第3話
さて、俺は鬱蒼と茂っている森の中で見つけた小さな川を下って行って辿り着いた大昔の日本にあった古い形状の橋へと辿り着き、そこで餓死していた女性の遺体から服を拝借したり。
そして、道中何も食べずに居たのもあって、俺は鬼の本能と空腹感から目の前にあった遺体を食べてしまって、人間的な理性からの嫌悪感と、鬼の本能的な幸福感と言う感情に戸惑いを抱く。
だけで、飢えて死ぬよりマシだと自身を言い聞かせるように納得させた、食べ残した遺体を地面に埋めて、墓石代わりに石を置いて埋葬したり。
そんで、目下の目的として、雨風を凌げる住処を見つけることと、ここが東方の世界だとしたら同じ鬼である伊吹萃香と星熊勇儀に出会う為に、京都の近くに存在する大江山へと向かうことにし。
そして古い形状の橋から続く道に沿って歩いているうちに偶然にも旅人に遭遇したので、俺はそいつに京都と方角…あぁ今の時代だと平安京だろうか、そこはここからどれくらい離れた場所にあって、どの方角なのかと話しかけた。
なのだが、声を掛けられた旅人は茨木華扇の容姿に一瞬頬を赤らめるのだが、すぐに頭の両側から生えてある角を気付いたのか、次第に表情を青くさせて行き、言うことを聞くので、喰わないでくださいと命乞いをされてしまった。
あぁやっぱり鬼って畏れられているんだなって、東方Projectの公式漫画や原作ゲーにて、東方における鬼とは人間や妖怪にまで畏れられている存在だと知ってはいた。
だが、鬼である茨木華扇に転生してから初めて出会った人間に、本気の命乞いされるまで、実感が沸かなかったので、正直に言って普通に驚いた。
(とはいえ、これはこれで都合が良いか、この怯えようなら俺の問いに素直に答えてくれそうだし)
と俺はこれは幸いと旅人に喰わないでやるから、問いに答えろと言ってみたところ、それはそれは饒舌に俺が知りたかったことを全て答えてくれった。
まず、今俺が居るここは、平安京から半日ほど東に歩いて向かった場所に位置していたのと。
そしてここ最近での平安京では、酒呑童子と名乗る強大な鬼が、数多くの鬼や物怪などを率いて、平安京の周辺一帯で巡り巡り暴れ巡っているそうだ。
(なるほど、既に伊吹萃香が酒呑童子として暴れている時期なのか、なら大江山に行けば会えるってことか、よし向かうか)
それと聞きたいことは全部教えてくれた旅人には、もう用はないのでどこへでも行けと、約束通りにそう告げて追い払うと、旅人は慌てた様子で全速力で俺から逃げて行った。
そして俺は教えられた方角にある平安京へと向かって進み始める、幸いにも平安京の場所さえ分かれば、大江山までの道のりなど手に取るようにわかるからだ。
まぁそれもオカルト関連の趣味など、伝承語られていた場所などに詳しく記憶していたおかげであり、いやちゃんと地理まで学習していて良かった次第である。
そして俺は道に沿って歩いて行き、体感で半日ほどが経った頃に、昔の史料でしか現存していない平安時代の京都である平安京に辿り着き、まだ戦で燃える前の古き街並みは、興味深く遠目から確認し終えたら。
記憶にある平安京周辺の地理を思い出しつつ、大江山と言われる山へと向かって森の中へと入って行く。
当然この時代にまともに手入れされた道など無いので、ほぼ獣道状態の森中を鬼の身体能力と底知れぬ持久力で歩み続けて行き。
そして山道に通り掛かった辺りで、どこからか重く響くような獣の如き声が俺に話しかけてきた。
「おぉい、そこに居る桃色髪の鬼よ、見知らぬ奴だ、どこから来た鬼だぁ?」
「あぁあ?俺のことかって、でけえぇーなんだよぉ何だオメェ!?」
と重く響くような獣の如き声の主にどこの鬼だと問われたので、俺は何だよっと思いながら上へと向くと、そこには二階建ての家に匹敵する程に巨大な体格を有し、豪華に金箔で装飾された着物を崩して来ている獅子の如き大男が存在した。
そいつの見た目を詳しく語るとするならば、獅子の如き立て髪を有した大きな頭部に、大熊の如き鋭く恐れを感じるほどの眼つきに、口からはみ出るほどに長く鋭い歯茎を携え。
そして二階建ての家に匹敵する巨体は、金剛力士により強靭な筋肉を携えたような、人体離れした肉体美を備えており。
そして何よりも、額から鋭利に延びた大きな2本の角見て、間違いなく、伝承に語られる鬼そのものとも言える程の姿見た目をしてた。
「あぁ?我が誰だと、なるほど飛んだ世間知らずな鬼のようだな、ならば知るが良い、今の都である平安京にて最も畏れられる盗賊団の頭目を務める『酒呑童子』我のことであるぞぉ!!」
と獅子の如き大鬼な男は、何者かと言う問いに対して、世間知らずな鬼のようだなっと小馬鹿にしたような声でそう言いながらも、堂々とした立ち振る舞いにて、自身が『酒呑童子』であると名乗った。
(えぇーマジか伊吹萃香じゃないだと!?あれじゃあここって東方の世界じゃないってことになり、ただ俺は東方のキャラに転生しただけで、世界は全然関係ないところってこと?)
と俺は獅子の如き大鬼な男が酒呑童子だと知り、そこから連鎖的に思考が巡って行った結果、自身は茨木華扇として東方の世界に転生したのではなく。
ただ茨木華扇によく似た鬼に転生しただけで、自身がいるこの世界は東方とは関係ない世界なのではないかと思い至り、少し錯乱しかける。
だが、今目の前にいる獅子のごとき大鬼の男こと酒呑童子が居ることを思い出し、ギリギリのところで冷静に踏みとどまる。
そして今相手から名乗られたところであり、マナーとしてこちらも名乗り返さないと行けないのだが、何故か茨木華扇に転生してから自身の名前が霧掛かったように思い出せずに、どうするかと思考巡らせてから。
「お、俺の名は…茨木だぁ、茨木と言う、生まれて間もないただの鬼だぁ」
と俺はとりあえず茨木とそう酒呑童子に名乗った、何故そう名乗ったのかは、他にこの体に似合う名を思い付けなかったからである。
さて、茨木と名乗った俺に対して、酒呑童子は興味深そうに頭から足先までをじっくりと眺めながら、確かにまだ生まれたての鬼のようだなっと、ニヤリと笑みを浮かべた。
「さて、それでは茨木よ、生まれたばかりの幼い鬼であるお前には三つの選択しがある、まず我の傘下となるか、この山より大人しく去るか、それともここで我に挑んで、その短い生に終わりを迎えるか、好きに選ぶと良い」
と酒呑童子は俺に全身に重くのし掛かる程の威圧感を浴びせながら、自身の傘下になるか、この大江山より出て行くかぁ、それともここで死ぬかと言う選択を迫ってくる。
「…あぁどうせここ以外に行き当てなんて無いんだ、どうか俺を酒呑童子様の傘下に加えさせてくれ」
そして俺は本能から湧き出てくる命の危機感をひしひしと感じ取って、冷や汗を流しながら、酒呑童子の傘下に加えてくれと土下座までして逆にお願いしに行った。
何せ東方の世界ではないと知った今のなっては、どうにかこの酒呑童子の率いる盗賊団に加えてもらえないと、今後の生活が森の中で獣などを地道に狩りながら
洞穴で生活することになってしまう。
それをするくらいなら、人間を殺し喰らい奪い去る側である酒呑童子が率いる一派に加わった方が豊かに暮らせるはずである。
それが例えいずれ来るであろうその末路を知って居たとしても、未来の不安よりも今の安定が必要なのだ。
そんな土下座までして傘下に加えてくれと示した俺に対して、酒呑童子は少し戸惑い驚きを示すが、それでも自身の傘下に入る意思を示したことに機嫌を良くしたのか。
今後の働きにおける功績次第では、一派の幹部格にしてやるとそう言って酒呑童子率いる盗賊団が根城とする大江山へと向かい入れてくれたのであった。
と言ったところでここまでです。
とりあえず平安時代の京都である平安京の周辺に辿り着き、そこから大江山へと向かってる、伝承の酒呑童子に出会って部下にしてもらうまで書きました。
思ったより長くなって、酒呑童子が率いる盗賊団が壊滅するところまで書けませんでした。
次回で源頼光の四天王が登場して潰すし、その後に転生主も右腕を失う展開を迎えてから、平安導入編を終えて、現代本編まで行くつもりですので、もう少しお待ち頂けるとありがたいです。