TS異世界転移したので最強無双ダウナーお姉さんごっこをします 作:ゆきゆき(ダウナーお姉さん(本物))
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Ep.30 Death Means Nothing.
「あの日、エル君はどこかへ消えた……」
私は
彼は私の……あまり言いたくはないが、私たち全員の希望だった。
きっと他の奴らもそう思っているはずだ。
「……おい天笠、時間だ。早く会議室に」
「分かってるってば」
チッ……うるせぇなこのメス野郎が……
彼は
彼の一番の特徴といえば……やはり顔だろう。もうほとんど美少女といって差し支えない。
が、その中身は普通に男だ。私は嫌いだね、特にいっつもエル君の近くにいるところとか。
◇◇◇
「全員集まったか?」
「瑠璃坂以外な」
「そうか。では定例会議を始める」
「あのさぁ、今こんなことやってる場合じゃないよね?」
「そうだね、僕もそれに賛成だ」
「悪りぃな佐伯。俺たちゃ意外と冷静になれないっぽいわ」
周囲の人間たちが揃いも揃って口出しする。
そうだ。私も納得できない。彼が死んだなんてあり得ない。そんなわけが無い。死んでいるはずがない。
「黙れゴミ共。まずは私の話を聞き、そして質問や反論がある時は挙手してからだ。いつも言っているだろう? もう忘れたのか?」
「殺されたいのかな?」
私は
冷静じゃないのは分かっていた。だが体は勝手に動いていた。
「やめてくれみんな。仲間割れは御法度だ」
「ボブ、黙れ」
「黙っていろ」
「いやぁ、ちょっと黙れないね……一旦頭冷やしなよ。佐伯も。君は冷静そうに振る舞っちゃいるけど、いつもならこんな硬くないよね。余裕無いの見え見えだよ」
そうだった。苦しいのはあのメス野郎も同じだった。
そう思えば怒りも少しは退いていった。
「……あいつは死んだ」
「死んでない!!!」
「あぁ、それはキヤに賛成。まだ証拠は無いし」
「違う……違うんだ、ボブ……」
珍しく、佐伯が泣きそうな顔で呟いた。
「私と彼は、2人でとある物を調べていた……」
は? 何エルくんと2人でやっちゃってんの? 死ねよクソが。彼は私のだぞ。
「ま、まぁまぁ待て天笠。ほら、ね?」
「殺す……!」
「やめろ、キヤ」
陰湿女が私を引き止める。離せよ。
「今はまず、聞くべきだ」
「…………」
「後から何度でも殴ってやれ。だけど今は我慢だ、分かる?」
「…………分かった」
怒りは収まらない。でもこれをどこへ向ければいいんだろう?
私はぐるぐると頭の中を駆け巡る怒りを一度放置して、目の前の男の言葉を聞くことにした。
「私たちが調べていた物……それは魔法とも、科学とも関係が無い『何か』だった」
「あ? どういうことだ。もうちょっと具体的に教えろ」
「あまり具体的な事は分からない。もう少し正確に話すなら……『私たちを滅ぼそうとする悪意を持つ何か』だ」
「……それを全員で解決するための秘密結社だろうが。なんで2人で黙ってた?」
「最初はあいつ1人で調べていたんだ。私は偶然それを見かけただけに過ぎない」
話が頭に入らない。何を言っているのか分からない。
「それで? その『何か』が今回の件とどう関係するんだ?」
「あいつは……その『何か』について、私が知る前からずっと調べていたんだ。数年単位で、だ」
「なんでエルは黙ってたんだ」
「巻き込みたくないってだけだろうな……あいつが私たちに振ってくるのは簡単な物か、楽しい物だけだ」
「僕たちはごっこ遊びしかしてなかったと?」
「そもそも全員そうだろ? 私もそうだったさ」
いいや、遊びなんかじゃない。エル君は……エル君は……
「あいつは……それを『
「それが彼の行方不明と……どう関係するのかな」
「あいつは言っていた。『このままじゃ全部終わりだ』『みんな死ぬ』『どうしようもない』と」
「あいつに不可能とかあるのか?」
「無い。私もそう思っていた……が、どうやら本人にとっては違うらしい」
ふざけるな。彼は誰よりも自由だった。不可能なんてあるはずがない。
私は怒りの言葉を口にしようとして……
ふと、部屋の隅で何かが動いた気がした。
「あでっ」
「誰だ」
私は手を音のした方向に向ける。そこに居たのは……メイド服を着た黒髪の少女だった。
……誰だ?
◇◇◇
「ぐえー、助けてください!! 命だけはぁ!!」
「なんだコイツ……」
「ここに侵入できるとかどうなってんだ……?」
彼女は命乞いをしていた。
こんなの聞いてない、メイは心の中でそう叫ぶ。まるで騙されて逮捕された人間のように。
「まず聞こう。お前は何の目的でここに来た?」
茶髪の細い
メイは驚愕した。こんな美少女が銃を突きつけられていい訳がない。
「クソご主人様と再会するためです!!」
「その『クソご主人様』ってのは誰だ?」
「
「……詳しく話を聞こう」
何故かはよく分からないが、銃は下ろされた。
メイは安堵と同時に思った。
この
◇◇◇
「……どう、思う?」
「いやぁ……まぁ、彼女自身については信用できると言えば出来るけど。これは流石にちょっと、怪しすぎる気が……」
メイのスマホに表示された『【超簡単!】彼に会うための三つのステップ【信じる者は救われる】』という文を見て、ボブがそう呟いた。
メイは何が怪しいのかよく分かっていない。
「だが、現段階じゃ手がかりはこれしか……そっちでも探しはしたのか?」
「もちろんです。何日も探し回って、警察の方の手も借りて……でもダメでした」
「最後に何か言ってなかったか?」
「最後に……?」
メイは思案する。あまりにも突然だったから、あの前日の記憶はあまり残っていない。
確か……
「『おやすみ』って言われました」
「こういう場面でヒントが出てくるのは架空の物語だけか……」
「いや、もしかしたら何か裏があるかも」
「ボブ、そんなネットのよく分からん考察者みたいな真似はやめろ」
「お、おやすみ……!? わ、私も言われたことないのに……ッ!!」
「天笠、ちょっと落ち着け」
ギリギリと歯軋りをする天笠キヤ。それを見たメイはニコニコと笑みを浮かべた。
もちろんわざとである。
「そうだ、一つ聞きたい」
「なんですか?」
「助けるためってのは分かった。それはそれとして、ここに来た目的は? 『指示』と言い換えてもいい」
少し前、メイは既にこの場所へとやってきていた。そこで謎のパソコンからデータを保存し、主のアドレスへと送信……
それから数日して、彼女の元にまたファイルが送られてきたのだ。
今度はそれを例のパソコンへ転送する、その予定だった。
あとついでにその部屋にあるはずのライトノベルの回収もお願いされていたが、そっちは黙った。
「これを……あれっ?」
保存したメモリをポケットから取り出した。
しかし、それは色が虹色に変化していた。
「……ッ!?」
それを見た佐伯が、ひったくるようにそれを奪い取り……メイにとっては未知の『魔法』によって、それを破壊した。
「あぁっ!? 何してくれちゃってるんですか!?」
「……いや、すまない。アレは元からああだったか?」
「あんなゲーミングパソコンみたいに光るメモリがある訳ないでしょ」
「そうか……いや、分かった。ありがとう。お陰で一つ分かったことがある」
佐伯がメイへと向き直る。そして数瞬の沈黙の後、口を開いた。
「今のCOTOCはお前を狙っているぞ、
NEXT——————>Chapter 4:原初の魔女と希望の吟遊詩人
メイちゃんのアホの子度数が急上昇中!!
また隠されている。上だ。上に何かがあるはずだ。
彼の、本当の始まりを見せてやる。
永劫に続く螺旋、かつての最下層でそれは始まった。