TS異世界転移したので最強無双ダウナーお姉さんごっこをします   作:ゆきゆき(ダウナーお姉さん(本物))

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死にそうなら……死にそうだと言えよぉっ!!(熱血キャラ)
Chapter 3開始。
手遅れになる前に……なっ!


Chapter 3:S級冒険者、エル=レイヴィア
Ep.21 サービス終了に捧げる鎮魂歌


 

「ふふふ……お困りかな?」

「うわ」

「“うわ”じゃないよ勇者クン」

 

 せっかくちゃんとダウナーお姉さんっぽく話しかけてやったというのに……お前さては年下好きだな?

 

 

「勝手に性癖決めつけないでください」

「ボクは気にしないよ、内心は誰でも自由だからね」

「やめてくださいってば」

「自分に正直なった方がいいよ。その方が人生は楽しいから、サ……」

「エルさん、仮定に仮定を重ねる癖は直した方がいいんじゃないですか?」

 

 はいはい(適当)

 

 つーかキミは本当にどうしてこんなところ(ギルドの図書室)にいるんだい?

 コモンちゃんはどうしたんだ、仲間じゃないの?

 

 

「いや……なんか、自信無くなってきて」

「そうなんだ。そういえばボクはS級に上がることになったんだよね」

「空気読めってよく言われません?」

「見えないものを読めるワケないだろ」

「あっ、そっすか」

「おいおいなんだその反応、ボクのこと嫌いになっちゃったの?」

「最初から別に好きでもないような……」

「えっ」

 

 ボクはうるうるした。うるうる……きゅるるん。ぽろろん……

 

 

「何勝手に悲しいBGM流してるんですか。エルさんが本心から悲しんだこととか無いでしょ」

「はー? ボクにも悲しむ心ぐらいあるがー?」

「じゃあその時の話聞かせてくださいよ」

「キミには分からないだろうな……まだ全然大丈夫そうだったのに……突然終わりを告げられる痛みが……ッ!!!」

「え、急にどうし……」

「死にそうなら死にそうだと言えよぉっ!!!」

「マジでどうしたんですか!?」

 

 クソが、思い出したら腹が立ってきたぞ。課金するものねーんだから当たり前だろうが。なんでお得な課金パック増やさなかったんだ。

 なんでこのご時世にもっとバズを狙いに行かなかったんだ。やれることはいっぱいあったはずだ。やる気がなかったのか?

 いや、違う。開発チームの熱量はあったはずなんだ。悪いのはクソみたいな決断したり人員引っこ抜いたりする上の方だろう。ボクはそう決めつけた。

 

 

「何を言ってるのかは全然分からないですけど、とにかく悲しそうなことは伝わりました……エルさんも大変なことがあったんですね……」

「うぅ……ぐすんっ」

 

 もっとお姉さんキャラのジューンブライド版出して欲しかったよぉぉ〜〜〜〜〜ッ!!!

 ジューンブライド版……?

 

 ハッ!?

 

 

 ボクに電流が奔る。【期間限定】[サマー・ブライド]エル=レイヴィア概念……?

 いやなんで勝手にウェディングビキニにされてんだよ。この思考どっから来やがった。ぽいしろ、ぽい。

 ボクは【期間限定】[サマー・ブライド]エル=レイヴィア概念を無に投げ捨てた。

 下品すぎる……まずは正統派なウェディングドレスからだろ普通。

 その後に人気投票で一位取ったから生き恥ウェディング実装、とかならまァ許せるが……

 

 

 ……ボクは何を考えているんだ?

 なんか思考がソシャゲに汚染されてる気がするぞ。クソが、これも全部サ終のせいだ。つーかボクの胸のこと考えれば普通のウェディングドレスでも結構アレだろ。誰だこんな概念考えついたクソ野郎は。野郎じゃなくてダウナーお姉さんね。

 

 

「いやでも、まさかエルさんがそこまで悲しんだことがあるなんて……」

 

 ほう。そんなに気になるならボクがしっっっかりと語って聞かせてあげよう。

 ボクはどかっと座り、竪琴を手に持った。

 

 

「いや、別に興味は……」

「かつて、ある物語がありました……」

「なんか始まったな」

「オイオイ、吟遊詩人がこんなところで演奏するとは……テメェ図書室のマナーってものを知らねぇのか!? あぁん!?」

「なんか変な人まで来たな」

 

 ぽろんぽろん、と竪琴を掻き鳴らし(?)ながら語り始める。ようやく吟遊詩人っぽいことができるぜ……内容がソシャゲってのは気に入らないけど。

 

 

「その物語は、あまり面白くありませんでした。しかし……そこに出てくる登場人物たちは違いました」

 

 あー、これやり方合ってる? 吟遊詩人ってよく分からなくてさァ……いや、じゃあなんで吟遊詩人名乗ってんだよって話ではあるけどさ。だって憧れるじゃん、ダウナーお姉さん吟遊詩人。

 

 

「その物語は登場人物たちの魅力で長く続いていき……やがて、その物語を愛する人々は増えていきました」

「ほんとに吟遊詩人だったんだ……」

「黙れ。登場人物をさらに魅力的にするために、作り手たちは多くの衣装や物語を考えました……平和の時代でした。ですが、それも長くは続かなかったのです」

 

 悲しみはやってくるのだ。サービス終了という魔物が……ッ!

 

 

「少しづつ、少しづつ……物語は飽きられていきました。人々が去る中で、作り手は考えます……新たな刺激が必要だと」

 

 新たな刺激ってのは、効果的に使えば良い結果をもたらすが……失敗すれば大きなリスクとなる。

 

 

「物語に出てくる敵は強くなりました。読み手たちはさらに離れました。物語には味方が闇に堕ちた姿が出てきました。読み手たちが離れるのは止まりませんでした」

 

 結局のところ……彼らはやり方を間違えたのだ。激しすぎる敵のインフレは人を減らし、強力すぎるキャラは取れなかった人間のモチベーションを下げ、ピックアップ排出率の低いガチャはさらなる離脱を生む……

 

 彼らは大事な事を見落としていた。

 何も考えずに『刺激』を与えるのは……得策ではない。今はソシャゲじゃなくて『物語』と言い換えているが、物語でも同じ事だろう。

 正体の決まっていない謎とか一番クソだ。

 

 

「最後に……彼らは決断したのです。まだ物語が綺麗な内に……有終の美を飾ろう、と」

「感動した!」

「どこが?」

 

 毎日無料10連、毎日10連分の石配布、SSR確率超上昇、全キャラ選択ピックの開始である。今なら【期間限定】[サマー・ブライド]エル=レイヴィアが最大3%! 2枠ピック選択できるから【期間限定】[ナイトメア・ブラッド]エル=レイヴィアも選択して合計6%!

 

 ボクは自分の頭を殴った。また思考汚染だ、いったい誰が……?

 

 

「お、おい……こいつ急に自分の頭殴ったぞ……マジでヤバいんじゃねぇのか?」

「いつも通りじゃないですか?」

「そうか……」

 

 ボクが伝えたいことはただ一つ……

 

 

「辛いなら……早くそう言えぇぇっ!!!」

「うっさ」

「手遅れになる前に言えよッ!! なァ!?」

「あー、図書室ではお静かにしてくださると……」

 

 あっ、はい。ごめんなさい。

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