「―とまぁ、そんなわけだから、別の魔王にちょっと会いに行ってくるわ」
「「「え!?」」」
軽く事情を説明した後、困惑する四天王達。
そりゃそうだろうな、私も思った。
招待なんかされなかったら放置だったもん、実際。
「危険なのでは…?」
「大丈夫じゃない?ヴェルザっていう友達も居るし、のんびりお茶会をするだけだと思うし。
挨拶ついでに、友好関係を結べるように頑張ってくるよ」
「ヴェルザ…?"白氷竜"ヴェルザードの事ですか?
竜種と友達とは…やはり、ライム様は規格外ですね」
マーズにまで呆れられちゃったよ。
(それに、付け足すと"
まぁ、こうなってしまったのなら仕方ないじゃないか。
今の私に出来る事は、この機会を有意義なものにする、という事だけなのだ。
いざとなったら逃げるし(本音)。
「ですが、その…相手は実力も未知数な魔王です。
もしかしたら、万が一の場合があるのでは?」
「こら、ジュピター!」
ジュピターの心配の声をルナが注意する。
心配してくれるのはありがたいけどね。
だけど…
「心配しなくて良いよ。殺されたくらいで私が死ぬわけないんだし!」
「「…ん?」」
2人の困惑の声が静かに響いた。
「矛盾しているように聞こえて、事実なのがライム様の恐ろしいところだな」
ルナとジュピターが理解出来ていないところに、マーキュリーの冷静な呟きが介入する。
確かに、文にしてみると、
「何を言っているんだ、この馬鹿は?」
と思われるだろうね。
魔王アノ●じゃないんだし。
「……確かに、ライム様を心配するなど、かえって失礼というものですよね。私は我が主を信じます」
「え?あぁ、うん、ありがとう…」
ついには、理解する事を諦められちゃったよ。
私ってそんなに非常識?
『―はい(即答)』
ほんっと辛辣だな、先生は!!
もう少し私の味方をしてくれても良いんだよ?
『…………』
―とまぁ、なんやかんやありつつも、話は纏まった。
私の留守時、国の防衛には力を入れてもらう事にはなるが、そこは初の試みとして頑張ってもらおう。
(まぁ、確かに最近は自国に籠りがちだったしね。
たまにはこういうのも悪くないかも)
[アナスタシア]を建国してから初の長期外出だ。
楽しみだなぁ。
*
「えーと、この道で合ってるんだよね、先生?」
『―はい。問題ありません』
道案内を先生に任せて、現在大陸の内部に入っていた。
頑張って、『飛行魔法』の出力を最小限に抑えながら。
出立前、先生に、
『―最高出力を出した場合、個体名ライムの通った道の一帯が焦土と化します』
という、恐ろしい報告を受けたからね。
「あとおよそどれくらいで着くか分かる?」
『―10km先、目的地周辺です。』
あれ、先生がナビにしか思えなくなってきた。
『―心外です』
「あー、あれかな?」
先生の不満の声を無視して、前方の建物を見据える。
極寒の大陸に堂々と佇んでいる、立派な宮殿だった。
(……ア●雪かな?)
*
「うー…、これ、『熱変動無効』無かったら凍えてたんじゃないかな?」
地面は当たり前のように氷。
吹雪が強烈な勢いで吹いているため、魔物といえどある程度の耐性が身についていない者は生息不可能の環境だった。
人間なんて論外だよね。
氷土の大陸、という名前は伊達じゃない。
「…てか、どうやって入れば良いの?」
普通、待っていてくれても良いはずなんだけど。
ヴェルザも緩くなったよなぁ(主に私とナーヴァのせいで)。
「…あ、そっか」
無理矢理回線を作って、ヴェルザと『思念伝達』を出来るようにすれば…よし、出来た。
…そして、待つ事2秒(早)。
「いらっしゃい!よく来てくれたわね!」
「うgh」
いきなり思いっきり抱きついてくるヴェルザ。
抵抗する事もままならず、餌食となってしまった。
…というか、いつ見ても綺麗な容姿だな。
なんか、大人のお姉さんって感じだし。
…私は、超能力に目覚めた16歳で肉体の成長が止まってしまったから、どうしても子供扱いされる事が多いのだ。
そのため、余計羨ましい。
「国王になっても相変わらずね。元気にしてたみたいで何よりだわ」
「好き勝手色々やらせてもらってたよ」
頭をめちゃくちゃ撫でられている。
ほんと久しぶりだよ、この扱い。
「ちょっと待っててね。今、呼んでくるから」
「誰を?」
「ほらー、ギィ!私の友達が来てくれたわよ!」
「……人の話を最後まで聞こうね」
いくら久しぶりの再会といえど、興奮しすぎて周りがよく見えていないんじゃないかな。
―それにしても、魔王の名前はギィ、か…
(なんか強そうじゃない?先生)
『…?』
流石に、先生にはこの良さが伝わらないかぁ。
こういう、ちょっと安直な名前が1番強そうなの、分からないかなぁ(あくまでライムの持論)。
―そんな呑気に状況を捉えていると。
「ほら、ギィ!」
「あぁ!?何だよ急に…!
分かったから押すんじゃねぇ!」
ヴェルザに半ば強引に押されている赤髪の魔王。
屈強な体格は隠す気も無いのだろうか、上半身は羽織だけだった。読者のみなさまの住んでいる国だったら、露出狂として見られるんじゃないかな、ってくらい。
顔立ちは非常に整っていて、それでいてワイルドで…
「「………ん?」」
私と目の前の魔王は、同時に呟いた。
どこか、既視感があったから。
覚えのある気配がするし、それに、目の前の魔王が付けている"腕輪"は……
―まさか。
「ライム、なのか?」
驚きに目を見開く、その"悪魔"。
…その言葉で、予想が確信に変わってしまった。
「―もしかして…ルージュ?」
てなわけで、最初の再会はルージュ(ギィ)でしたね。
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