MetalGear Aoharu revengeance 作:ダイトウカブト
「あとは...お前の、好きにしろ...」
1話 やめなって!殺人はキヴォトスでは恥ずかしいことなんだよ!
ゲヘナ自治区 路地裏
「ううむ......」
(ここは...路地裏か?)
(確か俺は、ヘリポートで雷電に斬られて...)
「走馬灯、にしては見覚えのない景色だな。」
自分の義体を見下ろし、水たまりに映る顔を確認する。
黒い装甲の合間から覗く
そして頭はツルッパゲ、額にバーコード、タレ目で、鼻と口が大きな中年白人男性だ。
「雷電と戦った姿のままか...」
彼は前世に
表向きは真っ当な会社だが、需要を確保するため地域紛争を激化させたり、人身売買で手に入れた人間を、自らの手駒のサイボーグ兵士に改造したりとやりたい放題。
挙げ句の果てには拉致した子供の脳を取り出し、おぞましい戦闘訓練の情報を直接刷り込もうとした。
そして、正義のサイボーグ侍「雷電」に成敗され、バラバラに切り刻まれた。
(まずは周囲の状況の確認を...)
スケバン「おい、そこのハゲ!」
振り返ると、黒いセーラー服姿の少女達が自分に銃を向けていた。
(ストリートチルドレンか...3人、前1人はレミントン、後方2人はAKとMP...)
「どうした?チョコレートならやらんぞ。」
小柄なスケバン「ちげーよ!ちょっと身ぐるみ剥がさせてもらおうと思ってなァ!」
恵体のスケバン「アタシら今金欠でね...つーわけで、オッさんの持ってる物をチョコの一欠片まで全部出して♡」
金髪スケバン「妙な動きしたら即、撃つ!口答えしても撃つ!さっさと地面に持ち物置け!」
隙を生じぬ二段構え、軍用オートマタでもこの状況を個人で打破するのは難しいだろう。
ただし、個々人の力量が同程度の場合なら。
金髪の頭を鷲掴みにし、地面に叩きつけ、めり込ませる。
恵体のスケバン「...え?」
小柄なスケバン「...は?」
2人はその動きを目で追うことすら出来なかった。
金髪のスケバンはヘイローを点滅させ、消える。
「硬いな。」
恵体のスケバン「ッ!」
切り替えが早かったのはアサルトライフルを持ったスケバン。滑らかな動作で銃口を向け、発砲。
彼女は元"風紀委員会"所属、戦闘訓練を受けていた。
「遅い!」
彼はさらに早く、背部の盾に取り付けられた鞘から二振りの両刃のマチェーテ"
胸は生徒の持つ不思議な力"神秘"によって切断されることはなく、軽い出血と気絶で済んだ。
が、銃身はトリガーの先から完全に切断されていた。
小柄なスケバン「ヒィッ!?」
サブマシンガン持ちのスケバンは戦意を喪失。即座に逃走する。
スケバン(直線的な地形、アイツは図体がデカい、身軽なアタイは逃げ切れる!)
「ぬんっ!」
男は弾丸のようなスピードで前方へ跳躍───逃げるスケバンの背に体当たりする。
「がっ...!?」
たまらず転倒するスケバン。
振り向くと、男は人斬り鋏の一方を右腕のアタッチメントに装着。ハサミのようなフォルムを形づくり、首を挟む。
「あぐぅッ!?」
刃に流された高周波と神秘の防護が拮抗し、不快な金属音を立てる。
「貴様がどこの刺客かは知らんが、一人は見せしめになってもらう。」
男はニタニタと笑いながら、ハサミを少しずつ狭めていく。
刃が首筋に食い込む。
高周波が柔肌を焼く。
血が滴る。
小柄なスケバンは、か細い声で鳴いた。
「だ、れか...」
BANG!!!
男の後方から狙撃銃が発砲され、反射的に背部の盾のアームが持ち上がり、爆発反応で銃弾をはじく。
人斬り鋏がスケバンを解放し、少女は地面にへたり込んだ。
「あ...」
男は笑みを消し、背後に立つ者の姿を捉える。
「誰だ!いい時に邪魔しやがって!!」
「ここキヴォトスでヘイローを壊すのは最大の禁忌よ、新顔さん。」
「...そして私たちは"便利屋68"。」
「法律と規則に縛られない、ハードボイルドなアウトローよ。」
ピンク色の紙の少女が、不敵な笑みで相対す。
(や、やっちゃったー!!!)
(殺人現場に居合わせたから思わず撃って止めようとしたけど、このヒト明らかにただものじゃないわよーっ!!!)
その心中は、白目を剥くかのごとく慌て散らかしていた。
(な、なんとか穏便に事を収めないと...)
「アル様の敵ですか!?殺しますか!?」
「やめなさいハルカ!!!...これ以上争う気は無いわ。」
「スケバンと言えども、その子たちの命を奪ったらキヴォトス中で指名手配される。一度冷静になってみなさい。」
紫髪の制服姿の少女が正面に躍り出て散弾銃を男に向け、それをアルと呼ばれた少女が制止する。
(ヘイロー、スケバン、キヴォトス...知らん単語が多すぎるな。この状況を理解しないまま動くのは得策ではないか...)
「便利屋68と言ったな。ならば、いくつか質問に答えてもらおう。」
「ここはどこだ?」
「ゲヘナ自治区、学園都市キヴォトスの一角よ。」
「こいつらは?」
「スケバン、まあチンピラみたいなもの。何らかの理由で学校に通えなくなった生徒たちが武装した不良集団ね。」
「なぜこいつらはこんなに硬い?強化装甲より硬いぞ。」
「生徒の持つヘイロー、頭の光輪の力よ。」
「......」
男は押し黙った。理解に時間がかかっている。
「その様子じゃ、"外"から来たみたいね。」
「外だと?」
「ええ。ヘイローが存在しない世界。ごく稀にいるそうよ、貴方みたいに外からやってきた人は。」
(まだ上手く飲み込めんが、これはVRではなく恐らく現実...ならば情報を引き出さなくては。)
「なるほど、便利屋68。このガキどもは見逃してやる。その代わり、もっとこの世界について教えろ。」
「いいわよ、取引成立ね。」
(ふぅー...よかったぁ〜。何とか山は乗り越えたわね。)
「おい、クソガキ!このことは口外するなよ...」
小柄なスケバン「ヒィッ!!も、もちろんです!失礼しました!!」
小柄なスケバンは仲間を引きづりながら逃げていった。
「「さて...」」
「私は便利屋68の社長、陸八魔アルよ。」
「俺のことは...サンダウナーと呼べ。」
サンダウナー
カリフォルニアで夕方から夜にかけて山から吹き下ろす熱風。
山火事を悪化させる要因として知られる。
スペイン語でサンタナ。