ライムの見た目をアナログ絵で掲載してみたので、興味がありましたら閲覧してみて下さい。
…が、皆さま特有のライムの固定イメージがありましたら、俺のイメージに囚われずにそのまま読んでほしいです。
あくまでも俺のイメージだし、固定観念を押し付けるのは違うと思うから。
興味があるという方は、作者ページの上部にある、[その他]→[画像一覧]で覗いてみて下さい。
ルシアが居る部屋から離れたところで待機していると、ヴェルザが声をかけてくれた。
「ライム!生まれたわよ!」
「―!」
急いで駆けつけると、ルシアが満面の笑みで子を抱えていた。
ルシアによく似ている、桃髪でシアンの瞳の可愛らしい女の子だ。
「おめでとう、ルシア!」
「ありがとうございます…!ライムさん…」
ルシアは嬉しそうにしているが、体力的に随分弱っていた。当たり前か。
むしろ、よく耐えているというべきだろう。
それほどまでに、ルシアの生命力は衰弱しきっていたのだから。
「…で、ちゃんと良い名前考えたんだろうね、ナーヴァ?」
隣で微笑んでいるナーヴァに問いかける。
「まぁね。ルシアと話し合って、納得のいく名前が思い浮かんだよ」
ナーヴァはルシアが抱えている子の頭をそっと撫でた。
「…そっか」
「…この子の名前は、『ミリム・ナーヴァ』。僕達の大切な娘の名前だよ」
その瞬間、ナーヴァの生命力が失われた代わりに、ミリムに激的な力が宿る。
「…僕達は、この子の成長を見届ける事は出来ないから」
ナーヴァは、残る自身の生命力を集め、1体の子竜を産み出した。ナーヴァの竜の形態に似ている、小さな竜。
「2人が居るから大丈夫だとは思うけど…ミリムの友達として、側に居れるように」
「…全く。最期まで心配性だなぁ」
その子竜を、ナーヴァは私に預けた。
「…ルシアの事、1人にさせたら許さないからね」
「勿論だよ」
ナーヴァとルシアは手を優しく取り合った。
「ライムさん、ヴェルザード様。本当にありがとう」
「これからは任せたよ、2人共」
*
―ナーヴァとルシアが眠りについてから、少しの月日が経った。
改めて、周りが静かになった事を実感する。
(…いつもそうだ)
ついこの間まで、一緒に時を過ごしていたはずの大切な人が居なくなる、なんてのは。
私は、いつも見送る側だった。
いくら概念を好きに変えられる超能力者の私でも、「死にたい」という願いは叶える事が出来なかったから。
友人が息を引き取る最期のその瞬間を、何回も何回も見届けてきて…
「―ライム?」
「!」
声に気づいて背後を振り返ると、ヴェルザが心配するように私の顔を覗いてきていた。
「あ…ごめん。少し考え事してて」
「平気なら良いんだけど…それ、今にも暴発しそうよ」
「へっ?」
手元にある、先程から調合していた薬に意識を移す。
怪しげな光を放ち出していた。
(どうせなら、もっと早く言ってほしかったなぁ…)
諦めムードに入り、私はそのまま爆発を受け入れた。
*
「…最近、ぼーっとしている事が多くなったわね。貴方が物思いに耽るなんて珍しい」
「ねぇ、それ皮肉だよね?」
ヴェルザがハーブティーを淹れてくれた。
…ん?爆発はどうしたんだよ、だって?
あんなので怪我なんか負うわけないじゃないか。
特に何も無かったから、カットさせてもらったよ。
「…確かに、本調子ではないかもね。
大切な人との別れ、っていうのは、何回遭遇しても慣れないし、辛いものだよ」
ハーブティーに映った私の顔は、情けないものだった。
―そんな時。
「ライム姉様!一緒に遊ぼうなのだ!」
「うg」
突如聞こえてきた明るく陽気な声に反応し、振り向いた瞬間。
凄まじい速度で激突された。
「ライム!?」
ふっ飛ばされた私を見て、ヴェルザが驚愕の声をあげている。
激突してきたのは、ミリムだった。
無邪気に笑って、私に抱きついてきている。
その隣には、あの子竜も翼を広げて飛んでいた。
「…あっははは。元気が有り余ってるねぇ、ミリムは」
つい、おかしくて笑ってしまった。
「む?何を笑っているのだ?」
不思議そうに顔を傾げるミリム。
「いやぁ、つい面白くてね。…おかげで元気貰えたよ。ありがとう」
そう言ってミリムの頭を撫でてやると、嬉しそうに笑ってくれた。
…ミリムは、ナーヴァとルシアの顔を知らない。
生まれたばかりであまりにも幼い時に、逝ってしまったから。
ミリムだけじゃない。あの2人の顔を鮮明に覚えている者は決して多くはないし、いずれ、更に減っていってしまう。
なら、あの2人が生きた証は、私が大切にしないと。
―それが、未来永劫生き続ける運命を背負った、私の役目だ。
「…よし。じゃあ、何して遊ぶ?ミリム」
私は起き上がって、ミリムに尋ねた。
「あ、でも、帰ったらきちんとお勉強はしようね」
「ぬわっ!」
露骨にショック受けるじゃん。
「逃げちゃ駄目よ?貴方、いつも駄々を捏ねて勉強してないんだから」
ヴェルザもきっちりと釘を刺す。
「ゔ〜…分かったのだ」
「うむ。分かったのなら宜しい」
ミリムの小さな手を取って、広い草原に向かって歩き出した。
*
ミリムと遊び終わり、夕暮れが近づいてきた頃。
「…ミリムは天真爛漫すぎてさー、本当に世話が焼けるよ。おかげさまで、最近退屈してないけどね」
なんて独り言を呟きながら、2人の墓石に手を合わせた。
ナーヴァと最期に2人きりで話したあの丘の上に、ひっそりと建っている。
「…よいしょ、っと」
私は魔法を使い、この辺り一帯に、ある花を咲かせた。
淡い紫色の、"シオン"という花だ。
「心配しないで見守っててよ。まぁ、私の事だし、たまに大きなやらかしするだろうけどさ。ナーヴァが託した思いは、私が受け継ぐよ」
それだけ伝えて、私はその場を後にした。
ライムは、不老不死の権能を誰かに与える事が出来ますが、ナーヴァとルシアにはそれをしませんでした。
不老不死の辛さはライムが1番身を持って知っているので。
呪いを背負うのは私だけで充分、と、ライムはそんな思いを心の内に秘めているらしいです。
シオンの花言葉…「あなたを忘れない」「追憶」