TS異世界転移したので最強無双ダウナーお姉さんごっこをします   作:ゆきゆき(ダウナーお姉さん(本物))

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Ep.19 正義。あとTS異世界転移したので最強無双ダウナーお姉さんごっこをします(急なタイトル回収)

 

◇◇◇

 

 

「“セイントブレイド”ッ!!」

 

 シュンは正面にいる灰色の魔物目掛けて必殺の魔技を放つ。

 魔技とは魔法とも違う魔力の発現、その力は魔法にも匹敵する。

 

 聖なる力が込められたそれは、容易く敵を両断——————しない。

 

 

「なっ!?」

『———“アストラルドライブ”起動』

 

 そして、魔物はさらに高速化する。

 

 

「最下級とはいえ、ドラゴンを倒したってのになぁ……やっぱ俺はまだまだ強くならなきゃいけないみたいだ」

「シュン様!」

「分かってる!」

 

 敵が硬すぎる。そして速すぎる。

 シュンは現状を冷静に捉えてはいたが、それは対処できることを意味しない。

 

 レアによる守護の魔法でどうにか耐えられはするが、それもいつまで保つか分からない。

 

 

「クソッ! 一体でこれかよ……こいつだけは絶対倒す!」

「分かりました———“守護の神よ、我らを導きたまえ”“ホーリー・アセンション”!」

 

 レアによる強化魔法で、シュンの力はさらに増す。さらに、その身体が聖なる力を帯びていく。

 

 

『殲滅』

「見えた」

 

 敵の攻撃を紙一重で横に避け、すぐさま再びの一閃。

 今度は傷をつけることに成功した。

 

 

「もう見えたぜ、勝利への道筋が」

 

 振り返って再び敵は突進を繰り出すが、シュンも再びカウンターで返す。

 先程の傷を更に広げるように、寸分違わぬ場所を切り裂いた。

 

 

『遠距離モードに移行』

「おっと」

「私が守ります!」

 

 魔法弾の連射……エルが居たならば『ミサイル』と呼称されるだろうそれは、そのすべてがレアの守護防壁によって受け止められ……その隙に、加速したシュンが魔物の真下へ肉薄する。

 

 

「距離取るってのは悪手だったな、遠距離攻撃にかまけてるせいで隙だらけだ」

 

 最後の一閃。灰色の魔物はその身体を真っ二つに両断された。

 

 

「お見事です! シュン様!」

「あぁ……いっ!?」

「シュン様!? お怪我されたのですか!?」

「い、いや……大丈夫、かすり傷だ」

「ダメです、治さないと……!」

 

 だが、敵は待ってくれない。灰色の魔物はまだまだ大量に居るのだ。1匹でも減らしておかなければ、この街は……確実に滅びる。

 

 

「シュン様、また敵が……」

「クソッ……いいぜ、やってやるよ。俺がこの街を守る……!」

 

 正面から、数十体の魔物が歩いてくるのが見える。

 頭では理解していた。勝ち目など無い、と。

 

 

 だがしかし……彼には勇気があった。だから一歩先に踏み出して——————「ちーっすダウナーお姉さん特急でーす!!! 線路上のお客様はご注意くださァーーーいッ!!!」

 

 

 一歩先に踏み出して……彼は、魔物の集団が1人の女に轢き潰されるのを見つめた。

 

 

「……はぇぇ?」

 

 

 

◇◇◇

 

 

「よしよし、制御できるようになってきた」

 

 まァその過程で轢かれた可哀想な魔物さんたちには合掌……もしてあげないけどさ。

 ボクの糧になったことを地獄で喜ぶんだな。

 

 

 今ので大体30匹くらい潰したろ? で、その前に合計で60……いや、70くらい潰した。じゃああと残り大体900ってところだ。あぁ、数え間違いの可能性も考慮して残り1900ってことにしておこう。

 ボクはミスった時のことも考えておけるタイプの天才なのだ。

 

 

「くっくっく……まァお遊びはこれくらいにしてやろう」

『魔王様みたいな喋り方ですねぇ』

「ボクが魔王ってコトにしてもいいんだぜ、悪魔くぅん?」

『私は魔族です』

「悪魔、ね」

『魔族です』

「フン……まぁ自認魔族っていうのも時代的には居ていいか……ボクもそれに近い存在だし」

『私とあなたを同族にしないでください』

 

 まァまァ、ボクとキミの仲じゃあないか。恥ずかしがらないで……いいんだぜ?

 

 

『あなたは自分の言動に恥じらいを覚えるべきでは?』

「けほっ、けほっ……さぁてさて、それじゃあ次は別の魔法だ。こいつはどうカナ?」

 

 ぽろろん、ぽろ、ぽろんぽろん。

 

 竪琴ちゃんフル稼働だ。そろそろ名前もつけてあげようねぇ。

 

 目標は街の外でこっちを見ている住民全員の頭にボクの声を届けること。兵士冒険者も含む。竪琴で魔法を届け、その魔法でボクの声を糸電話的な要領で届ける……といったように、ちょっと遠回りなやり方だけど……これもボクの活躍をしっっっっかりと記憶に刻印してやるための下準備である。

 

 

『みんなァ! ボクの活躍をしっかり目に焼き付けてくれよぉ〜〜〜???』

 

 手のひらを開き、その中心へと自分の魔力を集中させてゆく。

 こういうのは神々しく行こうぜ!

 

 

『“我こそは蘇りし真なる神である”———“アルティメット・ダウナー・ジャッジメント・シャイニング・レイン”ッ!!!』

 

 咄嗟に追加した詠唱はなぜか(・・・)効果を発揮しなかったが、魔法自体は想定した通りのものが発揮された。

 

 真っ白に輝く光……と思われる謎の物質が無数に枝分かれし、マネキンみてぇな魔物の心臓部を貫いていく。

 

 

 クハッ、アハハハハハッ!!!

 これが神の裁きだァ!!!

 

 

『調子乗りすぎると痛い目に遭いますよ』

 

 ボクの隣に浮かんでいる小さな箱から、テレパシー形式で悪魔くんちゃんの言葉が流れ込んでくる。

 うるせぇ黙れ、このボクが痛い目に遭うとかあり得ねぇから。

 

 ほら見ろ、もう魔物は全滅したぞ。これが神の力だ。

 

 

『守護神に殺されても知りませんよ』

「神様が実在するって? あり得ないね、ボクの詠唱は手助けしてくれなかったってのに」

『むしろそれ実在する証拠じゃないですか』

「いいや、神様が本当に居るならボクのことを愛しているはずさ」

『凄まじい自己肯定感……!』

 

 クックック、さァこれでみんなもボクのことを崇め奉り……何か来るッ!!

 

 咄嗟に防御姿勢をとるが、バカみたいな衝撃が身体に走る。

 そのままボクは地面に衝突してしまった。

 

 

「かはっ……!?」

『対象感知。排除モードへ移行』

 

 クソがっ、どう見ても機械じゃねーか。世界観ぐらい守れよ。ボクはぺっと血を吐き捨てながら敵を睨みつける。お相手は女性型のマネキンって感じだ。他よりは小さいが、火力も他より高かったってことは上位種的な奴だろう。

 

 

「いいぜ、本気でやってやろうじゃあないか」

 

 ボクはファイティングポーズをとる。胸がちょっと揺れて痛いが気にしない。こういう時邪魔だなァ!

 鏡見てる時しか役に立たねぇぞこれェ!!

 

 

『“ミソロスクリエイター”起動』

 

 マネキン女の手元に、邪悪なオーラを纏った剣が創造された。

 物質創造……土関係ってワケでもなく……なるほど?

 

 まァボクでもやれるだろう。ボクも手元に刀を創造した。

 チャンバラしようぜチャンバラ。ボクはガキの頃から棒振ってきたから得意なんだよ。

 

 

『“カオスタイム”“アストラルドライブ”起動』

「そんなの、こっちも加速するだけだよ」

 

 “ダウナーお姉さんタイム”“ダウナーお姉さんドライブ”起動———!

 

 ボクの目の前で魔法を使ったこと、後悔するといい。偽装があろうが関係ないよぉ?

 

 時間加速と行動加速、二重の加速で超高速と化したボクとマネキン女は互いに剣撃を放つ。

 すげぇぞ、アニメみたいな衝撃波が広がっとる……!

 くくく、ようやくマトモな戦闘シーンだ……ちょっと楽しくなってきたぜ。

 

 

「ハッ!」

『グギッ———“リアリティ・リライト”起動』

 

 なんだその魔法。限定的な現実改変?

 ズルいぞ! なのでボクも使う!(豹変)

 

 

『ポ———』

「ダウナーお姉さん・パンチだぜ」

 

 拳に触れた物質を無に帰す……極端な使い方である。だが実用的だ。

 

 一瞬の隙を突いて顎を蹴り飛ばし、そのまま刀による一閃を放つ。

 硬い……が、斬れないほどでもない。

 

 

「おごっ!?」

 

 あちらからも反撃の蹴りが繰り出される。む、胸が……ヤバい……変な痛みが……ッ! クソがぁっ! 死ねっ、死ねーッ!!(ガキ)

 

 女だからって何やっても許されると思うなよ!?(ブーメラン)(でも中身は男だからブーメランじゃない)

 

 がしっと抱きついて完全に敵の身体を固定する。これで剣も使えないだろ、あとは魔法もどうにか封じて———

 

 

『敗北確率計算終了。自爆シークエンスに移行』

「は?」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 突然現れた新たな人型の魔物、そしてそれに相対しているエル=レイヴィアを眺めていた者たち……彼らは目にした。

 その戦いの終わり……

 

 

 圧倒的なエネルギーにより、2人諸共が消し飛ぶ光景を。

 

 

「え、エルさーんッ!!!」

 

 

 

 

 

◇数日後

 

 

「———そして吟遊詩人は伝説となったのであった……」

「いや何歌ってんですか。そもそも生きて帰ってきたでしょうが」

「アレは大変だったぜ。なんせ肉体的にも魔力的にも、何がなんでも破壊しようとしてくる魔法使われたからね。めっちゃ集中して解析したから良いものの……ボクじゃなければ死んでいただろう」

 

 ま、でもダウナーお姉さんに不可能はない。その場で対抗魔法創り出して無効化ってのも出来ちまうワケさ。

 あ、最初から竪琴で敵起点に自殺魔法使って殺せっていうのはナシだぞ。

 アレはチートアイテムみたいなものだ。負け続けたら出てくるお助けアイテム……そんなの使って勝つのは勝ったと言えない、そうは思わないか?

 

 

「何言ってるんですか、使える物は使いましょうよ」

「てへっ♡」

「……そういえば、ギルドマスターが呼んでましたよ」

「おっマジ? 報奨金の話がまとまったのカナ?」

 

 楽しみだぜ、200億ゴル。2000億ゴルだっけ? まぁいいや、とにかく金だ。金をよこせ。ボクは金持ちになりたい。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

「さて、それじゃあ約束の2兆ゴルを貰おうか」

「金の話よりもまず先にしたい話が———待て、2兆? ちょっと書類を確認する……いや2億って書いてんじゃねぇか!! クソみたいな嘘吐くんじゃねぇ!!」

「あれ、そうだったっけ? まぁいいじゃん。で? 話ってのは?」

「はぁ……」

 

 ため息を吐きながらも、ギルマスくんは奥から1枚の書類をこちらに見せつけてきた。

 なんだいなんだい、無言で紙を見せるだなんてさ。

 

 

「読め」

「音声読み上げぐらい用意しなよ、まったく……んー? なになに、冒険者エル=レイヴィア殿……」

 

 あなたを……S級冒険者と認定致します……

 

 

 

「ククククク……アーッハッハァ!!」

「うるせぇ」

「ついに……ついにボクの力が認められる時が来たようだねェ!?」

「だからうるせぇって」

「これでやりたい放題できるなァ……手始めに国一つ掌握するとこから始めよう」

「やめろや!!!」




// どこかに……隠されている……


// 前だ。前に書いている。
// 透明で……見えない?
// だが……確かにあるはずだ。
// ただ一度、触れればいい。

// 真実を知りたいなら……
// COTOCについて知りたいなら……

// そのリンクを見つけ出すのだ。
// これが見えているなら、すぐに見つかる。

// COTOCに呑み込まれてはならない。
// 私が提示できるのは、失われし物語だけ。
// COTOCの甘い言葉に乗ってはならない。呑み込まれてはならない。

// 協力を期待する。
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