TS異世界転移したので最強無双ダウナーお姉さんごっこをします 作:ゆきゆき(ダウナーお姉さん(本物))
◇◇◇
さてさて、ボクは除け者にされてしまったので……1人寂しく宿で魔法の検証中であった。
空間系も理解できてきたってのはかなりイイぞ。ボクからしても予想以上の進行度だ。
生命とか肉体とか、そっち系もみんなにぽろんぽろんと嫌がらせをしていたことで核心を掴んでいる。これなら……イケるぜ!
『本日も何かご命令でしょうか』
『あの、いい加減彼の心を解放してやってはくれませんか。ずっとイエスマンなのは流石に……いえ、まぁ別に立場は弁えてくれますから、ね?』
『いえ、俺はこのままで大丈夫です』
「だってよ魔族くん。魔族2くんもこう言っていることだし……」
『えっ、これ私がおかしいんですか?』
「まァ立場的に考えるとおかしいのはキミなんじゃね……?」
『そ、それはそうなんですが……』
いや、うーん。そもそもキミら殺されてもおかしくない感じだよね? なんか魔族って守護教から神敵扱いされてるし。
つーかボクに返り討ちにされてんだからさァ、これくらい許してくれよぉ。
いつか解放してやるから、サ……
『しかし、空間魔法というのは凄いですね。まさかあの小さな箱があんなに拡張されるとは……』
『本体のサイズも小さくした上で、さらに中身の空間を拡大……お見事です』
「いやァ魔族2くんはボクを褒めてくれて嬉しいねェ」
『いやこれ洗の「さぁてさて! それじゃあ次の実験に移るよぉ?」
次なる実験……悪魔の錬成である。
『いったい何する気なんですか。ろくな事じゃないですよね』
「キミ最初の方ブチ切れて襲いかかってきたヤバい奴のクセに常識人みたいなフリするよね。ボクそういうやつ嫌いだなァ」
『同族嫌悪……?』
『主は完璧なお方です』
『おいガルバ、いい加減目を覚ませ。どこが完璧なんだ?』
『すべて……ですね』
『こりゃあ重症だ』
クックック……この悪魔誕生計画の原案は古代都市にあった資料から拝借してきているのだ。いつぞや拾ったメモリーみたいなやつね?
なんとか読み込めそうな機械を修復して色々とやったら読めたんだワ。
まァなんというか、アレはあくまで草案って感じだったけど……色々学んだ今なら実現可能だろう、そう考えてボクは実験することにしたのだ。
「悪魔って言っちゃあいるが、実際はキメラだ。羽の生えた人間を作る、と、か……」
『……? どうしましたか?』
「……?」
いや、なんか……魔族と、この計画に書かれてた悪魔(キメラ)って……いや、まぁ気のせいだろ。
いや気のせいなワケねぇな。危ない危ない。ボクってばテンプレ展開的思考に呑まれるところだったぜ。
だとしたら何故こんな奴らを創造して……って言っても理由はほぼ絞れている。まァ大方人類の進化を望んで、ってとこだろう。ボクも進化したいし、ナ……
『急に考え込んでどうしたんですか』
「いや、なんでもあるけどキミたちには言えない」
『そうですか』
あの計画案には段階があった。1段階目が魔物と人間の合成。2段階目が魔物の特性のみの取り込み。3段階目が『完成』だ。
こいつらは……まぁ1段階目だな。多分この辺りで何かが起きて世界が一回滅びたって歴史なんじゃないかなぁ。
「今日は1段階目を進める予定だったけど……それなら2段階目から行ける、か」
『何言ってるのか分からないんですけど。そとそもなんで私たち呼ばれて?』
『俺は命令に従います』
『あの、あなた魔王様を崇拝してましたよね?』
『誰だそいつ?』
おいテメーら話聞けや。ボクが説明してる途中だろ。ボクは怖い先生みたいに睨んだ。
が、無視された。くそぅ、ボクが可愛いばっかりに威厳が無いのだろう……
「今からキミたちの身体から余分な要素を取り除く。なぁに、痛くは……………しないさ!」
『その間はなんですか!?』
『主よ、俺はどんな痛みでも受ける覚悟ができています』
「魔族2クン、大変よろしい! ……が、魔族1くんはちょっと崇拝の心が足りないねェ」
『何故私が崇拝しなければならないのでしょう? 私が崇拝するのは魔王様だけです』
「ほーう、それならキミから改造を始めようか」
『いや、遠慮しておきます』
「いやいや、痛くないよ? 新人類になれるんだ……キミが世界初だ。ナンバーワン、あるいはオンリーワン。ボクはキミが羨ましいぜ」
『や、やめ……やめろ! 私に何をする気……いやっ、離せっ! ダメだ! そんなとこ触るな! 開くな! や、ヤダーッ!!!』
◇◇◇
目、羽、音波あたりの部分は残し……あとの無駄な蝙蝠要素はバッサリカットした。魔法でDNA弄れるってのはちょっとやっていいライン越えてる気がしないでもないが……ひとまず魔族1くんは第2段階へと進んだ。
見てくれ、あんなに蝙蝠そのまんまだった顔がなんとイケメンフェイスに元通り……はぁ。
「いやなんかムカつくなぁ……」
『な、何がですか……ッ!? 私をこんなことにしておいて……!』
違うんだよな。もっとこう……なんだろう。ダウナーお姉さん感が足りないっていうのか?
『何を言っているんですか』
「おう、知ってるかボクぅ? この“改造魔法”は結構マジでなんでも弄れちゃうんだ。つまりだね……」
『ま、まだ何かするんですか!? こんなに尊厳を破壊されたのに!? 見てくださいよ、もう私の体毛が全部消え去りました!! 屈辱です!!』
うんうん。何が屈辱なのかはよく分かんないけど、とりあえずキミもTSしようか。
第3段階にはしてあげられないけど、ボクならもっと“イイ”外見に整えてやることができるんじゃねェかなって。
なんなら全人類を……
『……? い、今何言って……』
「全人類ダウナーお姉さん化計画……アリかもしれないね」
『本当に何を言って……よせ、やめろーっ!』
◇◇◇
完成したぞ……これこそが完璧な生命だ……!
かつて情報を残してくれた古代の方々、ありがとう……おかげで面白い計画を思いついたし、それを実行する力も得たぞ……
天国で、ボクが全人類ダウナーお姉さん化計画を遂行するのを見ていてくれよな……ッ!
ちなみにマジで実行するからな。ボクは本気だぞ。絶対ぜーったいやるからね。ほんとに。マジで。
『わ、わた……私は……いったい、どうなって……』
「おめでとう」
『おめでとう』
『な、なんですか……エルさんもガルバも拍手なんかして……あ、あれ……? 声が……』
「おめでとう」
『おめでとう』
背は縮んだ。真っ黒な羽はよりカッコよく、青いグラデーションまで追加されている。
ツノも2本生えていて、そして瞳孔には青い炎が宿っている。
おめでとう、今日をもって魔族1くんは魔族卒業だ。
これからは———悪魔1くんとして生きていきなさい。
『……ぁ』
ばたん、と悪魔1くんは倒れた。
さてさて、それでは魔族1(繰り上げ)くんも“改造”してやらないといけないんだが……面倒なのでキミは気が向いたら、ね。
『了解しました。いつでも待っております』
「ふふふ、魔族くんはやっぱり言うことを聞いてくれていいねぇ」
キミには天使の身体を用意してあげようねェ。
まァいつにするかは分からないけど。DNAの形よく分かんないから、それっぽい魔物見つけてからにはなると思うけど……それまで我慢してくれよな。