マスター道場に案内され、道場内に設置された巨大なモニターのあるパソコンを貸して貰い、オーキド博士の研究所を経由して漸くママ達に連絡が取れた。
画面の向こう側ではママがクマの出来た顔で泣きながら「なんであんな無茶したの!」と泣きながら怒り、ルザミーネさんやグラジオからもモーンさんを助けた事を感謝されながらも説教に参加してきた。
俺も悪いと感じた為、素直に謝りながらも「こんな事二度としないで!」と言うママからのお願いには「それは難しいかも」と答える。
「モーンさんを助けようとした時、俺の身を考えると飛び出さないのが正解なのは分かってた。けど、リーリエやグラジオ、ルザミーネさん達の叫び声を聞いたら、体が勝手に動いちゃってたから」
「だから、またしちゃうかもしれない」と言うと、「だとしてもよ!サトシ、貴方が貴方を大事にしなかったら誰がサトシの事を守るの!」と更なるお叱りを受ける。と、
『な、なら
突然リーリエがまさかの立候補をしてきた。これにはママもルザミーネさん達も驚いたようで皆一様にポカーンとした呆けた顔を晒す。それを見て慌てたのか、「私はサトシにお父様を助けていただきました。だから、今度は私がサトシを助けたいと思って……!」とリーリエが更に言い募る。
その姿に何かピンと来たのか、ルザミーネさんがリーリエの耳元に口を持っていき何やら呟くと、突然ボッ!と顔を赤らめ、「な、何を言ってるんですかお母様!」とルザミーネさんへポコポコと子供らしい可愛いパンチを繰り出す。
向こう側のママやモーンさん、グラジオもルザミーネさんが何を言ったのか聞こえていたのか、ママは「あらあら」と怒りがどこかへ行ったのか、昔セレナと一緒に居た時と同じような視線を俺へ向け、グラジオは「サトシにお義兄さんと呼ばれるのか……。フッ、悪くないかもな」と、モーンさんからは睨まれて「私を助けてもらったのは感謝してるけど、それとこれとは別だからね!」とよく分からない事を言われる。
「あらあら、サトシちゃんも罪な男なんだねー」
と、様子を見に来たらしいマスタードさんが俺の背後から声を掛けてきた。「何を言ってるんですか」と言えば、「おや、サトシちゃんの特性は“どんかん”なのかな?」と更に訳の分からない事を言い出す。
「大人びてるけど、サトシちゃんにはまだ早いのかなー?……それで、貴方がサトシくんの保護者の方ですかな?」
パソコンの方へと視線をずらしたマスタードさんは、突然おちゃらけた口調を正し、キリッとしたものに変わる。それにママさんも面食らったようだったがすぐに「はい、私がサトシの母親です」と答えた。
「ワシのところで今サトシくんは保護しているけれど、サトシくんはビザを持たずにガラルに来ている。事情があるのはワシ達も分かってるけれどまぁ、不法入国者扱いになります」
その言葉を聞き、「あ、そうじゃん」と顔を青ざめる。まだ十歳にすらなっていないのに前科が付くのか、俺?と不安になっていると、
「まあ、そこら辺の調整はダンデ……ワシの知り合いが動いてくれていますので問題はない。まあ、時間はかかるがの」
と俺の方を見て、安心させてくれた。そうか、マスター道場に着いてからすぐに別れたダンデさんも動いてくれていたのか。
また会った時はお礼を言わなくては。と心に決めていると、マスタードさんとママさん達の間でいくつかやりとりをしたらしく、「サトシ」とママさんが落ち着いた声で俺の名を呼んだ。
『良い?サトシ。サトシは暫くヨロイ島でマスタードさんのお世話になる事になりました。迷惑かけたりしたらダメよ?』
「……はい」
ママさんの言葉に真面目に答えると、「よろしい」と言った後、ママさんは俺の隣にいるマスタードさんに視線を移し、「では、サトシの事をよろしくお願いします」と画面の向こうで頭を下げた。
「ほっほっほっ。お任せくださいな」
その姿を見て、マスタードさんは顎髭を摩りながら答えたのだった。
サトシくんの手持ち
ウツロイド(色違い)Lv.22