TS異世界転移したので最強無双ダウナーお姉さんごっこをします 作:ゆきゆき(ダウナーお姉さん(本物))
◇◇◇
さてさて、目的の無い旅にも小さな目標が出来た。
それはこの魔導具『タドルス』の指す方へ向かい、アルテルトとかいう商人と再び会う事である。
臨時ボーナス貰ったからねぇ……面白いモノいっぱい買いたいじゃん?
『あの商人からは何か嫌な感覚があります。関わらない方が身のためですよ』
『悪魔よ、主が“会う”と言えばそれは確定事項だ』
『別にどっちでもいいんじゃないの』
ボクもそう思う……待て、キミは誰だ。なんか今3人分の声が聞こえたぞ。
『私は〝原初の魔女〟ゼナですゼナねぇ……』
ボクは確信した。こいつは偽物である。
『ちょっと待ってくれ、本人でしか知り得ないことを言うから。本名ゼナステリア=ルーメンエルド、好物はカレーライス、苦手な食べ物はピーマン、現代に繋がる魔法研究の第一人者で、“よくわかる まほう!”の著者だゼナねぇ』
本人でしか知り得ない情報が全然見つからない……
『いや、一応現代では“ゼナ”と“ゼナステリア”は別物として伝わっているはずだゼナ。何故ならそういう風に伝えるよう細工をしたからゼナねぇ……』
『それは真実です。魔族の研究者間でも、そういった話は聞いたことがありません。まぁ荒唐無稽な嘘の可能性も高いですが』
『いや、これは真実ですゼナねぇ』
その喋り方やめない?
『私も色々意味が分からない状態なんだ。困惑しているんだよ。なんで私がキメラの脳内にいる?』
「待て、今ボクのことキメラって言った?」
『ん? あぁ、言ったよ。だってそうだろ、色々な種族の特徴が入っているぞ……一部は未覚醒のようだが。残りの2人もそうだろ?』
つまりボクは魔族ってこと? マジ?
……キミはいつからボクの脳内にいるんだい?
『分からない。が、多分最初からだろうね。今の私には“目覚めた”という感覚がある』
「きっかけは?」
『分からない。状況から考えて、おそらくその“きっかけ”のあるタイミングからはラグがあったはずだ。そっちこそ、何かそれらしいものはないのかな?』
「このサングラスは買ったけど……」
『は? なんだそのダサい魔導具。センス無さすぎるだろキミ』
どうやら脳内ストレージから『原初の魔女』タグに分類されたデータをすべて削除する必要があるようだ。これ毒かも! 間に合え間に合え……!(忘却)
『ま、待て待て。待て! なんだその技術!? 本当に記憶を消去していないか!?』
「なんだこの声……3人目がいる……!?」
『いや、消したのはほんの少しだけだろう!? 私は見えてるぞ!』
「チッ」
『油断も隙もないなぁキミは……』
テメーが喋ってるとたまにボクが喋ってんのかどうか分からなくなるんだよ。キャラ被りって知ってる?
『そんなに被ってないだろ。ところでなんだが……キミの持つその小型異界……異界じゃないか? まぁどっちでもいいのだが、そこ結構快適な空間が形成されてるだろ? そこに私も住まわせてくれないか?』
「えっ、あの箱の中どうなってんの」
確かに『狭い』とかなんとかクレーム入ったから空間拡張したけどさぁ……
『いえ、特に問題行動はしていませんからね。ちゃんとお小遣いの中で購入したり、あるいは譲ってもらったりしたものだけが置かれています』
『お、お小遣い制なんだね……』
『主は完璧なのです。つまりこの制度こそが最適なのです』
日給5000ゴルが……?
魔族2くんはちょっと洗脳されすぎかもしれない。仕方ないから解除してあげよう。
『主への敬意は消えません!』
『本当に解除したんですか、これ……?』
した。した、が……
残念ながら、彼はもう……(医者)
『肉体を創ろうと思うんだが、魔力を借りてもいいかな?』
トイチな。あと魔法おせーてゼナ様〜〜〜
『なぁに、すぐ返してあげるさ』
ごっっっっそり魔力が抜けたような感覚。ボクは最近全然確認してなかった小さな箱の蓋を……いや、そういえば蓋とかじゃなくて触れたら中に移動できるように改造したんだっけ……
「ボクってば天才だなぁ」
『自力でやったんなら見事、と言えるだろう』
◇◇◇
「うわ、何ここ」
クッソ禍々しい装飾まみれになってる……ラスダンかな?
『ふふふ、私のデザインセンスは見事なものでしょう?』
「悪魔くん、キミがふざけるのは珍しいね」
『えっ……?』
さてさて、自称原初の魔女サマは……お、いたいた。
なにそんな魔女っぽい格好してんだよえー?
『いやね、やはり魔女といったらこういう格好だと私は思うワケだよ』
そう言いながら振り返ったゼナの外見はまぁ綺麗だった。
床に触れてしまいそうなほどの長い白髪と、透き通るような蒼の目。白衣に魔女らしさを追加したような服……それととんがり帽子。
最近はダウナーお姉さんの供給が多くて助かるね、まったく。
ボクは文体が自分好みのR-18TS小説を発見したときのような表情を浮かべた。
『うわ、なんだその顔。きもっ』
「そんなに……?」
『鏡見なよ』
ダウナーお姉さんと化したボクならどんな表情でも映えるだろう。何言ってんだコイツ……?という考えは鏡を見た瞬間に消え去った。
これからは表情もちゃんと作っていこうね。
『さてさて、ところでキミの名前はなんだったか。ついさっき目覚めたのでね、聞いておきたいんだ』
「エル=レイヴィアだよ。はい自己紹介終わり」
『おいおい、こっちは好物や苦手な食べ物まで晒しんだよ? そっちもそれぐの情報を開示してくれないと困るなぁ』
「どうでもいいでしょそんなの……で? これからキミはどうするのかな?」
『もちろんキミと一緒に旅をするゼナねぇ……』
「その喋り方やめてね」
ボクまで変なやつだと思われるだろ。
『まぁ待て、ちゃんとキミと共に旅をしたい理由もあるんだゼナね』
「ボクの話聞いてた?」
『私がなぜキミの内部意識に溶けていたのか、そして過去の記憶が欠けているのは何故なのか……その理由が知りたいんだ。キミと一緒に旅をしていればそれも見つかるんじゃないかと思ってね』
「話聞いてないな……」
『まるであなたみた———おごっ!?』
うるさいぞ悪魔くんちゃん。今はボクと彼女が話しているんだ。百合に挟まるTS悪魔は嫌われるぞ。
『というワケだ、一緒に旅をしようじゃあないか! 私はどこへでも着いて行くよ?』
「それってボクに何かメリットあるの?」
『あるさ。この超絶美人な私と一緒に旅をできる、とーっても大きなメリットが、ね……』
「確かに魅力的だけど……もっと他にもない?」
『魔法について教えてあげることもできるぞ?』
「いいねェ」
キミ、採用!
『これから……よろしくね?』
よかったら評価付与してってくれると嬉しいな!