王女「魔王討伐から帰ってきた勇者様がすぐ死ぬんですけど!?」 作:名無し
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「……んっ……」
レティ姫は肌寒さを覚えて目を覚ました。ぼんやりとした視界に映ったのは、見慣れぬ石造りの天井。
「ここ……は……?」
まだはっきりしない頭で、レティ姫は周囲を見回す。窓はなく、申し訳程度の家具が置かれているだけの無機質な部屋。明らかに王宮ではない。
(王宮じゃない……?ここは一体…?)
「お目覚めですか、王女様」
「ひゃっ!?」
そう思った瞬間。突然、背後から甲高い声が響き、レティ姫はびくりと肩を震わせて慌てて振り返る。
そこに立っていたのは一人の少女。
金色の髪。透き通るような青い瞳。そして、整った顔立ち。
年頃も、自分とそう変わらないように見える。しかし、
「……え?」
見覚えがある。いや、見覚えがあるどころではない。
その顔も、髪の色も、瞳の形も。
まるで鏡を見ているかのように、自分とそっくりだったのだ。
「な……なな……っ!?」
何度見ても、そこにいるのは自分と同じ顔をした少女だった。驚愕するレティ姫と対照的に余裕のある笑みを浮かべた少女はクスリと笑った。
「ふふっ……驚きましたか? まあ、無理もありませんね。誰だって自分が目の前にいたら驚くに決まっていますから。」
「……あ、あなたは……いったい……?な、何を言って…?」
震える声で、レティ姫は尋ねた。すると少女は、ゆっくりと目を細め、意地の悪い笑みを浮かべる。
「ふふふ……そんなことよりもご自分の姿を気にされては?」
「え……?」
そう言われて、レティ姫はここで初めて自分の姿を見た。……白磁器のように細く美しい手はゴツゴツとした黒々とした鱗に覆われ、柔らかく磨かれた指先は触れただけで肉を引き裂けるような鋭い爪に、そして極め付けはーー……今まで存在しなかったぶっとい尻尾。レティ姫は叫んだ。
「きゃ、きゃああああああ!?な、なにこれ!?なんでワタクシの体がドラゴンに!?」
レティ姫の叫びに少女は堪えきれなかったように笑い出す。
「ははははっ!!ようやく気付きましたか?自分が『魔物』に変わっていると!しかし……惚れ惚れするくらい立派な『魔物』ですねえ……ふふ、これなら我が計画も問題無く達成されることでしょう」
「け、計画……!?さ、さっきから何を言って……!?今すぐワタクシを元に戻しなさい!!早く!」
「あらあら……王族なのに意外と察しが悪いんですねえ……ふふふ、元に戻せるはずがないでしょう?だって今から私が『レティ・フォン・ロートン』となり、貴様は『王女を攫った魔王軍の残党』として勇者に討伐されるのだから」