第4話
さて、俺は大江山にて酒呑童子率いる盗賊団の傘下に加わったのだが、この一派に加わってから俺が最初に行ったことが、先に所属していた先輩方への挨拶周りだった。
これをやっているかどうかで、組織内での扱いが変わってくるぐらい重要なことだ、だって同じ新人でもきちんと挨拶してくれる奴方を親しみやすく交流関係を構築させやすい。
ここでカッコつけて尊大に振る舞いながら過ごしてみろ、すぐに一派内で嫌われ者と言う位置ついた場合、肝心な時に同僚から見捨てられたり、或いは隙を見て寝首を掻かれて殺されかねない。
だから俺は愛想よく同僚に接しながら大江山で過ごして行く、幸いにも茨木華扇に転生した俺の容姿も体格も恵まれている。
それを最大限に利用しながら愛想よく同僚に振るいつつ、力こそ正義な盗賊団に所属しているので、後から入って来た後輩の同僚に舐められて弄られる立場に陥らない為にも気を配った。
そして鬼の身体能力に頼り切らずに、生前に見聞きし学んだ格闘術を覚えているかぎり思い出しながら、反射的に技を繰り出せるように鍛練にも励み。
そしてせっかく茨木華扇の似姿に転生したのだから、原作技再現する為に、魑魅魍魎が備える妖力を用いた妖術に詳しい先輩方に教えをこいて勉強したりと、一生懸命強くなることに努力した。
こう堅実に知識を学び、身体を鍛えて努力することを不撓不屈とか初志貫徹と言うのだっただろうか、あんまりこう言う文学的な言い回しは苦手だったので、意味が合っているのかどうかは、分からないが。
まぁとにかく、俺はそんなこんなで、日々周りとの良好な交流を心得ながら、格闘術や妖術などへの修練も頑張って来たおかげなのか、酒呑童子が率いる盗賊団に入ったばかりの頃は、鬼の身体能力にかまけた素人と言う評価だった。
だが、日々俺は盗賊団の一員として、村々や都を襲撃して略奪などをして、常に実績と実力を積み重ねる続ける環境に居たことで、入ってから5年の月日が経った頃には盗賊団内でも酒呑童子に次ぐ実力者へと成長することが出来た。
そして、盗賊団内で起きた喧嘩騒ぎや揉め事の仲裁などやっていたら、今では同僚や部下から、何かあればすぐに茨木に頼ろうと言う感じとなり、皆から茨木の姉御と言われるようになってしまった。
何か東方原作の星熊勇儀みたいなポジションになってしまったなぁ、俺は茨木華扇なのに、しかも今着ている服装も、星熊勇儀が着ていた花魁服の赤バージョンだし。
まぁとにかくそんな感じで、酒呑童子が率いる盗賊団に入ってから過ごした日々は、かなり順風満帆に過ごしていた。
村々への略奪や裕福な貴族の屋敷への襲撃なども聞き齧った兵法を駆使して、烏合の衆だった魑魅魍魎の共を上手く連携させて行くごとに、獲得した戦利品は山のように積み重なって増える光景には、実に有意義だった。
そう何もかも上手くことが順調にこなしていたのだ、同僚や部下からは頼られるほどの人望を築けてしまったことで、次第に俺は油断と慢心に浸るようになってしまった。
だからこそ、俺はすっかりと忘れてしまって居たのである、如何にして酒呑童子が率いる盗賊団が壊滅したのかをだ。
ことが起きたのは、古びた着物を身に纏った旅商人が大江山にある拠点にやって来た時だった、妙に只者ではない雰囲気を漂って居たので、どうしたものかと俺は判断に迷って居た。
だが、旅商人の一行は献上品として美味い酒や金品類を持って来ていると語ったことで、機嫌を良くした首領である酒呑童子は、彼ら旅商人一行を客人としてもてなすとして、拠点にて盛大に宴会が開かれることとなった。
旅商人の一行には人間の血と酒を混ぜ合わせて作ったお手製の血酒を振る舞い、酒呑童子と俺や他の同僚や部下には、旅商人の一行が献上した酒や食べ物を振る舞い堪能した。
そして不思議なことに、俺も酒呑童子も他の同僚や部下までも妙な眠気に誘われるままに、深く寝てしまったのだ。
そして酒呑童子の憎しみと怒りに満ちた大声が聞こえて目が覚めると、目の前で太刀を振り上げて今にも切り掛かろうとしている旅商人の一人が居たのだ。
俺は驚き声を上げて、咄嗟に避けようと身体を動かしたが、一歩間に合わずに自身の右腕を切り落とされると同時に、鬼としての力が急激に抑えられて行くような感覚に襲われる。
(ぐぅ腕がぁ、イッテェえぇ焼けたみたいに感じるし、何か力が上手く出せねぇ、一体何に切られたんだ!?)
と俺は一体何が起きているんだと困惑した表情を浮かべながら、自身の右腕を切り落とした相手が振るった太刀を凝視してみると、それは妖刀に匹敵する呪詛が込められた武器であることを見抜き。
そして先ほどから鬼の力を引き出そうとしても、従来の出力と比較して三分の一程度にしか引き出せないほど弱くなっており自身の右腕を切り落とした旅商人の一人を殺そうとするが、上手いこと攻撃を受け流されて苦戦する。
そうこう苦戦しているうちに同僚や仲間達は次々と旅商人一行によって倒されて行き、ついには旅商人のリーダー格によって首を切られた酒呑童子が、最後の力で相手を道連れにしてやろうと頭だけで動き相手へと食らいつく。
だが、旅商人のリーダー格が身につけて居た大鎧は、神仏の加護が宿った品だったようで、無念にも酒呑童子の最後の食らいつきは、光と共に防がれたことで未遂へと終わり、恨み言を吐き散らしながら息絶えてしまい。
そして俺はここに来てようやく、この旅商人一行の正体が、源頼光と頼光四天王であることに気がつき、このまま戦い続けて居たら、俺までも討ち取られてしまうと判断し、ここからの脱出しようと試みることにした。
「これは不味ぃ!?酒呑童子がやられた、俺らにもう勝ち目がねぇ、生き残っているやつは好きに逃げろ、俺もすぐに逃げるからぁ!!」
と俺は未だ生き残っている同僚と部下へと向けて、酒呑童子が死んだから勝ち目がないと大声で告げてから、生き残っている奴は逃げて良いことも命令口調で伝えてから、俺は目の前の相手を蹴飛ばして距離を作ってから逃げ始める。
そしてまだ生き残って居た盗賊団の面々は俺が告げた命令によって次々と戦闘を放棄してすぐに一目散に逃げ始め、旅商人一行こと源頼光と頼光四天王一行は逃げて行く俺らの姿に、焦った様子で追撃してくる。
だが、用心の為に身につけて居た大鎧のせいで、追う速度は遅くなっていることによって、俺を含めた多数の盗賊団の生き残りは次々と大江山の拠点から脱出して行き、そのまま夜の森の中へと潜みながら大江山の地から離れて行く。
こうして平安京を中心に暴れ回って居た酒呑童子率いる盗賊団は、源頼光と頼光四天王の毒酒と言う手段によって、首領である酒呑童子が討ち取られたことで、盗賊団はその勢力を分裂させて崩壊することとなった。
僅かに生き残った盗賊団の残党は再び合流して、このまま源頼光と頼光四天王に報復することに燃える居残り組と、そのまま地方へと脱出する逃走組へと別れて行き。
そして僅かに生き残った盗賊団の俺を含む幹部格は、激しい言い争いと対立の結果、各々個別で活動することなり。
そして俺は自身の慢心によって、失った右腕の代用となる腕を作り出す術を探しに、日ノ本各地を巡る旅へと赴くことにしたのであった。
と言ったところでここまでです。
とりあえず伝承通りに酒呑童子率いる盗賊団は壊滅となり、転生主こと茨木華扇も鬼としての力が三分の一となり、自身の右腕を失うと言うほぼ史実どうりの結末となりました。
次回で転生主が歩んだ現代までの経緯を語って、第1章の平安導入編を終わりにします。
それと三つほど転生主が進むルートアンケートを取るので、その結果次第では、名探偵コナンが始まる時の立ち位置が変わります。
転生主こと茨木華扇が歩むルートはどれが良いですか?
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毛利一家や工藤一家と関わる:探偵組ルート
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ルパン一味やキッドと関わる:怪盗組ルート
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公安や警察学校組と関わる:警察組ルート