俺が心の中でリーリエ(ウツロイド)と勝手に呼ぶ色違いのウツロイドの後をついて行き始めて体感で2日程経った。
下手にウルトラホールの向こう側のものを食べてはいけないので、今の俺は波導の力でエネルギー消費を抑えながら体内で循環する事で誤魔化すと言う荒業で何とか行動している。
危機的状況に陥っているからか、波導能力の成長が著しく、この力とリーリエ(ウツロイド)のお陰でウツロイド達を追い払いながら、ウルトラディープシーを何とか移動出来ていた。
まだ期間的には短いが、激戦の連続という濃ゆい時間を共に過ごしたからか、リーリエ(ウツロイド)も何だか俺に懐き始めている。……様な気がする。
そんな感じで彷徨い続け、漸く俺たちは目当てのウルトラホールを発見した。
「じぇる、じぇるぷ」
「ん、おお!?どうしたんだ?」
ウルトラホールを見上げていたら、リーリエ(ウツロイド)が触手を俺の体に絡めて持ち上げた。
もしや、仲良くなったと思ったのは俺の勘違いで、神経毒を打ち込んでマザービーストの様にするつもりなのか!?
そんなふうに勘繰ったが、リーリエ(ウツロイド)は毒を打ち込む様な素振りは見せず、俺を抱えたままウルトラホールへと入ろうとしていた。
「……あ、もしかして向こうの世界まで送り届けようとしてくれてんの?」
「べのっ!」
勿論だと言わんばかりに傘を揺らすリーリエ(ウツロイド)。
よくよく考えれば、俺1人でウルトラホールに飛び込めば、ウルトラディープシーに来た時の様に即気を失ってウルトラスペースを永遠に彷徨うことになっていた可能性があるのか。
「ありがとうな、ウツロイド。そして、お前には迷惑かもしれないけど頼んで良いか?」
「じぇるぷっ!」
触れ合う肌から波導を通じて「任せて!」というリーリエ(ウツロイド)の意思が伝わって来た。
「……本当にありがとう。よし!それじゃあ突撃だー!」
「べのー!」
リーリエ(ウツロイド)に抱えられたまま、俺はウルトラホールへと飛び込み、そしてすぐさま意識が薄れて行った。
「ぶえっくしょんっ!!……ここは」
自分の派手なくしゃみで目が覚めると、そこはどこかの洞窟の奥地だった。辺りを見渡せば、心配そうに俺の顔を覗き込んでくるリーリエ(ウツロイド)——いや、もうここにはコイツ以外ウツロイドは居ないし思考の方でもウツロイドと呼ぶか。——ウツロイドがすぐ側でふわふわと浮かんでいるだけで、俺とウツロイド以外にポケモンの気配は感じ取れなかった。
「取り敢えず、この洞窟の外に出ようか。……うぅ、肌寒いな」
冷たい風が吹いて来る方へ向けて歩き出しながら腕を軽く摩る。俺に付き従う様に、ウツロイドもふわふわと浮かびながら俺の後をついて来るのだった。