王女「魔王討伐から帰ってきた勇者様がすぐ死ぬんですけど!?」 作:名無し
「……と、討伐……?何を言って……」
「あら、本当に分からないのですか?……ふふ、それとも分からないフリをしている?貴女も気付いているのでしょう?あの勇者が死ぬ条件が……幸福を感じた瞬間だと」
「! な、なぜそれを……!?」
図星だった。少女の言う通り、勇者は幸せを感じると死ぬ。それはレティ姫がこの半月、何度も死にまくる勇者を見てきて気付いたことだった。
じゃあ、この少女の狙いはーー……
「ははははっ!ええ!その通り!貴女を魔物の姿に変えたのも、この姿になりかわったのも……全ては勇者にお前を討伐させ!勇者の魂を穢し!その上で勇者と性交して幸せ死させ!勇者の魂を贄に我々魔族の王『魔王様』を復活させる為です!」
「!?!?!せっっっっ!?え!?今せっっって言いましたか!?」
予想だにしてなかった少女の台詞に思わずレティ姫は突っ込む。が、少女はそんなレティ姫の反応を嘲笑うように鼻を鳴らす。
「ハッ、どうやら何も知らないようですねえ?いいですか?ニンゲンの男が一番喜びを感じるのは性交をする瞬間なのです!いくら勇者といえど所詮ニンゲンの男!女体の魅惑には耐え切れないでしょう!さらにこの体はニンゲンの女の中でも見目よく肉付きもいいですし……ほら、この胸部の膨らみなんか……」
「わああああ!や、やめて下さい!ワタクシの顔でそんな胸をたゆんたゆんと!は、はしたない……!って、そうじゃなくて!もしその企みが本当なら……ワタクシはこの命を賭けてでも貴方を止めーー」
「おっと、忘れてました」
「グル!?グルル!?」(こ、声が……!?)
「ふふ、貴女に喋られたら計画が台無しになりますからね。ああ、予め言っておきますが、貴女の体は今私の支配下にありますから、私に危害を加えることは出来ませんよ。ほら、試しに動いてみるといい。動けないでしょう?」
「グルッ!?」(う、動けない……!そんな……!)
少女……否、魔族の言葉が信じられなくてレティ姫は体を動かそうとしたが、魔族の言う通り、指一本も動かすことが出来なかった。
(な、なんてこと……!)
王族という民を守るべき立場にいる自分が、魔王復活という国の危機……いや世界の危機にも関わらず目の前の魔族を止める事も出来ないばかりか、よりにもよって魔王を倒し世界を救った勇者の魂を穢す役割を負わされる立場になるなんて……!
「……グルル……!」(王族失格です……!)
そう絶望感にレティ姫が飲まれかけた時。
「おっと、思ったより早い到着ですね」
魔族の声と共に響いた扉の開く音。その音のした方に顔を向ければそこにはーー……
「……」
赤黒い禍々しい鎧を纏った勇者が立っていた。