王女「魔王討伐から帰ってきた勇者様がすぐ死ぬんですけど!?」 作:名無し
「! 勇者様!!ああ良かった!目を覚まされたのですね!」
「……ううん……?おはよう……ございます……?あれ、なんで王女殿下が俺の部屋に……?」
「ああ、それは薬草茶をお持ちしたからでーー……って、そうではなくて!勇者様、一体何があったのですか!?まさかまた死んでしまうなんて……!」
「え? 死ん……?え、俺また死んで……?」
「はい!ワタクシが部屋に来た時には既に死んでいて……ハッ!ま、まさか寝ている間に何者かに寝込みを襲われて……!?くっ!なんていうことでしょう!確かに魔王が討伐され、魔物の脅威がなくなった今、勇者様を疎ましく思う者もいると少し考えれば分かったはずなのに……!勇者様申し訳ありません!勇者様が死んだのはワタクシのせいなもの!どうかこの鞭でワタクシを罰して下さい!」
「む、鞭!?そ、そのような恐れ多いことは出来ません!そもそも死んだのは
「いいえ!警備を怠り、勇者様をみすみす殺されてしまったという罪を償うにはこれしかーー……多分?今多分っておっしゃいました?」
「はい、王女殿下。多分、俺…………ベッドが気持ち良すぎて死にました」
「……………」
レティ姫は黙った。目の前の勇者が冗談を言っているようには見えない。ロイドは至って真面目な顔で、ベッドに正座したままレティ姫を見上げている。
「……ええっと、勇者様」
「はい」
「ベッドが気持ち良すぎて死んだ、というのは……その……」
「ははは……はい。お恥ずかしながら実はこの十年間まともな場所で寝れたことがなくて……いつも吹きざらしの硬い地面で寝たり、沼地の中洲で寝たり、ひどい時だと魔物に囲まれながら寝ていたものですから……」
「ま、魔物に囲まれ……?」
「はい。だから昨日久々にまともな場所で、しかも硬い地面でなく、濡れてもない、ふわふわで、暖かくて、ほんのりいい匂いがする、まるで天国のような心地の良さのするベッドに横になった瞬間、フッと意識が遠退いて…………申し訳ありません、王女殿下。大変ご迷惑をお掛けしました」
「い、いえ!勇者様が暗殺されたわけじゃなくて安心しました! さあ、お顔をお上げになって下さい勇者様。実はワタクシ勇者様の為に二日酔いに効く薬草茶を持ってきていて……」
しょんぼりと申し訳なさそうに頭を下げる勇者に向けてそう慰めの言葉をかけたレティ姫は持ってきた薬草茶を勇者に勧めながら……そうして内心、思った。
(いっ……いやいやいくらなんでも普通ベッドで寝ただけで死ぬ!? いやそもそも昨日のスープが美味しすぎて死んだっていうのもよくよく考えたらおかしいですし! も、もしかして……この勇者ちょっとおかしいんじゃ……?)
――……世界を救った勇者に向けるべきではない疑念。だが、姫の懸念はすぐ的中することになる。