クールな天才捕手は白球に夢を乗せる   作:小羽空

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プロローグ

 

中学の卒業式から翌日。高校に入学するまでの短い春休みの期間の3月の下旬。

 

「私の部屋は廊下の奥っていってたっけ」

 

新越谷の敷地内に隣接している学生寮。私は私物が詰まっている段ボールを運びながら、自分の部屋に向かう。

 

(野球部に入るって言ったら驚かれた)

 

寮監との挨拶の際に野球部への入部を話すと驚くような反応を見せた。

 

(野球部の評判の悪さを考えたらわかるけど。昨年の新越谷の野球は凄かった)

 

不祥事明けの野球部は悪いイメージを持たれがちで、昨年の新越谷の印象はいい方ではなく、悪い印象を持つ人が大半な中で、中学での野球を終えて、燃え尽き症候群気味の私は中学の先輩がいるからと興味本位で見に行った。

 

(スタンドで見た野球が忘れられなくて。ここでもう一回頑張ろうって思えた)

 

中学での野球は周りは才能の塊の選手ばかりで練習は過酷で楽しい時間よりもしんどい時間の方が長かった。新越谷の野球を知れば知るほどに興味が増していき、気づいた時にここで野球をやりたいと思うようになっていた。

 

「あれ……?」

 

部屋の前についてから床に荷物を置いてから部屋の扉をノックする。反応がなく、扉を開けると部屋の中には誰もいなかった。

 

(私の他に1人入れたって聞いたけど。私の方が先ってこと?)

 

部屋は3人部屋を想定した構造となっており、3人用の勉強机と3段ベット。1人で過ごすとしてはスペースが広大すぎて落ち着かない。

 

(荷解き始めますか)

 

ベットは後で決めるとして、直ぐに使用する生活物品を段ボールから取り出して整理し始める。

 

コンコン

 

荷解きを始めてから、1時間くらい経過後に部屋の扉がノックされる。

 

「空いてるよ」

 

部屋の扉が開くと扉の前にいたのは流山ガールズの5ツールで有名な野村瑞穂さん。

 

「伏見明日香、今日からよろしく」

 

「よろしく」

 

野村さんと挨拶を交わすと野村さんは部屋に荷物を運ぶと空いているベットを見る。

 

「伏見はどのベットを使うの?」

 

「決めてない」

 

「じゃあ、私が中央で」

 

野村さんは空いている一番下に荷物を置く。空いてるからいいんだけどさ。

 

「伏見は何処の出身?」

 

「美南ガールズ」

 

「強豪じゃん!? レギュラーだったの!?」

 

「3番手捕手。1年生の頃に代打兼プルペン捕手でベンチ入りしたけど、それからは左腕の時の限定捕手」

 

中学では打力が優れている捕手が同学年にいることで、控え捕手として大半の時間を過ごし、左腕や軟投派の投手が先発の際はマスクを被った。

 

「捕手の他には守ったことある?」

 

「一塁と三塁。外野はレフトをやったことがあるけど、そんなに機会はないよ」

 

練習ではサブポジションの一塁と三塁、レフトに入ったが、公式戦で起用されることはなかった。

 

(野村さんは即戦力として期待されそう)

 

流山の5ツールで私たちの世代では有名な存在だったし、適応できれば即戦力クラスだ。




2年目で出すとしたら代打兼プルペン捕手か代走専門くらいかなぁ。投手だと役割が被るし、マネージャーも候補だけど、選手の方が動かしやすい。
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