筆が捗るってもんだぜぃ
「…って、わっ!?」
私が状況を整理しようとした瞬間、勢いよくルージュに抱きつかれた。
「……………良かった…………また、会えて………」
「ちょ、苦し…………って、えっ?」
―あれ、なんか違和感。
(…ルージュさん、貴方ってそんなキャラでしたっけ?もっと生意気なお兄ちゃんポジじゃなかったっけ??)
ふと意識を戻すと、ルージュの手が微かに震えているのが分かった。
―まぁ、だいぶ、心配かけちゃったよな。
相当久しぶりの再会になるわけだし、無理もないか。
私はルージュの抱擁から逃れると、
「私も会えて本当に良かったと思ってるよ。
だけど…感動の再会の前に服はちゃんと着ようか」
「着てるだろ」
「役割を果たして無いんだよねぇ」
そんな会話を繰り広げていると、ヴェルザが面白そうに、此方を微笑んで見ている。
「やっぱりね。ギィの腕輪から、ライムの魔力を感じたの」
ヴェルザはこうなる事を分かった上で面白がっていたな?
まぁ、再会の機会を作ってくれた事はありがたいけどさ。
「……あ、そっか。今は正式な"名前"があるんだね」
「ライムから貰った呼称を捨てたわけじゃねぇけどな。
今の名前は『ギィ・クリムゾン』だ。覚えてくれよ?」
ルージュ、改めギィはそう言って微笑んだ。
「……見ない間に随分背丈も伸びたようで」
上からくる目線が少し癪に感じる。
「そういうお前は全然変わってねぇじゃねぇか」
「はい、貴方は私のコンプレックスを踏み躙りました」
唯一の私のコンプレックスを馬鹿にしやがって!
前までチビだったくせに!(※数百年前の話です)
「はい、2人共!此処で話すのはその辺にしておいて、お茶会を始めましょうよ。積もる話は其処で。ね?」
ヴェルザの一声により、私達は押し黙った。
*
「「か、母様!?」」
お茶会の会場に向かう道中、ヴェールとブルーも居た。
まさかまさかの展開になってきたね。
「2人も居たんだ!元気そうで良かっ―」
言い終える前に、ブルーが思いっきり突進して抱きついてきた。
今日で何回目だよ、こんな感じで抱擁されるの。
『―解。3回です』
数えてたの?嘘でしょ?
「此奴等にも、名前があってな。
ヴェールが『ミザリー』、ブルーが『レイン』だ」
「似合ってるねー!ちなみに、誰が名前付けたの?」
「この2人に関しては、俺だな」
「センス良いんだね」
………どうしよう。
ギィにネーミングセンスで負けた気がするのだが。
なんか、なんか気に食わない…………!
…そんな内心を押し隠しつつも、ミザリーとブルーにしっかり向き直った。私にも少しくらい威厳を出させてくれ。頼む(切実)。
「それにしても2人共、更に美しさに磨きがかかったんじゃない?メイド服も似合ってるよ!
…どうしてその格好は、甚だ疑問だけども」
名前もギィに付けてもらったみたいだし、メイドとして雇われたのかな?と、勝手に想像を膨らませる私を見かねたのか、ギィが口を開いた。
「此奴等、ちょっと前に決闘を申し込んで来てな。
返り討ちにして、仕えさせた」
「ゴメンチョットワケガワカラナイ」
決闘?何それ。
君達ってそんなに仲悪かったっけ?
困惑していると、ヴェルザからの補足が入る。
曰く、レインが(強制的に)ミザリーを連れてギィに戦いを申し込んだは良いものの呆気なく倒され、転生した…という事らしい。その際名前を与えられ、仕える事になった…と。
(私の知らないところでそんな事が…)
「それにしても、ミザリー困らせちゃ駄目でしょ、レイン」
「いえ、母様。承諾したのは私ですから」
「大人だねぇ…」
世の親達も、子供が成長したのを見るとこんな気持ちになるのだろうか。私はレインの頭を撫でながらしみじみとそう思った。
*
お茶会の準備をミザリーとレインが行っている最中、ふと気になった事があったので、ギィに聞いてみる。
「そういえば、結構此処に悪魔居るんだね。この悪魔達ってギィの配下なの?」
「まぁ、そうだな。赤、緑、青系統の色に染まった奴限定だけど」
それにしても、人数多いなぁ。
『―解。生まれたばかりの「色」の無い
7色って事は……丁度みんなの色になるのかな。
『―系統の予測ですが、赤は"自信家"、青は"自由"、緑は"真面目"が多いと推測出来ました』
あはは…みんなにそっくりだぁ。
そして、私が悪魔を召喚すると何色になるのかが気になってきた。
今度試しに実験してみよう。
「それにしても、まさかギィが噂の新しい魔王だったなんてね。
私、自分以外の魔王の存在知ったの、実は結構最近でさー」
「嘘だろ…?」
何だよその顔。絶句すんなや。
すみませんね、世間知らずの愚か者で。
そんな事は私が1番よく分かってるんですよ。
「此奴が最近、ヤケにニヤニヤしてるから何事かと思えば…」
ギィは呆れたような目つきをヴェルザに向ける。
「人聞きが悪いわね。ライムの魔力を感知したから、もしかしたら、と思って連絡してみたのだけれど?」
ヴェルザは私を見て、「改めて、原初の悪魔を育てるなんて、何処までも規格外なんだから」と呟いた。
全部丸聞こえなんだけど。
「あ、そういえば他の4人は?」
ブラン、ノワール、ジョーヌ、ヴィオレの姿が見当たらない。
「彼奴等はまだ、受肉出来てねぇし、魔界だろうな」
これに答えたのはギィだ。
「みんな一緒に居るもんだとばかり思ってたんだけどな」
「まさか。ノワールなんか、俺と仲良くする気は微塵も無さそうだったしな。彼奴が1番ライムと会いたそうにしてやがったのに、残念なこった」
「うわー、悪い顔。流石だね」
「絶対褒めてねぇだろうが、それ」
……やっぱりギィとノワールは険悪の仲なんだな。
そこは変わってほしかった…
「昔から、ノワールは私によく懐いてたもんなぁ」
昔の思い出を思い出し、笑みが溢れた。
あの時間はとてもかけがえのないものだったし。
「母様、ギィ様、ヴェルザード様。お茶の準備が整いましたので、どうぞ此方へ」
そんな時、ミザリーが声をかけてくれた。
「やったー!久しぶりのお茶会だぁー!」
「あんまりハメ外すんじゃねぇぞ」
「分かってますよーだ」
―予期せぬ再会ではあったけど、今はこの時間を精一杯楽しませて貰おっと。
ギィと再会するという事はレインとミザリーにも自ずと会えるという事…幸福の連鎖ですね。
…なんか最近、段々雑になってきているような(((
ライム 「ねぇ、初期の私と比べると、今の私って、段々思考が幼くなってきてない?気のせい?」