TS異世界転移したので最強無双ダウナーお姉さんごっこをします   作:ゆきゆき(ダウナーお姉さん(本物))

31 / 31
Chapter 4:原初の魔女と希望の吟遊詩人
Ep.31 双子、海底、融和


 

◇地下20階

 

 

「おっ、“宝箱”じゃん。ボク好きなんだよね“宝箱”」

『これは……なんだ、どういう仕組みなんだ?』

 

 このダンジョンで敵を倒すと、まれにこういった宝箱が出てくる。

 なんかリアリティラインが変な気もするんだが、中にはいい感じの魔導具が入っているので無視はできない。

 

 

「竪琴だ!!!」

『同じのは3個も要らないだろう』

「これだから素人は……」

『3個もどうやって同時に使うんだ?』

「こう」

 

 ボクは風魔法によって浮かせた竪琴を風魔法によって演奏した。

 風魔法って便利だね。

 

 

『頭の中がうるさい。やめてくれ……しかし前から思っていたんだが、キミは少し魔法の使い方がなっていないね』

「エ〜?」

 

 ボクは天才のはずだが……?

 

 

『なんというかな……自らの力を押さえつけているように見える。本当はもっと……』

「おっと、話の途中だけど敵が来たよ」

『……そういえば、キミはどうやってこの世界に来た? その辺りの記憶は私の方にも残っていないが』

「分からないんだよねぇ。多分転移だとは思うんだけど……てか今聞く?」

 

 ボクは適当に魔物を蹴り飛ばしながらそう答える。パーティプレイしようよ〜〜〜

 

 

『分からない?』

「うん。ダウナーお姉さんが出てくる小説呼んでたとは思うんだけど……そこからこっちに来るまでの記憶がちょっと欠けてるのかな?」

 

 ここは本当に謎だが……まァ過去を考えても仕方ない。ダウナーお姉さんとは過去に囚われず前に進む、誰よりも自由な存在なのだ。

 ボクはダウナーお姉さんなので過去には囚われない。

 

 

『一般的な定義というものを調べた方がいいね。それはそうと階段だ、降りるかい?』

「もちろん。こういうのは早く下に降りて良いお宝を手に入れた方が結果的に効率がいいのさ」

『ゲームじゃないんだぞ』

「ていうか全然人いなくなーい? ボクの演奏聞いてくれる人たちはー?」

『一般的には20階の時点でかなり下層だ。ここより下に人はまぁ居ないだろう……というワケでお前たち、出てきても大丈夫だよ』

 

 ぬっ、と箱から悪魔と魔族2が現れる。ボクの許可出てないんですけお!

 

 

『最近暴れ足りてないですからね……少し憂さ晴らしといきましょう』

「キミそんなキャラだったっけ?」

『俺はあなたの指示に従います。戻れと言われれば戻りますが……』

「キミはもうちょい自我出して」

 

 悪魔ちゃんはボクの話も聞かずに勝手に魔物を狩り始めた。

 ……実に悪魔っぽいやり方だ。魔族2くんはあんなのになっちゃあいけないよ。キミは天使系ダウナーお姉さんになる予定なんだからね。

 

 

『天使系ダウナーお姉さんって何?』

「これだから偽物の魔女は……本物だったら理解してただろうね」

『99%の確率で本物なのに……』

「そこは言い切ろうよ」

 

 

 

◇地下40階

 

 そういえば、まだボクがS級冒険者になったことはあんまり広まっていないらしい。なんか正式公表はまだなんだと。

 遅くねー? まぁこのダンジョンから戻ったら公表されてたりするのかな。

 

 

「広すぎるから攻略までどのくらい掛かるのか分からないけど、ねっ!」

 

 ぐしゃり。

 うへぇ……嫌な感触だ。スライムなんか蹴り飛ばすんじゃなかった。

 

 

『食糧に関しては問題ないよ。何故なら私が買い込んで例の魔王部屋にしまい込んでいるからね』

「反省が活きてるね」

『反省すべきはキミだろ。朧げに覚えてるぞ、あの間抜けな行動は……』

「失敗は成功の元って言うじゃん?」

 

 天才の理論ってやつだ。それを利用しているということはつまりボクも天才ってことである。

 

 

 

◇地下60階

 

 

「ダウナーお姉さんズ・ミュージカルだぜ」

 

 ボクたちは全員で竪琴を持ち、敵の前で演奏を開始する。

 魔族2くんの分の楽器は無いので、適当にそれっぽい棒を持たせておいた。

 

 

『これ意外と楽しいねぇ!!』

 

 ぽろんぽろんぽろんっ!!

 

 ゼナがめっっっちゃ下手な演奏を繰り出す。正直に言って、別に演奏の上手い上手くないは相手に与える魔法の効果となんの相関もない。

 むしろ、うるさいから気分を害する能力は高い。

 

 

『キェェェェーーーッ!?!?』

 

 この階層のボスであるメデューサっぽい魔物がどたんばたんと暴れ散らかし床が揺れる。

 やがて、数秒と経たずに敵の動きは止まった。

 

 

『……中々楽しいですね』

 

 悪魔くんもそう思うかい?

 ならばキミも吟遊詩人系ダウナーお姉さんへの一歩を踏み出したってことだ。

 千里の道も一歩からという。少しづつダウナーお姉さんへの道を進んでいけばいいのだ。

 ほら、ソシャゲでも初心者ミッションからスタートするだろ? ってことはある程度進んだらいい報酬を渡さなければならない。

 それは面倒かもしれん……

 

 

 

 

◇地下80階

 

 

「しかし暗いなぁ」

 

 ボクたちは手元に火種を浮かばせながらダンジョンを進んでいた。

 ここら辺になってくると敵も結構強い。どれくらい強いかというと悪魔ちゃんや魔族2くんがまぁまぁ苦戦する程度である。全然分かんないかも。

 

 

『あの魔物はどうやら次元的に上に存在している。物理的にどうにかするなら適応した攻撃でなければならない。いけるかい?』

「ちょっと待ってね……あー、オッケー」

 

 ここまでの攻略によって魔法についての理解も深まってきた。

 分かったことはひとつ。思ったよりなんでも出来る。あと理論なんか考えるよりやりたい事をイメージする方がいい。

 

 魔力弾が衝突したスライム状の魔物がねっちょりと弾け飛ぶ。なんだこの音?

 

 

「テンプレファンタジーダンジョンっていうには……少々敵のレベルデザインが挑戦的だね」

 

 なんだよ位相の違う敵って。まともな手段じゃ勝てねーってこれ。転生(ゲーム的な意味)システムある前提だろこんなん。

 

 

『足切り、と見た方がいいだろう。最下層にはとんでもない物が眠っているかもね』

「これより強いってなるとどうなるのやら……」

『それこそ、キミが言っていた概念系の存在じゃないのかな?』

「おー、こわ」

 

 

 

◇地下99階

 

 

「……ここまで何日かかったっけ?」

『ふむ……えーっと……大体2週間といったところかな』

「結構長かったねぇ」

『最後の方は寄り道も多かった。時間もかかるさ』

 

 ゼナがどこからか取り出した椅子に座りながらそう呟く。その椅子ボクにもください。

 

 

『しかし、この寝る前の時間というのは非常にヒマだ。エル、何か演奏してみてくれないか? そうだな……“湖の双子”をお願いしたい』

「なにそれ」

『そうだった、キミは吟遊詩人なのにメジャーな曲を知らないんだった……仕方ない。私が教えてあげよう』

 

 ボクの持つ竪琴をひったくり、ゼナがびびんばろんと演奏を開始する。どうやってその音出したの?

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

『……最後に、双子の兄は決断しました。自らの命を片割れへと受け渡し……湖の底から地上へと戻るだけの力を与えたのです』

「……」

『片割れは泣き、そして悲しみました。ですが時間はありませんでした。1人となった双子は地上へ出る事を決断し……っと、ここからは大体演奏者によって結末が変わる』

「えー」

『えーじゃなくて、そういうものだよ』

 

 ボクが考えて喋らなきゃいけないワケ? 吟遊詩人って大変な職業だなぁ……いや、まぁボクはベテランの吟遊詩人ダウナーお姉さんだけどさ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

TS転生したら変身ヒーローだったけど、魔法少女がやりたい!(作者:魔法少女マジデ☆ドコダ)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

百日紅凛は転生者。魔法少女がいる世界にTS転生してしまう。▼女の子になったのなら、魔法少女をやってみたい。▼そう思っていたのに、凛に与えられたのは変身ヒーローの力だった。▼でもさ、魔法少女やりたいよね!!▼そんなノリで魔法少女ごっこをしながら、変身ヒーローの後輩の少年とか新人魔法少女とかを振り回していく、記憶喪失系TS転生変身ヒーローちゃんの話。▼ついでに、…


総合評価:1056/評価:8.53/連載:22話/更新日時:2026年10月23日(金) 07:05 小説情報

儚い系うすほそエルフになったので自由を謳歌する(作者:うすほそ~(挨拶))(オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル)

人生に疲れていた社畜は、気がつけば異世界で儚い系うすほそエルフとなっていた。▼当然チートも持っている。▼ちょっと儚すぎること以外、何一つ不満のない状況を手に入れたのだ。▼これからは自由に生きていい、そんな幸福感に満ちながらうすほそエルフ”リリア”の新たな人生は始まった。▼しかし儚すぎる見た目のせいで、生き急いでいるようにしか見えないうすほそは、周囲に多大な心…


総合評価:1572/評価:8.5/連載:5話/更新日時:2026年08月30日(日) 12:35 小説情報

意味深に助言を送る見た目だけミステリアス女、弟子が大成して大汗をかく(作者:ミスジョ)(オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル)

ミルシアは見た目だけミステリアスなうすほそ銀髪TS転生者である。▼如何にも神秘的な見た目から繰り出されるのは、酒とギャンブルが大好きなだらしない姿。▼しかも、初めて出会った若人を勝手に弟子と呼び、意味深な助言を送るのが趣味だった。▼周囲からは見た目だけ残念女と呼ばれ、本人もそれを自認していたが――ある時、彼女の弟子が世界を救って英雄になってしまう。▼そして堂…


総合評価:1419/評価:8.25/連載:5話/更新日時:2026年09月10日(木) 17:03 小説情報

主人公に全てを託して死ぬタイプのヒロインにTS転生したっぽいし、きっちり役割を果たすぞ!(作者:匿名退場予定)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

いい感じのところで主人公に未来を託して死ぬヒロインにTSしちゃった▼でも、原作再現とかできるなら楽しくね?▼だから死ぬまでの余生を楽しむぞ!▼……なんかいきなり主人公くんと仲がいい状態から物語がスタートしちゃったけど、まあいっか▼そんな話


総合評価:1830/評価:8.65/連載:19話/更新日時:2026年10月24日(土) 09:03 小説情報

ニチアサ魔法少女モノに転生したら性癖終わってる奴らしかいない件(作者:レイ)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

▼TSよわよわ魔法少女が歪んだ性癖持ちの味方魔法少女達から劣情を向けられまくるお話です。


総合評価:1380/評価:8.69/連載:8話/更新日時:2026年10月21日(水) 12:50 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>