1年が経ち、5歳になった俺は無事にスクールに入学を果たした。そして、ツヨシ君の頑張りで、見事ぼっちになっていた。
流石にママさんには心配かけたく無いので、家では誤魔化しているが、きっと井戸端ネットワークでバレているのだろう。心配そうに見られることもあった。
だからだろうか。夏季の長期休暇でオーキドポケモン研究所が行っているポケモンサマーキャンプへの参加を、いつの間にかママさんがしていて……。
現在、俺はポケモンサマーキャンプの会場となるマサラの森近くのキャンプ場に来ていた。
テントを張り易いように流れの穏やかな小川の横に開かれた野原だが、それでも自然は豊かで野生のポケモンが森や小川からこちらを観察しているのがこちらからも分かる。
それに気付いた、他の子供達も興奮して「ニョロモだー!」と駆け出そうとしてオーキド研究所の職員のお兄さんに止められているのを横目に、チラリとこのサマーキャンプに参加していたツヨシ君とその取り巻き達を見る。
「ママさんの望み通りに友達が出来るかは難しいかな、こりゃ。……」
ポリポリと頰を掻きながら独り言を呟いていると、ふと視線を感じた。
そちらを見てみれば、そこには、同い年の間では有名な、オーキド博士の孫のシゲルと、それに並ぶほどに有名なスクールのマドンナ的立ち位置の少女のリーフが居た。
俺と目があった二人は、リーフは慌てたように、シゲルは自然に視線を逸らす。
一体何なんだ?と思っていると、「うぉっほん」と会場にあるスピーカー越しに咳払いが聞こえた。
「えー、では!これよりポケモンサマーキャンプを開催するぞ!子供達よ、元気にのびのびとポケモンを観察して、一緒に遊ぶんじゃ!それと、危険なところには行かないように!」
視線を向ければ、そこには簡易的な台の上でマイクを使って話すオーキド博士。ぐるりと自身のことを見ている、俺含む参加者達を見回し「では、ポケモンサマーキャンプ!開始じゃ!」と元気に叫ぶオーキド博士。
その声と同時に「わぁーっ!」と駆け出す子供たち。
……そして、そのノリについていけずにポツンと一人残ってしまった俺。ふと顔を上げれば壇上のオーキド博士と視線が交わる。
「あー……、君も行って良いんじゃぞ?」
「あ、はい」
ぺこりとお辞儀して俺も駆け出す。取り敢えず、マサラの森に行けば仲のいいポケモンのどいつかとは会えるだろう。そんな軽い気持ちで、俺は森へと向かった。そこで、まさかの出会いを果たすとは知らずに。