MetalGear Aoharu revengeance 作:ダイトウカブト
時系列はアビドス編開始の少し前
"高いビルだなぁ..."
先生はデスペラード本社ビルの前で、その高く聳え立つ摩天楼を見上げていた。
ビル自体は別会社の建物を買い取ったらしいが、企業して僅か数ヶ月で80階はあろうかという超高層ビルを購入することは前代未聞だ。
黒と赤、会社のロゴと同じカラーリングの兵士が先生に挨拶する。
黒いサイボーグ兵「お待ちしておりました、連邦捜査部シャーレの先生。社長は現在トレーニング中です。ご案内します。」
("それにしても...このロゴマーク、カッコいいけどどこか禍々しいよね...")
兵士の義体に刻まれたドクロのロゴを見ながらそう思った。
エントランスでは様々な客人たちが、
警備や護送の依頼のため、
それとも敵対組織制圧の依頼のため、
そして表立って言えない依頼のために受付に列を成していた。
その列を素通り、社員用エレベーターに乗る。
黒いサイボーグ兵「地上階では一般的な事務や接待など、つまらないことを行っております。ですが先生が見たいのは、そういったものではないでしょう。」
兵士が左手をスキャナーにかざすと、エレベーターが地下に向かって動き出した。
黒いサイボーグ兵「研究、開発、訓練...我が社の業務の根幹となる施設は、その殆どが地下にあります。
貴方がここを訪れる最初の客人ですよ。」
チン。
エレベーターの扉が開き、トレーニングルームへ案内される。
黒いサイボーグ兵「ふむ...折角ですから、社長の訓練を少し覗かれますか?」
"!...はい、お願いします。"
広大な空間にサンダウナー、装備は人斬り鋏...を模した鉄棒2本と背部の6枚の盾。
それを取り囲むのは、
量産型サイボーグ兵20人。
月光10機。
仔月光20機。
マスティフ6機。
ラプター8機。
スライダー8機。
ハンマーヘッド2機。
そして、まだ未公開の機体が2種。
3脚のアメンボのような姿のやや中型の無人機<ウォーターストライダー>が4機、
四足獣に似たフォルムの無人機<フェンリル>が、チェーンソー搭載型とレールガン搭載型を合わせて12機。
90対1。
"...流石に武器は本物じゃないか。"
黒いサイボーグ兵「いえ、社長の武器以外は全て実戦仕様です。本気でかからなければ訓練になりませんから。」
ハンマーヘッドのミサイルとフェンリルのレールガンが全方位からサンダウナーに放たれる。
サンダウナーは地面を蹴って風のように駆け出し、自身への被弾を最小限に抑える。
月光が力強い回し蹴りを繰り出すも身を捻って回避、軸足を鉄棒で叩いて転倒させる。
仔月光の飛びかかりを正確に打ち返し、マスティフの掴み攻撃はタックルではね飛ばす。
ラプターのEMPは周囲の敵を投げ当てて阻止し、ウォーターストライダーの火炎放射には軽快な足取りで回り込んで攻撃する。
フェンリルの振り回すチェーンソーとスライダーの突進、サイボーグ兵の山刀を鉄棒で凌ぎ、カウンターでぶっ飛ばす。
そして、それらの行為の中で絶え間なく襲い来る弾幕を、6枚の盾がそれぞれ稼働して正確に防御する。
先生たちは、その様子をガラスの向こうから眺めていた。
"すごい...敵の数がどんどん減っていくのに、サンダウナーさんは全然消耗してない。"
残敵20体。
ロケットエンジン「ブシュウーーッ!!」
ウォーターストライダーの突進をスライディングで回避し、下から突き返して横転させる。
黒いサイボーグ兵「ええ、社長は日々の訓練の中で進歩しておられます。フェンリルは今日が初投入ですが、上手く対処できています。」
残敵10体。
フェンリル「くうぅぅん...!」
首根っこを掴んで地面に叩きつける。
黒いサイボーグ兵「義体の細かな制御も非常に上達しました。」
残敵3体。
月光「モォォ!⁉︎」
月光の踵落としを片手で受け止め、空中のハンマーヘッドへぶん投げる。
一機は落ちたが、もう一機は健在。
ミサイルと機銃を乱射してきた。
「とうっ!」
飛来するミサイルを足場にしてハンマーヘッドに肉薄、鉄棒で叩き落とす。
アナウンス「訓練終了。お疲れ様でした。」
「やれやれ...フェンリルは攻撃された時の反応速度が若干遅い、AIの強化が必要だな。アメンボは速度は解決したが、小回りは相変わらずだな。」
"こんにちは、サンダウナーさん。"
「おお、シャーレの先生。待たせて悪かった。」
"いえ、良いものを見させてもらったので。"
研究エリア
黒いサイボーグ兵「ここでは、戦闘データを基にした機体の改良などが行われています。」
「今はラプターとフェンリルを改良中のようだな。おい、今は何処をいじってるんだ?」
研究員サイボーグ「ラプターのEMP拡散速度の上昇と、フェンリルの情報処理能力を上げるテストをしています。この2つは並行して進めるべきかと。」
「うむ、頑張れよ。」
"あの、サンダウナーさんって、キヴォトスによくいるオートマタじゃありませんよね?"
「サイボーグとオートマタは別の存在だな。
オートマタはキヴォトスにおいては大人の姿の一つにすぎないが、サイボーグは...先生のような普通の大人が改造手術を受けたものだな。」
"!?"
「ああ、安心しろ...本人の意思と合意の上だ。」
"...その人たちに他の選択肢はあったのかな?"
「...多くは負傷した兵士がなる。
足や腕を吹っ飛ばされては"普通"の仕事に就くのも難しい。
だが、サイボーグ化手術を受ければ解決する。その見返りに働いてもらっているに過ぎん。」
"キヴォトスに私のような人間は居ないけど、外からここに連れてきているの?"
「...ああ、主にアメリカ合衆国やメキシコという所で手術を行い、ここに連れてきている。
キヴォトスではサイボーグ化手術やリハビリのための専用設備が無いからな。」
"本日はありがとうございました。"
「ああ、我が社の力が借りたくなったら遠慮せず言うがいい。」
デスペラード本社 地下60階
「さて。」
「ホープ。」
『いつでも。』
「万魔殿の羽沼マコトへ秘密通信を行えるな?」
『今の性能なら容易く。』
『キキッ、珍しい...こんな挑戦的な初対面を行う者が現れるとは。』
「万魔殿の議長、羽沼マコト様。」
「あなたにとって悪い話ではない。一度話だけでも聞いてください。」
「エデン条約機構で発生しうるテロ行為...
万魔殿が何者かと結託していますよね?」
『ッ!?貴様...!どこでそれを!!?』
「通報など致しません。逆ですよ。」
『何...?』
「私どもに、貴女の偉大な野望の一助をさせていただきたいのです。」