あまりにもキリが無いので。
(でももっと原初との共同生活について書きたかった…という俺の本音)
今回は意外と真面目です。
翌日、みんなに改めて事情を説明した。
突然の報告になって申し訳無く思う。
不安がみんなの心中を埋め尽くしているだろう。
「ごめんね、本当…」
罪悪感に駆られていると、
「っ!母様は何も悪くありません」
「そうです。私達こそ、いつも母様に頼ってばかりで…」
ブランやヴェールが中心になって、私を宥めてくれた。
(優しいなぁ、本当)
心からそう思う。
「あと2日で、各々が別の道へと進んで行く事になる。
みんななら、元の世界に戻っても強く生き抜いてくれるって信じてるからさ」
いや、実際とんでもない強さなんだよね。
最終調整等の準備の時間以外は、みんなとの思い出作りに使いたいな。
*
〜ヴィオレと〜
「ねー、ヴィオレ。何がお願い1つ聞いてあげる」
「本当?えー、どうしよっかなー」
焦らしてくるな、この子は(可愛い)。
「じゃあ、いーっぱい頭撫でてよ」
そう言って自身の頭を指してみせた。
「好きだねぇ、頭撫でられるの」
苦笑しつつ、お望み通りに頭を優しく撫でる。
「覚えてる?ジョーヌと喧嘩してよく拗ねてさ。よくこうして頭を撫でてあげたら落ち着いて謝れたよね」
君達の喧嘩での犠牲は大きいものだったぞ。
「母様の手、温かくて安心するからかな」
ヴィオレは嬉しそうに笑みを浮かべた。
「…絶対、またいつか、もっと沢山撫でてもらいに行くからね」
*
〜ブランと〜
「見てこれ!懐かしくない?」
「!あぁ、私が大好きだった絵本ですね」
色々なものを整理している内に見つけた、1冊の絵本。
埃を払ってブランに手渡すと、愛おしそうに顔を綻ばせた。
「よく、読み聞かせしてくれましたよね」
「内容が少々過激だけどね」
血が流れるようなストーリーもあったから、
(これ、教育に絶対良くないやつだろ…)
と、ブランの喜んでいる顔を横目に冷や汗流しながら頑張って読んでいた記憶があるぞ。
「…大切に、大事に持っていますね」
*
〜ヴェール&ブルーと〜
「母様、クッキー焼きませんか?」
「焼く!食べる!なんならティーパーティでもしちゃおーよ」
「じゃあ、茶葉を用意しておきますね」
2人も料理の手、上げたなー。
よくご飯の準備を手伝ってくれてたし。
町の菓子職人さんに、2人が作った焼き菓子食べさせてみたら仰天してたっけ。
「今度再会したら2人に養ってもらいたいくらいだよ」
なんて呟いたら、
「喜んでお世話します!」
「必ず母様の望むままにしてみせます!」
と、怖いくらいの勢いで言われるものだから驚いた。
「あっははは。やっぱりヴェールとブルーは仲良いなぁ。
これからもお互いを支えあってね」
*
〜ジョーヌと〜
「母様、手合わせしてくれないか?」
「お、やるかー?」
相変わらず好戦的だなぁ。
外に出ると、ジョーヌは距離を取って、術式を展開する。
恐らく、十八番とする核撃魔法だろう。
練度も、威力も。初期とは比べるまでもないくらいの凄まじい力が伝わってくる。
(成長したなぁ)
放たれた核撃魔法を、抵抗せずに受け入れた。
ー勿論、私には傷1つ付かない。
「…はぁ、やっぱり駄目か。今の私の全力なんだけどな」
降参といった態度でその場に倒れるジョーヌ。
「私に傷を付けるには至らないけど、相当強くなったね。
負けず嫌いのジョーヌの事だから、隠れていっぱい鍛錬してたんでしょ?」
頭を撫でてやると、ジョーヌは照れくさそうな顔を見せた。
「もっと強くなりな。私はいつまでもジョーヌの味方だよ」
*
〜ルージュと〜
「…ねぇ、ルージュ」
「あ?」
「その、さ。何してるの?」
「何って、抱きついてるだけだろ」
「そっか、なるほどね…ってなるわけないんだよなぁ」
私は現在進行系でルージュに後ろから抱きつかれていた。
それに、ルージュも大きくなったから少し気恥ずかしさがあるというか何というか。
「…良いだろ、このくらい。俺が甘えられるのはライムだけなんだぞ?」
ーあ、そっか。
長男だし、いつも人(悪魔だけど)一倍しっかりしてたし。
…私とも、もう少しで暫く会えなくなるし。
「…ふん、良いよ、良いともさ。ルージュがそこまで甘えたいというのなら仕方ない。
おいで、よしよししてあげるから」
抱擁を振り払って腕を広げて構えた。しかし、
「なんか腹立つな…それに、そんなのしてもらう歳じゃねーし…」
と冷たい目で見てきた。
…いや、ヴィオレは喜んでよしよししてもらいに来てましたけどね!?
「生意気な。3歳とかそこら辺のくせに。私からしたら全員子供でーす。ほら、カモン」
「…何なんだよ…」
ルージュは馬鹿らしくなったみたいで、苦笑を漏らした。
*
〜ノワールと〜
「…ノワール、入るよー」
部屋の扉をノックして、そっと中に入る。
「!ライム」
ノワールは何か作業をしていたようだが手を止め、私を見て嬉しそうに微笑んだ。
私は調合台に置かれている薬草を見て驚く。
「あ、私がよく(暇潰しに)作ってるヤツ!ノワールも作れるようになったんだ、凄いね!」
「…ずっと見ていましたから。これも、貴方の魔法も」
ノワールは私の趣味によく関心を持ってくれていた印象がある。
(良かった。没頭できる趣味を見つけるきっかけになれて)
「…ねぇ、ノワールもさ、何か私としたい事とかある?」
「…なるほど、そういう事でしたか」
「?」
パタン、と開いていた本を閉じるノワール。
「先程、ルージュがライムに抱きついていたのはそういう経緯なわけですね。
クフフ…どのタイミングで問い詰めてやろうかと思っていたので、手間が省けました」
滲み出てくる殺意。あれ?これ、相当怒ってる?何故?
「ご、ごめんね?(知らんけど)ノワールも良いんだよ?そういうお願いでも」
ノワールは少し思案すると、
「…実を言えば、"今"してもらいたい事は無いですね。
その代わり…」
そして、少し笑みを浮かべて近寄ってきた。
「ー次、貴方と会えたら、その時はずっと近くに居て欲しいです」
なるほど。そう来たか。
断言はしてあげられないけれど…
「…分かった。次ノワールと会える日、楽しみにしてるよ。
その時はノワールの魔法、是非とも見せてね」
*
遂に期日が明日に迫ってきてしまった。
みんなとも多少は思い出を増やせたかな。
(…ん?)
部屋の最終確認をしていると、棚の奥に1枚の写真を見つけた。
ー家族写真だ。
「…懐かしいなぁ」
家族の顔を見て、ふと呟く。
そういえば確か、アナスタシア家は"アレ"を付けるのが伝統で…
「そうだ!」
良い事を思いついたとばかりに、机に向かって作業に取り掛かる。
ーみんなとの絆を、より確かなものとするために。
もう少しで序章は終わりかな。
文字数的にも多いし、そこまで面白ポイントも無いわですみません。
他界隈にはなるんですけど、来週から日5で放送される、
『夜桜さんちの大作戦』第2期2クール目が楽しみすぎて仕方がない。
原作連載当初から大好きだった作品。
もっと知名度上がってくれても良いんだぞ…