めざせ、ポケモンマスター!   作:瓶詰め蜂蜜

20 / 20
カンムリ雪原①

 ウルトラホールの先にあったの長い洞窟を抜けると雪国であった。……なんて、思わず川端康成が溢れ出る程に衝撃的だった。

 記憶には薄らだが残っていた。が、だからと言ってそう簡単に飲み込めるかどうかは別である。

 

「降り積もる雪に少し離れた場所に見える列車の駅らしきものは、島だらけのアローラには存在しない鉄道が通っていることの証左。……って事はやっぱり」

「べの……?」

「ここ、ガラルじゃねぇーかー!?」

 

 俺の魂からの叫びを聞き、ビックリしたのか「べのー!?」と鳴き声をあげるウツロイド。もしやと思っていたがややっぱりお前ノリ良いな?

 しかし、常夏のリゾート地から雪原に移動とは、俺がサトシくんでなければ激しい寒暖差で体調を崩していただろ。

 

「……っと、確かゲームの知識だと下の方に村があったよな?何か長袖みたいな暖かいもの貸してもらえないか交渉しなくちゃな」

 

 今の俺の格好はアローラにいた事も理由になるが、こんな寒冷地に相応しくないアロハならぬアローラシャツである。幾ら波導の応用である程度外気温を防げるとは言え、限度がある。

 ぶるりと身震いしながら二の腕を摩っていると、ふわりとウツロイドが触手を使って俺に覆い被さって来た。

 

「もしかしてお前、俺を暖めようとしてるのか?」

「べの!」

 

 「そうだよ!」と頷くウツロイド。その優しさに少しうるっと来つつも、ウツロイドに語りかける。

 

「ありがとうな、その気持ちは嬉しいよ。けどな……」

「べの?」

「お前の身体石英に近いからかすんげー冷たいんだよ」

「べのめ!?」

 

 ガーン!とショックを受けたのか、ふらふらと力なく俺から離れると、触手を使ってズーンと傘の部分を俯かせた、落ち込んだ人のポーズをとった。

 器用だなー。なんて思いつつも「お前の気持ちは嬉しかった!嬉しかったから!な!」と慰めて、なんとかウツロイドの元気を取り戻す。

 

「ぶぇっくしょん!……いやいや、こんなことしてる場合じゃねぇや。ほらウツロイド、早くあそこの村行こうぜ」

「じぇるぷ!」

 

 気を取り直して歩き出す。と、

 

「ごらぁっ?」

「……うわぁお」

 

 のそりと近くの茂みから、なんとも立派なガチゴラスが姿を現した。凶悪な風貌に似合わない、つぶらな目と思わず視線が交わり、変な声が漏れ出てしまう。

 まあ、俺たちが出て来たであろうウルトラホールがあるのだ。遥か太古から化石ポケモンも迷い込んでしまったのだろう。

 

「…………ごらぁっ!!」

「うわぁっ!?」

 

 暫く固まったままだったガチゴラスが、ハッとした様子で吠え立てる。慌てて逃げ出すが、慣れない雪の上のせいで上手く走れない。そして、ガチゴラスが大きく地面を踏み締めると、途端に地面が揺れ始めた。

 技の威力的に、恐らくガチゴラスは“じならし”を行ったのだろう。唯の地ならしでもガチゴラスのものだと、かなりの威力を誇り危険だろう。しかし、この状況だと更に凶悪になってしまう。

 

ドドドドドッ……

 

「じぇぷ!?」

「やっぱり雪崩が起こったか……!」

 

 ガチゴラスの地ならしによって、すぐ側に切り立っていた崖の上から勢いよく雪が流れ始めて来た。

 咄嗟にウツロイドにしがみ付くと、俺の考えを把握したのか、触手で俺の体を包み込んできた。

 そして、流れて来た雪崩に飲み込まれ、上下左右が分からない程にひっちゃかめっちゃかになりながら、俺とウツロイドは流されてしまうのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ポケットモンスター ―君と目指す頂―(作者:あああああ)(原作:ポケットモンスター)

ポケモンを愛し、アニメもゲームも知り尽くした青年が目を覚ますと、そこはポケモンが本当に生きる世界――そして自分は、幼いサトシになっていた。▼未来の知識と波導の才能を武器に、幼いピチューとの絆を育み、セレナとの出会いを経て始まる新たな物語。▼原作と同じ数々の事件や出会いを経験しながらも、その選択は未来を変えていく。▼目指すは世界最強、そしてポケモンマスター。▼…


総合評価:206/評価:8.8/連載:69話/更新日時:2026年10月07日(水) 19:16 小説情報

逆行サトシの大冒険(作者:鉄壁拡散)(原作:ポケットモンスター)

サトシとその仲間達はそれぞれの夢に向かって歩みを進めたが、寿命には勝てず一生を終えてしまう。▼だがある日、サトシは気が付くと前世の記憶を持って逆行していた。▼サトシ「俺は今度こそポケモンマスターになるぜ!ピカチュウ、君に決めた!」▼ピカチュウ「ピッカ!」


総合評価:424/評価:7.57/連載:31話/更新日時:2026年10月04日(日) 18:50 小説情報

ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド(作者:ガチャガチャクツワムシ)(原作:ポケットモンスター)

サトシと同期の5人目の新人トレーナーとして主人公が旅に出て成長していく物語。▼オリジナルキャラが多めに出る上、原作キャラの強化もしようと考えています。▼生成AI使用して作成してします。


総合評価:163/評価:6.25/連載:156話/更新日時:2026年10月07日(水) 20:55 小説情報

映像機画版携帯獣世界転生物語(作者:こうすけ増田劇場版)(原作:ポケットモンスター)

なんか知らんがアニポケの世界に転生してた。


総合評価:2671/評価:7.42/連載:33話/更新日時:2026年09月06日(日) 00:05 小説情報

ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている(作者:はらへりニャンコ)(原作:ポケットモンスター)

ポケモン世界に憑依(?)転生した、とある人間のお話▼…リーフはアニメキャラじゃないし、憑依って言っていいのかな?▼そもそもこの世界はアニポケなの?▼何もわからないまま、リーフは今日も冒険する▼※この作品はChat GPTを使って執筆しております


総合評価:278/評価:7.86/連載:33話/更新日時:2026年10月07日(水) 18:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>