「イテテ……。雪崩は収まったか」
全身を雪崩に揉まれ、打ち付けた痛みに顔を顰めながら「ウツロイド、掛かったらごめんな」と一言声をかけて、唾を垂らす。
つぅ……ぽたっ。
「べのっ!?」
「あっ、ごめんウツロイド」
垂らした唾がウツロイドに掛かってしまう。「気にしなくていいよー」と波導で感じ取ったが、本当にすまん。
しかし、これでどっちが空かが分かった。俺たちは逆さまの状態で雪に埋まっているのだ。
ウツロイドに頼んで、触手を俺の足よりも上に伸ばして貰い、そこからメテオビームを出して周りの雪を吹き飛ばして貰う。
「ふぅ……。しかし、半袖半ズボンで雪崩に巻き込まれるとは不安だな」
「じぇるぷ」
悴んで感覚が鈍くなり始めた手足に「やばいなこれ……」と危機感を覚えつつ、チラリと麓の方を見る。
「まあ、幸か不幸か、村の方へ流されているし、早いところ救助して貰わないとな……」
ウツロイドに支えて貰いながら雪道を降っていくと、何やら数人が登って来ていた。そして、
「なな……、お前さん!なんて格好しているだ!」
「ほら、早くこっに来て温かくしんさい!」と懐から取り出したモンスターボールからムーランドを出しながら、集団の先頭にいたおじさんに怒られる。俺も好きでこんな状況じゃないのだが、ムーランドのもふもふとした毛皮に包まれたので、文句は言わない。
「べの〜?」
「あー、うん。大丈夫、温かくて生き返る心地だから」
心配そうに近寄ってくるウツロイドにそう答えれば、「べの〜……」とホッとしたように少し離れる。
とは言っても、まだまだ心配なのか俺のすぐそばでふわふわと浮いているのだが。
「そんポケモン、見た事ねぇが坊主のポケモンか?」
「えーっと、俺の友達です」
俺がそう濁して答えると、「ほへぇ、他所には面白い姿のポケモンがいるんだなぁ」と呟きながら先導していく。やはり雪国育ち、雪道を歩くスピードが先ほどまでの俺よりも速い。ムーランドの背の上でそんなことを思いながら、疲れがどっと出たのか一気に眠気を感じ始めた。
「なんだ坊主、眠いんか?なら寝てて良かぁよ」
「ありがとう、ございます……」
おじさんの言葉に甘え、ムーランドが歩く揺れとムーランドの毛皮と体温の暖かさを感じながら、ゆったりと眠りについた。
「ほんと、助かりました。ありがとうございます」
「いんや、困ったときはお互い様でよ。坊主も無事で良かったが」
目を覚ますと、見覚えのないログハウスの中。パチパチと薪の弾ける音と共に燃える暖炉の火が目に入り、俺は誰かの家のベッドに寝かされていることに気がついた。
そして、俺が起きた気配を感じたらしい家主のおじさん。……俺を拾ってムーランドに乗せてくれたおじさんでもあるガイウーさんに改めて感謝の言葉を述べる。
ウツロイドも心配してか、「べのべの」と擦り寄ってくるのを「心配かけてごめんな」と謝る。
「そんで、坊主はなんでそんな薄着で雪山に居たんだ?」
「えーっと、それはですね……」
ガイウーさんの質問に、ウルトラホールやらウルトラビーストの存在を隠して、「エスパータイプのポケモンのサイコパワーの暴発に巻き込まれた」と説明すると、「それはえれぇこっちゃなぁ……」と本気で同情した視線を向けられた。
助けられておいて騙してごめんなさいガイウーさん。でも、ウルトラホール関連はゲームとかでは機密情報扱いだったので、本当にすいません。
少し罪悪感を刺激されながらも、ガイウーさんに促されて、ガイウーさんが持って来てくれていた温かい白湯に口をつけるのだった。