ダンデのリザードンが行方不明だと言うことが判明し、ダンデは慌てて思い付く限りの場所に連絡をする。すると、
「えっ!?師匠、そちらにいるんですか!?」
『そうだよー。ダンデちんに、先に行って来いって言われたらしいけど、どうしちゃったのー?』
スマホロトム越しに明るい感じの老人の声が小さく漏れてきているのが聞こえ、思わず呆れた視線を向けてしまう。
俺の視線に晒されながら、思い出そうとしているのか、額を押さえながら唸り、「あっ!」と何かを思い出したのか、声を漏らす。
「あー、その。確か今朝そちらに行くのに少し遅れそうってなって、その連絡をリザードンに頼んだんでした……」
『うん。リザードンから聞いているよー。けど、もうお昼だよ?そろそろ着いても良いんじゃないかなー?』
「すいません、今カンムリ雪原って所にいまして……」
『こっちと逆方向じゃない!?』
スマホロトムの向こう側でダンデのお師匠様が驚愕した声が聞こえてきたので、やはりダンデの方向音痴は凄まじいらしい。
「あの……」
「うん……?ああっ!そうだ!師匠、実は紹介したい子が居るんですが」
『何々?ダンデちんの彼女さん?』
「ははっ、違いますよ。少し特殊な事情が有るらしくて……」
ダンデに声をかけると、俺の事を思い出したようで師匠さんに俺の存在を伝えた。師匠さんもスマホロトムの向こうで『いいよいいよ。連れて来ちゃいなよー』と許可をくれたので、取り敢えずはホッとした。
「……さて、サトシくん。俺の師匠が居るのはヨロイ島にあるマスター道場という場所でね、ここからかなり離れているんだ」
スマホロトムの通話アプリを切ったダンデが俺を見つめながら、真面目な顔で話し始める。
俺も同じく姿勢を正し、「はい」と返事をする。と、突然ダンデの様子が崩れ、困ったように頭を掻きながら、少し離れた場所にある畑を見回りしていたウツロイドに視線を向けた。
「あの子、サトシくんの友達なんだろう?移動には列車を使う事になるんだが、ボールに入っていないポケモンを連れていくには少し危険なんだよ」
「特にあの子の様に珍しいポケモンはな」とウツロイドを指差しながら言うダンデ。
「と言うことは、置いていくしかないんですかね……」
「けど、君はあのポケモンと共に居たいんだろう?俺の予想じゃあの子もそうだ」
「そうですかね……?」
「ああ。だからこそ、置いていくと言うのは無責任だ」
「だからな……」と、そう言ってダンデが取り出したのは空のモンスターボールだった。
「サトシくん。君があの子をゲットするんだ」