TS異世界転移したので最強無双ダウナーお姉さんごっこをします 作:ゆきゆき(ダウナーお姉さん(本物))
「職業は?」
「吟遊詩人さ」
「吟遊詩人……なるほど。その格好は……」
「あー、今は
「失礼。身分を確認できるものは?」
「あー、ちょっと今何も持ってなくてねぇ」
「楽器とかでも大丈夫ですが」
「あー、魔物に粉々にされてしまってェ……」
今の持ち物は……ポケットに入ってたスマホぐらいしかない。それ以外は何も持ってきていないのである。
まぁ寝ようとしてたタイミングだったから当然だね。
「俺が保証しよう」
「なるほど。クラウスさんのお知り合いでしたか……なら問題ないですよ。ですがせめて何か身分を証明する物は持っておいた方がいいと思いますが」
「俺もそう思うわ」
「へへっ」
助かりましたよクラ……ウスさん。
そんなこんなでボクは街に入ることに成功した。早く冒険者登録しなきゃだねぇ。
◇◇◇
「この書類に名前、年齢、種族、出身をご記入ください」
「あぁ、分かったよ」
種族と出身……?
なんて書けばいいんだこれ……
ボクは周囲をチラチラ見ながらそんなことを考えていた。
外見がどんなものか、自分で見れないから分からないし……なんか耳が尖っている気はするんだけどさ。
というか、周りの冒険者たちはボクに絡んできたりしないのか?
ほら、こういう時ってさ……生意気な新人を叩き潰してやるぜ!とかなんとか、そんなことになるのがテンプレじゃないかい?
はら、みんな見て!こんなところにか弱いダウナーお姉さんがいるよ!
「……あの、早く書いてください」
「あ、あぁすまないね」
スラスラと名前、年齢を書いていく。
この身体の年齢は分からないけど、多分21歳とかだろう。
名前についても前に決めた『エル=レイヴィア』と記入する。
ちなみになんだが、この世界に来てから喋ったり書いたりしている言語は日本語とは別のものだ。
いつの間にか頭に入っていたんだよね。怖い話だ。
「……あー、実はボク出身地も種族もよく分からなくてさァ」
「そうですか。特段珍しいことではありません。不明、と記述してください。ただし分かったのなら報告をお願いします」
「助かるよ」
「それと、おそらくあなたはエルフなんじゃないでしょうか」
「おぉ、助かるよ」
爆乳TSエルフダウナーお姉さん……?
一部の人からは批判されそうな気がする属性だが、まぁボクはこういうのも好きだ。いいじゃん、でっかいエルフもさ。
「これが冒険者カードです。再発行時にはゴルを頂戴しますので、無くさないようお願いします」
「分かったよ」
「それと、冒険者登録後は研修を受ける決まりとなっております。受けてからでないと依頼を受注することはできませんので、よろしくお願いします」
「はーい」
どうやら研修は2日間らしい。短くていいね。
しかし、金が無いのでその間はホームレスみたいな生活をしなければならない。大問題である。
えー、どうしよっかねぇ……
研修自体も明日から2日間だし……
そんなことを考えながらギルドから外に出る。
すると、誰かから肩を掴まれた。
「おい姉ちゃん、ちと付き合えや」
いいよ^^
◇◇◇
「オラァ!!」
「ぶへっ!?」
身体強化でめちゃくちゃ強くなったボクの蹴りがナンパ男の顔面に命中し、ばたりと路地裏の地面へと彼が倒れる。
さて、財布は……おぉ、これか?
中身は銀貨4枚、銅貨5枚、鉄貨7枚……どうなんだろう。この世界の貨幣の価値分かんねぇ……
ま、とりあえずこれくらいにしといてやろう。
「おいおい、これはいったいどういう状況だぁ?」
振り返れば、そこにはめちゃくちゃゴツい男がいた。
これは……このナンパ男のリーダー格的なやつ?
「おい姉ちゃん、そこにぶっ倒れてるうちのパーティメンバーについてなんだが……」
「え? この人? ボクが来た時には倒れてたよ」
「あぁん!? 俺はお前がコイツに蹴りを入れてたのをバッチリ見てたぜぇ?」
取り巻きまで後ろから出てきた。ザ・取り巻きって感じの外見だねぇ。
「うちのメンバーをこんなことにしやがってよぉ……こりゃあ数発殴られても文句言えねぇなぁ!?」
そう言って取り巻きAがボクへと殴りかかってきた。
ボクはその腕を掴み、攻撃を止める。
「なっ……ぶへぇっ!?」
正当防衛です!正当防衛です!!
「やれぇっ!」
ボスっぽいやつの一声でボクに取り巻きBが襲いかかるが、その首を掴んで無詠唱で雷魔法(弱め)を発動する。
うびび、とかうぼぼ、みたいな鳴き声を出しながら取り巻きBが気絶した。
そのまま強化した脚力でボスっぽい人の足元へ駆け寄り———
「ゴー・ヘヴン!」
「お”っ”」
ボクは
念には念を、ということで前に倒れたボスさんの背中を強めに踏む。
バキバキ聞こえた気がするがおそらく気のせいだろう。クラオスさんも冒険者は頑丈だって言ってた!
「フゥ! こりゃあ明日は筋肉痛だな!」
ボクは腕をぐるぐる回しながら、追加ボーナス3人のポケットを漁った。
結果手に入れたのは全部合計で金貨1枚、銀貨14枚、銅貨30枚、鉄貨34枚。
なんかボスっぽいやつは意外にもあんま金持ってなかったな……冒険者ってこういうものなのか? まぁパーっと使ってそうだしな、こいつら。
あ、そうだ。他にも戦利品がある。
このボスっぽい奴は腰に剣持ってたからね。それも頂いた。迷惑料ってやつだ。
「さてさて。臨時収入も手に入ったし、宿でも探そうかな」
◇◇◇
色々見て回った結果分かったのだが、この世界の貨幣はだいたい金貨1枚10万円、銀貨1枚1万円、銅貨1枚1000円、鉄貨1枚100円くらいの価値らしい。
大体の推定だから間違っているところはあるかもしれないが、まぁこのくらいのイメージで問題はないだろう。
となれば現在の所持金はだいたい27万円くらいってことになる。これだけあれば、まぁ……なんとかなるはずだ。
「まずは服を買って……部屋借りて……」
ここまでずっっっとモコモコのパジャマだったからね、いい加減着替えたい。
魔法でなんとか体温は誤魔化しているんだが、それはそれとしてなんかゴワゴワする。
お風呂にも入りたい……けどこの世界にあるのかは微妙。
そんなことを考えていると、ふと一軒の店が目に入った。
何でも屋か、あるいはリサイクルショップ的なところだろうか。質屋って言った方が世界観には合ってるか?
ふらふらとその店へと近づいていく。元の世界でもリサイクルショップは見かけたらとりあえず入る奴だったからか、自然と足は動いていた。
「らっしゃい。買うか? 売るか? どっちでもいいぞ。うちには掘り出し物もあるからな」
「こっ……これは……まさか!?」
ボクはとある物を手に取った。
それはハープを小さくしたような外見をしていた。
いわゆる……竪琴、というやつだ。
吟遊詩人ダウナーお姉さん!!(鳴き声)
「あ? あんちゃん、それが気になるのか? そいつぁ魔導具だからなぁ……ちと値が張るぜ」
「いくらかな???」
「お、おう……金貨1枚だ」
「払わせてもらおうかな!!」
「元気だなあんちゃん……ほらよ」
おぉ……イイねェ……
月が満ちる夜、ちょうどいい岩の上に座ってこれを奏でるダウナーお姉さんがいたら……最高だと思わないか?
「何を言ってんのかは分からんが、まぁ気に入ったのならいい。後になっちまったが、そいつの効果も説明しとくぜ」
「聞きたい聞きたい」
「そいつぁな、魔力を込めて奏でれば……周りにいる奴ら全員の“頭ん中”に音が直接流れるんだ」
「おぉ……」
「まぁ戦闘やらで使い道はねぇ。だが物好きは欲しがるかも……いや、あんちゃんがその“物好き”ってやつかな。大事に使えよ」
「感謝するよ」
ふはふ、これでボクは完全に正真正銘ダウナーお姉さん系吟遊詩人だぜ。
でもこんなん使ったことないから練習しないと……
※適正価格:銀貨5枚
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