気まぐれで原初を育てたら溺愛されました   作:礼夢

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作者ページと言えば良いのだろうか?
ライムの見た目をアナログ絵で掲載してみたので、興味がありましたら閲覧してみて下さい。
…が、皆さま特有のライムの固定イメージがありましたら、俺のイメージに囚われずにそのまま読んでほしいです。
あくまでも俺のイメージだし、固定観念を押し付けるのは違うと思うから。

興味があるという方は、作者ページの上部にある、[その他]→[画像一覧]で覗いてみて下さい。




story15

ルシアが居る部屋から離れたところで待機していると、ヴェルザが声をかけてくれた。

「ライム!生まれたわよ!」 

「―!」

急いで駆けつけると、ルシアが満面の笑みで子を抱えていた。

ルシアによく似ている、桃髪でシアンの瞳の可愛らしい女の子だ。

「おめでとう、ルシア!」

「ありがとうございます…!ライムさん…」

ルシアは嬉しそうにしているが、体力的に随分弱っていた。当たり前か。

むしろ、よく耐えているというべきだろう。

それほどまでに、ルシアの生命力は衰弱しきっていたのだから。

「…で、ちゃんと良い名前考えたんだろうね、ナーヴァ?」

隣で微笑んでいるナーヴァに問いかける。

「まぁね。ルシアと話し合って、納得のいく名前が思い浮かんだよ」

ナーヴァはルシアが抱えている子の頭をそっと撫でた。

「…そっか」

「…この子の名前は、『ミリム・ナーヴァ』。僕達の大切な娘の名前だよ」

その瞬間、ナーヴァの生命力が失われた代わりに、ミリムに激的な力が宿る。

「…僕達は、この子の成長を見届ける事は出来ないから」

ナーヴァは、残る自身の生命力を集め、1体の子竜を産み出した。ナーヴァの竜の形態に似ている、小さな竜。

「2人が居るから大丈夫だとは思うけど…ミリムの友達として、側に居れるように」

「…全く。最期まで心配性だなぁ」

その子竜を、ナーヴァは私に預けた。

「…ルシアの事、1人にさせたら許さないからね」

「勿論だよ」

ナーヴァとルシアは手を優しく取り合った。

「ライムさん、ヴェルザード様。本当にありがとう」

「これからは任せたよ、2人共」

 

*

 

―ナーヴァとルシアが眠りについてから、少しの月日が経った。

改めて、周りが静かになった事を実感する。

(…いつもそうだ)

ついこの間まで、一緒に時を過ごしていたはずの大切な人が居なくなる、なんてのは。

私は、いつも見送る側だった。

いくら概念を好きに変えられる超能力者の私でも、「死にたい」という願いは叶える事が出来なかったから。

友人が息を引き取る最期のその瞬間を、何回も何回も見届けてきて…

「―ライム?」

「!」

声に気づいて背後を振り返ると、ヴェルザが心配するように私の顔を覗いてきていた。

「あ…ごめん。少し考え事してて」

「平気なら良いんだけど…それ、今にも暴発しそうよ」

「へっ?」

手元にある、先程から調合していた薬に意識を移す。

怪しげな光を放ち出していた。

(どうせなら、もっと早く言ってほしかったなぁ…)

諦めムードに入り、私はそのまま爆発を受け入れた。

 

*

 

「…最近、ぼーっとしている事が多くなったわね。貴方が物思いに耽るなんて珍しい」

「ねぇ、それ皮肉だよね?」

ヴェルザがハーブティーを淹れてくれた。

…ん?爆発はどうしたんだよ、だって?

あんなので怪我なんか負うわけないじゃないか。

特に何も無かったから、カットさせてもらったよ。

「…確かに、本調子ではないかもね。

大切な人との別れ、っていうのは、何回遭遇しても慣れないし、辛いものだよ」

ハーブティーに映った私の顔は、情けないものだった。

―そんな時。

「ライム姉様!一緒に遊ぼうなのだ!」

「うg」

突如聞こえてきた明るく陽気な声に反応し、振り向いた瞬間。

凄まじい速度で激突された。

「ライム!?」

ふっ飛ばされた私を見て、ヴェルザが驚愕の声をあげている。

激突してきたのは、ミリムだった。

無邪気に笑って、私に抱きついてきている。

その隣には、あの子竜も翼を広げて飛んでいた。

「…あっははは。元気が有り余ってるねぇ、ミリムは」

つい、おかしくて笑ってしまった。

「む?何を笑っているのだ?」

不思議そうに顔を傾げるミリム。

「いやぁ、つい面白くてね。…おかげで元気貰えたよ。ありがとう」

そう言ってミリムの頭を撫でてやると、嬉しそうに笑ってくれた。

…ミリムは、ナーヴァとルシアの顔を知らない。

生まれたばかりであまりにも幼い時に、逝ってしまったから。

ミリムだけじゃない。あの2人の顔を鮮明に覚えている者は決して多くはないし、いずれ、更に減っていってしまう。

 

なら、あの2人が生きた証は、私が大切にしないと。

―それが、未来永劫生き続ける運命を背負った、私の役目だ。

 

「…よし。じゃあ、何して遊ぶ?ミリム」

私は起き上がって、ミリムに尋ねた。

「あ、でも、帰ったらきちんとお勉強はしようね」

「ぬわっ!」

露骨にショック受けるじゃん。

「逃げちゃ駄目よ?貴方、いつも駄々を捏ねて勉強してないんだから」

ヴェルザもきっちりと釘を刺す。

「ゔ〜…分かったのだ」

「うむ。分かったのなら宜しい」

ミリムの小さな手を取って、広い草原に向かって歩き出した。

 

*

 

ミリムと遊び終わり、夕暮れが近づいてきた頃。

「…ミリムは天真爛漫すぎてさー、本当に世話が焼けるよ。おかげさまで、最近退屈してないけどね」

なんて独り言を呟きながら、2人の墓石に手を合わせた。

ナーヴァと最期に2人きりで話したあの丘の上に、ひっそりと建っている。

「…よいしょ、っと」

私は魔法を使い、この辺り一帯に、ある花を咲かせた。

淡い紫色の、"シオン"という花だ。

「心配しないで見守っててよ。まぁ、私の事だし、たまに大きなやらかしするだろうけどさ。ナーヴァが託した思いは、私が受け継ぐよ」

それだけ伝えて、私はその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 




ライムは、不老不死の権能を誰かに与える事が出来ますが、ナーヴァとルシアにはそれをしませんでした。
不老不死の辛さはライムが1番身を持って知っているので。

呪いを背負うのは私だけで充分、と、ライムはそんな思いを心の内に秘めているらしいです。

シオンの花言葉…「あなたを忘れない」「追憶」
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