最近、受験勉強ばっかりで、息抜きする時間がありません!!という作者の訴えです。はぁ……
では、どうぞ!
………ここは
突然、周りに広がった床や壁のない暗黒の空間。何故こんなところにいるのだろう?確か赤髪の男に襲われてそれで…
義人が今までの事を記憶をたどりながら整理していると声が聞こえた。透き通った女性の声だ。
«私を呼んだのは貴方ですか?…へぇ、こんな子供が私を呼び寄せるなんて世の中は広いものですね…»
…は?何を言っているんだ?呼んだ?俺は何も望んだはずはないんだが。
「あの…どちら様ですか?」
«あら、自己紹介がまだだったわね。»
そう言うと突然、目の前に女性が現れた。真っ白のワンピースに身を包んだ金髪の女性。海外の人気女優の様なプロポーションをしている。男女構わず見とれてしまうような美貌を持っている。その女性は上品に軽くお辞儀をすると、片手を胸にあて、自己紹介を始める。
«私の名前はパンドラ。神ゼウスの下造られた、世界で初めての女性よ。一般には“箱を開けて災いを世界に生んだ者”と言えばわかるかしら?»
そう言えば『パンドラの箱』と言う言葉は聞いた事がある。でも世間的な知識まででそこまで知らない。そんな神話どうこう言われても科学で全て証明出来てしまう世の中。信じる人なんてほんの一握りだろう。
「んで、そのパンドラさんが何の用ですか?」
«あら、呼んだのは貴方の方じゃないの?»
「はあ?」
«おかしいわね。魔術が勝手に発動する訳がないし、もしかして無意識に魔術を発動させたのかしら?でも発動条件を満たしたってことは……»
何かぶつぶつ言い始めたけど大丈夫か?それにしても、魔術とか何とか言ってたよな。魔術ってゲームとかで出てくるあれの事か。でも、魔術なんて空想の世界を望んだ非科学的な物だし存在するわけ…
そんな事を考えていると、パンドラが話し掛ける。
«貴方、さっきまで誰かを守りたいって心底思っていなかったかしら?»
その瞬間、義人は抜け落ちた記憶の一つを思い出した。血だらけで倒れていた一人の少女インデックスの姿。その絶望感と共に“守りたい”そう思ったのかもしれない。
「あ、ああっ」
インデックスの姿をフラッシュバックし、義人の声が、体が震える。義人の変化に気づいたパンドラは優しく微笑みながら手をさしのべた。そして、パンドラは言った。
«もし、この後どんな災いがあろうとも、守る力が欲しいのならこの手を握りなさい。そうすれば契約は成立するわ。
でも、自分の身が可愛いと言うなら、そう言いなさい。私はここから立ち去る。貴方と二度と出会う事はないわ。»
この選択はこれからの人生を大きく揺るがすことになるだろう。普通の人ならば手を受け取らず災いを避けるだろう。
しかし、義人に迷いはなかった。どんな物かも分からない力であっても義人は彼女の手を握った。そして、義人はパンドラに言い放つ。
「自分の身は自分で守る。後の事はその時に考える。今は目の前のたった一人の少女を守りたい。それだけだ!」
この出会いは彼故の幸運なのか、それとも、とある友人の様な不幸なのか否か。パンドラはまた、微笑みながらより手を強く握る。
«ふふ、そう言うと思ったわ。改めて宜しく“久米川 義人”君。»
災いを呼び起こしたパンドラ。しかし、災いが起こっても人間が絶滅することはなかった。それは何故か。その話にはある説が存在している。
『箱から最後に出てきたのは災いではなく“希望”である』と。(希望説参照。)
このパンドラが生んだ、たった一つの希望が暗黒の空間が光に包まれる瞬間だった。
気が付くと先程の光景に戻る。赤髪の男は義人が出現させたであろう魔術の盾に舌を巻いていた。
義人の頭の中には魔術の知識がわき出る水の様に流れ込んでくる。自分の使用できる魔術の情報も一瞬でわかった。パンドラの力が自分に乗り移ったかのように魔術が使える。いや、実際乗り移っているんだろう。インデックスを魔術の盾で防ぎながら次の手を考える。
すると赤髪の男は魔術を唱え出した。
「ーー世界を構築する五大元素の一つ、偉大なる始まりの炎よ、その名は炎!その役は剣!顕現せよ!我が身を喰らいで力と為せーーッ!!!
殺れ、魔女狩りの王!」
魔女狩りの王と呼ばれた炎の巨人は十字架の形をした炎で襲ってくる。いくらパンドラの魔術とはいえ、このまま攻撃されれば耐えられなくなるだろう。できれば早く魔女狩りの王を鎮めて本体を攻撃したい。
そんなことを考えていると頭から声が響いてくる。他でもないパンドラだ。
«本当に魔術を使うのが初めてなのね…いいわ、私の言った通りに魔術を唱えなさい!!»
俺はパンドラの言った通りに魔術を唱える。
「ーー全てを切断する理の剣よ、我が主に従いその名を刻み込め!!星剣アストレア!」
そう言うと俺の手のひらに真っ白な剣が握られる。ゲームのような感覚に思わず「おお!」と言ってしまった。俺はその剣を両手に握りしめ、盾を解除した。そして、魔女狩りの王を真っ二つに切り裂いた。
本来なら再生するはずの魔女狩りの王も何故か再生せず消滅してしまった。
「い、イノケンティウス!?魔女狩りの王イノケンティウス!!」
赤髪の男は魔女狩りの王の名前を叫ぶが再び現れることはない。義人は魔術の剣を消すと、赤髪の男の側まで静かな怒りを露にして歩き出した。
あいつが何者かなんて知らないし、魔術という非現実的な物があるなんて今だに信じられない。でも、これだけは言える。
義人は男を全力で殴って、叫んだ。あの正義の腕章を掲げて…
「次、この学園都市内で風紀を乱そうとするなら、この俺が風紀委員としてお前を拘束する!!」
そう言い残して、インデックスの下へ行こうとすると、突然くらっと目眩がした。義人はそのまま、地面に倒れ混み意識が暗転した。
また、暗黒の空間の中に俺はいた。
そこにはパンドラが何処から出したのか分からない椅子に座りティータイムをしていた。
«ここで見てたわ。どう?正義のヒーローになった気分は?»
「はぁ、どうと言われても……」
そう、曖昧な答えをするとパンドラは何処から出したか分からないテーブルにティーカップをおいて呟いた。その姿は絵に描いた様だった。
«ふうん…「この学園都市で風紀を乱そうとするなら、この俺が風紀委員として拘束する!!」だったっけ?良いじゃないかっこよくて…»
そうパンドラが言った瞬間、あまりの恥ずかしさに義人の顔は真っ赤になった。
「///あ、あの時は勢いで言っただけで、そんな……」
焦って早口で弁解している義人の姿に「ふふっ」と笑みを浮かべながら話す。
«冗談よ。貴方、いじりやすくて面白いわね。»
「からかわないで下さい!!」
そう義人が叫ぶと、パンドラは急に真面目な声のトーンで話す。義人は思わず息を呑んだ。
«本当にどうだった?»
「えっと…正直、嬉しかったです。俺は学園都市でも落ちこぼれの無能力者。守ろうとしてもそこには能力と言う格差が必ず現れる。力が絶対だとは思わないけど、守るためには力が必要だと思いますから……」
義人は涙を流していた。
無能力者という烙印を押されていた義人は、風紀委員の仲間や学校の友人にも言えない辛さがあった。能力主義の学園都市で暮らす以上、才能という現実からは逃れられない。いくら勉強が出来ても、やっぱり捨てられない憧れがあった。
義人の言葉にパンドラは微笑みながら言う。
«案外、そうじゃないかもしれないわよ。»
思わず義人の「え?」と呟いた。パンドラは話しを進める。
«確かに力も大切だと思うけど、力があっても貴方の様な行動は誰にも出来る事じゃないわ。力がなくても、その心に救われた人は沢山いるんじゃないかしら?»
義人はパンドラの言葉ににっこりと笑いながら言った。
「はい!あ、ありがとうございます…また、力を貸してください。」
«貴方、何か勘違いしてない。»
「はい?」
«契約って言ったでしよ。貴方は私の力をずっと使えるのよ。»
「あ、そうですか……ってぇえ!?今回だけじゃないの!?」
義人の驚きは暗闇に響きわたる。そして、またパンドラはにっこりと微笑んで言った。
«……と言う事で宜しくね!義人君…»
「はあぁ~~~~!!!!」
義人は衝撃の事実と共に意識が再び暗転した。一人取り残されたパンドラはひっそりと呟いた。
«私も貴方に救われた人の一人なのかもね…»
その声に反応するものなどいるはずもなく、ただ闇の中へと書き消された。
今回のお話はいかがでしたか?
戦闘シーンを書くって難しいね!どうすれば分かりやすくなるか考えてました。(結局変わりませんが…)
主人公の新しい魔術の原案等も受け付けております。宜しければ感想の方に書いてください!
それでは、また次回まで~~