原初は暫く来ないでくれ頼むから。
最近の長髪ブロで既に破産してるから!!
―拝啓、読者のみなさまへ。
いかがお過ごしでしょうか。
私はというと、ミリムに猪突猛進されたり、子竜に頭をかじられたりされているものの、調停者の仕事を遂行しようと頑張っています。
元気なミリムを見ていると、毎朝寝起きに核撃魔法をプレゼントしてくれたジョーヌの顔が思い浮かぶよ。ははは…
*
「ライム、ちょっと相談があるのだけど」
「はーい、どしたの?」
ヴェルザと向かい側の椅子に腰掛けて、話を伺う。
「そろそろ、私達も動き出すべき時なんじゃないかな、と思っているのだけれど」
「動き出す?」
まぁ、確かにぶっちゃけ、今の状況は半ニートだ。
世界の管理こそしているものの、後は食べて遊んで寝る。
…生活習慣見直すと、改めて酷いな。
「貴方なんて、既に受肉を果たしているんだし、もっと世界をその目で見ても良いんじゃないか、って考えたのよ。
兄様との視察以外では、貴方、外に出たがらなかったでしょう?」
「ごもっともだね」
だがな、ヴェルザよ。
それだと、まるで私がナーヴァ達と喜んで外出したみたいな文になっているじゃないか。
アレだってナーヴァに無理矢理連行されただけなんだぞ?
「…でも、確かに。私はもっと世界を知るべきかもね」
見て、聞いて、触れて。
そうやって体験する事が、今の私にとって、何よりも重要な事なのかもしれない。
ただ、心当たりは…
「ミリム、どうするよ」
2人から預かったミリムと子竜。
連れて行くべきだろうか?
どちらにせよ、まだ幼いミリムを残していくのは…
そう思っていたのだが、ヴェルザから返ってきた返事で、不安は一気に吹き飛んだ。
「貴方は時間の感覚が狂ってるから気づいていないだけで、既に15年経ってるのよ。
そろそろ自立の時よ、ライム」
「…嘘だぁ…」
あれかな、歳をとると時間の感覚が早く感じるってヤツ。
遂に私にもそれがきてしまったのだろうか?
「私も少し、気になる存在とかあるしね。伸び伸びと世界を周ってみるわ」
ヴェルザに関しては、ナーヴァ、ルシア、私の知的好奇心特盛りあたおかトリオを纏めてくれてたしな。
今まで苦労をかけまくってしまいすんません。
「ライムも、責任感に縛られすぎないで。
ライムも心残り、あるんじゃないの?」
ヴェルザは私の腕輪を指差した。
「…そっか。そうだよね」
ルージュ、ブラン、ノワール、ヴェール、ジョーヌ、ヴィオレ、ブルー。
あの子達は今頃どうしているのだろうか。
この世界の管理を任されてはいたが、魔界への干渉はナーヴァによって禁じられていたから、現状を確かめる術は無かった。
だけど、この機会なら…
「みんなを、探しに行ける」
ヴェルザは満足そうに頷いた。
「私も、貴方に聞いた情報を元に、捜索してみるわ。
ライムは私にとって、かけがえのない友人だもの」
「うぅ…ヴェルザぁぁぁ!」
この優しさに何度助けられてきた事やら。
私も、ヴェルザにとって相応しい友人で在り続けられるように努力しなきゃな。
*
「…てなわけで、私は今日から旅に出る!」
翌朝、ミリムと子竜にそう宣言した。
「…え"ぇぇぇぇぇ!?どどど、どういう事なのだっ、ライム姉様!?」
うむうむ。ナイスリアクション。
てか、ミリムにちゃっかりと姉呼びされてるんだよな。
見た目が若いからか?おばちゃんよりはマシだけど。
…気を取り直そう。
「私は人…じゃないな。悪魔探しの旅に出るから。
ついでに、人類のありとあらゆる国家とかに潜入できたら面白いんだけどねぇ…」
「ライム、悪い笑みが溢れてるわよ」
まぁ、これでも一応魔王ですからね。
「人間にも勿論興味があるよ。この世界の文化とか、未知の魔法とかはこれからも研究していくつもりだし」
フリーレ●みたいな事言ってるけど、これに関しては冗談抜きだったりする。
「そ、そうか…けど…」
ミリムは俯いてしまう。
「ヴェルザードも何処かに行ってしまうのだろう?
なら、ワタシはこれからどうすれば…」
弱気になってしまったミリム。
私はミリムの手をそっと握った。
「大丈夫。此方、着いてきて」
*
ミリムとヴェルザを連れて転移してきたのは、発展途中のとある集落。
「?此処は一体何処なのだ、ライム姉様?」
ミリムは状況が読み取れず困惑している。
「此処は、ナーヴァ…つまり、ミリムのお父さんを信仰している民達の集落だよ。
ミリムの事も当然知ってる。だから、困った事があればこの人達を頼ると良いよ」
私は『空間収納』からアクセサリーを取り出した。
ナーヴァと以前創った、魔物の牙を加工したネックレスだ。
ミリムにつけてあげると、それはそれは嬉しそうにしている。
見てるか、ナーヴァよ。
喜んでくれてるぞ、プレゼント。
「ミリム。なにも、これが一生のお別れってわけじゃないからね。
私はいつでもミリムの事を大切に思ってる。
だから、次また会う時は、今よりももっと立派になったミリムを見せてくれると嬉しいな」
ミリムはいつもの笑みを取り戻すと、
「…分かったのだ!約束なのだぞ、ライム姉様!」
と、拳を向けてきた。
「良いよ。私は約束は果たす魔王だからね!」
そう言って、私はミリムとグータッチを交わした。
*
「…よし、そろそろ行くかな」
私はヴェルザと別れ道に立っていた。
「これからも文通でやり取りしましょうね」
「私は忘れそうだし…ヴェルザから送ってもらえるとありがたいかな。…じゃあ、またいつか」
「ええ。また会いましょう、ライム」
それだけ言葉を交わし、私達は別々の道へと歩き出した。
個人的にはナーヴァとライムのペアが書いていてとてもお気に入りでした。
また閑話か何かで登場させたいね。
ちなみに、ミリムにあげたアクセサリーは、原作の通常衣装で身につけているものです。
あ、今回で第1章終わりね(唐突)