一歩と共に基礎トレーニングに明け暮れてから3か月がたった。
何時もの河原を走った後に
なにこいつ・・・フィジカルおばけかよ・・・!!
俺は一個2kgのウェイト・・・合計8kgでひぃひぃ言ってるのに!
あいつ、さらに重りを買い足して一個3kg、合計12kgで平然と日常生活を送ってやがる・・・!
でも悔しいからポーカーフェイスで涼しくやり過ごすぜ。
しかも今朝
「アンクル、あと1kg増やしてもいいかも」
とか言いやがって。
いや、そこにもモノ申したい事が多数あるが、今俺が考えている事は
(そういや、卒業するまでは基礎トレで体づくりって言ってたよな・・・)
である。
この時期に鴨川ジムに行っていないって事はつまり。
『宮田との出会い、スパーリング、からの因縁』
『新人王決定戦どうなんの!?』
『間柴兄妹との出会いとかそこから始まるあれやこれ』
それらが全部無くなるっていう事実に愕然としているわけだ。
同期、同年代、って事なら俺が宮田や間柴ポジションになれるかもしれないが。
はっきり言って無理だ。
千堂に関しては、フェザー級でボクシングをしているならば。
かならずやりあう事になるだろう。
それも日本チャンピオンを決める大舞台で。
だが俺は、同門になる予定だし目的が違う。
同門では、当然だが公式の試合で雌雄を決する!なんて出来ない。
俺の最終目標は、極論ではあるが行きつく所は
『俺の考える最強の一歩とリカルド・マルチネスとの決戦』。
『一歩が引退せず、成長を続け、ボクシングを続けていたらどうなるか?』
俺はいつもそんなことを夢想していた。
とはいえ、同じ今を生きている一歩に、俺の理想の『一歩』を押し付けるつもりは無い。
だが、それでも・・・それでもだ。
『俺』という存在のせいで一歩の未来が変わったのは事実。
得るはずだったライバルを失い、得るはずだった数多くの縁を失わせた。
考えて考えて、一緒にトレーニングをするようになって。
一歩の家にお邪魔させてもらえるような仲になって。
俺自身も原作でやっていた、俺一人でもやれるトレーニング・・・プールや、タイヤを使った疑似薪割り。
そういうトレーニングで効果の高い物を模索しているんだが、一歩に勧められるかと言うと難しい・・・
そんな事を、悶々と考えながらトレーニング後のストレッチをしていると一歩から話しかけてきた
「どうしたの?梅沢君。そんな思いつめた顔して。味噌汁のアサリに砂が混じっててガリって咬んだ時みたいな顔してるよ」
「どんな顔だよ?いやそんな顔見せた事あったか?」
「ウチに来た時に、晩御飯でしてたよ」
「まじかよ・・・絶対おふくろさんにもバレてんじゃん」
俺のポーカーフェイスはザルだったらしい。