What happened in the story ? 作:斬【Zan】
いや〜、4月入ってから仕事が忙しくなりまして、なかなか投稿できませんでした。
書きたい内容は固まっていても、入力する気が出なくてエタるところでした。
本当に申し訳有りません。
アレも入れたいコレも入れたいとかやっていると、話が繋がらんとでした。
例によってダイジェスト。
隠し通路の戦車級さん退治について
魔女の大釜を作りましょう、続編について
白銀君を叱りつけた件について
と言うところですかね、大まかに言って。
コレも例によって、ご都合主義、キンクリ、よろ〜、でお願いします。
では、第12話です。 どぞ。
2001年11月17日 9時00分
国連軍横浜基地内 地下22階 90番格納庫 南面壁際
89式機械化歩兵装甲 装備 エイデン・ピアース中佐
昨日見つけておいた、甲22号ハイヴの隠し通路。
その中には、期待外れずに数体のBETAさんユニット達が居た。
目的は当然、グレイ6が散々に使われているだろう、ハイヴ壁材。 ユニットの方は本当にツイデだ。
まぁ、甲22号ハイヴ・コアにしてみれば、そこにユニットを配置したのは、単に「待機」とか「格納」に
当たるのだろうが、俺にすれば「そこに居た」と表現する方がピッタリと当てはまる。
それは兎も角、さっさとサンプルを回収するために、翌日17日の朝一番に、香月博士に申請して、
90番格納庫の壁の一部を撤去、そこからBETAさん達の回収を具申した。 そしたら・・・
「・・・(゚Д゚)ハァ? アンタ何言ってんの?!」と、第一声を返された。
・・・・・・そう言えば、博士にハイヴの隠し通路の件、報告していなかったや・・・。
「いや、だから・・・。 例の『魔女の大釜』の作成について、グレイ6の使われ方について、研究をしたくて
そのサンプルに、BETAさん達の隠し通路を見つけたから、そこから現物を回収しようと思って、
今からそれを回収したいんだ。
だから、90番格納庫の南面の壁の一部の撤去を許可して欲しい。」
「・・・だから、そう言う肝心な説明の抜けた意見具申は受け付けないって、言ってんでしょうがっ!!
何よ、昨日の報告書にはそんな事一行も書いていなかったじゃないっ!!
もっと人を使いたいのなら、それなりの順序を正しく申請しときなさいよっ!!
ったく、これだからチート野郎はイヤなのよっ!!」
と叱られた。 まぁ、言わんとする所は分かるけど、でも、にしたって、”チート野郎”は言い過ぎだよ・・・。
「何っ!! 文句でもあるってのっ!!」
ドラ猫を叱る近所のオバサンじゃないんだから、ドスを効かせて叱らないで欲しい・・・。
怒鳴る女性(ヒト)って嫌いです。 拗ねるぞホント・・・・・・。 ま・そうも言っていられないから、
説得しますかね・・・。
「・・・・・・あーー、報告が抜けていたことについては謝る。 本当に悪かった。
ただ、グレイ6の使われ方のサンプルが必要となったのは事実であり、ノーマルツール・モドキや
第五世代戦術機にも使用するものだから、現状の使用データのサンプルが欲しいという見解を
昨日持った。 これの実証を検証した所、BETAハイヴ内の隠し通路などが、そのサンプルとして
ふさわしいと考え、俺の能力を駆使したら丁度見つかったので、本日これらサンプル回収を行いたい。
その許可を取りたいのだが、良いだろうか?」
「・・・・・・経緯については分かったわよ。 でも、隠し通路には、他のBETAユニットが残っている場合も
考えられるけれど、それらの対策は万全かしら?」
「ああ。それについては問題ない。 昨日俺の認識範囲内に、それらしいグレイ6を使った通路と
その中に残っているBETAさんユニット数体を確認しておいた。
其れの駆除もやってしまいたいので、ある程度の迎撃が終わったら、A−01の連中に運搬などを
やらせてみようかと思っている。」
「・・・サンプル回収と迎撃対応については、許可します。
と言うか休眠中の奴相手するのに、手間取るなんてしないでね。 で、A−01の手伝いについては、
あの子達で大丈夫なの?」
「ああ。 恐らく生のBETAさんユニットを見たり触ったりした経験は、新人は特にあまりないだろうから、
これを期に触らせようかと思う。
ただ白銀君なのだが、彼はひょっとするとBETAに襲撃を受けた経験があるかも知れない。
下手をするとPTSDが発症する可能性があるので、今の内に検証しておくに越したことはないと思う。」
「・・・・・・なるほど。 寧ろソッチにアンタの狙いがあるわけね?
良いでしょう。 一連の問題の洗い出し、許可します。
さっさとヤっちゃって問題点を改善しておいて。」
「了解。 では、早速0900に90番格納庫で作業を始める。
こっちの迎撃が終わってから、BETAさんユニットの運搬にA−01を使うことにするよ。
多分午前中に作業が終わると思うから、博士は此処で報告を待っていて欲しい。」
その様なやりとりの後、自作のノーマルスーツ・モドキを着込み、0900から迎撃任務を実行した。
90番格納庫南面の壁の一部を、89式機械化歩兵装甲を用いて剥がし、土壁が出てきた所で、
俺は爆砕点穴で、隠し通路までの直通の穴を掘り続けた。
それでも目的の隠し通路は格納庫壁から約1kmは離れていた。 俺の爆砕点穴でも憂に10分間程の
時間を要した。 土の中を掘り進むと、隠し通路外部に到達できたので、この通路を中心として
周りも掘り進め、地中に大きな空間を作った。
隠し通路自体が何故か斜めに傾斜しているので、全体的に通路自体が見れるように工夫しながら、
地中に開けた空間の中心に位置させた。
すると隠し通路の空間を開けている作業での振動が届いたのか、隠し通路の中からBETAさん達
ユニットがゾロゾロとやって来た。
出てきたのは全身が赤黒い戦車級と呼ばれるBETAさん達で、50体少々の集団だった。
誰だ、数体のBETAさんユニットとか言っていた奴。 また、誰かさんに小言を言われそうだな・・・(汗)。
まぁ、このくらいの数なら、戦術機1個小隊程(4〜6機)が集られたならモノの数分で餌食となって
しまっていただろう。 俺の場合は24・5秒もあれば、対応できるけどな。
隠し通路の近くに居た俺に気づき、早速俺に襲いかかる戦車級BETAさん達。
3mの高さも無い小型BETAが俺のそばまで約80km/hくらいの早さで近寄ってくる。
相変わらず全力疾走しているのはタンク級と呼ばれる所以か。
隠し通路から俺のそばまで来るのにあと10秒も無いだろう。
例の”認識内変動的攻撃”を行っても良いのだが、基本設定が”なんちゃって”仕様なので、少し方式の
変更を行うことにした。 いつまでも”なんちゃって”である事に抵抗感がひどくなると言う事と、
いい加減他者から見られても通用する攻撃方式にしておく方がマシに感じられたので、その様にする。
「(光速弾での迎撃は幾らなんでも出鱈目過ぎる。 せめて音速を使うべきだろうが、結局威力を
変更するならば、それもちょっと違うような気がする。
折角、絶対感覚シリーズで、重量の能力が追加されているんだから、弾が当たる瞬間にインパクトを
掛けて、その数を多く集中させるほうが、まだ物理的に言い訳できるだろう・・・。)」
その様に考え、俺の身体について、【耐光速移動】の属性を追加して、【任意移動・音速】と【音速威力・
1/10】を追加した。 つまり、音速での移動を可能としているのだが、仮に俺が体当りしてもその威力は
1/10、 約33〜4km/h くらいの威力とした。 まぁ、これならば一般人が走ってきて体当たりしている
くらいの威力にしか成らないので、”そよ風の様”とは言わないが、それほど強く周囲の環境にも
余り影響は与えないだろう。
俺は何処かの00ナンバーサイボーグ宜しく、早速軽く一歩踏み込み、後方斜め上を音速の早さで
移動を行った。
相変わらずBETAさん達は平面上を移動しており、先ほどまで俺が居た所に到着し、そのままの動作で、
右手で攻撃を繰り出した。
しかし、その攻撃は当たらなかった。 その前に俺が移動を終えていたからだが、俺が一瞬消えたように
見えたのだろうか、キョロキョロと俺を探している。
その隙に俺は最初の一体目を最近入手した45ACP弾が扱えるグロック41を用いて、攻撃する事にした。
この拳銃、20cm少々とちょい長めの銃身なので、扱いが8インチ銃と同じくらい厄介だ。
まぁ、バレルが長い分威力も大きいから仕方がないのだが、拳銃は銃身などがコンパクトで威力の
大きい物が好まれる傾向なので、”駄々っ子”の様な拳銃だ。
でも、よくこんなトリッキーな拳銃が、武器保管庫にあったものだ。
そう言う意味で此処の基地は変わりダネが多いとも言える。
兎に角、攻撃を開始する。 狙う所はあの厄介な両腕だ。それも付け根の脇部分とその反対側を
同時に攻撃して、両腕を根本からガッツリと落としてやる。
攻撃方法は、従来の通り銃口から発射された弾丸を狙った空間に跳躍させる方式なのだが、設定する
威力を【光速弾】ではなくて、目標に当たる瞬間の威力を高める攻撃にした。
具体的には、弾頭の重さと弾の回転数をそれぞれ10倍にした。
戦車級くらいならば、普通の重火器による攻撃も通じるので、それ程多くの命中を行わなくても威力として
十分な威力が発揮されるだろう。
ついでに打ち出した弾に「何でも無限」設定を加えてやり、発射したタイミングでドンドン弾を無限的に
打ち出した。 まぁ、撃った俺は1発分の反動なのだが、出ている弾がマシンガン宜しく連なって
同じ軌道で飛んでいる様なものとなった。
そうして、片腕を戦車級の本体からもぎ取るのに、大凡6発を要した。脇側と反対側それぞれで3発づつの
計算となる。
では同じ攻撃を、もう一方の腕にも行おう。 両腕をもぎ取るのに、時間的に10ms(1/100秒)で実施した。
それではドンドン攻撃しましょうか。 続いては両側の足、計6本。腕と同じく脚の付け根を上と下から同時に
サンドイッチ攻撃。 こちらの方は腕以上にぶっといので、使用した弾の数は片腕の約5倍掛かった。
まぁ、6箇所同時に攻撃したので、50ms位で完了した。
戦車級BETAさんを”だるまさん”状態にしたのだが、今の状態でも彼の脅威は残っている。
それは、胴体正面の口だ。コイツは戦術機の装甲ですら噛み砕くほどの威力を誇るので、全部の歯と
顎の付け根部分を2箇所狙って、噛み付け無くした上で上下の歯を全部へし折ってやった。
顎の付け根は脚の攻撃同様で済んだが、それでも100msは掛かった。
そして歯も一本をへし折るのに100ms掛かった。 どんだけ固いんだ? 36本全部へし折るのだけでも
3,600ms、 つまり3.6秒も掛かったぞ。
一体を処理するのに約3.7秒も掛かるとは。処理単位をもう一ケタ落として、1ms単位で処理しよう。
正味あと51体も居るから。そんだけ処理するのに約19秒も掛かるとは・・・。
いや、1分掛かっていないのは十分に早いんだが、攻撃する部分とか狙い撃つのがちょい面倒だった。
まぁ”認識内変動攻撃”でオート処理するから、目標とする個体を特定できれば後はオート処理と同じ
で良いんだが、自分でもちょい面倒だったと感想を述べておく。
そんなこんなで、45ACP弾一発で52体の戦車級BETAさん達を片付けました。
弾倉に弾を一発補充しておいて、バラした戦車級の手足や本体とかを回収しよう。
俺が今着ているノーマルスーツ・モドキは第五世代以降の戦術機機構に用いるための特注品だ。
通常はグレイ6を用いて機体情報を取り込み、人間の視床にそれらの情報を伝え、個人の感覚と同調させ、
機体の制御を行うことが出来る。
また、グレイ6の特徴として、発信する信号の長さは約10m先にあるグレイ6に到達する事でネットワークを
形成することが出来る。 つまり、10m毎にグレイ6を搭載した中継器が必要となるわけだが、
今居る隠し通路の付近には、グレイ6を使ったネットワークは当然ない。
また、90番各項のからここまでは、約1km離れているので、グレイ6を使った通信は行えないので、ノーマル
スーツに内蔵されている通信装置を使い、基地の内線に回線をつないだ。
電波の到達が心配じゃないのかって? そんなの”イノベーター能力”を併用したに決まってんでしょ。
この能力で信号を増幅して発信したから、多少離れたところのアンテナにでも軍用無線位なら繋ぐ事が
できたのは、言うまでもない事実だった。
「(・・・・・・一応無線は基地内アンテナに届いているみたいだな。 基地中央司令室経由で呼び出しを
してもらおう)
・・・・・・ーー、 あーー、基地中央司令室か? 私はA−01連隊隊長のエイデン・ピアース中佐だ。
済まないがそちらから、伊隅大尉を呼び出してもらいたい。 ああ、このままで待っている。」
音声のみだったが、基地内のオペレーターが不審そうな声色で対応してくれた。
俺の印象って、不審人物だったのか? まぁ、そうかもしれないな・・・・・・。
暫く待っていると伊隅大尉が通信に出てきた。
「はい。 伊隅です。 どうかなさいましたか、ピアース中佐?」
「ああ、訓練中に済まない。 ちょっと私の方でBETAとやりあってね。 基地内から援軍要請を頼みたい。」
「えっ?! コ・コード911発令ですか?
援軍ポイントを提示して下さいっ!! 直ちに戦術機で向かいますッ!!」
「あーー、いや、訂正する。 戦闘自体はすでに終わっている。
援軍要請とは、研究に使うBETAの残骸を運搬するのに、伊隅ヴァルキリーズ中隊の手を借りたいのだ。
とは言え、運搬処理を行うにあたっては、BDUで無く、99式衛士強化装備着用とし、ついでに89式
機械化歩兵装甲装備の上で急行して欲しい。
場所は、地下22階90番格納庫南壁面に出入口を開けておいたので、そこからとなる。
機械化歩兵装甲って、幅どのくらいで通れるかな? 5m✕5mの範囲なら大丈夫か?」
「あっ、あの、中佐っ!! 戦闘は本当に終了したのですか?
一体何処からその様なBETA出現の情報が有ったんですか? 基地中央司令室からは何も聞いて
居ませんでしたが、中佐は大丈夫なんですねっ?!」
「ああ、大丈夫だ。 私はピンピンしているし、戦闘は本当に終わっているから安心し給え。
基地中央指令室が知らないのも無理はない。 私は基地から1kmほど離れたハイヴの隠し通路に
来ている。 戦闘はそこで行ったのだ。 繰り返すが今はもう戦闘は終了している。
ただ、通路など照明がないので、照明器具など夜戦対応キットも一緒に持ってきておいてくれ。
連絡は以上だ。 通信終わる。」
あのまま伊隅に根掘り葉掘り聞かれていたら、通信だけで30分は係るだろうから、さっさと通信を切って
やった。 まぁ、BETAに艱難辛苦を舐めさせられているだけに、大尉が心配をするのは当然なのだが、
こちらの都合というものも考えて欲しいと思った。
兎に角、ここにヴァルキリーズ中隊がやって来るので、来やすいように90番格納庫からの通路を
爆砕点穴を用いて整備してやろう。 それと、格納庫南壁面前に置いてきた89式機械化歩兵装甲を
イノベーター能力を応用してリモート起動させて、入り口の寸法も5m✕5mに変更しておいた。
連絡を入れてから15分少々ほど経過した辺りで、90番格納庫にヴァルキリーズ中隊が来たことを感知
した。 中隊一行は、南壁面前の俺の機械化歩兵装甲を見つけ、その後ろにぽっかり空いた入り口から
怒涛のごとくこの場所に向かい進んできているのがわかった。 その振動がね、ド・ド・ド・ド・ドって、
色気も何もないから、待っているこっちとしては反対に怖くなってきた程だよ。
まぁ、その様なアホなことを考えていると、中隊一行はやっと到着した。
周りの空間は真っ黒なので、機械化歩兵装甲のライトを照射して周りを確かめているのは分かるのだが、
俺を見つけても、何か敵を見ているかのような視線を感じた。 何でだろう??
「ーー・・・・・・そこのお前っ!! 何者だっ?!」
衛士強化装備のマイクを通じて、伊隅大尉の声が大空間である地下一帯に響いた。
・・・(゚Д゚)ハァ? アンタ何言ってんの? 俺はそう思った。 何でこんな事を今更・・・・・・。
あっ?! そ・そうか。そうだった・・・・・・。
「・・・・・・任務ご苦労、伊隅大尉。 しかし誰何するにしても、こんな所に呼び出したのは私しか居ないのに、
『何者だっ?!』とは頂けないな・・・。」
俺はそう言いつつ、ノーマルスーツ・モドキのヘルメットを脱いだ。
メットの中からは、当然俺の顔が出ている事になる。
確かに彼女等はノーマルスーツ・モドキを初めて見るから、不審者に思うのも無理はないがな。
「・・・大変失礼しました、ピアース中佐っ!!
それにしても、ここは一体どう言うところなのですか? 90番格納庫から憂に1km以上離れていますし、
BETAとの戦闘云々は、一体何を言っておられたのですか?」
「真っ暗なところだから、不審に思うのは仕方がないな。 用意してもらっている照明装置を照らして、
周りを確認してみろ。 BETA戦闘の意味が分かるだろう。」
早速ヴァルキリーズ中隊は、用意していた照明装置を使い、周りの確認を行った所、そこにはバラバラに
砕けて無残な姿を晒している、戦車級BETAさん達の残骸が残っていた。
一瞬その無残な光景に一同は息を呑んだ。 しかし、この中でそれ以上に心を砕かれる人間が居た。
案の定、白銀君だった。
「・・・ぅわ、うわぁ、うわあぁぁゥアワワアあああぁぁあああーーーっ!!!」
戦車級に限らず、白銀君にとってBETAは忌むべき存在だ。
それは家族を、恋人を、自分を、人間全てを齧りつき、引きちぎり、叩きつけ、貪り食い、殺してきた絶対者。
即ち、絶対悪。 その恐怖、絶対的な死の意味、それ以外に無いモノ。
それが白銀君にとってのBETAと言う意味なのだから。
中隊後方に居た白銀君だったが、その挙動に違和感を覚えた他の隊員たちが、白銀少尉を訝しげに
見ている中で、俺は咄嗟に声を上げた。
「ーー・・・イカンッ!! PTSDだっ!! 私が白銀少尉を止めるっ!! 周囲の者は被害を受けない様に
注意せよっ!!」
イノベーター能力を使い機械化歩兵装甲のコントロールを奪えば事は簡単なのだが、俺の周りの
人の目が多かったので、白銀少尉の機械化歩兵装甲に飛び移り、咄嗟にコントロールパネルを
操作しているふりをして、強制的に機械化歩兵装甲を停止させた。
歩兵装甲装備の停止は行えたが、PTSDを発症している白銀少尉を止めるべく、続いて白銀少尉の
衛士強化装備から衛士鎮静用睡眠剤と弛緩剤を投入し、彼自身も強制的に捕縛した。
一連の動作を見ていた伊隅大尉以下ヴァルキリーズ中隊の面々。
俺は伊隅大尉を呼び寄せ、中隊で割り当てているメディカル担当者を呼び寄せた。
「伊隅大尉、メディック担当者を寄越してくれ。 一応、衛士強化装備から鎮静用の睡眠剤と少量の
弛緩剤を投与したので、これ以上暴れることはないだろう。
この後、90番格納庫の方に運び、時間を置いてから医務室に運搬を頼む。
その間、メディック担当者は、彼の様子を見ておいてくれ。」
「ハッ! 了解しました。 高荷先任少尉、鎧衣少尉、ここへ。
中佐の指示通り、白銀少尉の対応を頼む。
それにしても、何故白銀少尉は、PTSDを発症したのでしょうか?」
「・・・・・・考えられることとしては、少尉は任官前の民間人の時に、BETAと遭遇したのかもな。
BETAを見てから、取り乱したところを見ると、余程の目に有ったのだろう事は想像に固くない。
ただ、この後も衛士を続けるというのであれば、何らかの措置が必要だろう。
一般的には催眠暗示が適応されるだろうが、民間人なら問題はないが、衛士をしていると毎回ストレスが
残るようなものだから、最悪の場合PTSDによる心身ストレスにより兵士業務に支障をきたすことに
なりかねないな。
・・・本人が自らの意思でそれを克服してくれれば問題は減るのだが、このままだと彼を除隊せねば
ならないかも知れないな・・・・・・。」
「・・・・・・了解しました。
睡眠暗示は、その恐怖から逃れるために、ある意味衛士自身の判断を遅らせる傾向に有ります。
咄嗟の判断ができないで攻撃を回避できなかった者を何人も見てきましたから、
睡眠暗示で対応できないとなると、衛士としては致命的だと言えると思います。
この件については、私の方で観察対応しますので、後で報告をあげます。」
「・・・分かった。 この件は伊隅大尉に一任するが、何とか白銀少尉を催眠暗示ではない方向性で
対応してもらいたい。 無理を言うが、やはり暗示による治療では特殊任務は無理だ。
”騙し討ち”みたいな対処でも良いから、本人が克服できるようにケアーを頼む、大尉。
では、残った者で、BETAの残骸を回収する。照明装置を四角(よすみ)に置いて、光源を確保。
その後、散らばっている部位ごとに分けて回収を行う。 尚、無いとは思うが突然動き出すような
反応があるかも知れない。 特に本体部分、下部開口口付近を扱う時は注意せよっ!!
常にエレメントで行動し、お互いをフォローし合うんだ! 良いな?!」
「了解っ!!」と元気の良い返事を返し、早速中隊各員はそれぞれのペアと一緒に腕部やら脚部の運び
出しに取り掛かった。 また、本体部分の運搬には注意していたことも有り、多少の稼働域で動く
戦車級にもめげず、効率的に運搬を行ってくれた。 また残骸となった歯の部分や腕部・手の指なども
綺麗に回収を行われた。
その間俺は、本来の目的である隠し通路本体のサンプルの確保と、簡易式であるもののグレイ6の使用
状況をデータ化し、解析業務を続けた。
「・・・中佐っ!! 粗方BETAの部位運び出し、完了致しました!!」
伊隅大尉はじめヴァルキリーズ中隊の面々は、久々の任務であった為かテンション的にハイになっている
らしく、大尉から元気な報告が届いた。
「・・・ご苦労。 では、照明機器の回収を行って、90番格納庫まで退避せよ。
私はこの大空洞を埋めるための爆弾をセットして、引き上げる。
何、直ぐに作業は終了するので、先に引き上げておいてくれ。」
俺はそう指示を出したのだが、異議を唱えるバカが居た。 意外に宗像中尉だった。
「・・・あ、あの。 そのくらいの作業でしたら、私達の方でも行えますが、中佐・・・・・・。」
「・・・いや、要らない。 と言うか、私の方が断然作業が早い。
下手をすると、諸君らが90番格納庫に到着する前に、私の方が先に到着している可能性が高い。
(い・言えない・・・。
隠し通路をWD的格納術で仕舞いたいから君達が邪魔なんだ、って言えないっ!)」
「・・・お言葉ですが中佐。
幾ら何でも、少々大袈裟過ぎませんかね? どうやったら、爆弾を仕掛けた中佐が後から撤退する
のに、先に撤退している我々よりも先に格納庫の到着できるんですか?」
「ホホゥ・・・。 宗像中尉は”痛い目にあっているのに学ばない”のかな?
では、例によってワ・タ・シ・と賭けをしたいのかね?」
”ザワッ”と周りから音がした。
最近のヴァルキリーズ中隊で禁忌となりつつある、【中佐との賭け】は自身は勿論、中隊全体にとっても
碌な事にしか成らないと言う事を身を以って知ったためだった。
「(はわわわゎゎゎっ、 ど・どうしようっ! ま・また変なことになるんじゃ・・・・・・。)」
「(む・宗像っ!! 被害を受けるならお前だけにしてくれっ!!
もう私は部隊の皆を巻き込みたくないっ!!)」
「(あらあら、美冴さんったら、性懲りもなく中佐に挑むなんて・・・。既に速瀬中尉と柏木少尉、
そして貴女は1敗していて、これ以上負け続けると任務に支障が出るくらいの信用が無くなるのに、
相変わらずの勝負師なんだから。これは、後でしっかりと釘を差しておいてあげましょう・・・。)」
他にも色々と思った部隊員は複数居たのだが、統括意見をまとめると、「これ以上中佐を刺激しないで
欲しい」だった。
何故ならば、今彼女らの着用している衛士強化装備は訓練兵時代に着用していた規格のもので、
通常スキン部分の色は、黒・もしくはダークブルーなのだが、現在はベージュ色と肌に近い色をしている。
お陰で、タダでさえ体型の線がモロに出て”エロスーツ”であると思っていたのだが、それが正真正銘の
モノとなっていた。 これも元を正せば、要らない疑問を持って中佐に叱られた為であり、模擬戦を挑んで
汚名を雪ぐつもりが、恥を上塗りしてしまったようなものによるペナルティーの為だった。
それらのプレッシャーも加味して、宗像中尉は苦々しげに返事をした。
「・・・いいえ、賭けはしません。 中佐のご指示通りに致します。
本当に配慮のない具申を申し上げ、大変申し訳ございませんでした。」
「おや、私とは遊んでくれないのかね? それは残念だ。
まぁ、負け続けている者をイジメる趣味は私にはないので、中尉がしないと言うのならそれでも全く
気にしないがね。
では、先ほどの指示通り、作業を行いヴァルキリーズ中隊は90番格納庫まで撤収してくれ。」
「了解っ!!」と威勢の良い返事を返すと、とっとと撤退作業に移るヴァルキリーズ中隊の面々。
それ程俺との賭け事はイヤだったらしく、照明機器を回収した後、俺を気遣う素振りすら見せないで
さっさとRBTを実施した。 フンだ。 ちっとも寂しくなんか無いんだからネッ!
ちょいナーバスになりそうだったが、サッサと隠し通路を切り分けて、持ち帰る事にした。
いつぞやの新潟迎撃戦で培った、爆砕点穴がLevel2となっているため、任意の方向のトンネルを
オーラ力を使って作成できるので、この技術を応用して隠し通路自体を分断することにした。
狙うは通路に沿って3〜4等分に別けること。 俺はノーマルスーツ・モドキの装備を点検してから
作業を実行した。
「そぉ〜〜れっ!」
掛け声宜しく、指を一突き。 動作はたったこれだけだが、隠し通路はモノの見事に4等分に割れた。
土煙が舞う構内に置いて、俺は空間的な把握が行えるので、さっさと近場にある通路だった残骸の
回収を行った。 それらの作業はいとも簡単に行われ、終了した。
土煙は待ったままだが、ノーマルスーツ・モドキのヘルメットをかぶっていたので、それらは作業には
影響を及ぼさない。 作業が終了したので、俺も撤退することにした。
90番格納庫まで通じている帰りの通路は真っ暗のままだが、それでも先を先行しているヴァルキリーズ
中隊の位置はわかるので、彼女らに追いつかないように加減しながら進む俺。
肝心の爆弾の方は、45ACP弾を2発使って、光速で衝突させた衝撃を使って対応するつもりだ。
だから、格納庫内から射撃すれば事足りるので、爆薬をセットしなくても作業完了したも同然だった。
ヴァルキリーズ中隊が格納庫に到着したのを感じたので、俺も格納庫手前100mの地点まで音速で
移動を行った。 目的地に到着すると、後はゆっくりと歩くのだが、それでも5分かからないで
格納庫に到着できた。 俺が格納庫南面外壁から中に入って行くと、俺の周りにいる中隊の面子は
一様に驚いた表情をしていた。 その中で咄嗟に受け答えができたのは、伊隅大尉だった。
「・・・えっ?! も・もう、到着されたのですか、中佐?!」
「ああ。 作業を終了させて、今着いたのだが、何か変か大尉?」
「いえ・・・・・・。 ただ、本当に作業をされたのか不安になって来まして・・・。」
「変なことを言うな大尉は。 貴官等の後ろの方で何か大質量の崩壊する音が響いたと思うが、
機械化歩兵装甲の移動音で気が付かなかったのかね?」
「いいえ、その音が響いていたのは確かに聞きましたが、それですら爆弾をセットするための試削の為の
音響だとばかり・・・。 それから数分も経たずに合流されたので、それで驚いているのです。」
「・・・なるほど。 しかし、その様な心配は要らないぞ、大尉。
残りの諸君らの作業は、南面外壁の修繕作業だ。 開けた穴を元通りの外壁にするための作業を
実施する。」
そう言いつつ、外しておいた外壁を機械化歩兵装甲を持って付け直させ、最後の一枚になった所で、
待ったをかけた。 俺はノーマルスーツ・モドキの右足首に入れておいた専用の銃フォルダーから
グロック41を取り出し、弾を4発打ち出してから、最後の一枚の外壁を元通りにさせた。
発射した4発中、最初の2発は先ほどの大広間の方に移動させ、残りの2発については、手前の通路を
崩壊させるために使用した。 手前の通路の崩壊には音速の10倍の威力を属性付加させ、それらの弾を
それぞれの正面に来るように軌道を変更してぶつけた。 この時に生じる衝撃波の威力も100倍ほどにし、
通路中央から先に崩壊を行わせておいた。
続いて、最初に打ち出した2発の弾丸についても、今度は光速属性を持たせ、同じように衝撃波を発生
させ、隠し通路が有った大空洞を衝撃波を使って崩落させた。
これで完全に格納庫の外の地下世界は崩壊したことと成り、一連の作業は終了となった。
「ヴァルキリーズ中隊の諸君、一連の作業、ご苦労だった。
これを以って作業を終了とする。 何か聞きたいこととか有るか?」
なんとも狐につままれたような顔をしている中隊メンバー。
作業と言っても、BETAの残骸の回収しかしていないので、腑に落ちないのかもしれないと思った。
すると、この中から質問を行う怖いもの知らずが居た。 意外にも麻倉 美雪少尉だった。
「・・・・・・あ・あのー。 一つお聞きしたいのですが、宜しいでしょうか?」
「うん。何だ、麻倉少尉?」
「はっ、ありがとうございます、中佐。
それでお聞きしたいのは、今中佐が装着されている装備についてなのですが、今まで見たことのない
強化装備を着けておられますが、それについて情報の開示を願っても宜しいでしょうか?」
「・・・ああ、これの事か?
一応この装備は衛士強化装備ではなく、第五世代以降の戦術機システムに使用される予定の
宇宙服だ。 まだ、正式名称は未定なので仮称となるが、”ノーマルスーツ・モドキ”と呼んでいる。」
「ハァ。 その装備って、宇宙服だったんですね。
でもでもっ、第五世代戦術機以降の装備には従来通りの99式衛士強化装備を用いるんでしょ?
どうして今の段階で宇宙服を着ていたんですか?」
「・・・いや、どうしても何も、第五世代戦術機以降の衛士の装備は、このノーマルスーツ・モドキを
装着することになる予定だ。 以前話したグレイ6を流用した技術がこの装備に入っているから、
第四世代機までを使用する場合でもなければ、99式衛士強化装備は使用されないだろうが、
それがどうかしたか?」
俺がそう答えると、今度は麻倉少尉の同期の高原 紗恵子少尉が口を挟んできた。
「ほ・本当なんですかっ!! じゃ・じゃぁ、どうして今の時点で私達は99式衛士強化装備の訓練兵用を
装着しなくちゃいけないんですかっ? け・結構恥ずかしいんですよ、これっ!!」
何故か2人揃って、子犬みたいに”ヴーー”と唸り声を上げているかのポーズで抗議してきた。
周りを見ると、少尉連中は先任も含めて同じ顔をしている。
「・・・それについては、伊隅大尉に説明したのだがな。
大尉、中隊の皆にはどの様に説明したのだ?」
「・・・・・・すみません、中佐。 中佐からの説明に有った趣旨までは、説明できていませんでした。」
「ヤレヤレだな。 では、伊隅大尉。 作業も一段落したことであるので、この後は中隊ミーティングを
実施。 訓練兵用装備にした理由を解説しておけ。
説明後に昼食と休憩、午後からは予定通りの訓練に入れ。 良いな?」
「・・・ハッ、了解しました。」
こうして中隊任務を完了させ、一旦解散となった。
俺はこの後も作業があるので、引き続き格納庫に留まったが、伊隅大尉から作戦報告書の提出が
メールであり、その報告書の備考欄に、衛士強化装備の解説を実施した際に出た質問を回答するのに
一苦労したとのコメントが書かれていた。 ご愁傷さまだ、伊隅大尉。
回収してきた戦車級BETAさんの残骸が分類ごとに別れて保管されている。
俺は此等の残骸から、グレイ物質の含有量を調査し、その量が微々たるものであっても、できれば回収を
行いたいと思っている。 迎撃した後のBETAさんユニットは、不燃ごみであり、処分に一苦労していると
香月博士も言っていたので、「使えるものは使う」の精神でリサイクルを試みた。
とは言え、部分ごとに解体しまくり、物質を取り除くと言う方法も考えないではなかったが、
それは何とも”スマートな方法”とは言いがたかったので、工夫をすることにした。
「(・・・では始めようか。
取り分け、グレイ6の有無を確認し、その範囲内に恐らくグレイ9を用いたエネルギー保存場所が
あると思われるので、最初はグレイ6を解析眼とイノベーター能力を用いて解析しよう。)」
一念発起して、甲21号ハイヴから持ちだしたグレイ物質を入れたケースを取り出し、中からグレイ6を
適当に使う俺。
ノーマルスーツ・モドキを作成する時や撃震モドキを作成する時にも、「何でも無限」を繰り返し、
このケースを今までにも複数回使用しているので、実験についても使いたい放題だった。
その為、いつもの様に90番格納庫の床に適量をふりかけ、その中に部分だけとなった戦車級BETAさんの
腕や脚を入れてみた。 グレイ6を反応させるためのエネルギーは撃震モドキから供給しており、
その状況下に置いて、戦車級BETAの腕や脚がどの様なデータを表示されるのか、観察を続けた。
しかし、思うような情報は得ることができなかった。
「(・・・何故だろう? この方法で現象の確認が取れると思ったのだが、脳量子波等の”意志の力”に
干渉する力場・フィールドが形成されると思ったのだが、その様に現象が現れない・・・・・・??)」
甲22号ハイヴの記録映像を解析した時、被験者である鑑 純夏の心臓を強化する際に、ハイヴ・コアは
任意の空間を設定し、その中で確かに彼女の心臓を動いたままの状態で筋肉の強化を行っていた。
俺の一連の実験予想では、この様な力場が形成されるハズと思いそのようにしたのだが、平面上に
グレイ6を使用していても”任意の空間力場”が形成されないと言う、壁にぶち当たった。
「(・・・何か・・・・・・。 そう、何か見落としている感じがする・・・・・・。
何だろう?? 平面上では空間が設定されないのか? まさか平面を2D、空間を3Dと言うように
フレーム構造になぞらえる様な空間無いでないと、3Dにならないとか・・・・・・??)」
そう言う懸念が頭を過った。 そうなってくると”どの様なフレーム構造”を作るのが適当なのかが
良く分からないので、採取した隠し通路を先に解析する方が良いように思えて来た。
今の実験を一旦中断し、回収してきた通路を取り出し、組み立てることにした。
90番格納庫にハイヴの隠し通路その物が、分割されていたものが徐々に一体化され、元の通路に
戻っていた。
この隠し通路は規模こそ大きくないものの、それでも全長は150m程のものだった。
この中にギッシリと戦車級BETAさんが詰まっていた訳だが、穴の直径は大凡20mほどだった。
戦車級BETAさんの全高は大凡3m以上4m以下なので、上下左右に配置され、その一列が13機程度の
集団だった計算になった。
で、その直径20mの大穴によじ登り、内壁材を解析した所、至る所にグレイ6で構成された結晶体が
確認された。 ただ、結晶体とは言うものの、その大きさが直径1cmほどの石にしか見えない物で、
それが至る所に散りばめられている。
多分、一部分のみで見ていたらその法則性は気が付かなかっただろうが、隠し通路全体で見てみると
その配置には一定の法則が見られた。
グレイ6自体の情報伝達有効範囲は10m程の距離だから、上下壁のグレイ6結晶石はその有効距離内に
配置されている事になる。 つまり、法則性はあるものの、通路全体に情報を伝達するのは十分に可能な
距離を持っていた。
では、研究目的として、この結晶石の構成を解析できれば、フレームに組み込む用のグレイ6の作り方や
結晶体の作成方法を模索することが出来ると推測し、実行に移した。
その結果、情報の伝達について面白い特徴を発見した。 それは、結晶体の表面のグレイ6物質の”向き”
なのだが、一定の電気的エネルギーフィールドの中で現れる現象として、電気エネルギーが集まる一点の
集中するポイントに向く部分、磁石のN極とかS極の様なものが見ることができた。
「(・・・フムフム。 つまりこれの反対側が、脳量子波等の思考波を反射すると言う性質か。
では、此等の性質を反転させることで、思考波を反射ではなく吸収する方向で使用できる様に仕向ける
研究を行えば、二面性を持った形状のものを作成することは可能かもしれないな。)」
電気エネルギーフィールドを強弱を付けてその効果や特性を割り出してみて、狙い通りに思考波を
反射させずに吸収することも行えるようになった。 これらを用いれば、外からの思考波を用いた情報の
収集を行えなくさせたり、内側には思考波による情報の精密さを上げることができる様になった。
これらからの特徴を踏まえると、戦術機用コックピットのフレーム内部に、エネルギーフィールドを形成する
2系統のモノを用意し、外側と内側とでサンドイッチできる様に配置し、フレームに組み込むように作成
する方針を組み立てた。
取り敢えず、此等の2つの系統の物質の作成を行えるように考案を行おう。
では続いて、現状の通路内は3D構造となっているので、この通路自体に電気的エネルギーを流通させ、
その中で任意の空間に特殊力場が形成されるかのテストを実施した。
結論を先に言うならば、成功した。 先ほど想像していた通り、グレイ6を用いての任意の空間に力場を
生成するには、先にフレーム構造体を構築し、このフレームの中にグレイ6を用いた結晶体を組み込む
必要があったのだ。
また、グレイ6を結晶化させる技術として、任意フィールド内にて超高温超高圧環境下で一点的に電気
エネルギーを高めた空間を用意し、この中で物質を純粋培養宜しく、純度を高めつつ固めることで、
ハイヴ・コアに似たような感じの結晶体を生成することができた。
だが、この結晶体、単に純度の高いグレイ6だけとなってしまい、その特徴である思考波や脳量子波など
を受け付けたり反射させたりする性質がない、単に”純粋な物質”に成り下がってしまった。
何でも純粋な結晶にできれば良いと言う訳ではない、と言う帰結に至った。
兎に角、結晶化技術の方向性を確かめることができたので、これについても後々の課題と言う事で、
一時保留とする。
・・・・・・本当は、じっくりと研究とかしたいのだが、「魔女の大釜」ができていない段階でアレコレ悩んで
いても袋小路にハマることはあっても、そこから抜け出せない可能性が高い。
目標に向かってまっしぐらに、問題を定義して解決できる目処が経ったなら、そちらに向かい邁進する
時期なのだから、これ以上の時間はかけていられなかった。
「(・・・・・・フン、まぁこんなもので良いか・・・。
と言う事は、フレームに組み込むモノは、結晶体でなくても良いので、例の2系統のグレイ6製品を
作成し、フレームを一通り作成しよう。 それを「何でも無限」で複数個増やして、立体的なフレーム
構造体の会議室を構築し、それらの情報を処理できるようにインターフェースを作って、高性能PCを
配置することで、おおまかには完成に近づくだろう・・・。)」
と言う事で内側と外側の2系統のグレイ6を使った思考波情報処理の会議室向けフレーム工材を
作成した。
休憩など無く、ぶっ通しで作業を行っていたのだが、ある程度の作成が済んだので、一旦休憩を挟む
事にした。 時間を確認すると、20時を少々回ったところだったので、PXにて夕食を取ることにした。
90番格納庫にて作業をしていて、夕食をPXで済ませて、現在基地内の医務室に向けて移動を行っていた。
食事中に私宛の報告メールが届いていたので、食事を取りながら内容を確認した所、午前中にPTSDを
発症した白銀少尉の事について報告があった。報告内容から未だに医務室で休息を取っており、
明日以降の訓練内容に変更を加える旨の記述があった。
一応連隊の責任者であり隊長であるので、伊隅大尉に任せていても様子を見るぐらいなら見舞っても
良いかと思い、様子見のため医務室に向かう事にしたのだ。
どうやら伊隅大尉は医務室から白銀少尉を回収し、現在の宿泊先である大部屋に移動をしているらしい。
廊下の角を曲がった先に2人並んで歩いている。 俺は彼らの視界に入らない様に後ろの位置で、
大尉等の会話を聞いた。
「・・・・・・医務担当官から聞いた話だと、白銀 貴様は以前にBETAと対峙したことがあるらしいな・・・。」
伊隅大尉は徐ろに白銀少尉に尋ねる形式の確認作業を始めていた。
「・・・お・俺が、BETAと、ですか? いいえ。 その様な記憶は、俺には・・・・・・。」
「・・・フム。 無いと言うのか? それは、相当に重症だな。
しかし、あの様にBETAを見た瞬間に取り乱すようでは、この先の任務に支障を来す恐れがある。
現状は、体力消耗が激しいので当分は心身を健全化させることを優先とするが、最終的には
一度睡眠暗示医療を受ける様に心の準備をしておけ。 良いな?」
「お・お言葉ですが、大尉。 今のままでも十分に対応できますっ!!
ワザワザ睡眠暗示医療など受ける必要は無いと思いますっ!」
「・・・何に怯えているのか想像はできるが、これはお前だけの問題ではない。
良いか、白銀? 我々の部隊は何時も最前線で戦闘を繰り返してきた。 この中で衛士が生き残るには
一人一人がスーパーヒーローである必要ないんだ。 なぜだか分かるか?」
「・・・・・・エレメント等、常に一人では戦わないで、チームとして機能してきたから・・・ですか?」
「そうだ。 隊員一人一人がそれぞれをカバーし合って来たから、生きてこられた。
だが、その中にまともに戦えない人間が居た場合、これまで同様に生き残れ続けれると、貴様は
本当にそうだと答えることができるか?」
「・・・・・・・・・そ・それは・・・・・・・・・。」
「・・・貴様が今想像したとおりだ。 答えは『無理』である、と。
睡眠暗示治療のため、もう数回あの様にBETAの映像を使って暗示を掛ける必要がある。
だが、貴様はそれから逃げていては、これから先も兵士として戦うことはできないだろう。
増してや今の私達の部隊は、『教導』と言う兵士を教え鍛える為の部隊になりつつある。
人間を戦うための兵士に育てる事を目的とする部隊の人間が、”戦えない”状態のままで、
他者を鍛えたり、戦術等を教えたりすることができると、貴様は言えるのか?」
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・明日からの訓練についてのメニューに、睡眠暗示治療に関する時間を追加し、今後に備える。
必要な手続きのための書類を明日の午前中に、私に提出する様に。 分かったな、白銀少尉?」
「・・・ハッ、了解しました。」
その様に返事をしたものの、白銀少尉はその場に立ち尽くしてしまった。
ある程度の時間経過が必要と感じた伊隅大尉は彼をその場に残し、部隊の執務室にその歩を進めた。
暫く廊下の真ん中に突っ立っており、動く気配を見せない白銀少尉。
今も自問を繰り返しているかに見えた。 それについて溜息を吐きつつ、俺は彼に接触を図ることにした。
「・・・よぅ、白銀少尉。 もう身体は良いのか?」
「・・・? あっ、し・失礼しました。 ピアース中佐。」
後ろから声を掛けた俺に対して、一瞬上官だとは思わなかったらしく、不遜な態度をしてしまった事に
対して、自らを戒める目の前の少年。 それに対して俺は、いつもの”軍人然”とした態度は取らなかった。
「おいおい、少年。 俺の今日の仕事はもうオフだ。 だから、間違っても『中佐』とか呼ばないでくれ。
今飯を平らげて、後はベッドで寝酒を煽ってお休みの予定だ。
余程の事でもない限りは、仕事はもうしない。 だからお前さんももっとラフに答えたら良いだろう。」
普段と異なる態度を取る俺に対して、かなり面食らった顔をしている。
ためらいがちな態度とは裏腹に、さっさと俺の目の前から逃げ出したい、とでも言いたげな態度が見て
取れた。 だが、俺はそこまでお人好しではない。 なので、少々ストレス発散を教えてやることにした。
「・・・とは言え、だ。
今日もあの女どもの巣窟の寝床に帰って、モンモンとして過ごすのは、ちょっと可愛そうではある。
なので、そんなお前さんに少々憂さを晴らす方法を教えてやろう。」
「・・・・・・はぁ、憂さ晴らし、ですか?」
「おっ?! 今ピンク色の発想が頭に浮かんだな?
俺はお前さんに女を紹介してやるほどお人好しじゃないぞ?! てめぇの分はテメェで確保しな。
それと俺が言っている憂さ晴らしは、もっとシビアで八つ当たりができる方法だ。
ある意味、女が絡まない分、清々できるだろうよ。 着いて来な。」
俺は踵を返すと、さっさと回れ右を決め込み、とある場所を目指して歩を進めた。
それに対して白銀少尉は、一瞬躊躇いを見せたものの俺の後をついてきた。
既に夜の21時を回ったというのに、この射撃場のいくつかのサイトには、今も尚幾人かの軍人が
射撃訓練を行っていた。
俺はその中の内、4つ空いているサイトをキープし、他の者が入ってこれないようにした。
俺と白銀少尉は真ん中の2つのサイトを利用して、いくつかの拳銃射撃を行うことにした。
「・・・・・・これが、中佐の言う”憂さ晴らし”・・・ですか?」
「ああ、そうさ。 それと今俺のことを”中佐”と呼んだな? 止めろと言ったはずだぞ、少尉。
まぁ、良いか。 『ああ呼べ、こう呼べ』と言った所で定着しないしな。
それよりさっさと始めよう。 早くしないと、貴重な睡眠時間が削れちまう。」
俺はそう言うと、確保したサイトの後ろにある武器保管庫の扉を開き、中の銃器を選択して、
撃ってみたい2・3丁の拳銃と、1丁のアサルトライフルを持ちだした。
拳銃用弾丸として9mmパラ弾のケースと45ACP弾のケース、5.56mm弾のアサルトライフル用弾の
ケースを用意し弾丸を補充した。
通信機能付きレシーバーを付けた俺は、徐ろにM92Fベレッタを3点バーストで撃ちだした。
小気味良いリズムを刻みつつ、ターゲットサイトのど真ん中に風穴を開ける。
絶対距離感覚が無意識の内に効いているらしく、特に狙わなくてもど真ん中以外に当たらない。
横でそれを見ていた白銀くんは”ほえぇ〜〜”と溜息を漏らしていた。
「撃たないのか、少尉?」
レシーバを外しつつ、そう白銀少尉に聞いてみた。
それまで呆気にとられていた白銀少尉は、俺の問いかけに正気を取り戻し、国連軍衛士の制式銃を
取り出し、9mmの弾が19発入りのマガジンを詰め込み射撃準備を行いだした。
俺もマガジンの交換を行ってから、レシーバを付け直し、再度射撃を行うことにした。
それから約30分間、男二人は黙々と射撃を繰り返し、思う存分八つ当たりを行った。
さすがに疲れたのか先にギブアップしたのは白銀君だった。
俺? 俺は普段から撃ち慣れているから、平均射撃時間は90分単位でカウントできるぞ。
30分なんて朝飯前だが、白銀くんは病み上がりと言う事もあり、今日は射撃場を後にすることにした。
「・・・・・・どうだ? 頭を空っぽにしてガンガン撃ちこむのは?
意外とスッキリすると思わないか?」
射撃訓練を終えて後片付けも終えて、白銀君が射撃場の待合室のベンチでヘタっている。
待合室の隅にあるジュースの自販機からコーラー(ビン)を2本買って、その内の1本を白銀君に
渡しながら、その様に聞いてみた。 すると彼は・・・・・・。
「・・・・・・ええ、そうですね。 でも、どちらかと言うと、俺の場合はバッティングセンターで打つ方が
性に合っているかもしれません。」
と、力弱く答えた。
「フム・・・。 ジャパニーズ式では、パッティングセンターが一般的か。 ステイツでは射撃場の方が
多いから、てっきりこっちでもそうだと思ったよ。
まぁ、良い。 心身的なストレス発散になったなら、”結果オーライ”と言うところだろう。」
すでにビンの栓は販売機横の栓抜きでとってあるので、そのままゴクゴクと喉をならしながら
飲み始めた。 本当はビール、ハイネケンが良いのだが、未成年者にビールを薦めるのもNGだから
コーラーで我慢した。 半分ほど飲んでから白銀君を見てみると、彼はコーラーに口を付けずに
まだショボ昏れている。 どうやらPTSDの件が余程堪えているように見えた。
「・・・何だ、まだ90番格納庫の事、気にしているのか?」
「・・・・・・だって、自分ではそんな筈無いって、自信が有ったんですよ。
シミュレーター訓練でも戦術機に乗れるし、同期の他の皆よりも胸を張って競えるって、でもって、
BETAなんかやっつけてやる、って・・・。
でも、この体たらくですよ。 何か情けなくて仕方がないんです。 分かりますか、中佐?!」
「・・・なるほど。 それで落ち込んでいると?
何とも贅沢な悩みだな、少尉?! お前さんが落ち込む気持ちについては、正直俺には分からない。
反対に聞きたいが、お前さんは拳銃で人、人間を撃ったことは有るか?」
「あ、有る訳無いじゃないですかっ!! そ・そんな人を殺すなんて、どうかしているっ!!」
「フム・・・。 どうかしている、か・・・・・・。 ま・確かにな・・・。
だが、今日拳銃を射撃場で撃つ訓練はできただろ? 何の為にこれをやった?
あ、俺に誘われたから、とか、そー言う変な回答したら、ゲンコツでぶっ飛ばすからな?!」
「・・・・・・で・では、BETAを倒すためです。」
俺は無言でゲンコツを少尉の頭に落とした。 イタッ、と返事をしつつ俺を恨めしそうに睨む少尉に対して
俺は白銀少尉を叱った。
「・・・トンチ問答をやってんヂャねぇっ!! 違うだろうがっ!! もっと真面目に答えなッ!!
人間を撃つための訓練だっ!! 相手を殺さなきゃ手前が殺られるんだぞっ!!
ヴァルキリーズ中隊の皆にも同じ事を言ったが、銃で人を殺せと命じられたら、引き金を引かなきゃ
いけないのが兵隊だっ!! だが、速瀬中尉以下、本当に引き金が引ける兵士は数名しか居ないだろう。
そんな事でBETAを倒すだ?! 人間もマトモに殺せない者が一人前のことを抜かすんじゃないっ!!」
「・・・だ・だってっ・・・・・・。」
「”だって”とか、どこぞの女子中学生かっ、お前はっ!!
成っちゃいねぇっ!! 全く、成っちゃいねぇっ!! よくそんな甘々で生きて来れたな、3年もっ!!」
「・・・? 3年? 一体何を言ってんです?!
だ・大体、射撃場に連れてきたのは中佐でしょ?! ”憂さを晴らすため”って最初に言ったのは、
あんたじゃないかっ!!」
「ああ、言ったぞっ!! だが、本当にお前の憂さを晴らす為だけに連れてくる訳はあるまいよっ!!
俺が言いたかったのは、”お前の覚悟の程がどの位あるのか”について、聞いたんだ。
だが、それが”全くない”と言う結果だったのは、予想外だ。 もっとよく物事を考えろっ!
香月博士からもその様に注意を受けていた筈だが、忘れていたとは言わせんぞ!!」
「ぅぐ・・・・・・。 し・しかし、それとこれと、どの様に関連付けがあるんですか?!
片や”BETAを見て取り乱す”、もう片方は”人間を撃つ覚悟”。
お・俺には中佐が何を仰りたいのか分かりませんっ!!」
「ったく、お前はどんな時でも餓鬼のままだなっ!!
あれだけBETA共に蹂躙されまくられて、それが生存本能レベルにまで刷り込まれていた為に、
午前中の取り乱しとなった。 今までもそうだったし、これからもソレをしなければそうなるのは、
仕方がない帰結だと言えるだろう。
だが、本当は分かっているのだろうが、敢えて言葉にしてやろう。
何が自分に足りないのか、どうやれば自分を正すことができるのか、同期の者に対して胸を張る為の
対処方法が何だったのか、それは『Stop and the Think.』だ。 『立ち止まって考える』とは、
絶えず自分の存在について考えることを怠らなければ良いだけの話だ。
戦術機に乗れるだの、BETAを見て取り乱すだの、そんな事はこの際どうでも良い事だ。
次の自分に何が足りないのか、それを何時も考えろ。 時には立ち止まってよく考えろ。
その時々の状況に流される事を善しとせず、何かを満たすために考えるのでもない、足りないものを
探し続ける癖を身に付けることができれば、過去や現在とは異なった未来の自分に成るだろう。
絶えずその様に心がけることができる自分とできない自分とを比較してみれば、もっとよく分かるだろう。
先程、伊隅大尉が言っていたように、催眠暗示治療について不安を覚えていたようだが、単に治療を
受ける自分しかイメージ出来ていなければ、治療を受けただけで終わってしまうだろう。
単に治療を受ける事以外に、その次の自分が何かを足すことができれば、治療も受け自分で対処した
別の自分になれるのだとしたら、それはお前にとっての強みに成るのではないのか?」
「・・・・・・・・・。」
「御剣少尉を見てみろ。 彼女は既に始めているぞ。
お前はそれについて彼女に教えを請い、会話をした筈だ。
あの純朴な少女は、お前に対しても真っ直ぐに答えを返してくれただろう?
なのに、お前はそれを聞いたままで終わらせてしまっているな? 何でその意見を取り入れようと
しなかった? 体力的にも彼女よりも劣るお前は、何がしたかったんだ?」
「・・・・・・それって、冥夜が夜の就寝前に走りこんでいる、って事を言っているんですか?
た・確かに、その事について教えてもらいました。 でも、他にも色々とやる事が多すぎて、とても就寝前に
走りこむ時間が・・・・・・。」
「時間なんて、自分で作るものだ。 スケジュール管理を徹底すれば、自分で空き時間を作ることはできる。
御剣少尉に限らず、榊少尉や彩峰少尉、他の面々をよく見てみろ。 各自何らかの訓練を自分なりに
行っているぞ。 確かに体力向上の為の訓練をお前さんは集中的に行っていて、とても体力的に
余裕がないのかもしれないが、それなら別の何かを取り入れるなりして工夫を凝らすことはできるだろう。
俺はお前たちをヴァルキリーズ中隊に合流した日に言ったよな? 『白銀少尉は他の人間の2倍も3倍も
努力しなければ一人前に成らない』と。
だが、今のお前の状況を見るに、表面上の仕事に押しつぶされて、何も成そうとする態勢に無い様に
見える。 お前の本来のスタンス、起点、そう言うものは何処にあるんだ?」
「・・・俺の起点・・・・・・。」
「そうさ。 行動するための原点とも言うな。
その原点から、何処を目指すのか、何を成そうとするのか、そう言う目標を自分で作らなければ、
前に進めない人間も居るって事だ。 漠然と流されていることに気が付かず、訳も分からないまま
気がついたら死んでいました、なんて締まらない話は聞きたくはない。 そうだろ?」
「・・・・・・はい・・・・・・。」
「・・・本当はこんなお小言を、他人に聞かされて、教えてもらう事にあまり意味はない。
こんなことは自分で考えて、行動に移し、継続できていることに意味がある。
これに気が付かない時点で、『お前は餓鬼だ』と評じられたとしても、それは仕方がないことだ。
いくら悔しくても、自分で気が付かなかった時点で、言われた方の負けなのさ。
だが、本当の餓鬼で終わるのか、恥を忍んでここから挽回できるのかは、お前次第、だと言っておこう。
お前は愚者のまま終わる者か? それとも、愚者で終わる事を善しとしない者か?」
「・・・お・俺は・・・・・・。 愚者で終わりたくありません。
ありがとうございました、ピアース中佐。 まだ漠然としかイメージ出来ていませんが、今後の俺に
必要な何かを、考えるヒントにはなったと思います。」
「・・・フン。 これだけ言っても対応できなければ、部隊から放り出していただろうさ。
だが、この程度の回答では俺は納得できない。 全ては結果を出さなければ何も成らないからな。
時間は余り残されていない。 だが、今月末までに何か形になるものを示せ。」
「ハッ、全身全霊を以って事に当り、ご期待に沿う形にしたいと思います。
それと、コーラー、ごちそうさまでした。 失礼します。」
まだ手を付けていなかったコーラーを、白銀少尉は一気飲みした後、瓶をケースに入れて射撃場から
勢い良く出て行った。
全く、本当に手の係る子だな、彼は。
まぁ、発破をかけておいたので、催眠暗示治療に見せかけた伊隅大尉の処置だけでも、その後に続く
訓練で、何とか挽回できるだろう。
だが、本当に今月末までに一人前になっていなければ、一般部隊に放り出す位はしよう。
幾ら”物語の主人公”であっても、俺の展開する話に乗れないのであれば、そこまで加護する必要も
ないからな。
そう思いつつ、俺も射撃場を後にするのだった。
リザルト報告:
繰越経験値ポイント & SPポイント
経験値ポイント : 0ポイント(繰越分無し)
SPポイント : 2,615,350SP
経験値取得
内訳
戦闘経験値
隠し通路内、待機中の戦車級BETA 52体
小計 52 ✕ 10ポイント = 520ポイント
開発中
第9世代戦術機(プロトタイプ・『撃震モドキ(仮)』→『心神(仮)』)
仮組立中 達成率50%前後
OS部分達成率50%
(アウター5導入済み+空間戦闘機動用モジュール未開発)
戦術機本体部分達成率30%
(側だけ開発済。本体駆動部など未開発部分多数)
思考情報処理システム付き実験室(通称「魔女の大釜」)
仮組立中 達成率10%未満
フレーム開発 グレイ6の組み込み前
全体的なフォルムは釜の部分と大鍋の部分とに別れるが、大鍋の完成が
成らないと釜が作成できない。
総合計 2,615,350SP (繰越ポイント:520追加)
はい。 12話でした。
最近、感想欄にタグ表記について質問を受けました。
斬も以前から「Muv-Luv」でタグ登録しているのですが、文字形式が違うためかMuv-Luvで検索しても本作が出てこない事について、懸念しておりました。
もっとこちらで作品設定の所、細かくできればと思います。
今後の展開についてですが、魔女の大釜の作成が済みましたら、いよいよ第五世代機のCADによる設計図作成に入ります。それと同時に電波式宇宙望遠鏡も作成し、惑星情報の収集とネタ仕込みに入ります。
その後は12月1日の国連総会と言う流れと、24日の作戦のお話ですかねぇ〜。
よしっ、終わりが見えてきた。頑張ろう。
でも、亀更新であることは変わりありません。
皆様気長にお待ちください。
それではこの辺で。
では。