MetalGear Aoharu revengeance 作:ダイトウカブト
キヴォトス
ゲヘナ自治区
路地裏
黒いコートを着た大柄なハゲ頭が地面に倒れ込んでいた。
「...これは」
このハゲは現代の地球で傭兵や麻薬取引、人身売買などを手がけるグループを運営していた悪いサイボーグおじさんである。
アメリカのコロラド州にまでカチコミに来た正義のサイボーグサムライにみじん切りにされ、天誅されてしまったはずだが...
スケバン「おい、そこのハゲ!」
ハゲの後ろから3人のスケバンが銃口を向けて歩いてくる。
「アタシら今金欠でさぁ、ちょーっと身ぐるみ剥がさせてくれたら、痛い目に合わずに済むぜ?」
「コイツ、ヘイロー無いぜ。やり過ぎるなよ。」
「ほらほらオッサン!命惜しかったら財布とコート、身の回りのもの全部置いて!」
ハゲは立ち上がって振り返り、スケバンの姿と銃に目をやる。
(学生服の黄色人種の女子が銃で武装している...しかも頭に光輪がついてる!?
意味が分からんが...
まぁ、殺してから考えるか。)
「貴様らにやれるのはこれくらいしか無くてな。」
コートを素早く上に脱ぎ捨て、スケバン達の目線が一瞬上に逸れる。
先頭のスケバンの頭にパンチ、常人なら一撃で頭蓋骨を粉砕される威力。
スケバンは吹っ飛んで気絶し、残り二人が動揺する。
「おいっ、大丈夫か!?」
「オ、オートマタ!?」
あらわとなった義体は、CNT人工筋肉が覗く荒々しい機械の体。
背部から延びる六本のアームの先には赤い盾が取り付けられ、具足鎧の袖や草摺のようになっている。
「ほぉ、なかなか頑丈じゃないか。俺に殴られて肉の形を保っているとは。
楽しませてくれ...!」
腰部の盾の裏面に取り付けられた鞘から二本のマチェーテ「人斬り鋏(ブラッドラスト)」を抜く。
「泣き喚け!」
スケバンを何度も斬りつけ、切り傷をつくる度に鮮血が飛び散る。
「いぎゃああぁぁっ!!?」
痛みと出血でスケバンは気を失う。
「サイボーグ化してると思ったのだが、どうにも手応えが妙だな。」
「来るなぁぁぁっ!!」
残る一人がアサルトライフルをワンマガジンぶん乱射するも、ハゲは盾を展開。
爆発反応装甲が火を吹き、銃弾は全て吹き飛ばされる。
「あ、あああ、ああ...」
腰が抜けて動けなくなったスケバンにハゲは気味の悪い笑みを浮かべながら近づき、銃を踏みつけ砕く。
「その硬さはどういうカラクリか、もっと見せてくれ。」
左手に持っていたマチェーテを手首のアタッチメントに取り付け、ハサミのような形に。
大バサミでスケバンの首を挟んで切断しようとする。
「あぐぅぅっ!!??」
ギィィィィン!!!
スケバンの体を保護する神秘と高周波ブレードが拮抗して金属音を出すも、人斬り鋏が皮膚に少しづつ食い込んでいく。
「だ、れか...」
バキュゥン!!!
ハゲの後頭部に鋭い衝撃が走り、思わず飛び退く。
スケバンは腰を抜かしたまま動けない。
「お楽しみって時に!誰だ!」
「外から来た新顔の悪党ってところかしら...なら、先達として教えてあげる。」
「...私たちは"便利屋68"。」
「法律と規則に縛られない、ハードボイルドなアウトローよ。」
ピンク色の髪を胸まで伸ばした、黒い二本角の少女が狙撃銃を構え、不敵な笑みを浮かべながら名乗った。
(やっちゃったーっ!!)
(たまたま通りがかったら殺人しようとしてるから慌てて止めたけど、
明らかにあの人ただものじゃないわよ!)
しかし、心の中ではビビり散らかしていた。
アル「ここキヴォトスでは殺人は御法度...特に生徒相手はね。いくら停学中のスケバンとはいっても、殺したら治安維持組織が黙っていないし、華麗な手段とも言えないわ。」
「だからそれ以上はやめておきなさい。」
(おねがいどうか引いてくださいおねがい)
ハルカ「アル様の敵...!?殺しますか!?」
アル「待ちなさいハルカ。」
紫髪の少女が散弾銃を向けながらハゲと少女の間に割って入る。
ハゲの目に搭載された高性能レンズは、アルとハルカの瞳孔に写った便利屋メンバーの姿を捉えていた。
(後方20mと...屋上に一人ずついるな。)
(この二人もさっきのチンピラ同様硬いなら、手こずるかもしれん。装甲や爆薬を無駄に浪費するのは避けたい。)
(それに、状況が未だに飲み込めん...これ以上コトを大きくするのは避けたい。)
ハゲは人斬り鋏を鞘に収める。
アルの表情がほんの僅かに和らいだ。
「わかった、便利屋68。忠告に感謝しよう。
だがこのチンピラどもが俺のことを吹聴しては面倒だ、口止めの契約を結ぶくらいはさせてくれ。」
アル「ええ、それで...「待って」
ハゲの背後から、白黒ツートーンの髪の少女と、グレーの髪の小柄な少女が二人歩いてきた。
カヨコ「私たちにその契約の仲介をさせて。」
ムツキ「おじさまは風紀委員会やヴァルキューレに騒がれてでも、殺して口封じをしたいんでしょ?何かリターン要るよね〜。」
アル「カヨコ課長にムツキ室長...っ」
「ほう?コイツらにそこまで守る義理があるようには思えんが...」
カヨコ「見殺しにしたら目覚めが悪くなるってだけ。」
「私たちも貴方のことを口外しない、キヴォトスのルールも教えてあげる。」
(平和ボケした奴らだ...胡散臭いが、乗っても俺に損は無い。)
「いいだろう。おい、そこのチンピラ。」
スケバン「は、はい...」
「そこで延びてる二人にも言っておけ。
俺のことを言いふらしたら、わかっているな?」
スケバン「さ、サーセンでしたぁーっ!!もう二度と目の前に現れませんーっ!!!」
スケバンは気絶した二人の仲間を抱えてフラフラと逃げていった。
「さて、便利屋68。」
ハゲはコートを羽織り、アルたちに向き直る。
「俺のことはサンダウナーと呼べ。」
「情報共有としようじゃないか。」
サンダウナー
カリフォルニア州で夕方から夜にかけて山から吹き下ろす熱風。
山火事を悪化させる要因として知られる。
サンタナとも。