めざせ、ポケモンマスター!   作:瓶詰め蜂蜜

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ウルトラホール

 ゲーム版・アニメ版共に、ウルトラホール研究をしていたモーン博士は、その実験中に事故で行方不明になっている。

 そしてゲームではポケリゾートの管理人に、アニメではガラル地方にまで飛ばされており、そのどちらでも記憶を失っているのだ。

 

「じぇるぷぷぷ……」

 

 ゆらりゆらりとウルトラホールから這い出て来た、逆さまにした金魚鉢のような傘を持つクラゲのような、ポケモンに似ていながら違う、異質な存在。

 

「あれは……ウツロイド……っ!?」

 

 ゆらりと傘を左右に揺らすソレに対してモーンさんが驚愕に満ちた声で呟いた。

 

「ウツロイド……?っ!まさかあれが、ウルトラビースト!?」

 

 モーンさんの呟きを聞き取り、警戒しながらもパラサイトを睨みつけるグラジオ。その背後には怯えたリーリエを庇っていた。

 俺もこの段階になってようやく完璧に思い出せた。

 きせいポケモンの分類を与えられた、ウルトラビーストのウツロイド。それは、ゲームでもアニメでも、かなり物語に関わる重要な存在として描かれたウルトラビーストで、アニメやゲームで出て来た、寄生したあの姿は当時かなりビビったのを今でも覚えている。

 

「じぇるぷっ……ぷっ!」

シュバっ!

 

「なっ!?ぐう……!」

 

 驚異的なスピードで触手をモーンさんへと伸ばし、絡めとるウツロイド。モーンさんは咄嗟に側にあったウルトラホール発生装置を掴み踏ん張ろうとする。が、それでもすぐに耐えられなくなるだろう。

 

「お父様!」「あなた!」

「やめろリーリエ!危険だ!」

「でもお父様が!」

 

 飛び出しそうになるリーリエを止めるグラジオ。その背後でルザミーネさんがポケモンを繰り出そうとしたのか自身の腰に手を伸ばし、ボールがないことに気づいて歯を食い縛る。

 

「ぐっ……うあっ!」

 

 ついに踏ん張りきれなくなったモーンさん。機械を握りしめていた手がつるりと滑り、ウルトラホールへと戻ろうとするウツロイドに引き摺り込まれていく。

 

「あなたぁっ!」「お父様ぁっ!」

「ルザミーネ!グラジオっ!リーリエぇっ!」

 

 中に持ち上げられた状態で唯一自由な右手を伸ばしながらウルトラホールへと飲み込まれていく、モーンさん。

 その悲痛な顔を見て、俺は遂に我慢できなくなり、俺の肩に置かれていたママさんの手を振り払い飛び出した。

 

「あっ……サトシ!?」

 

 再び俺を捕まえようと手を伸ばしてくるママさん。しかし俺はそれを躱してモーンさんへと飛び付き、力を込めてウツロイドの触手を殴りつけた。

 ただの子供ならば無意味な行動。だが、この身体は10歳でスーパーマサラ人とまで言われるほどの潜在的スペックを誇るサトシくんのものである。

 更には、スイクンを相手に波導を使う修行をしているのだ。まだまだ未熟とはいえ、波導の方も『勇者アーロン』と同等と言うお墨付きまでもらっているのだ。

 その力を合わせて殴りつければ、

 

「べの!?」

 

 ウツロイドにダメージを与えられ、モーンさんを捕まえていた触手が緩む。その隙を逃さず、モーンさんを引っ張り出して俺の後ろへと投げ飛ばした。

 

「うぐっ!」

「父さん!」「お父様!」「あなた!」

 

 床に投げ出されたモーンさんへと駆け寄るリーリエ達一家。それを見て俺も戻ろうと掴んでいたウツロイドの触手から手を離す。

 

ぎゅっ

 

「んっ?……って、うおい!?」

 

 いつの間にか、触手を掴んでいた左手首に、複数の触手が絡んでいることに気がついた。

 

「さ、サトシぃっ!!」

 

 振り返れば必死に俺へと手を伸ばす、涙ぐんだママさん。俺も反射的に手を伸ばそうとしたが、このままではママさんまで巻き込んでしまう。

 俺はママさんの手を取らないことを選んだ。

 そして、体が全てウルトラホールへと入った瞬間、意識が薄ぼやけ始めた。

 遠くなる意識の中で、必死に俺の名前を呼ぶママさんの声だけがずっと耳の中でこだまし続けた。




作者的原作大幅崩壊イベントその1
モーン博士、行方不明&記憶喪失にならない。
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