原作ではジャブの打ち方の教授?で木の葉を摑み取りさせていた鷹村だが。
一歩に聞いた限りでは本当に偶然の出会いだったらしい。
鷹村のカリスマとも言うべき存在感の強さ。
それを一歩の脳に焼き付きるだけ焼き付けて去ったわけだ。
一歩に聞いた話ではテストとかの話も何も無く、話すきっかけはただ単純に
『散歩中に出会ったんだ。』
そして雑談しながら、ダッシュとシャドーをする所を見せられただけ、らしい。
あの鷹村の『強さ』を見せつけられれば脳を焼かれても仕方ない。
で、今に至ってる訳だが・・・
「その、鷹村さんと同じジムに入門するのか?鴨川ジムだったか」
「うん。卒業までに走り込みとか、筋トレとか体作りをしてから行くつもりだよ」
ふむ。となると、俺にできるのは・・・アレかな。
未来知識なんて大層なものじゃないが、成長の阻害をせず、ボクシングに変な癖を付けず、基礎能力を上げるトレーニング。
「おし、俺もトレーニングとしていくつか考えてる事があるんだ、お前も付き合ってくれないか?」
快諾してくれた一歩と一緒に放課後スポーツ用品店に行く。
一歩と共にボクサーを目指すと決めてから、ずっと考えていた事だ。
『純血のインファイター』。
鍛錬に鍛錬を重ね、技を骨肉に刻み、血を濃くし、行きついた鴨川会長の答え。
だけれど、通常の練習でも試合でも、とにかく頭部と顔面への被弾が多い。
記憶に残ってるのは千堂との『ララパルーザ』だが、それ以外にも多数。
引退後の世界では、セコンドとして洞察力を見につけボクサーとしてのテクニックは数段上がった描写があったが、今それを求めるのは無理だろう。
なら今できる、俺が提案しても問題ない範囲で基礎能力の底上げをする。
というわけで。
「あったあった、アンクルとウェイトリスト」
そう、これだ。今から始めてその重さと生活に慣れたなら。
そしてその強靭な体幹を、鴨川会長の指導でさらに伸ばせたなら。
もっと防御の練習が出来るはずだ。
打たれる前に打つの完成系に近づけるはずだ。
なんて事を考えながらうんうん頷いていた。
「えーっと・・・これを付けてトレーニングするって事?」
「トレーニング中に付けるのは勿論だが、日常生活でも常に付ける」
「常に!?500gでも結構重い気がするんだけど・・・出来るかなあ」
不安そうにしている一歩を見て、俺は言う。
「まぁ、俺もやるからよ。まずは頑張ってみようぜ」
そう言って、ネットや本で調べてきたトレーニング方法をメモした紙を渡す。
「慣れないうちはとにかくゆっくり。トレーニング中はともかく、日常生活では
身体の芯に負荷をかけるイメージで、ゆっくり無理なく動くんだ」
原作知識も交えつつ、説明する。
俺は自分の知識というか、原作を絶対視していない。
ここって少年漫画の世界だからなぁ・・・と身も蓋も無い事もよく考えてしまう。
だから自分の身体を実験台にして、成果のあった物を一歩にも勧める予定だ。
見栄を張って1個1kgの・・・両手両足合計4kgのウェイトを身につけながら
(やっべ、甘く見てた・・・!)
と後悔しながらも、俺は行く。