Attack on Dinosaur   作:&劉

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第五話 意見

 

 

 補給本部を目指して移動していたディエゴたちは、ほどなくしてミカサやジャン、アルミンをはじめとする同期たちと合流した。先ほどまで進むべきか退くべきかさえ決めかねていた訓練兵たちだったが、シルバーバレットに跨ったディエゴの姿を認めると、その表情には露骨な安堵が浮かんだ。

 

 後衛区域で何体もの巨人を立て続けに仕留めたという話は、すでに中衛の兵士たちにも断片的ながら伝わっている。しかも本人が無傷のまま現れたとなれば、心強く感じるのも無理はなかった。

 

「ディエゴも来たのか!」

 

「助かった……これなら何とかなるかもしれねえ」

 

「いや、それよりお前、なんで屋根の上でも馬に乗ってんだよ?」

 

 コニーが思わず指摘すると、何人かが同時にシルバーバレットへ目を向けた。ここは地上ではなく建物の屋根の上なのだが、ディエゴは平地を散歩してきたかのような顔で鞍に収まり、シルバーバレットの方も高さを恐れる様子などなく、瓦の上で悠然と鼻を鳴らしている。

 

「調査兵団も馬に乗って巨人と戦っているらしいじゃあないか。それと同じことだ」

 

「そうか……?」

 

 コニーはそれ以上追及する気を失ったらしく、乾いた笑いを浮かべた。

 ディエゴは同期たちを一通り見回した。ジャン、アルミン、ライナー、アニ、ベルトルトもいるが、一人だけ当然いるはずの男が見当たらない。

 

「エレンはどうした?」

 

 その一言だけで、先ほどまで僅かに和らいでいた空気が変わった。訓練兵たちは一斉に口を閉ざし、ミカサは表情を失い、アルミンも唇を噛みながら視線を落とした。

 

「……戦死した」

 

 アルミンが絞り出すように答えた。

 

「僕を助けて……巨人に食われた」

 

 その言葉を聞いた瞬間、ミカサは何も言わずに飛び出した。立体機動装置のガスを勢いよく噴かし、補給本部の方向へ一直線に進んでいく。

 

「ミカサ!」

 

「待てって!」

 

「俺たちも行くぞ!」

 

 誰かが呼び止めたものの、ミカサは振り返らなかった。ジャンたちも慌ててその後を追い始め、アルミンも遅れて立体機動へ移る。

 

「ふうん」

 

 ディエゴだけは、それ以上の感想を口にしなかった。シルバーバレットを走らせて一行の後方へつきながらも、頭の中では別の違和感について考えていた。

 妙なのだ。

 

 スケアリー・モンスターズを長年使い続けた影響で、ディエゴの五感は普通の人間とは比較にならないほど鋭敏になっている。必要なら嗅覚だけを部分的に恐竜へ近づけることもでき、その精度は猟犬を遥かに上回っていた。

 

 その鼻が、はっきりとエレン・イェーガーの存在を捉えている。

 死体の臭いではない。しかも、その気配は一定の方向からこちらへ近づいてきていた。

 

 さらに奇妙なのは、エレン自身の臭いに巨人特有の鼻につく臭気が重なっていることだった。最初は巨人に食われたため臭いが移ったのかとも考えたが、それならここまで明確に本人の臭いが残るはずもない。

 

 何より、その臭いは移動している。

 

「生きてるな」

 

 ディエゴはそう結論づけたものの、口には出さなかった。理由は分からないが、エレンはまだ生きている。

 

 だからといって不確かな推測をアルミンたちへ伝えて騒ぎを大きくする必要もない。何が起きているのか、自分の目で確かめてから判断すればいいだけの話だった。

 

 ディエゴは馬上から、先頭を飛ばしていくミカサへ目を向けた。彼女の速度は明らかに速すぎるうえ、焦りのせいで立体機動装置のガス残量まで意識が回っていない。

 

「このままだと落ちるな」

 

 その予想はアルミンも同じだったらしく、青ざめた顔でミカサの背中を追っている。

 

「ミカサ! ガスを使いすぎだ!」

 

 しかし声は届かず、数秒後には噴射音が途切れた。推進力を失ったミカサの身体は急速に高度を落とし、そのまま建物の間へ吸い込まれていく。

 

「ミカサ!」

 

 アルミンが叫んだ。

 

 ディエゴは落下地点と自分の位置を一瞬で見比べたが、間に合わないと判断した。シルバーバレットを全力で走らせても、近くにいる巨人が彼女へ到達する方が早い。

 

 もっとも、無理に間に合わせる必要があるとも思っていなかった。ミカサ・アッカーマンがここで死ぬかどうかは、自分の命を危険に晒してまで覆すほど重要な問題ではない。

 落下したミカサの前へ、一体の巨人が現れた。足を止めた彼女へ巨大な手が伸び、そのまま掴み上げようとした瞬間、横合いから別の巨人の拳が飛び込んできた。

 

「――!」

 

 凄まじい衝撃音とともに、ミカサへ迫っていた巨人の顔面が大きく歪んだ。巨体が横向きに吹き飛び、建物へ叩きつけられる。

 

 殴った側の巨人はそこで止まらず、倒れた敵へ追い打ちをかけるように踏み込み、まるで人間の憎悪そのものを拳へ込めたかのように何度も攻撃した。最後には胸を張り、怒りを空へ吐き出すような咆哮を上げる。その隙にアルミン、コニーがミカサを救出した。

 

「……なるほど」

 

 ディエゴは、その瞬間に全てを理解した。

 

 鼻が追っていた臭いの中心も、エレン本人の臭いと巨人の臭いが重なっていた理由も、目の前の光景を見れば説明がつく。

 

「あいつか」

 

 目の前の巨人こそ、エレン・イェーガーなのだ。

 

 人間が巨人になる現象自体は、ライナーたちから盗み聞きした情報ですでに知っていた。しかし、エレンまでその力を持っているとは知らなかった。

 

「面白くなってきたじゃあないか」

 

 ディエゴはそう考えながら、さりげなく視線を横へ流した。

 

 ライナー、アニ、ベルトルトの三人も、巨人化したエレンを見ている。しかも、あの表情は演技ではなかった。

 

 超大型巨人が恐竜へ変貌した時ほどではないにせよ、明らかな動揺が滲んでいる。

 

「知らなかったのか」

 

 ディエゴは内心で笑った。つまり、壁外から来た戦士たちでさえ、エレンが巨人になれることは知らなかったらしい。いや、そもそもエレンだということに気づいているのか?いなければ面白いが…

 

 そんなことを考えている間に、先頭を進んでいたジャンが急に止まった。

 

「止まれ!」

 

 後続の訓練兵たちも次々と近くの屋根へ着地する。

 

 前方には補給本部が見えている。しかし、その周囲には予想していた以上の数の巨人が集まり、塔の周辺だけでなく道や建物の隙間にも何体もの影が蠢いていた。

 

「くそ……」

 

 ジャンは息を呑んだ。

 

 ガスの残量が少ない状態で、あの群れを突破して本部へ飛び込む。できないことではないが、確実に何人かは犠牲になる。

 

 それが分かっているからこそ、誰も最初の一歩を踏み出せなかった。

 

「何をしている?」

 

 後方から追いついたディエゴが、シルバーバレットの歩みを緩めた。

 

「見りゃ分かるだろ!」

 

 ジャンは苛立ちを隠さず、前方の補給本部を指差した。

 

「本部に巨人がまとわりついてるし、その周りにもあれだけいるんだぞ! この人数で突っ込んだら何人死ぬか分かったもんじゃねえ!」

 

 ディエゴは一度ジャンを見た後、無言で本部へ視線を移した。巨人の位置と数、屋根同士の距離、侵入できそうな窓、ミカサの残りガスまで数秒で見終えると、再びジャンへ顔を向ける。

 

「やはりお前はハトだな」

 

「あ?」

 

 ジャンの顔が引きつった。

 

「一羽が止まったら、残りも揃って止まる。実に分かりやすい習性じゃあないか」

 

「てめえ、状況分かって――」

 

「まず、本部に集まっている連中を処理するぞ」

 

 ジャンが言い返すより先に、ディエゴは腰の装備へ手を伸ばした。

 

「ミカサ」

 

 呼ばれたミカサが振り向く。

 

「これを使え」

 

 ディエゴが予備のガス缶を投げると、ミカサは片手で受け取った。

 

「オレの予備だ。殺しに行くぞ」

 

「分かった」

 

 返事には一切の迷いがなかった。

 

「おい、待て!」

 

 ジャンが慌てて止めようとする。

 ディエゴは振り返りもせず、シルバーバレットの手綱を握った。

 

「気取り屋さんたちはオレらの後からどうぞ」

 

「誰が気取り屋だ!」

 

 ジャンが叫び終えるより先に、ディエゴとミカサは動き出していた。

 

 特にディエゴは速かった。

 

 シルバーバレットが屋根を蹴って一気に加速し、建物の陰から身を乗り出した巨人へ真っ直ぐ向かっていく。

 

「無駄だ」

 

 巨人が手を伸ばす直前、シルバーバレットが大きく跳躍した。その勢いを利用してディエゴも鞍を蹴り、巨人の腕へ着地する。

 

 そのまま数歩で肩まで駆け上がり、首の裏へ回り込むと、ブレードが一閃した。

 

 うなじを切られた巨人が倒れ始めるより早く、ディエゴは再び宙へ飛び、下を駆けていたシルバーバレットの鞍へ着地する。ほんの数秒で一体が倒れた。

 

 その光景を見て呆気に取られていたジャンは、次の瞬間には歯を食いしばった。

 

「……くそッ!」

 

 自分の頬を一度叩き、腕を高く上げる。

 

「行くぞ! ディエゴとミカサだけにやらせるな! 一斉に本部へ突っ込め!」

 

 訓練兵たちがようやく動き出した。

 

 無数のアンカーが一斉に射出され、ガスの噴射音が街路へ響き渡る。巨人の間を縫うように飛びながら補給本部へ接近し、次々と窓ガラスを突き破って室内へ飛び込んでいった。

 

 少し遅れて、ミカサも窓から中へ入ってくる。

 

「ミカサ!」

 

 アルミンが駆け寄った。

 

「ディエゴは?」

 

「周りの巨人をやってから行くから、先に入れって言われた」

 

「一人で!?」

 

「本人がそう言った」

 

 それを聞いたジャンは顔をしかめたが、外へ戻る余裕などなかった。何より、補給本部の中にも別の問題が残っている。

 

「お前らッ!」

 

 ジャンが怒鳴りながら、補給用のガス缶の前でうずくまっている兵士へ歩み寄った。

 補給班だった。

 

 本来なら、自分たちがここまで追い詰められるより前にガスを届ける役目を負っていた人間たちだ。

 

 ジャンはそのうち一人の胸ぐらを掴み、勢いのまま拳を叩き込んだ。

 

「補給任務を無視しやがって!」

 

「ぐっ!」

 

「何人死んだと思ってる!」

 

 さらに殴ろうとしたところで、ライナーが腕を掴んだ。

 

「ジャン!」

 

「離せよ!」

 

 補給班の兵士たちは青ざめた顔で固まり、その中の一人は泣きながら弁解を始めた。

 

「仕方なかったんだ! 補給所の中に巨人が入ってきたんだぞ! 俺たちだって、どうすればいいか分からなくて……!」

 

「それを何とかするのがお前らの仕事だろうが!」

 

 ジャンが怒鳴り返した。

 

 その直後、轟音とともに壁の一部が砕けた。

 

「うわあああッ!」

 

 巨大な頭部が窓枠ごと室内へ突っ込み、建物全体が揺れる。兵士たちは悲鳴を上げながら奥へ逃げ、壊れた壁の向こうから覗き込む巨人の顔だけが、異様なほど大きく室内へ迫ってきた。

 

 ジャンはその場で動けなくなった。

 

 つい先ほどまで補給班へ向けていた怒りが急速に引き、代わりに忘れかけていた恐怖が胸の底から戻ってくる。

 自分は夢でも見ていたのだろうか。

 

 三年間訓練し、上位十名へ入り、兵士になった。それだけで、巨人とまともに戦えるようになったつもりでいた。

 

 だが、普通に考えれば分かる。

 

 人間と、これほど巨大な生物が正面から戦って勝てるはずなどない。

 

 そう思った瞬間、室内を覗き込んでいた巨人の目が不自然に動いた。

 

「え……?」

 

 ジャンが声を漏らすより早く、巨人の身体が大きく傾いた。そのまま建物の外へ崩れ落ち、うなじから大量の蒸気を噴き出しながら動かなくなる。

 死んでいた。

 

 そして、倒れた巨人の身体の上を、一頭の馬が悠然と歩いてくる。

 

 瓦礫と血、立ち上る蒸気の向こうから現れたのはシルバーバレットだった。その背には、いつもと変わらない顔をしたディエゴが乗っている。

 

「フン」

 

 まるで近所を一回りして戻ってきたような態度だった。

 

 室内は数秒間、完全に静まり返った。

 

 誰も反応できなかったのだ。

 

 それから一気に歓声が爆発した。

 

「うおおおおおおおおッ!」

 

「ディエゴ!」

 

「生きてた!」

 

「外の巨人はどうした!?」

 

「ほとんど片づけた。あの巨人もいるし、ここから脱出するのはそう難しいことじゃあないかもな」

 

 ディエゴは当然のことのように答え、シルバーバレットから降りた。

 そのまま壊れた壁の向こうへ視線を向けると、少し離れた場所では巨人化したエレンがまだ戦っていた。別の巨人へ殴りかかり、倒し、また怒りに満ちた雄叫びを上げている。

 室内にはその光景を見て、神に祈るように手を組んでいる兵士までいた。

 

「ヨハネの黙示録ってのは、世界の終わりを描いたものらしいが……こういう感じなのかな?」

 

 ディエゴが周囲を眺めながら言うと、コニーは引きつった笑いを浮かべた。

 

「お前でも怖いと思うことあるんだな」

 

「大したことないって意味だが」

 

「……頼もしすぎるぜ」

 

 コニーはもう笑うしかなかった。

 

 ディエゴは外の様子にすぐ興味を失い、室内を見渡した。

 

「それより、補給班員はどうした? 早いとこガスをもらいたいんだが」

 

「あそこだ!」

 

 ジャンが怒りを思い出したように、机の下で固まっている兵士たちを指差した。

 

「こいつらのせいで何人死んだことか! 補給するのが仕事なのに、ビビってここへ逃げ込みやがった!」

 

「ジャン、落ち着け」

 

 ライナーが宥める。

 ディエゴは短く頷くと、補給班の方へ歩いていった。

 

 静かな靴音が近づくたびに、補給班員たちの顔色が悪くなっていく。先ほどジャンに殴られた兵士の前で足を止めると、ディエゴは表情を変えないまま問いかけた。

 

「何故ここにいる?」

 

「だ、だから!」

 

 男は必死に声を張った。

 

「巨人が中に入ってきたんだ! 俺たちだって怖かったんだよ! 仕方なかったんだ! 誰だって――」

 

 乾いた発砲音が、その言葉を途中で断ち切った。

 

 男の身体が後ろへ倒れ、額には小さな穴が空いていた。そこから細い血の筋が流れ、ディエゴの手に握られた拳銃の銃口からは僅かな煙が立ち上っている。

 

「……え?」

 

 誰かが呆然と呟いた。

 

 本部の中から音が消えた。

 

 泣いていた者さえ声を失い、全員がディエゴと床に倒れた死体を交互に見ていた。

 

 ディエゴは死体を一度見下ろした後、残った補給班員たちへ視線を移す。

 

「他に意見のある奴はいるか?」

 

 誰も答えなかった。

 

「いないのか?」

 

 返事はない。

 

「なら、さっさと仕事しろ」

 

「は、はい!」

 

 補給班員たちは一斉に立ち上がり、転びそうになりながらガス缶の準備へ向かった。

 ジャンはしばらく死体を見つめていた。

 

 胸の奥に溜まっていた怒りは確かに少し晴れた。それでも、さすがに目の前で人間を撃ち殺されれば、素直に喜ぶ気にはなれない。

 

「おい……ディエゴ」

 

「何だ?」

 

「……さすがに、やりすぎじゃねえか?」

 

 ディエゴはすぐには答えず、手に持った拳銃をじっと見た。

 

 やがて死体の傍らへしゃがみ込み、その胸元へ拳銃を無造作に放り投げる。

 

「え?」

 

 ジャンが眉を寄せた。

 

 ディエゴは立ち上がると、何故か親しげにジャンの肩へ腕を回した。

 

「なあ、ジャン。こいつは恐怖に負けて任務を放棄したよな?」

 

「あ、ああ……」

 

「そのうえ、自分のせいで仲間が死んだという罪悪感にも耐えられなくなった。それで勝手に拳銃を持ち出し、自分の頭を撃ち抜いた臆病者だ」

 

 ジャンの顔が引きつる。

 

 ディエゴは笑顔のまま顔を近づけた。

 

「違うか? ン?」

 

 ジャンは床の死体を見て、その胸元に落ちている拳銃へ視線を移した。次にディエゴを見ると、しばらく黙った後で諦めたように息を吐く。

 

「……ああ…そう、だったな」

 

「物分かりがいいじゃあないか」

 

 ディエゴは満足そうに笑い、ジャンの肩から腕を離した。

 

 周囲にいた者たちも、誰一人として異議を唱えなかった。全員が見ていたはずなのに、見ていなかったことになった。

 

 ディエゴは本部全体へ届くように声を張る。

 

「補給所を開放したら、ここから出るぞ。準備ができた奴から装備を確認しろ。外に残ってる連中を片づけて、さっさと撤退する」

 

 その一言をきっかけに室内が動き始めた。兵士たちはブレードの交換や装備の確認を始め、負傷者の状態を確かめる者もいる。

 

 誰も、床に転がっている死体については触れなかった。

 

 ディエゴがシルバーバレットの鞍と手綱を確認していると、アルミンが近づいてきた。

 

「ディエゴ」

 

「何だ?」

 

 アルミンは一度だけ、先ほど撃たれた補給班員の死体へ目を向けた。それからディエゴへ視線を戻し、声を落として告げる。

 

「僕は、さっき何も見てない」

 

 ディエゴの眉が僅かに動いた。

 

「そうか」

 

「でも、それより今は一つ案があるんだ」

 

「案?」

 

 アルミンは壊れた壁の向こうへ目を向けた。そこでは巨人化したエレンがなおも戦い続けており、補給本部の周囲にもまだ複数の巨人が残っている。

 

 その状況を利用した作戦を、アルミンは短く説明した。

 

 ディエゴは途中で口を挟まず、最後まで聞いた。

 

 説明が終わると、数秒だけ黙ってアルミンを見た後、ゆっくりと口元を吊り上げる。

 

「完璧じゃあないか」

 

 その笑顔を見た瞬間、アルミンは自分の作戦が成功しそうだという安心と、別の種類の不安を同時に覚えた。

 

 

 

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