目を覚ますと、目の前にはウツロイドがドアップで視界に入り、俺の身体はウツロイドの触手で雁字搦めにされていた。
「ちょっ!?ふん、ぬぅ……!」
最初は少し慌てたが、すぐさま気を取り直して全身に力を込めて己の波導を高める。そして、
「うおりゃあっ!」
「べのっ!?」
全身から波導を解き放ち、ウツロイドの触手を弾き飛ばす……までは行かなくても、拘束を少し緩める事ができた。
その隙をついて滑り落ちると、すぐさま俺を捕らえていたウツロイドから逃げ出した。
「べのめの……」
「じぇるぷぷ……」
「べのぉ……」
「だあああっ!どっから湧いて出やがるんだぁっ!!」
走りながら後ろを振り向けば、そこら辺から生えている珊瑚のような不気味なソレらの陰から更なる追加のウツロイドが現れて俺の追っ手に加わっていた。
こちとらすでに波導の使いすぎで結構疲労がピークに近いのだが!?と内心怒りを感じながらも、それすら燃料に変えてただひたすらに走る。と、
「べの……!?」
「うわっぷ!?」
ふらりと現れた色違いのウツロイドに衝突してしまった。
「ちょっ、挟み撃ちかよ!?」
慌てながら色違いウツロイドから離れると、目の前でふわふわとしていた色違いウツロイドはふわりと触手を一本伸ばして俺の腕に触れて来た。
また絡めとられる!?と警戒したが、その触手は絡んで来ることは無く、すぐに離れた。そして、
「べ〜の〜っ!!」
傘の部分からビームを出して俺を追っていたウツロイド達を吹き飛ばした。
「えっ……と、もしかして、助けてくれた?」
「べのめの〜」
恐る恐る尋ねれば、肯定するかのように身体を上下に揺らす。色違いのウツロイドでこのような反応。そこでふと思い出した。
「お前、リーリエ(ウツロイド)か!?」
「べの?」
リーリエ(ウツロイド)。それはアニメの方のポケモンで登場した色違いのウツロイドで、記憶を無くしたモーンを助け、元いた世界へ返してあげようとした心優しいウツロイドである。
元の世界……と言ってもアローラから遠く離れたガラルへとモーンと共にウルトラホールを通じてやって来ると、モーンを献身的に看病し、そのままモーンと共に暮らしていたのだ。その時、ウツロイドが持つ神経毒によってモーンからは娘のリーリエだと錯覚されており、そこでモーンの娘として過ごす日々が楽しくて、本物のリーリエ達、モーンの家族がやって来た時は、最初は追い返そうとするもののモーンが記憶を取り戻してからは寂しそうにしながらも引き下がろうとする、本当に良い子として描かれていたウツロイドなのだ。
「た、確かに今の俺はモーンさんの代わりにやって来たけど……。まさか、リーリエ(ウツロイド)と遭遇してしまうとは……」
「べの?」
頭を抱える俺を心配してか、触手を揺らしながらオロオロとするリーリエ(ウツロイド)。しかし、すぐさま思い付いた。
「リーリエ(ウツロイド)が居るなら、俺の元いた世界に繋がるウルトラホールがあるはずだ!……ガラルだけど」
そして、オロオロとしていたリーリエ(ウツロイド)の触手をガシッと掴み「頼む!俺をウルトラホールのところまで連れて行ってくれ!」と頼み込むと、リーリエ(ウツロイド)は暫く考え込むように動きを止める。そして、
「じぇるぷ!」
「こっちについて来て!」とばかりに触手を動かしてふわふわと移動するリーリエ(ウツロイド)。その後ろ姿に「ありがとう!」と感謝を述べながらその後をついて行った。