TS異世界転移したので最強無双ダウナーお姉さんごっこをします   作:ゆきゆき(ダウナーお姉さん(本物))

30 / 30
/* プロットメモリー【———で———に目覚めたので———作って———に———しようと思います】のデータを読み込み中…… */
/* エピソードファイル件数:1669件 */
/* 1件のキャラクターファイルが欠損しています。*/
/* 同時にファイル【WorldIsMine_Eru_1】を書き込み中…… */


/* Chapter 3 Side B */
Ep.30 Death Means Nothing.


 

「あの日、エル君はどこかへ消えた……」

 

 私は天笠(あまがさ)キヤ。彼に魅せられた人間の1人である。

 彼は私の……あまり言いたくはないが、私たち全員の希望だった。

 きっと他の奴らもそう思っているはずだ。

 

 

「……おい天笠、時間だ。早く会議室に」

「分かってるってば」

 

 チッ……うるせぇなこのメス野郎が……

 

 彼は佐伯(さえき)という男だ。大体みんな苗字で呼んでいる為、誰も下の名前を知らない。

 彼の一番の特徴といえば……やはり顔だろう。もうほとんど美少女といって差し支えない。

 が、その中身は普通に男だ。私は嫌いだね、特にいっつもエル君の近くにいるところとか。

 

 

 

◇◇◇

 

 

「全員集まったか?」

「瑠璃坂以外な」

「そうか。では定例会議を始める」

「あのさぁ、今こんなことやってる場合じゃないよね?」

「そうだね、僕もそれに賛成だ」

「悪りぃな佐伯。俺たちゃ意外と冷静になれないっぽいわ」

 

 周囲の人間たちが揃いも揃って口出しする。

 そうだ。私も納得できない。彼が死んだなんてあり得ない。そんなわけが無い。死んでいるはずがない。

 

 

「黙れゴミ共。まずは私の話を聞き、そして質問や反論がある時は挙手してからだ。いつも言っているだろう? もう忘れたのか?」

「殺されたいのかな?」

 

 私は魔法陣(・・・)の演算を開始し、手を奴の方へ向ける。

 冷静じゃないのは分かっていた。だが体は勝手に動いていた。

 

 

「やめてくれみんな。仲間割れは御法度だ」

「ボブ、黙れ」

「黙っていろ」

「いやぁ、ちょっと黙れないね……一旦頭冷やしなよ。佐伯も。君は冷静そうに振る舞っちゃいるけど、いつもならこんな硬くないよね。余裕無いの見え見えだよ」

 

 そうだった。苦しいのはあのメス野郎も同じだった。

 そう思えば怒りも少しは退いていった。

 

 

「……あいつは死んだ」

「死んでない!!!」

「あぁ、それはキヤに賛成。まだ証拠は無いし」

「違う……違うんだ、ボブ……」

 

 珍しく、佐伯が泣きそうな顔で呟いた。

 

 

「私と彼は、2人でとある物を調べていた……」

 

 は? 何エルくんと2人でやっちゃってんの? 死ねよクソが。彼は私のだぞ。

 

 

「ま、まぁまぁ待て天笠。ほら、ね?」

「殺す……!」

「やめろ、キヤ」

 

 陰湿女が私を引き止める。離せよ。

 

 

「今はまず、聞くべきだ」

「…………」

「後から何度でも殴ってやれ。だけど今は我慢だ、分かる?」

「…………分かった」

 

 怒りは収まらない。でもこれをどこへ向ければいいんだろう?

 私はぐるぐると頭の中を駆け巡る怒りを一度放置して、目の前の男の言葉を聞くことにした。

 

 

「私たちが調べていた物……それは魔法とも、科学とも関係が無い『何か』だった」

「あ? どういうことだ。もうちょっと具体的に教えろ」

「あまり具体的な事は分からない。もう少し正確に話すなら……『私たちを滅ぼそうとする悪意を持つ何か』だ」

「……それを全員で解決するための秘密結社だろうが。なんで2人で黙ってた?」

「最初はあいつ1人で調べていたんだ。私は偶然それを見かけただけに過ぎない」

 

 話が頭に入らない。何を言っているのか分からない。

 

 

「それで? その『何か』が今回の件とどう関係するんだ?」

「あいつは……その『何か』について、私が知る前からずっと調べていたんだ。数年単位で、だ」

「なんでエルは黙ってたんだ」

「巻き込みたくないってだけだろうな……あいつが私たちに振ってくるのは簡単な物か、楽しい物だけだ」

「僕たちはごっこ遊びしかしてなかったと?」

「そもそも全員そうだろ? 私もそうだったさ」

 

 いいや、遊びなんかじゃない。エル君は……エル君は……

 

 

 

「あいつは……それを『COTOC(コトック)』と呼んでいた。おそらく私よりも深い部分まで知っている」

「それが彼の行方不明と……どう関係するのかな」

「あいつは言っていた。『このままじゃ全部終わりだ』『みんな死ぬ』『どうしようもない』と」

「あいつに不可能とかあるのか?」

「無い。私もそう思っていた……が、どうやら本人にとっては違うらしい」

 

 ふざけるな。彼は誰よりも自由だった。不可能なんてあるはずがない。

 私は怒りの言葉を口にしようとして……

 

 ふと、部屋の隅で何かが動いた気がした。

 

 

「あでっ」

「誰だ」

 

 私は手を音のした方向に向ける。そこに居たのは……メイド服を着た黒髪の少女だった。

 

 ……誰だ?

 

 

 

◇◇◇

 

 

「ぐえー、助けてください!! 命だけはぁ!!」

「なんだコイツ……」

「ここに侵入できるとかどうなってんだ……?」

 

 彼女は命乞いをしていた。

 こんなの聞いてない、メイは心の中でそう叫ぶ。まるで騙されて逮捕された人間のように。

 

 

「まず聞こう。お前は何の目的でここに来た?」

 

 茶髪の細い女(※男)がメイに向けて銃を突きつける。

 メイは驚愕した。こんな美少女が銃を突きつけられていい訳がない。

 

 

「クソご主人様と再会するためです!!」

「その『クソご主人様』ってのは誰だ?」

「嶺亜(れいあ) 得(エル)です!!」

「……詳しく話を聞こう」

 

 何故かはよく分からないが、銃は下ろされた。

 メイは安堵と同時に思った。

 

 この女(※男)絶対後で痛い目に合わせてやる……と。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

「……どう、思う?」

「いやぁ……まぁ、彼女自身については信用できると言えば出来るけど。これは流石にちょっと、怪しすぎる気が……」

 

 メイのスマホに表示された『【超簡単!】彼に会うための三つのステップ【信じる者は救われる】』という文を見て、ボブがそう呟いた。

 

 メイは何が怪しいのかよく分かっていない。

 

 

「だが、現段階じゃ手がかりはこれしか……そっちでも探しはしたのか?」

「もちろんです。何日も探し回って、警察の方の手も借りて……でもダメでした」

「最後に何か言ってなかったか?」

「最後に……?」

 

 メイは思案する。あまりにも突然だったから、あの前日の記憶はあまり残っていない。

 確か……

 

 

「『おやすみ』って言われました」

「こういう場面でヒントが出てくるのは架空の物語だけか……」

「いや、もしかしたら何か裏があるかも」

「ボブ、そんなネットのよく分からん考察者みたいな真似はやめろ」

「お、おやすみ……!? わ、私も言われたことないのに……ッ!!」

「天笠、ちょっと落ち着け」

 

 ギリギリと歯軋りをする天笠キヤ。それを見たメイはニコニコと笑みを浮かべた。

 もちろんわざとである。

 

 

「そうだ、一つ聞きたい」

「なんですか?」

「助けるためってのは分かった。それはそれとして、ここに来た目的は? 『指示』と言い換えてもいい」

 

 少し前、メイは既にこの場所へとやってきていた。そこで謎のパソコンからデータを保存し、主のアドレスへと送信……

 それから数日して、彼女の元にまたファイルが送られてきたのだ。

 

 今度はそれを例のパソコンへ転送する、その予定だった。

 あとついでにその部屋にあるはずのライトノベルの回収もお願いされていたが、そっちは黙った。

 

 

「これを……あれっ?」

 

 保存したメモリをポケットから取り出した。

 しかし、それは色が虹色に変化していた。

 

 

「……ッ!?」

 

 それを見た佐伯が、ひったくるようにそれを奪い取り……メイにとっては未知の『魔法』によって、それを破壊した。

 

 

「あぁっ!? 何してくれちゃってるんですか!?」

「……いや、すまない。アレは元からああだったか?」

「あんなゲーミングパソコンみたいに光るメモリがある訳ないでしょ」

「そうか……いや、分かった。ありがとう。お陰で一つ分かったことがある」

 

 佐伯がメイへと向き直る。そして数瞬の沈黙の後、口を開いた。

 

 

「今のCOTOCはお前を狙っているぞ、羽鳴(はなき)メイ」

 

 




NEXT——————>Chapter 4:原初の魔女と希望の吟遊詩人

メイちゃんのアホの子度数が急上昇中!!

また隠されている。上だ。上に何かがあるはずだ。
彼の、本当の始まりを見せてやる。

永劫に続く螺旋、かつての最下層でそれは始まった。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

TS転生したら変身ヒーローだったけど、魔法少女がやりたい!(作者:魔法少女マジデ☆ドコダ)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

百日紅凛は転生者。魔法少女がいる世界にTS転生してしまう。▼女の子になったのなら、魔法少女をやってみたい。▼そう思っていたのに、凛に与えられたのは変身ヒーローの力だった。▼でもさ、魔法少女やりたいよね!!▼そんなノリで魔法少女ごっこをしながら、変身ヒーローの後輩の少年とか新人魔法少女とかを振り回していく、記憶喪失系TS転生変身ヒーローちゃんの話。▼ついでに、…


総合評価:1054/評価:8.53/連載:22話/更新日時:2026年10月23日(金) 07:05 小説情報

儚い系うすほそエルフになったので自由を謳歌する(作者:うすほそ~(挨拶))(オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル)

人生に疲れていた社畜は、気がつけば異世界で儚い系うすほそエルフとなっていた。▼当然チートも持っている。▼ちょっと儚すぎること以外、何一つ不満のない状況を手に入れたのだ。▼これからは自由に生きていい、そんな幸福感に満ちながらうすほそエルフ”リリア”の新たな人生は始まった。▼しかし儚すぎる見た目のせいで、生き急いでいるようにしか見えないうすほそは、周囲に多大な心…


総合評価:1564/評価:8.5/連載:5話/更新日時:2026年08月30日(日) 12:35 小説情報

意味深に助言を送る見た目だけミステリアス女、弟子が大成して大汗をかく(作者:ミスジョ)(オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル)

ミルシアは見た目だけミステリアスなうすほそ銀髪TS転生者である。▼如何にも神秘的な見た目から繰り出されるのは、酒とギャンブルが大好きなだらしない姿。▼しかも、初めて出会った若人を勝手に弟子と呼び、意味深な助言を送るのが趣味だった。▼周囲からは見た目だけ残念女と呼ばれ、本人もそれを自認していたが――ある時、彼女の弟子が世界を救って英雄になってしまう。▼そして堂…


総合評価:1416/評価:8.25/連載:5話/更新日時:2026年09月10日(木) 17:03 小説情報

主人公に全てを託して死ぬタイプのヒロインにTS転生したっぽいし、きっちり役割を果たすぞ!(作者:匿名退場予定)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

いい感じのところで主人公に未来を託して死ぬヒロインにTSしちゃった▼でも、原作再現とかできるなら楽しくね?▼だから死ぬまでの余生を楽しむぞ!▼……なんかいきなり主人公くんと仲がいい状態から物語がスタートしちゃったけど、まあいっか▼そんな話


総合評価:1801/評価:8.66/連載:19話/更新日時:2026年10月24日(土) 09:03 小説情報

理想のラスボス系うすほそになったので、完璧を求めて暗躍していたら悪が蹂躙されていた(作者:ほそラス)(オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル)

ラスボス系ヒロインが好きなオタクが、ある時理想のラスボス系うすほそになった。▼ただ見た目は理想でも、中身はまだまだ完璧じゃないし、本人はアホだ。▼結果、ラスボスっぽい力を求めて彼女は暗躍することとなった。▼しかしその過程で、助けた少女に心酔されたり、裏側に潜む闇を無自覚に暴くから世界はさぁ大変。▼そして等の本人は、周囲を気にせず仲間にはポンコツを晒しながら、…


総合評価:3070/評価:8.78/連載:4話/更新日時:2026年10月10日(土) 00:05 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>