フリーズむらで保護されて3日経った。
初日にガイウーさんに日付を聞いた時、図らずもウルトラディープシーとこちらの時間の流れが違うことが分かり、アローラでウルトラホールに飲み込まれてからこちらに帰ってくるまでには1日しかこちらでは経っていなかったようだった。
俺としては早くママさん達に無事を伝えたいのだが、残念ながらここはフリーズむら。カンムリ雪原の中にポツンと存在する限界集落で、国際電話が置かれていないらしく、アローラに通話する事が難しかった。
また、例の雪崩の影響でカンムリ雪原唯一の駅に行く事も難しいらしい。洞窟から出た時、此方ではなく駅の方に向かっていれば良かったか……。と自分のミスに少しばかり落ち込むも、今となってはたらればの話だと気を取り直す。
そして現在、俺はフリーズむらでニンジンを育てていた。
話はフリーズむらに来て2日目に遡る。
1日経って全快した俺は、ただお世話になるだけでは悪いと何か手伝えることはないかとガイウーさんに尋ね、その結果ニンジンを育てる手伝いを頼まれた。
フリーズむらはニンジンが名産だったらしく、まだ人手が足りていた頃はむらを上げて大量生産していたらしい。
その頃は取れたニンジンをカンムリ様と呼んでいた土地神に捧げて豊穣を願っていたそうだが、現在では捧げ物にするニンジンを作るほど余裕が無く、だんだんとむらが寂れていっている事も愚痴られた。
……話を戻そう。
そんな訳で、若くて元気な労働力として、まだ作業を手伝い始めて3日目なのだが、かなり歓迎されていた。村長の奥さんからは「うちの孫を嫁に貰わないか」なんて冗談を言われる程に馴染める事ができている。
また、ウツロイドもウツロイドで、ニンジンを狙って飛んできた鳥ポケモンやホオバリス、ヨクバリスを追い払う用心棒をしており、此方もむらからは歓迎されていた。
さて、いつになったらママさんの元に帰れるだろうか。なんて考え事をしながらニンジンを植えた畑に波導を流し込んで元気にさせながら成長を促していると、
「うん……?」
2本ほど変な反応を返して来たニンジンを見つけたので、気になって引き抜いて見ると、
「……これ、普通の畑で育ったっけ?」
白く植物らしからな冷たさを感じるニンジンと、黒く禍々しさを感じるニンジンがそれぞれその姿を表した。
俺の記憶が確かであれば、白いのは“つめたいにんじん”、黒いのは“くろいにんじん”だと思うが、これらはそれぞれ対応する畑からでしか収穫出来ないはずである。
なぜ収穫出来たのかと、二本のニンジンを手に持ったまま暫く考える。が、答えが出なかったのでこの仕事を頼んできた村長さんに後は任せることにしよう。