今回は国家建設編なため、意外と真面目
(俺のいう事は「真面目」は大体信用されない)
[アナスタシア]の王として君臨してから数年が経過した。
時間の流れが早い事に関しては触れないで頂きたい。
ヴェルザードに文通で手紙を書いて、飼い慣らした小鳥に運んで送ってもらった。
文通をサボりがちだったし、丁度良い機会だったね。
ようやく、一息吐ける環境にまで落ち着いたものだ。
*
国は驚きの発展ぶりを見せていた。
先ず、建設関連。
荒らされた建物を一新して、全て作り替える事になったのだ。
石材や煉瓦で造られた建物が以前は主流だったらしいのだが、私も知恵を少々貸して、コンクリートもどきを開発する事に成功。
一気に頑丈な造りになり、高層建築物もどんどん建設されていった。[アナスタシア]は地下帝国なので、下に延びていくスタイルなのだが、それがまた面白い。
挑戦する事は良い事だ。そう楽観視して、ある程度は好き放題させていたのだが…
「…建設担当のウラヌスくん、ちょっと聞いても良いかな?」
「何でしょう?」
「何故、私の家がこんな豪華な宮殿になっているのかな?」
私は確かに、「質素な造りの仕事用の家が欲しい」とお願いしたはずなのだ。
私には『物質創造』があるけれど、どうしてもみんなが用意したい、と言うから、任せてみたのに…
ヴェルサイユ宮殿みたいになっているじゃねぇか。
私の要望に全く添えていないよ?
「流石にこの規模はおかしいと思うんだけど」
どんだけ勢を凝らしたんだろうか?
「とんでもない!我等が主、ライム様の大切な住処なのです。このくらいでないと、私達の気が済みません!」
と、隣に控えていたルナが主張した。
建設担当大臣のウラヌスも同意とばかりに頷く。
ちなみに、宮殿内にも足を踏み入れてみたのだが、豪華な装飾がふんだんにあった。
ま、眩しすぎる。目が、目がぁ…っ!
「…私の見ていないところで、一体何が…」
広すぎてどうにも落ち着かない。
―決めた。こんな宮殿、私の住処だけに利用するのは勿体ないし、会議室とか、応接室とかにも使わせてもらう事にしよう。
私はぶっちゃけ、書斎さえあれば仕事出来るからね。
*
次に、生活スタイルについて少し語ろうか。
先ず、衣類について。
和洋折衷…というか、現代的な和装…と表せば良いのか分からんが、そんな感じだ。
最近は縫製業にも力を入れている国民も多いみたいだし、今後が楽しみだね。
装飾品の開発にもいつの間にか手を付けているみたいだ。
好奇心から文化は成長するもの、という事を改めて実感させられる機会になったよ。
次に、食事について。
日光が当たらないにも関わらず、作物の育成はとても充実したものになっていた。
この世界には魔法という便利なものがあるからね。
それに、土の質がとても良いものだったのだ。
「最近は、品種改良にも力を入れています。
ライム様からの指摘を頂いたおかげで、小麦の生産も軌道に乗りました」
と、ジュピターからの報告を受けた。
豚や牛ににた家畜も育てていたので、燻製や発酵等の技術も身に着けさせたいものだね。
研究部門は、主にジュピターが一括して管理してくれているし、他の技術者達も優れた手腕と知能の持ち主だ。
頼もしいよね。
「それで、今は新しい作物を開発しようと試みているのですが…ライム様、何か希望はありますでしょうか」
「うーん…」
野菜とか果物は結構充実してるからな。
何か身近にあると助かるもの…
「…あ、紅茶とか欲しいかも」
「紅茶、ですか?」
まぁ、馴染みはなさそうだよね。
ルシアから話を伺ったのだが、ルシアの国では流通していたものの、他国では茶葉の開発はあまり進んでいないらしいし。
私は『空間収納』から、壺を取り出した。
「こういう植物なんだけどね…」
実物を見せながら、紅茶について少し説明した。
サンプルとして少し譲ったり、実際に淹れて飲ませてみたりと、可能な限り完成形のイメージを身に着けさせる。
種とか採取していて本当に良かったと思った。
「…分かりました。では、これから栽培に一層力を入れていきますね」
「うむ!宜しく頼んだよ!」
糖分が摂れる作物なんかも紹介したし、頑張って育成に励んでくれる事だろう。
私は若干投げやりに、ジュピターに任せる事にした。
*
さて、お次は軍事部門にでも見に行きますかね。
「よーす、マーズ!順調そう?」
「これはライム様!」
元々地底人は隠れ住んでいただけあって、戦闘能力は他種族と比べても落ちこぼれだった。
それが前の戦の敗北の原因に繋がってしまったみたいだし、マーズの指揮の元、軍事力強化に励んでもらっていた。
「今は、名付けにより与えられた個々の能力の確認作業を行っているところですね。
それぞれの得意分野は磨き、欠点は直す。先ずはそこから徹底していきたいな、と」
その通りだね。
自らの能力把握は大切な事だ。
更に、軍団を組むとなれば、適材適所に人員を配置しなければならないし。
「私も手合わせとか手伝えたら良いんだけど…」
手加減間違えてうっかり殺しちゃうかも、とか言いそうになったが、何とか堪えた。
「いえ、その必要には及びません。俺を含め、全員がまだ本来の実力を使いこなせていませんから。
完璧に仕上げてから、ライム様の目に入れていただきたく存じます」
…立派な考えをお持ちのようで。
ちょっとお調子者なところはありつつも、やはり頼れるのがマーズという男だ。
「今の我が国の戦力ってどれくらいか予想つく?」
と、ふと気になった事を尋ねてみた。
「まぁ、小さい人間国家なら安易に滅ぼせるかと」
充分脅威じゃねえかよ。
そうだった、この小説、規格外の強さを持った奴等しか登場して来なかったせいで感覚が麻痺寸前だった。
なんだよ、原初の悪魔とか創造主とか。
インフレかかりすぎてて笑えないよ。
(↑尚、当の本人が1番人の事言えない by,作者)
これは早めに能力を使いこなせるように頑張ってもらわないとな。
弾みに国家滅ぼしちゃいました、なんて嫌だしね。
*
我が国は鍛冶師や技術者の存在が一般的なものになっていて良かったよ。
武器のバリエーションも増えている事だし、軍事部門と協力して更に高みを目指してほしい。
この世界は魔法の存在が大きいし、弓矢等の遠距離武器はあまり使えないのかもしれないけどね。
「…さて、私もここらで、大きな仕事をこなしておくとするかな」
*
「ライム様、正門の設置、無事に完了致しました」
「お疲れ様。ありがとね」
マーキュリーからの報告を受け、私は目の前の正門を一望する。
魔法術式を組み込んで、敵意ある者は入れない仕組みになっている。
この地下帝国は、世界の真理に触れる事になる機密情報とかが満載だからね(主に私のせいなんだけど)。
許可なく部外者が入れないように、一先ずの対策だけは立てさせてもらった。
自給自足が出来る環境は整っている事だし、貿易に関しては後々考えさせてもらうとしよう。
「よいしょっ、と」
毎度お馴染みの『防護結界』と、『万能感知』を組み込んだオリジナルブレンドの結界を展開させる。
様子を見ていた国民は歓喜の歓声をあげた。
「なんと強固な結界…!」
「流石はライム様、なんでもありだ!」
まぁ、これを常時起動させておけば、私が留守になった時も大丈夫だとは思うよ。
「ライム様に勝てる存在なんか、この世界に居ないんじゃないか!?」
「でも、氷土の大陸にも魔王が居るという噂だぞ?」
「それでも、ライム様が負けるわけ…」
…………………………………ん?
ちょっと待て、聞き捨てならないフレーズが聞こえた気がしたのだが?
「新しい魔王、いつの間にか誕生してたの…?」
衝撃の事実に頭が痛くなる。
私は世間知らずな己を恨んだ。
こんなふざけまくった小説もついに20話か…
え?原初との再会早くしろって?
奇遇ですね、俺も同じ心境です。何やってんねん作者