『卒業したら鴨川ジムに入会する、釣り船屋に正式に就職する』
それが一歩とおふくろさんと約束していた事だ。
ジムに行く日、釣り船屋で働く日等は俺と一歩で調整したい所だが、まだ船舶免許を持っていないため一歩とおふくろさんの負担がでかくなってしまう。
なので、朝の4時半に起きて船を出すための準備。
朝来た客への対応や荷物の搬入等が俺の何時もの仕事になった。
そこから朝のお客さんが帰った後の掃除、午後から来る客の為の準備。
客の入りや時間帯で変わるが、一歩が帰ってきたら今度は俺がジムへと。
ジムから帰ってきたら、夜釣りの客が来ればまたその対応。
営業が終われば明日の為に掃除や寄せ餌・釣り餌の準備・伝票整理等。
・・・おふくろさん、ずっとこれ一人でやってたらそりゃ倒れるわ!
そんな生活を1カ月ほど続けていたんだが・・・
山田直道君は特徴的な髪と眉毛、垂れ目と口元に感激して
「押忍!山田先輩!ご指導ご鞭撻のほどおなしゃす!」
と受け狙いで言ったらちゃんと受けた。本人以外にだが。
本人は終始わたわたして
「や、やめてください!普通!普通でいいですから!」
うむ、からかいがいのある男だ。
その後一歩がまた1ラウンドKOをして、B級へあがったり。
日本フェザー級王者である伊達選手は既に年内にベルトを手放す事を公言している。
恐らくそのまま世界ランカーと試合を組んで、リカルド・マルチネスとの勝負に臨むんだろうが・・・
そこまではまだいいんだ、原作でも似たような話だと思うし。
だけどさ・・・だけどもさ・・・!
なんで俺が一歩と共に伊達選手とのスパーリングパートナーとして指名されてんのさ・・・!
俺、伊達選手と接点ないよ!?階級も違うし実力どころか名前すら届かせて無いだろ!
プロデビューすらしてない若造・・・それどころかプロテストは一か月先だよくそが!
そう思って会長に直訴したら
「お主ならなんとかするじゃろ、折角のご指名だしいい勉強になると思って行ってこい」
ってさ・・・
「いいですよやったりまさぁ!(俺が)後悔しても知りませんからね!」
と、啖呵を切ったのだった。既に後悔してるがな!
本当に今更だが、俺が考える俺の強みは二つだ。
『原作キャラ達の知識、そこから予測する対処方法』
そして
『原作キャラ達のトレース』だ。
それらは一歩の為に活用するものだとばかり思ってたがまさかこんな訳の分からない状況で使うことになるとは。
原作通りに鷹村さんがフェードアウトして行ったスパー当日。
俺と一歩と山田で仲代ジムへと到着した、視線がきついぜ・・・あ、あのものすごく睨みつけて来てるのが沖田かな。
B級上がったばかりの一歩とデビューすらしてない俺にガン垂れるとか大人気ないな
山田君は脂汗流して震えてる。頑張れ。
一歩と二人で山田君を落ち着けようと話しかけてたら
「ぶはぁー・・・ぜー・・・ぜー・・・」
と入口から声がして伊達さんが入ってきた。
「おう、帰ってきたか。鴨川ジムの人たちもう来てるぞ」
「ん、待たせちまったか。すぐ準備するから始めようぜ」
そういって奥に引っ込んでいく伊達。
「おい、一歩。まずは俺からな」
「え?そこは弟子の僕からじゃないの?」
こやつ小粋なジョークまで言えるようになりやがって
「いやお前の後とか、伊達さんがしんどすぎるだろ」
一歩のほうも俺が冗談を言ってると思ったらしい
「あー・・・そっちの梅沢君?からでいいのかい?」
トレーナー・・・オヤッサン?が言ってくる。
「あ、はい。ご指名は俺と一歩ですよね?ならまずは俺からで」
さーて・・・今の俺が何処までやれるか。試させて貰いましょうか。
「でも、期待の新星。フェザー級最強の拳、クラッシャーって言われてる一歩はわかるんですけど、なんで俺までスパー相手に呼んだんですか?」
オヤッサンらしき人が
「あん?ジム関係者じゃ有名だぞ?その幕ノ内一歩の師匠にしてウェルター級世界王者を狙う若き破壊神って」
誇張されすぎだろどっから来た破壊神・・・!