長髪になると赤メッシュも増えるんだね…
良いよ…良い…
「あー、着いた。此処だよー」
籠を抱え、悪魔達を家に招く。
木材で出来たログハウス。此処が現在の我が家…というか、仮拠点だ。これは『物質創造』という、イメージを具現化出来る能力で構築したもの。
質素な家から大豪邸まで、イメージ1つでリフォームする事も可能。
建設業界涙目の能力となっている。
このログハウスも決して豪邸のような外見では無いが、此方の方が落ち着くし目立ちたくない私にとっては都合が良い。
どうせ住む場所なんてころころ移り変わるし、こだわる必要は無い。
中は魔法で拡張してあるから快適だしね。
「さて、と」
机の上に籠を乗せ、暫く考える。
先ずしなければならない事は、『解析』を進め、生態系や特徴の把握。そして元の世界の特定。
あとは…
「呼び名、ほしいな」
なんせ7つも卵があるのだ。流石の私も、
「悪魔その1!」とか、「赤卵!」とか呼びたくない。
勝手で申し訳無いが、簡単に名前を付けてしまおう。
赤が『ルージュ』、白が『ブラン』、黒が『ノワール』。
緑が『ヴェール』、黄が『ジョーヌ』、紫が『ヴィオレ』で、青が『ブルー』だ。
フランス語でまんまそれぞれの色を示す単語。
安直すぎるかもしれんが、私にネーミングセンスなんて求めちゃいけないのだ。
『ポチ』とか『タマ』じゃないだけ褒めてもらいたい。
「改めて宜しくねー、みんな。勝手に外に出なければ、自由に過ごしてて良いから」
*
悪魔との共同生活なんて誰が予想しただろうか。
生態系に関しては何となく把握出来ている。
先ず、食欲と睡眠欲が無い事。
何を楽しみに明日を生きれば良いのだろうか、この悪魔達は?
そして、『魔素』という特殊なものをエネルギーとしている事だ。
勿論そんなものこの世界には存在しないし、私も生まれてから一度も聞いた事が無い。が、文字的に人間で言うところの酸素のような役目のものなんじゃないかと仮説を立てた。
魔物にとっての酸素…ん、あれ?という事は?
(窒息死とかしない…よな!?)
という、疑惑が浮上してきた。
ーこれはアカン。
悪魔の死因が窒息死は流石にダサすぎる。
いや、そもそも悪魔って死ぬのか!?
ともかく、これは早急に解決しなければならない問題だ。
(理屈が分かればあとは簡単!)
私の能力で『魔素』と定義付けたものを構築し、全員に供給していく。パチモンの『魔素』にはなるが、本来の役目はしっかり果たしてくれるだろう。
「…というか、改めてなんだよこのチート能力…」
私には荷が重すぎると思います、神よ。
*
ルージュ達を保護し初めてから早2日が経過しました。
正直言うと、めちゃくちゃ疲れる。
そもそも私は育児経験なんてした事が無い。
世の親達はこんな重労働を日々しているというのか…!?
ここ最近は、ルージュ達の経過観察と、悪魔に関する文献を片っ端から読み漁っていた。
情報量が多すぎて私の脳が悲鳴をあげている…
そう感じていた時だった。
ピコン ピコン
「お…っとぉ!?」
思考を放棄しようとした瞬間、机に置いてある通信水晶に着信が入った。ぶっちゃけ心臓に悪いタイミングだった。
ん?「通信水晶って何?」と思っているみたいだね。
説明しよう!
実は私、ちゃっかりこの世界で英雄活動を行っているのである!
この世界の恐怖の対象、【魔獣】を討伐するお仕事を請け負い、軍資金を貯めていた。
で、通信水晶は、討伐要請の連絡を取るのに使われるアイテムってわけだ。各地方の町に設置させてもらっている、便利なアイテムなのである。
早速水晶を起動させて話を伺った。
近くの町の長からだった。どうやら火炎竜が接近しているという。
「ーはい、分かりました。迅速に対処致します」
通信を終え、急いで支度をしようとすると…
コロン
2つの卵が私の足元までやって来た。
ルージュとジョーヌだ。
「…行きたいのかな?」
ルージュとジョーヌはそうだ、とばかりに大きく揺れる。
「よーし、じゃあ行こっか!」
マントのフードの所に卵を乗せる。
…ここだけの秘密だが、この2人には将来制御不能な戦闘狂になりそう、という偏見があるんだ。
これが杞憂になる事を祈る。
「みんなー、お留守番は任せたよー」
残る5人にそう言って、私は『空間移動』で町の上空に出た。
目の前に向かってくるのは、紅色の美しい鱗を輝かせる火炎竜。
年頃の男の子なら心を擽られるであろうビジュ。
(しかし、ねえ。本来ならこの時期はまだ冬眠しているはずなんだけどなぁ)
早くに目覚めてしまい、お腹を空かせて此処までやって来た、という事だろう。
しかし、人間に危害を加えるのは許せない。
直ぐ様町にドーム状に結界を張った。
「さーて、ルージュ、ジョーヌ!カッコいいところ見せちゃうからしっかり見てるんだぞー!」
火炎竜には少し気の毒だが、仕方ない。
『空間収納』から鎌を取り出し、正面に構えた。
…ダジャレを言っているわけではない。真剣である。
超高温のブレスをバリアで受け止め、さらに上空に飛翔する。
(町の人達が見てるから、弱めに演技しなきゃいけないのが辛いんだよなぁ…)
この世界には、魔法は一応存在してはいるが、技術は低く、扱える者もそう居ない。
見せられるものは、結界やバリア、飛翔魔法と限られたものしか無いのだ。
(存在ごと抹消できれば楽だったんだけどなぁ)
どこぞのめだかボッ●スの球磨●みたいな能力に縋りたいが、そうも言ってられない。
(↑伝わってくれ、頼む(by 作者))
「ルージュ、ジョーヌ。しっかり掴まっててね」
宙で一回転しながら、竜の頑強な首を切断した。
鮮やかな鮮血が舞う。
何とか町に被害が出る前に討伐出来たようだ。
「どう?私カッコよかったでしょー?」
ルージュとジョーヌは楽しそうに揺れていた。
ライムの見た目についての記載は次話くらいにするつもりです。
まだ投稿してから3日を経っていないのに、既にお気に入り登録して下さっている方が10名近く!
ありがとうよ、こんな小説を読んでくれて