転スラメインで書きはするのですが、気分転換でそっちも投稿していく予定です。興味がありましたら是非閲覧して下さると嬉しいです。
『―吿。〈魔王への進化〉に成功しました』
その瞬間、だんだん意識が戻ってきた。
「うーん………ん?」
なんか、声が聞こえた気がしたんだけど。
ゆっくり目を開くと、困惑しているように見えるヴェルザとルシアが視界に入った。
「!ヴェルダナーヴァ様、ライムさんが目覚めました!」
「お、ようやくお目覚めか。ひとまず安心したよ」
…あれ、私、結局あの戦場で眠っちゃったんだっけ。
「ヴェルザードから状況を聞いてね。僕が迎えに行ったんだけど、いくら呼んでも君が目覚めないものだから」
「あ、ナーヴァが運んでくれたんだ。サンキュ」
「軽くない?」
すると、呑気なナーヴァを退けて、ルシアが私の前に出た。
「それにしても、無茶はしないで下さいね、ライムさん!
無理に単独で向かわなくても良かったじゃないですか!
私だって、一応強い魔法使いなんですよ?
もっと頼ってくれても良かったのに!」
憤慨するルシア。だが、頬を膨らませている仕草も加えて怖いという感情が微塵も湧かない。だって可愛いもん。
(確かに、ルシアも強いんだけどね)
だけど、ルシアは一応、国の姫君だ。
出来る事なら戦場に連れ出したく無いんだよ。頼む、分かってくれ。
「まぁ、これからは報連相を大事にするよ。今回の件に関しては反省の余地ありだね、ごめん!」
ともあれ、一件落着かな。良かった良かった。
私がそう能天気に状況を捉えていると、みんなが気まずそうに顔を見合わせ始めた。
(…え、どうしたんだろ?)
「それと、ライムさん。…どうしても伝えなきゃいけない事実があるのですが…落ち着いて聞いてくれますか?」
ルシアが代表して尋ねてきた。
「勿論!なんせ、私は2億年も生きてるからね。そうそう驚くような事は無いって」
「世間ではそれをフラグというらしいよ、ライム」
ナーヴァがなんか言っているが、無視しておこう。
「あの…では、言いますね」
ルシアはそう切り出した。
「ライムさん、貴方は魔王に進化しました」
「あー、魔王ね!なるほど、OKOK…」
………って、
「ま、魔王になったぁぁぁぁ!!??」
「見事なフラグ回収おめでとう、ライム」
と、ナーヴァの呆れ声がはっきり聞こえた。
*
ここからは我らが『助言者』さんに詳しく説明してもらおう。
『―解。個体名ライムは、進化に必要な人間の魂を取得。
元々【魔王種】の称号も獲得していた事から、進化の条件を満たす事に成功。覚醒魔王へと無事に進化完了しました』
…ははは。もう笑うしかないね。
聞けば、【悪魔公】は魔王に匹敵する位階だったらしい。
まさか私が魔王になるなんてね。想像しなかったよね。
「いやぁ、僕も前例を見た事が無いから、流石に驚いたよ。
でも、受肉も成功しているみたいだし、大戦の火種も消し去る事が出来た。
結果オーライなんじゃないかな?」
…ナーヴァの発言がまるでキュウ●ェだ。不思議。
「言われてみれば、確かに受肉してるね」
これに関してはどういう事なのかな?
『―解。大量の人間の魂を取得した事により、受肉を果たせました。また、既に貴方には"名"があるため、受肉が安定。
今後はこの肉体で問題無く活動が出来るでしょう』
へぇ、すっげぇや。
ゴーレムかなんかで肉体を代用しようかとも考えていた時期だし、丁度良くはあったかもしれない。
『―また、新たに『魔王覇気』、『万能結界』、『各種属性攻撃耐性』を獲得しました。これにより、[神聖魔法]以外の攻撃は全て無効化する事が可能となりました。
…ですが、『概念之王』の権能にて、[神聖魔法無効]の概念を生み出す事も可能ですし、意図的に弱体化させる事も出来ます』
じゃあ、いくら新しいスキルを獲得しても『概念之王』の権能があるから意味無いじゃねぇか。
面白く無さすぎだろ。
「ともかく、魔王なんてまっぴらだね。私は平凡に生きたいんだからさ」
「そのチートスキルを有している時点で平凡じゃない気がするんだけど」
「ちょっと黙ろうか、ナーヴァ」
寝て起きたら魔王になってました、なんて馬鹿げてる。
私は別に魔王になりたくてなったわけでは無いのだから。
『―吿。本人の意思とは無関係に進化は進行されます。
ただし、『概念之王』で改変可能です。
元に戻りますか?―YES/NO』
そりゃあ勿論、YE…
「………いや、待てよ」
「?どうしたの、ライム?」
ヴェルザが首を傾げて尋ねる。
「この、"魔王"という称号を駆使して、人類の管理者として纏め上げれたら…効率良くない?」
突如閃いたアイデアを口に出す。
「まぁ、確かに悪い案じゃないね。
恐怖で支配する形にはなるかもしれないけど…」
ナーヴァは同意のようだ。続けて考えを色々提示してくれる。
「1つの国家では到底立ち向かえない脅威が誕生したとなれば、各国の人類が協力して対策を練ろうとするはず。
そこから築ける友好関係もあるだろうし、損失を出したくないだろうから無駄な戦争も無くなるんじゃないかな」
なんて都合が良いのだろうか。
「なら、このまま生きるか!」
『助言者』には(NO!)と心の中で先程の案を断っておいた。
『…了』
若干呆れていたけれど。
*
―この日、後に人類共通の脅威とされる魔王が誕生した。
その名も『ライム・アナスタシア』。
"始まりの魔王"である。
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