないって言ったらどうする?」
「それは、嘘偽りないですか」
クッッッソ真剣な目をしてコモンちゃんがこちらを見つめてくる。こりゃあしっかりと言ってやらないとだな。
「ほんとだよ」
ボクは嘘をついた。
「……そうですか」
「あっやべコミュミスった」
「ゲーム感覚で人と話すのやめてください」
「いやでもさ? ボクってばこれがデフォルトだから……」
『ゲーム感覚』ってニュアンスの言葉が聞こえたが……これは翻訳の都合か? 勇者ってポジはちょっと怪しいが、まぁ別にどっちでもいいか。
いや良くはない。どこかでストーキングして調べなければ……
「前から思ってるんですけど、エルさんって心の声全部漏れてません?」
「え、マジで?」
「大マジですよ。あ、そうだ……」
『俺もそっち側ですよ。多分そっちとは違って転移ですけど』
『なるほど、やはり日本人……いや、ボクも転移だと思われるんだけどね? なんか急にこの姿で平原に居たからさァ』
『そうだったんですか?』
『そうそう』
「……あの、お二人で何を話しているのでしょうか。それはどこの言語で?」
「機械言語ってやつだね」
「ちげぇよ。喋れる訳ないだろそんなの」
「いやいやいけるって。11100100 10111110 10001011 11100011 10000001 10001000 11100011 10000001 10110000 11100011 10000001 10010011 11100011 10000010 10010011 11100011 10000001 10101010 11100110 10000100 10011111 11100011 10000001 10011000」
「何言ってんのか分かんねぇって」
「なるほど、特殊なパワーで翻訳してるってワケじゃあなさそうだね……」
「クソが、ハメられた」
おいおいこんな原始的なブラフに引っかかっちゃあダメだろ勇者くぅ〜〜ん???
「はぁ……もういいです。そうだ、シュン。この街のギルド長からお話があるそうよ。ギルドに来て欲しい、とのことね」
「ギルド長から? いったい俺になんの用なんだ……」
「ボクも着いてっていい?」
「なんで???」
「いやだから、ほら。なんか面白そうじゃん?」
ギルドマスターから直接の依頼ってやつだろう?
ボクもそれにいっちょ噛みさせてくれよ。
「あぁ、そうやって大きな依頼受けてランク上げていったんですか……なんともまぁ空気の読めない、良く言えば活動的な方ですね」
「最初の方余計だよ」
「いやそもそも俺着いてきていいって言ってないけど」
「いいじゃあないか。ボクとキミの仲だろ?」
「いやだから3回しか会ってないって!!!」
「今回含めたら4回目だよ!!!」
「そこはどうでもいいんだよ!!!」
◇冒険者ギルド
数分間の口論の末、ボクが勝利した。これもボクの理論的な頭脳のおかげである。
「……おい、なぜお前がいるんだ。呼んでないぞ」
「いいじゃあないか細かいことくらい」
「細かくねぇよ指名依頼だ!!!」
「ボクが受けたっていいじゃないか!?」
「そんなワケねぇだろ!? 大体さっきC級に降格したばっかのくせによくもまぁノコノコと……」
「早歩きで来たからノコノコじゃあないよ」
「そこはどうでもいい……はぁ。お前がいると本題から無限に逸れていくな。無視して続けるぞ、シュン」
そう言ってギルドマスターはボクの隣に座っているシュンくんたちに目を向ける。
「お前たちに出すのは討伐依頼だ。最近古代都市近辺で強力な魔物が確認されてな……活動範囲も広いせいで色々と問題が起きている」
「へぇ〜」
「な、なるほど」
「本来ならA級以上の冒険者に依頼するところなんだが……お前は既にドラゴンを討伐したと聞いている。それならば任せることもできると考えた。今この街にはA級が居なくてなぁ……」
「ボクに頼むとか考えなかったのかな」
「黙っててください」
「報奨金は多く出す。本来なら200だが……250出せる」
「いーや300だね」
「勝手に交渉しないでください。200でいいです。むしろそれでも貰いすぎかと……」
「ありがたいな。それでは内容の方に移ろう……お前は出ていけ」
ボクはギルドマスターの部屋からつまみ出された。く、クソが……このボクを除け者にするとはいい度胸だなァ……?
「D級に降格したいか?」
「あーっはっは、全部嘘だぜゴメンナサイ。ボクが上に歯向かうワケないだろう?」
「分かればよろしい。守護神様のご加護があらんことを」
ぴしゃり、と木製のドアが完全に閉められる。鍵までかけやがった。
「夜襲、決定……ッ!」
「聞こえてるぞー」