マスタードさんを始めとしたマスター道場の皆さんの世話になる事が決まり、俺とウツロイドはマスター道場で飼われているポケモン達の世話をしたり、敷地内の畑を耕す手伝いをしたりして過ごしていた。
とは言っても、マスタードさんからは「こう言った雑務も修行のうちだから、程々でいいからねん」と言われている為暇な時間が多く、もっぱらマスタードさんの息子さんのハイドくんのオムツを変えたり遊び相手になったり、ウツロイドと一緒にヨロイ島のポケモン相手にトレーニングをして過ごしていた。
ヨロイ島のミミロルやプリン達はお願いすればバトルの相手をしてくれる上に、ラッキー達が回復役になったり、タマゴをお裾分けしてくれるのでお腹も満たせるので長時間の訓練が出来た。
そんな風に過ごしていると、ヨロイ島で過ごして4日目。突然マスタードさんに呼ばれてマスター道場の裏手にある平原へと連れてこられた。
「えっと……マスタードさん。一体どうしたんですか?ここまで呼び出して」
呼ばれた心当たりが全く無い為、「知らないうちに何かやってしまっただろうか」と不安になりながらも尋ねると、「サトシちんは、ポケモンと仲良くなるのが得意なんだねー。ワシちゃん見てたよ」と笑いながらウツロイドと共にしていた特訓について触れられた。
「えっと、そう……なんですか?」
「そうだよー。それに、バトルセンスもいいよね。まだトレーナーになっていないとは思えない程に」
「まあ、地元でも友達になったポケモン達と一緒にしていましたし」
突然のことだったが、褒められて気分は悪く無い。が、元ガラルチャンピオンに褒められると少し照れて謙遜してしまう。
「だから、サトシちんさえ良ければワシちゃんの教え、受けてみない?」
「まあ、本格的な修行はサトシちんがトレーナーになってからだから、ほんとアドバイス程度なんだけどねー」とカラカラ笑うマスタードさん。
反対に、俺は内心興奮していた。元とは言えチャンピオンにまで上り詰めたトレーナーの教えだ。それを受けられるなんてなんと望外のチャンスなのだろうか。
「ぜひお願いします!」
「うおおっ!?そんなに喜ばれるとワシちゃんも嬉しくなっちゃうねぇ。……よし、ならまずは実際の動きを見てみようかねん♪」
そう言ってマスタードさんはモンスターボールを取り出すと、そこからポケモンを繰り出した。
「こじょっ!」
出てきたのはコジョフーだった。
地面に降り立つや否や、魅せるように鋭い動きで演舞を行うコジョフー。武道に明るくない俺でも分かる程にその一連の動きは凄いもので、思わず拍手しながら感嘆の声を漏らしてしまう。
「こ、こじょっふ……」
「あららー。サトシちんに褒められて、ワシちゃんのコジョフーが照れちゃったよ。……さて、サトシちんも」
「はいっ!よろしくお願いします!」
口調は砕けたままだが、マスタードさんの目にギロリと力が入り、鋭い眼光が俺を貫く。
その威圧感にぶるりと震えてしまったのは決して恐怖からでは無く、これから行うバトルへの緊張と高揚からであろう。
俺もウツロイドを繰り出し「ウツロイド、今までの相手とは一味違うぞ!」と呼び掛ければ「べのめのん!」とウツロイドも分かっているのか気合の入った声を上げた。
サトシくんの手持ち
ウツロイド(色違い)Lv.23