原初達のオリジナル会話聞けるじゃないですか。
最高だよありがとうございます公式様
1人旅に出て、数年が経過した。
計画性なんて皆無。しかも目的も特に無い、気楽な旅。
だが、『助言者』(愛称:先生)と話しながら旅する道中は、それだけで充実したものだった。
…当然、調停者としての仕事もしていますとも。
決して遊んでばかりじゃないよ?
「いやー、今日も平和だねぇ、先生」
なんて気さくに話しかけたその時、
『―吿。近くで魔素の乱れを感知。様子から、戦闘状況だと推測します』
…との報告で、一気にテンションが下がった。
「あのさ。一瞬で私の意見を真正面から否定してくるの、やめてくれない?傷付くんだけど…」
この世界、私に厳しくないかな?
…まぁ、良いや。
気を取り直して、『魔力感知』の探索範囲を広げる。
(…これか。瀕死の魔物に、大勢の荒くれの人間…)
見るからに、人間側が魔物を痛めつけて楽しんでいるみたいだった。なんて趣味が悪いのだろうか。
「どれ、助けに行きますかぁ」
『―了。『空間移動』を発動します』
助けるのに理由なんて必要ない。
私は私らしく、気まぐれで行動させてもらいますか。
*
「…どれどれ」
近くに転移し、様子を観察してみる。
ボロボロの魔物は、見た事が無い種族だった。
だが、限りなく人間に近しい外見をしている。
(先生、何の種族か分かる?)
『―解。希少種族の【地底人】です。戦闘を好まない種族で、知性に長けています』
なるほどね。って事は、地底人側から手を出した、という可能性はあまり無いと見ていいか。
「なら、私が味方するのは魔物のあの子に決まりだね」
*
―同時刻
〈地底人side〉
「はぁ、はぁ…」
―痛い。苦しい。
生きてみんなの元に戻らなければならなかったのに…
どうやら、不可能みたいだ。
『姫様、どうかお逃げ下さい!』
『此処は俺達が!』
…せっかく、みんなが命懸けで逃がしてくれたのに。
(…せめて、最後の姫として、誇り高く死のう)
私は決意を固め、武器を強く握った。
「親分、此奴既に虫の息ですぜ」
「あの国は今日から俺達のモノだ!」
私達が何をしたというんだ。
ただ、大人しく、誰にも迷惑をかけないよう隠れて暮らしていただけなのに。
国の資源目当てで攻めて来て、私の仲間達を次々と殺していったこの人間共を、私は心の底から許せなかった。
「お前は死ね!」
「―っ!」
頭上に向かって鋭く振り下ろされる斧。
咄嗟に武器で防御したが、儚く砕けてしまう。
(もう、駄目だ…!)
覚悟をして目を瞑った次の瞬間。
グシャリ、という鈍い音が聞こえた。
「…え?」
恐る恐る目を開くと、其処には可憐な少女が私を庇うようにして立っていた。
そして、無惨な姿になっている人間達。
(もしかして、このお方が助けてくれたの…?)
―私には、そのお方が女神様のように見えた。
*
〈ライムside〉
…やっちまった☆
少し『重力操作』で地面に押し付けようと思っただけなのだが、勢い余って手加減をミスってしまった。
非常にグロテスクな光景が眼下に広がっている。
『…』
(何その無言の圧!?止めて!)
今後の反省に生かさなければ…と、私は深く心に留めておく事にした。
「あ、貴方様は…?」
地底人が驚いた様子で私を見ている。
華奢な顔立ちだ。
長い金髪に、月の形をした綺麗な髪飾りをつけている。
(ただ…相当重傷だなぁ…)
出血が相当酷い。もう死にかけだろう、コレ。
私は、地底人に向かって手を振りかざした。
「よっ、と」
『完全治癒魔法』を施すと、傷が全て、一瞬にして塞がっていった。効果は抜群みたいだな、よしよし。
「!?」
地底人は更に驚いた様子で、自身の肉体を不思議そうに観察している。
生還は絶望的みたいだったし、今の状況が信じられないのも無理はないかな。
「た、助けて頂きありがとうございます!」
「あー、そんなの良いって」
突如平伏してくる地底人。
ただの気まぐれで助けただけなのだから、そこまで感謝されると後ろめたさがある。
「貴方様の事は、なんとお呼びすれば宜しいでしょうか?」
魔物なら、名前が無くても大抵の意思疎通は出来るはずなんだけどな。まぁ、良いか。
名前を教えれば、少しは緊張が解けるかも…?
「じゃあ、名乗ろうか。私はライム・アナスタシア。
一応魔王をやらせてもらってるよ。宜しくね」
「ま、魔王様!?お目にかかれて光栄で御座います!」
…逆効果じゃねぇか。もっと気楽に話したいのに…
『―吿。地下からも魔力の乱れを確認しました。交戦しているようです』
マジかよ。地下からって事は、きっと目の前の子の仲間の地底人だろうか?
「…ねぇ、もしかして貴方の仲間達も、襲われてる?」
「…」
悔しそうに唇を噛む地底人。
「…我等の国の資源を狙った人間が、攻め込んで来ているのです。私達はただ、穏やかに暮らしていただけなのに…
みんなは、姫である私を最優先で逃がしてくれたのですが、追手がいて…」
「…え?」
ごめん、ちょっと待って?
いや、そりゃ勿論今の状況深刻だなぁ、とか思ったよ?
だけど、それよりも気になるのが…
(…目の前の子って、一国のお姫様なの?)
なんてこった。何で私が助けた魔物は、始まりの悪魔だったり、国の姫だったりと、凄い者ばかりなのだろうか?
最早そういう運命なのか!?おい作者!!
ただでさえ怠惰で動きたがらないくせに、登場人物達には散々苦労かけやがって!
私達を虐めて楽しいか?楽しいのか!?
「無礼を承知でお願いで御座います、魔王ライム様!
どうか我等の国をお救い頂けないでしょうか!」
私がこの小説の作者に文句を述べていたその時、地底人が必死に懇願してくる。
「…いや…全然構わないよ?だけど、私って一応…悪魔なんだよね。
願い事をする場合、対価を支払ってもらわないといけないらしいんだけども…」
つまり、悪魔との契約を交わすには、その願いに見合った報酬を支払わないといけないらしい。
面倒くさいよね。
そもそも、今回は私から首を突っ込んだわけだし、申し訳なくなっちゃうもん。
『概念之王』の権力を使って、このルール失くそうかな?
…そう考えていたのだが。
「―我等の、生涯の忠誠を貴方様に!」
「…!」
…マジか。正直驚いた。魔王の部下になるなんて、容易い覚悟で言える事じゃないだろうに…
真っ直ぐで、迷いがない良い瞳だ。
―この覚悟を無下にするのは、失礼というものだろう。
「これからはライム、で良いよ。固苦しいの正直苦手でさ」
「そ、それでは…?」
地底人は戸惑ったように尋ねた。
「―契約を結ぼうか。貴方のその願い、叶えてあげるよ」
今回から第2章です。
オリキャラ祭りになりますね。
…それはそうとライムさん?文中に俺に対して悪態吐きすぎじゃない?