ボイロ荘の百合コメ記録   作:涼川奈緒

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※東北ずん子が勝手に言ってるだけです


その9 東北家のずんだずんだ記録①

「おはよーみんな!」

 

 私は東北ずん子。東北家の次女。今日は休みだけど自堕落に過ごさず早起きしました。私ってば偉いなぁ。

 

「あ、おはようございますずんねえさま。今日は音街のところに遊びに行きますね」

 

「きりたんおはよう。もう家出るの?まだ早くない?」

 

「何言ってるんですか、もう10時ですよ」

 

 呆れた顔をするきりたんが時計を指差す。確かに言われた通り10時だった。どうやら私は早起きできていなかったらしい。

 

「暗くなる前には帰ってくるのよ」

 

「はい。では行ってきます」

 

 ガラガラと扉を閉め、鍵がかかる音がする。きりたんはあの年で防犯意識がしっかりしてるなぁ。

 

「イタコ姉さまは仕事だし……取り敢えず朝ごはん食べるかぁ」

 

 私は欠伸をしながら台所へと向かった。冷蔵庫を開けると、昨日の晩ご飯だった野菜炒めの残りがあった。このまま放置しても腐るだけだし、私が食べるしかないよね、うん。一応イタコ姉様には食べたよって連絡しとこっと。

 野菜炒めを手に取りレンチン。さすがにこれだけじゃ心許ないので床下から袋ラーメンを一袋取り出した。

 

「豚骨ラーメンだし野菜は直接乗せても合うよね?」

 

 お湯を沸かし、麺を茹で、粉末スープも投入して丼に移す。コショウやらニンニクやらを追加して、最後にレンチンし終わった野菜炒めをどんっ!と乗せる。

 

「私特製の野菜とんこつだー!」

 

 お腹が空いて待ち切れなかったので、お箸と一緒に急ぎ足で居間に持っていく。飲み物を忘れていたことに気付いて、一旦ラーメンと箸はちゃぶ台に置いてコップとお茶を取りに戻る。

 

「よし、改めて……いただきます!」

 

 野菜の山の合間から麺を救い出し、ズルズルと豪快に音を立てて啜る。ちぢれ麺にスープがよく絡んでいてとても美味しい。

 空腹も相まって無心で食べる。時折お茶で休憩しながら、10分も経たずに完食していた。

 

「ごちそうさまでした」

 

 良くないこととは理解しつつ、お皿を下げずにそのまま横になる。日差しで温められた畳と満腹のコンボで激しい眠気が私を襲ってきた。ここで寝たら夜寝れなくなるし、お皿放置でまたイタコ姉様に怒られてしまう……!でも、眠い……!

 

 

 

 気が付くと時刻は13時だった。寝起き直後に慌てて手に取ったスマホを置き、天井を眺める。

 

「2時間くらいしか経ってなくて良かった〜」

 

「あら、何がいいのかしら」

 

 聞き馴染みのある声がした。顔だけを右に向けると、眼前にめたんちゃんの顔があった。

 

「なんでいるの、めたんちゃん」

 

「ずん子の寝顔を見るために来たわ」

 

「そうじゃなくて、いやそれも気になるけど、どうやってここに来たの?」

 

「やだ、この前『いつでも来ていいよ』って言ってくれてたじゃない。だからこうやってここにいるのよ」

 

 理由とかじゃなくて物理的にどう侵入したのかを尋ねているけど、どうやら日本語が通じないみたいだ。私は諦めて「確かに言ったね、ごめんごめん」と気にしないことにした。 

 

「今日は他に用事でもあった?お泊まり?」

 

「そう何度もお世話になるわけにはいかないわ。今日は少し勉強を聞きに来たのよ」

 

「それくらいなら手伝うよ!じゃあ早速丼を片付けなきゃ……ってあれ?」

 

「それなら片しといたわ」

 

 不法侵入してお皿を洗う不審者という状況が脳裏をよぎったけどめたんちゃんは友達なので問題ないよね?

 

「珍しいわね、ずんだ餅以外を食べるなんて。風邪でも引いたのかしら……って言おうと思ったけど、引いてたら余計に食べるわね」

 

「健康診断近いから頑張って我慢してるんだ。今も禁断症状出てるけど」

 

 手の震えをめたんちゃんに見せると、信じられないものを見たと言わんばかりの顔をされた。ひどい!

 

「無理はしないでちょうだいね。ずん子に何かあったらわたくし、その……」

 

 すごく悲しそうな表情のめたんちゃん。私がずんだ不足で死んでしまった場面を思い浮かべているのだろう。

 

「心配してくれてありがとね!えへへ」

 

「べ、別にあんたなんか!って抱きつかないでよ!」

 

 めたんちゃんは声では言っていたけど、振りほどこうとする素振りはないしむしろ照れながら微笑んでいた。試しに離れてみると露骨に残念そうな顔をしたので、もう一度ぎゅとしてみた。

 

「えへ、えへへ……」

 

 めたんちゃんはテンプレなツンデレだ。こんな感じでめちゃくちゃ分かり易い。そういうところが可愛くて思わずこうやってスキンシップをしてしまう。

 

「……あの、ずん子。なんか私の身体まで震えてるんだけど」

 

 私がめたんちゃんにメロついてた間に、禁断症状が悪化していたらしく、全身がガクガクと震えるだけでなく、抱きついていためたんちゃんすらも振動していた。

 

「これが……総身……!」

 

「二重を極めてんじゃないわよ。ずんだ餅持ってくるから待ってなさい」

 

 ほんの数ヶ月前まではむしろめたんちゃんが「これは衝撃の守護(とうほくンちグラグラスタイル)」みたいなこと言ってそうなのに、なんとツッコまれてしまった。もう中二病キャラは卒業したんだね……。

 

「ほら、ずんだ餅を喰らいなさい!(二重の意味で)」

 

「んむっ!美味しい!」

 

 先程までシナシナだったアホ毛も元気を取り戻してピンっと立っていた。めたんちゃんはやれやれと言ってずんだ餅を一つ口にした。さらっと食べてるけど私の分だよねそれ?まぁいいけど。

 

「じゃあ勉強を始めるわよ」

 

 なんで教えてもらう側なのにめたんちゃんが仕切ってるんだろう。まぁいいけど。

 

 かくして。私たちの勉強会は始まった。

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