王女「魔王討伐から帰ってきた勇者様がすぐ死ぬんですけど!?」 作:名無し
レティ姫の悲鳴に会場は騒然となる。
「ど、毒……!?」
「な、なんだって!?おいおい僕さっきスープ飲んじゃったんだけど!?」
「ひいっ!こ、こんな毒入りスープいらないわ!」
「料理に毒を混ぜるなんてなんて非道なっ……!ま、まさか魔王の残党がこの中に……!?」
「うあああん!勇者さまああああ!!」
「こ、こんなところにいられるか!私は帰らせてもらうぞ!」
「皆様!落ち着いて!どうか落ち着いて下さい!」
「レティ姫!どうされました!?」
「王女殿下!一体何が……!」
そして姫の悲鳴を聞いて、混乱する人々を掻きわけて数人の近衛兵と会場にいた複数の神官たちがレティ姫と勇者の元に駆け寄ってくる。
「ひっ、ひっ!勇者様が……勇者様が!スープを飲んで、倒れて……スープに毒がっ!!」
「! なんとスープに毒が……!?」
「大神官様大変でございます!勇者様の息が……っ!」
「脈もありません!」
「なにっ!?」
「勇者殿!勇者殿!しっかりしてくだされ!!」
「なっ、なんてことだ……!皆の者!今すぐ蘇生術の準備を!!」
「「はい!!!」」
「姫様!こちらに!」
そうして神官達は勇者を床に寝かせ、蘇生の呪文を唱え始める。その鬼気迫る神官たちの姿を、近衛兵によって勇者から引き離されたレティ姫は恐怖で震える体で見つめながら思った。
(な、なんてこと……!ま、まさかこんなことになんて……!も、もしや勇者様が食事を取らなかったのは毒が入っていると気づいていたから……?そ、そんな……ワタクシのせいで勇者様が……!ゆ、許せない……!この世界を救った救世主である勇者様に毒を盛るなどと……!!必ず、犯人を見つけ出し、三日三晩凄惨な責め苦を味わせたのち城壁に吊るし、死んだあともその骸を晒してやろうぞ……!!)
そう、レティ姫が仄暗い決意を誓いかけた時。神官たちが歓声を上げる。
「おお!成功だ!!」
「勇者殿!ここがどこだかわかりますか!?」
「1たす1は!?」
「さん……?あれ、俺どうして神官に囲まれて……?」
「っ!ゆ、勇者様!良かった!生き返られたのですね!本当に良かった!!勇者様が毒入りのスープを飲まれて死んだ時はもう心臓が止まるかと……!」
「え?死……?あの、毒入りのスープって……?」
「覚えてらっしゃらないのですか!?勇者様は毒入りのスープを口にされた瞬間倒れられて……って、勇者様?」
「え、えっーと……あの……王女殿下、大変申し上げ難いのですが……」
レティ姫の言葉に勇者は罰が悪いような気まずいような顔をして、それから照れくさそうに口を開いた。
「……申し訳ありません。あまりにスープが美味しくて死んでしまいました」