はじめの一歩転生・・・こいつかよ!?   作:櫻13

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第十五話

今の俺が、自信を持って武器と言えるもの。

 

それはジャブのみだ。

 

フックやアッパー、右ストレートも使える事は使える、だが使えるだけでジャブ程練習していない。

 

顔を引き締めて、ジワリジワリと迫ってくる伊達さんに対して覚悟を決める。

 

見せてやるぜ俺のジャブ・・・そして

 

みさらせこれが『ジャブのバリエーション』だ!!!

 

 

 

再びドキュンという音を立てて撃ちだす俺のジャブに、即座に対応して正面から受けるのではなく横に弾いた。

 

そのまま懐に来ようとする伊達さんだが

 

戻し切らず、途中で止めて滞空させていた左拳を横っ面に叩き込む

 

つもりだったのに、どういうカンをしているのかガードされた。

 

だが、ガードさせて出来た時間にもう一度拳を構え、再び『偽・弾丸』を伊達さんのガードに撃ち込んで後退させる。

 

後退させられた伊達さんを見て、また周りがざわついているが俺にしてみれば説明は一言で済む。

 

そう、『偽・飛燕』である。

 

遠距離から『偽・弾丸』、中距離から『偽・飛燕』からの変化。

 

それが今、俺に出来る全力だ。

 

当然これだけで伊達さんをどうにか出来るなんて思っちゃいない。

 

適応され対応され、対処されてすぐにぶっ倒されるだろう。

 

だが、根性には自信がある。

 

何度ぶっ倒されようと3ラウンドやり切ってやるよ!

 

 

 

 

 

 

 

それから3度同じような事を繰り返し、1ラウンドが終わるゴングが鳴り響く。

 

コーナーに戻りながら

 

「ぶへぁ~~・・・」

 

と大きく息を吐く。

 

無理無理無理。何あの人、『偽・飛燕』をもう見切ってるんだけど!?

 

鴨川会長も言ってたが、『必ずストライクゾーンに来る』をもう理解して読み始めてるんだけど・・・!

最後のほうじゃもう、ガードじゃなくて抑えこんで来たし・・・

 

階級差があろうとも、『偽・飛燕』は手打ちの、無理やり手を止めて滞空させてから放つパンチだ、威力を補う技がまだ俺にはない。それもバレてる。

 

「凄いよ梅沢君!左手一本であのチャンピオンを封じ込めてる!」

 

「す、凄いっす!何やってるのか全然わからなかったけど!」

 

と、言ってくれる二人だが

 

「山田君はともかく一歩はわかってんだろ、このままじゃ無理だ」

 

「・・・そうだね、あの変則ジャブの軌道がほぼ見切られてる」

 

「ああ、小細工じゃあもう限界だ・・・でも俺には今、この左しかねぇ」

 

だから

 

「見せてやるよ・・・俺の根性ってやつをな」

 

 

 

 

 

カァン!

 

ゴングが鳴り2ラウンドが始まる。

 

立ち上がりはさっきと同じだ、伊達さんの顔つきが違う。

 

そして俺も違う顔つきをしているのだろう。

 

両者ともじわりじわりと距離を縮め、射程距離に入った瞬間に俺がジャブを撃つ。

 

それを今度はヘッドスリップで完全に躱され、懐に潜り込もうとしてきた。

 

当然予想していた俺は『偽・飛燕』の準備のために戻し切らずに滞空させていた拳を撃つ・・・が今度は違う。

 

身体を捻じり全力で踏み込み、右足の親指にあらんかぎりの力を籠め

 

「お・・・あ・・・がああああああ!」

 

全身を伊達さんに叩きつけるつもりで、伊達さんがパーリングしようとしていたグローブにねじ込んだ。

 

技が無いなら力で突破してやんよ!

 

そのまま足を滑らせ横のロープまで吹っ飛ばし、何も考えず追撃する。

 

とは言え、俺に出来るのはこのジャブのみ。

 

渾身の力を籠め、貯め、引き絞る。

 

腰を落とし体を崩し後ろに体重がかかっている今がチャンスだ!

 

俺が一番信頼している左ジャブを全力で叩き込む。

 

一瞬ギラついた伊達さんの目が見えたが、それでも止まらない!

 

ロープ際の伊達さんに『偽・弾丸』を放った次の瞬間

 

俺がマットに沈んでいた。

 

 

 

 

 

マットに沈み、地面が目の前にあるのを確認して俺は・・・

 

(何があった・・・!右は使わないと決めて右手でアゴはガードしていた、ボディだってカバーしていたはずだ!あの態勢から何を撃ってきた!?)

 

いや、腰を落としてたように見えていたが・・・まさか

 

(コークスクリューのタメを作ってたのか!それをジャブのカウンターになる形で、がら空きの心臓にハートブレイクショット・・・そこからの右か!?)

 

顔に痛み、脳に響く衝撃を今更感じた。

 

ああ、ああ。それでこそだ・・・

 

これでこそ日本王者伊達英二!

 

こんなポッと出の若造にいいようにやられる訳が無いよな!

 

コーナーに悠然と背中を預け、こちらを見下す伊達さんを視界に入れ。

 

「フォー!」

 

カウントが耳に入り、立ち上がろうとするが

 

「もう少し、もう少し休んで!」

 

「梅沢さんしっかりー!」

 

カウントと共に声援が聞こえる。

 

「すぅーーーーーーーーーーーはぁーーーーーーーーーーー」

 

深く、深く息を吸い、また深く息を吐く。

 

「エイト!」

 

カウントを確認して立ち上がる。

 

「大丈夫です、やれます」

 

ファイティングポーズを取り、アピールする。

 

まだ、こんな所で終われねぇよなぁ。

 

根性を見せる為、一歩と肩を並べて歩く為。

 

この王者に・・・一泡吹かせてやるよ!

 

 

 

 

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