What happened in the story ? 作:斬【Zan】
かなり久しぶりの更新です。俺如きがアメリカ大統領をどうにかできるとか、正気の沙汰じゃないよな。プロットの修正が大変でした。
何度かエタりそうでしたが・・・。
相変わらず内容無茶苦茶で後で再編集すると思いますが、何か国連総会よりも大変でした。今回もモチベーションは駄々下がりの上、ヤケクソ上等で投稿します(言い訳)。
ダイジェストをチョロっと
・壁役は大変だ。
・エンゲージリング、買ったどーー!?
・荒巻部長にお返し
と言うところです。
何時ものごとく、キンクリ的にご都合主義、よろ〜〜、でお願いします。
では、15話・後編です。 どぞ。
2001年12月1日 土曜日 21時46分
アメリカ合衆国 ニューヨーク州 ニューヨーク市タイムズスクエア地区 ブロードウェイ 45番地
ホテル:ニューヨーク・マリオット・マーキス 特設パーティ会場
Other Side : 煌武院悠陽
私は現在とても困惑しております・・・。
と申しますのも、予想外の対応に応じきれない場面に遭遇しているから、というのが私の正直な感想
だからです。
よく「人の噂は当てにならない」とか「百聞は一見に如かず」とは申しますが、これ程想定している
以上のかけ離れようは、政威大将軍たる私でさえ「思いも掛けずに驚愕した」と言わざるを得ないと思います。
その大元である原因の人物・・・。
私の目の前に居らっしゃる、現アメリカ合衆国 第四十三代 ジョナサン・K・ブッシュ大統領、その人です。
「何をそんなに驚く必要があるのか?」と問われれば、「報告に在った内容と実際の人物像がかけ離れて
いるから」と答えるしかないでしょう。
しかも、情報提供に於いては、日本帝国外務省北米方面局長の検察済みの資料に在ったにも関わらず、
実際に接してみて、その内容や評価が180度真反対である結果に、驚きを禁じえませんでした。
それでも流石に、この懇親会が始まる直前に、鎧衣課長から「米国大統領についてですが、もし相対する
事になったとしたら、殿下には臨機応変に対応して頂く必要があるかもしれません。
まぁ、もっともその様な人物が出てくるとは限りませんが・・・。」とのアドバイスを戴いておりました。
・・・まさか本当にその様な仕儀となるとは、彼の予想にも驚愕しました。
何故ならば、各国の国家元首に近い人間は、私以外に参加しているはずは無いと、高をくくっておりました。
しかしやって来られたからには、相手をしないわけには参りません。
外務省の資料に在った通りの対応で、事にあたろうと思っていたのですが、鎧衣課長の”おまじない”の
性なのか、これ程”想定外”では対応に困るというものです。
・・・何とか本題に繋がらないように、言葉をはぐらかせているのですが・・・。
そう、愚直に正面から来られるような、「手法というのも烏滸がましい」ような接し方をされて、ホトホト私も
疲れてしまいました。
そう思っているにも関わらず、同じような言葉を今も述べられていらっしゃいますね・・・。
「・・・如何でしょう? 煌武院殿下。
先の緊急総会にて議題に上がった新戦術機構想とやらの最先端技術を共同で管理運営致しましょう。
そして、特殊教導などの技術習得は日本帝国で、第五世代戦術機以降の新構想戦術機生産を
我々アメリカ合衆国で行えば、全世界にスムーズに供給でき、各戦線を押し上げることが可能と成る
でしょう!」
・・・先程から、言葉を変えてはいるものの、述べられている内容は変わっていません。
そして、ほとんど同じ対応を先程から行っているのですが、良い加減納得して頂けないかしら・・・。
ほとんど無理な希望だと思いますが、もう一度意見を述べさせて頂きましょうか・・・。
「・・・有り難い申し出だと私も思います。
しかしながら、それら新技術の具体的な内容についてのお話は、残念な事に我等日本帝国も、
その詳細の報告は皆様同様受けておりません。
具体的なプランなどについては、直接第四計画の香月博士かピアース中佐に問い合わせて頂くことが
宜しいかと。 何分、私の一存で決めて良い事柄でもございませんので、この件についてはお時間を
頂戴したく存じますわ。 ブッシュ大統領閣下。」
「ハハハ。 そうでしたか。
いえ、私も事の詳細を聞かされて無かったので、少々フライングをしてしまいましたかな?
では、第四計画の香月博士から了承が取れたら、我が合衆国で管理運営を行っても良いという事で、
了承して頂けますかな?」
・・・ハァ・・・。
・・・良い加減繰り返すことにも飽きがさして参りました。
・・・そう言えば、荒巻予備役中佐が”壁役”を用意したとか述べていましたね・・・。
良い加減、この対応に逃れることができるなら、その”壁役”に代わって頂けないでしょうか?
ああ、返事をしなくては・・・。 ”沈黙は是”と取られると、帝国が後れを取ってしまいますね・・・。
「・・・ホホホ、まぁ その様に急かされなくとも、宜しいでは有りませんか?
先にも申しましたように、”新戦術機構想”自体が『海のものとも山のものとも』分からないと申し上げ
ましたので、ブッシュ大統領閣下の”思い込み”だけでお話を進められるのは如何なものかと・・・。
それこそ、ソビエト連邦や中華人民共和国の代表者等、多くの国々の代表からクレームの嵐と
なりかねません。 それと、もしその案に私が”是”と答えたならば、その火中に我が帝国も巻き込まれて
しまうでしょう。 私と致しましては、その様な愚は犯せません。 悪しからず、ご理解ください。」
何か不毛な会話をしている私達の後ろを、さも偶然に通りかかった様な形で、待ちに待っていた”壁役”
が登場してくれた。
私は思わず顔を輝かせて、その二人を呼び寄せました。 本当に嬉しかったからと言うのは、嘘偽りの
無い事実ですよ。
「・・・あら? ああ、丁度良い所に通りがかってくれました。 香月博士、ピアース中佐、こちらへ。
ブッシュ大統領閣下、ご紹介致しますわ。
こちらが我が日本帝国が誘致致しました、オルタネイティブ第四計画の主幹委員長の香月 夕呼博士と、
戦場における第四計画実動実行部隊を率いるA−01連隊隊長のエイデン・ピアース中佐です。」
この二人ならば。 いえ、正確に述べるとすると、寧ろ真打ちは「エイデン・ピアース中佐」がと言う事
なのは間違いのない事実でしょうね。
私としても、中佐に対しては、個人的に苦手とはしておりません。
寧ろ斑鳩のお兄様の様に、冗談を交えて対応してくださる辺りは、他の五摂家の方々同様に安心感を
私に与えてくださいます。
それにしても、同じ”男性”であり”アメリカ人”であるはずなのに、何故にこうも印象が異なるのでしょう?
個人的な魅力と言いますか、ピアース中佐の方が懐が深く、安心感があるのに対して、ブッシュ大統領の
方は肩書以外の魅力が無い事が気にかかります。
人間的な魅力についても、大統領の資質であると聞いたことがあるのですが、残念なことに現合衆国
大統領にはその様な「人間的な魅力」「人徳」が見当たらない様に感じます。
まぁ、この方の人物像云々はこの際横に置くとして、この場を離れることは叶いませんが、私が対応を
強いられる事が無くなることに変わりはありません。 寧ろその事を良しとして、一旦相手役を交代して
頂きましょう。
頑張って下さいね、ピアース中佐。
Other Side Out : 煌武院 悠陽
予定していた通りのは言え、顔を輝かせて”姫殿下”に呼び止められた俺達は、差も偶然とばかりに
煌武院殿下の招きにより、この会場でのVIP(とっても近づきたくない)二人に近づいて、大統領に挨拶を
した。
ユーコさんは民間形式の。 俺は軍隊形式のそれをつつがなく行った。
ブッシュ大統領は、その”ターゲット”視線を、煌武院殿下からユーコさんと俺に切り替えた。
・・・と言うよりも、メインのタゲは俺ですか?
「・・・いつぞやの会議以来ですな。こうやって生身でお会いできる日を待っておりましたよ、香月博士。
そして、貴官がエイデン・ピアース中佐かね?! よくぞ生きて甲21号ハイヴ・コアを仕留めて戻ったな!
もうこれは、”Legion of Merit(レジオン・オブ・メリット)”のチーフ・コマンダーに該当する英雄では
ないかっ!! ピアース中佐ッ! 貴官は我が合衆国全軍の誇りだっ!!」
とか言われた・・・。 それに対して俺も一般的な軍人が行う態度をつつがなく行った。
だが、俺の心情は冷めていた。
と言うのも、俺のいた世界に於いて、ブッシュ家には”ジョナサン”とか言う政治家はいなかった。
つまり、”居たかも知れないが”と言うオチなのだ。 設定上、俺の構成情報として”平行世界”が
絡んでいるので、この”独自設定”も有効なので態度など表には出さないが、裏の本音のところでは
”冷めてしまっている自分”と言うことなのだった。
平たく言うと、イマイチ真剣味に欠けるというか、”そっくりさん”に褒められたような気がして、
それほどの実感が沸かなかった、と言う事だ。
だが、俺自身がそう感じていた性もあって、事前情報として取り込んでいた『ジョナサン・K・ブッシュ』に
関する情報が、そのまま”目の前の男の全て”だと誤認してしまっていた。
後から考えるととても恐ろしい”思い込み”であり、情報操作されている可能性をすっかり忘れていたと
言う失態を犯していたことに、俺はこの時気がついていなかった。
だからいつも通りの対応として、表には出さないでいたが、しかし、空笑いをして対応している俺の態度を
見て、ユーコさん初め煌武院殿下や周りの人間は、少なからず俺と大統領に対して違和感を感じ取っていた。
そして俺は、重大な失態を犯していることに気が付かず、そのまま『壁役』としての面目躍如の為、
行動を開始しようとしていた。
「・・・恐れいります、ブッシュ大統領閣下。
しかしながら、一つ訂正をお願いしたいのですが、宜しいでしょうか 閣下?」
「ぅん?! 何のことかな中佐?」
「ハッ! 僭越ながら私は、今現在に於いては国連軍の士官として任務にあたっておりますが、
実の所、従軍経験が全くない民間人からの登用、と言うのが正式な経歴なのです。
ですので、先ほど大統領閣下から仰っていただいた、『合衆国全軍の誇り』と言う部分には該当しない
と言う事をご報告申し上げておきます。」
「・・・は?! いや、また、それは本当かね?
従軍経験が無い? いや、徴兵制度によって、一定年齢下に於いては従軍する筈だろう?
本当に合衆国軍、いや、州立軍や沿岸警備隊でも良いが、それらに従軍したことは無いのかね?」
「はい、残念ながら。 ですが、この世界の”もう一人のエイデン・ピアース”は従軍した経歴があるようです。
イリノイ州立軍に10年ほど勤務していた様ですので、彼ならば大統領閣下の仰る、『アメリカ合衆国軍の
誇り』に該当するでしょう。 ・・・ただ、彼が生身でハイヴから生還していたとしたらですが・・・。」
「・・・ピアース中佐。 その様に私を揶揄う(からかう)のは感心せんな。
そんな子供だましの冗談を信じろと? それと、”もう一人のエイデン・ピアース”?
一体何のことを言っているのだ?」
・・・スッゲー、”上から目線”的な発言だ。
まぁ、資料に在った”腹芸のできない政治家”であるのは間違いはないが、”公明正大”とか”スポーツマン・
シップに乗っ取る”とか、そう言う部分の人徳の様な魅力が感じられない・・・。
いや、初対面であり、フランクさを醸し出しているつもりなのかも知れないな。
だがこの俺は、その様な対応には反感を覚えるだけなのだが、それについては理解した上での対応なのか?
多少俺がそのことで対応に後れを取っていると、この遣り取りを見ていたユーコさんは、横から合いの
手を差し伸べてくれた。
「ブッシュ大統領閣下。 それにつきましては、私からご説明申し上げます。
本日の会議でもご報告致しましたが、今大統領の前にいる『エイデン・ピアース』は、私の研究と実験
により、結果的に”精製された”ミュータント(合成人間 or 怪物)の一種であるとご理解ください。
そしてその実験により、本来存在する方のイリノイ州のシカゴに、もう一人余分に”エイデン・ピアース”
なる人物が顕現してしまいました。
本当に偶然の一致では有りますが、その彼と今私の横に居るピアース中佐も、DNA上は全くの同一で
ありながら、全く異なる存在として顕現している状態なのです。
ほとんど同じ人間だと申しましたが、ただ一点相違点があるとするならば、神が人に与え給うた”寿命”と
いうものが私達には有りますが、ミュータントたる彼、ピアース中佐には残生存時間が限られて
おります。 大凡来年2月中までの寿命であると本人が申しており、3月まで生き続けることはできません。
その代償として、通常の人間には持ち合わせない特殊能力が彼には備わっております。
既に報告されておられるとは思いますが、イノベイター能力をはじめ、多数の能力を有しております。
それらを駆使し、【神々の黄昏作戦:オペレーション・ラグナロク】の第一段階を完了させると、
本人が申しております。」
些か信じられない表情のブッシュ大統領。 この会場に入る前に、レクチャーは受けていたが、
ここでも同じ言葉を、世界でも有数の科学者であるユーコさんから聞かされて、信じられないという表情が
見て取れた。 大統領は先ほどまで懸念していた事柄を口に出していた。
「そう言えば、その様な能力についてもオブライエン博士から報告を受けたな。
今一つ理解に苦しむが、要はコンピュータ・ネットワークのハッキングと言う理解で良いのかね?
それを使って、ネットワーク情報網を破壊していると聞き及んでおるのだが・・・?」
・・・やはり、他人事のように対応してきたな。 本当に国連軍人事部資料にあった様な人物像の
大統領なのだろうか? 偽物(ブラフ)を掴まされているんじゃないだろうな?
・・・いや、そうではないだろう。 まかり間違っても『アメリカ合衆国大統領』の人物情報なのだぞ?
世界有数のシンクタンクなども参照に来るような、”最も信頼のおける情報源”の情報が間違う筈もない
だろうから、それについてはつまらない杞憂だろう。
先のコンピュータネットワークトラブルについての説明は、やはり俺から行うことにした。
ユーコさんも具体的な情報は持っていないから、説明できないでしょ。
「・・・正確には違いますが、その威力はそれ以上のものを発揮することが出来ます。
仕掛けを簡単に申し上げますと、思考波を量子レベルで情報網に干渉させることにより、より多くの
情報を得る事ができると言う主旨の能力を『イノベイター能力』であると言えます。
そして、副次的効果として、ネットワーク上の情報収集や改ざん、果ては破壊等も行えるに過ぎません。」
言葉としての意味は理解しているものの、それでも本当のことかどうかは、この際棚上げにして
この事態の収集を行いたい大統領は、次なる疑問を口に出した。
「そして、第五世代戦術機のリリースの元となった、”新戦術機構想”か。
グレイ6にその様な使い方があったとは、国立ロス・アラモス研究所の研究局員が地団駄を踏んで
悔しがっていたよ。
まぁ、今はそれは良い。 だが、後でネットワーク網の整備は行ってもらうぞ。
会議に於いてはアカウント権限がないのに、我が国の最重要情報網を会議内にて披露したそうだな?
何故その必要が有った? 君は第一級の国家犯罪を行ったのだぞ?!」
「・・・情報の開示を行う必要性ですか?
それは勿論、第五計画派の不正を暴く為であります。大統領閣下。
ゲームで言う所の”ルール違反”は厳格に正さねばいけません。
ましてやそれが合衆国中枢に係る人間が犯したのであれば、他国の人間に暴かれるよりも合衆国の
人間に拠って処されなくては、その正当性を確保できなかったことでしょう。
その上で私は機密ネットワーク網に干渉を行い情報を開示しましたが、関連性のない情報については
漏洩を行っておりません。 要はアメリカ合衆国国内事情の機密には一切触れておりません。
飽く迄もオルタネイティブ計画に係る部分の情報の開示しか行っておりません。
そして、何故その様な情報が合衆国の機密ネットワーク内にあったのかと言えば、計画立案を行った者が
偶々(たまたま)合衆国の機密にも係る人間であった為、それらの近くにあったに過ぎなかったからです。
それとも大統領閣下は、第五計画による不正は合衆国の国是であったのだから、これを見逃せと
仰られますか?」
「そのような事を認めた覚えは、私には無いなピアース君。
飛んだ言いがかりだ。 不愉快極まりない意見だよ、エイデン・ピアース君。
だが、君が言わんとする真意は、大方理解できた。
重ねて確認しておくが、君個人としては祖国である合衆国に反する行為は一切行っていない、と言う
解釈で合っているかね? もしこの件について、私に虚偽を報告したのだとしたら、言い逃れは
出来ないと心得てもらわなければいけないが、相違ないだろうな?」
「ハッ!! その様にご理解して頂いて、何ら問題ありません! 大統領閣下っ!!
そして、先に仰られた支障の出ているコンピュータ・ネットワークへの整備について、私で宜しければ
お手伝いさせて頂きたいと思います。」
「宜しい。 その言葉を信じよう。
後で君の詳しいスケジュールについて、私の補佐官に連絡をしてくれ給え。
できれば、今日この後からにでも取り掛かってもらいたいのだが、第四計画との調整も有るだろう。
こちらもできるだけのスケジュールの調整は行うから、一刻も早く事態の普及に努めて欲しい。」
・・・フム。 このまでの対応は大統領でなくても、元首や上司であれば、対応できるレベルではある。
ま、普通の人である事は間違いのない事実だろうな。
だが、”普通の人”がアメリカ合衆国大統領になれるのだろうか?
いや、特殊能力が必要とかじゃなくて、人物的な魅力とか、人徳と言われるカリスマのことを言っている
のだが、そう言う神秘性は、残念ながらこの男には無い様に感じる・・・。
ま、今は良いか。 俺にできることはやっておいて、後ろ指さされない様な対応を心がければ良いだろう。
「・・・はぁ、それは構いませんが・・・。
あ・あの、閣下? 一つお伺いしたいのですが宜しいでしょうか?」
「何かな、ピアース君?」
「今この場にてですが、CIA関係者で情報端末を持っている人間はいらっしゃいませんか?
DIAでもDHSでも結構ですので、関係者の情報端末があれば、10分も掛からずに普及させることは
可能なのですが・・・。」
「本当かねっ、ピアース君っ!! そう言う事なら、おいっ、君っ!!」
大統領は俺の申し出に驚いたのと同時に、取り巻きの警護スタッフの中から一人の女性を呼び出した。
よくよくその女性を見ていると、先の会議に於いてCIAにもコンピュータ感染をバラした時に会議場から
大慌てで飛び出した女性だと気がついた。
会話を聞いていたらしく、B5サイズのノートパソコンを持参してこちらにやって来た。
その女性は俺を睨みつけると開口一番に所属を名乗った。
「・・・失礼します、ピアース中佐。
私はDHS(国土安全保障省)配下の準備組織。 CTU(Counter Terrorist Unit)の上級監察官で、
シャルロット・デスラーと申します。 先の会議では情報漏洩を防ごうと色々な対策を立てて抵抗を
行っていた中の一人です。
ですが、結果は中佐の一人勝ちと言う結末で、正直手も足も出ない自分を情けなく思っております。
しかしながら私個人の感情など、国家防衛においてはどうでも良いことです。
【恥を忍んで】などと、奢ったことは申しません。
どうかシステムの正常復帰をして頂きますよう、お願い致します。」
言っている事と顔の表情が真反対な、このキャリア官僚は俺にそう言って、ノートPCを押し付けてきた。
まぁ、先の会議では俺が好き勝手してしまったから、そのアオリを諸に喰らった口なのだろう。
ここは一つ、俺が下手に出てやる場面ではある。 だけれどもな・・・
「・・・分かりました。
システムの普及についてはブッシュ大統領とのお約束ですので、お手伝いさせて頂きます。
ただ一つ。 どうしてもこの件だけは善処して頂きたく思います。」
俺はノートバソコンを開いてイノベイター能力を使用しつつ、大統領に向き直って申し開きを行った。
「善処すること? 一体何が言いたいのだ、ピアース君?」
「・・・大統領閣下。
どうして今回CIAやKGBのネットワークはコンピュータ感染が行われたかご存知でしょうか?」
「それは君が、こい・・・「いいえ、それは全く違います」・・・にネット・・・
な・何? 今更此処に来て弁明する気かね、ピアース君っ!!」
「・・・どうして私がわざわざCIAやKGBのネットワークを探し出し、そこにマルウェアやウィルスを垂れ流す
必要が有るのでしょう?
反対です。 私達が宿泊したホテルに盗聴器が仕掛けられており、”盗み聞き”している元をイノベイター
能力で調べた所、CIAやKGB、それと地元のマフィアが盗聴していたのです。
ですので、お仕置き代わりに”要らないモノ”を植えつけたのです。
頼みもしないサービスにはそれ相応のしっぺ返しを喰らったとしても、受けた側はその事に文句を
主張する筋合いは全くありません。 違いますか、ブッシュ大統領閣下?!」
「なっ?! 何だそれはっ!! 聞いていないぞっ、私はっ!!
一体どういう事だねっ、デスラー君っ!!」
「ど・どうか落ち着いてください、大統領閣下!
私も部署が異なるので、何とも申し上げることは出来ませんが、恐らく対外措置の一環として、CIAの
下部組織による干渉を受けたのではないかと思われます。
しかしながら大統領閣下っ! ピアース中佐のご意見も最もだとお思いでしょうが、私ども対テロ組織の
人間に言わせれば、香月博士、並びにピアース中佐は昨日突然合衆国内にその存在が判明したもので、
入国時点での審査等の情報を得ることが出来ませんでした。
確かに、空軍基地を経て国連職員特権にて合衆国に入国することも可能では有りますが、それら一切の
申し出もない状態で、突如としてニューヨークの真ん中に現れたりすれば、如何にお立場の有る御方でも
警戒をするなという方が難しいのではないでしょうか?
通常の手続きを経て身元確認などがなされていれば、香月博士やピアース中佐の調査・盗聴などを
行わなくても良かったのです。」
些か懸命に言い訳をして、途中からブッシュ大統領もなるほどと頷く所があった。
確かに手を抜いて合衆国の入国審査を受けていなかったこちらにも落ち度があったのは認めても良いが、
このデスラー女史は肝心なことを忘れていた。
「・・・まさかその様な戯言で、大統領閣下を誑かすことができると考えている訳では無いでしょうな?
デスラー女史?
確かに私達両名は、渡米した際の経路が特殊だったことは認めましょう。
ですが、到着して直ぐに所属元の国連ビル内にて、アメリカ政府に対してのビサ申請は行っており、
受理されています。 その正式な申請をご存じないとは言わせませんぞ。
正規の手続きを経て、合衆国に入国を行っているにも関わらず、自分たちの落ち度をあたかも正統な
理由が有るような素振りを見せ、寄りにも拠って自国の大統領閣下に虚構報告を行うとは、私の祖国
である合衆国は、CTU等という訳の分からない組織を良くも飼えるものだと心配になってきました。
どうか大統領閣下。
今一度この虚構癖を持つ集団を合衆国の防衛組織に組み込む愚は行わないで頂ますよう申し上げます。
彼等の理論をそのまま適応したならば、受けもしていないテロ攻撃に”合衆国は攻撃を受けた”等と
言い出しかねません。 どうかご一考頂ますよう申し上げます。」
そう言いつつ、俺は手渡されていたノートPCの蓋を閉じた。
途端にノートPCはサスペンドモードへと移行しているのだが、その様子を見ていたデスラー女史は、
怪訝な表情で俺を見ている。
「・・・仕込みはこれでお仕舞いです。
後はこのノートPCをネットワーク環境の整った場所に持って行き、回線スピードの早いネットワークに
接続して、電源供給も絶やさないようにしてください。
準備が整ってから蓋を開けると、ノートPCはそこでOSを再起動させ、後は放っておいてくれて大丈夫
です。
・・・そうですねぇーー。 使用ネットワークの回線スピードにもよりますが、一般的な10kbpsの回線で
あれば、最低10時間ほど。 100k、1,000kとスピードが向上するならば、9時間・8時間と処理する
時間が短縮されるでしょう。
まぁ、私であれば、24時間は放置しておきますが、そこはそちらのお好きにしていただいて宜しいでしょう。」
そう言いつつ、俺は提供されていたノートPCをデスラー女史に手渡しながら、そう述べた。
バトンを渡された形となった、女史は口元の表情を引き釣りながら、ノートPCを受け取った。
まぁ、言いたい放題言われたのだが、反論できるネタがないので、為すがままだったという体たらく。
デスラー女史は、些か脱力感を漂わせながら、大統領付きの4人のSPに護衛されながら、
退場と成った。 フン、他愛のないキャリア官僚だな。
俺が侮蔑の眼差しで自分が見られている事を意識していながら、デスラー女史は挨拶を済ますと
彼女の方もサッサとこの場を去った。 用が済めば、長居したくないらしい。
・・・と言うよりも、俺ものこまま此処にいると、藪から蛇に噛まれかねない。
そろそろ潮時かな?
とか思っていたのだが、やはり”そうは問屋が・・・”だった。
「・・・では、先の話も一段落着いた所だし、次の問題も解決しようじゃないか、ピアース君?!」
途端にニコニコしだすブッシュ大統領。 ・・・誰だ? この大統領は”腹芸が苦手”とか評していた
間抜けの関係者は?! どうしても新技術である「新戦術機構想」とか「思考情報処理技術」を手中に
収めようと野心的眼差しでこちらを見ているじゃないか。
この時に俺は、取り込んでいた情報に疑問の目を向けるべきだったのだろう。
目の前に居る「大統領」と呼ばれる人間の本質について、再考するタイミングを逸脱してしまった性で、
この後の会合は大きくその軌道を外れることになった。
既に『お腹いっぱい状態』的な感情の俺は、この後も適当にお茶を濁すかの様な態度で対応を始めた。
「・・・ハァ? 一体何のお話でしょうか、大統領閣下?
第五計画が頓挫し、その証拠の証明のために一時的に混乱したネットワークシステムは普及の目処が
立ちました。
これ以上の問題点は、『何も発生していない』と理解しているのですが・・・?」
「それは本気で、そう思っているのかね?
先程私からの問いかけは虚偽を含まないと申したところではないかね?
もう舌の根も乾かぬ内に、その様に韜晦する(とうかいする=素っ恍ける)とは感心しないな、
ピアース君。」
・・・チッ! 小手先の子供だましは通用しない、か・・・。
相当に、新戦術機構想に熱が篭っていると見える。 そう言えば、この大統領も元は戦術機乗りだった
とプロフィール資料に載っていたな? ”イーグル・ドライバー”は伊達じゃない、か・・・。
「・・・・・・分かりました、大統領閣下。 今回発表した事柄について、もう少しお話を行いましょう。
私は、特にどこの国に”それらの所有権”を任せる・任せない、等の諸々の事柄はどうこうしようとは
思っておりません。
正直に申し上げれば、第四計画は本年度中にその計画を『成功』を以って終了致します。
その後の事柄については、その当時の情勢に任せるほか無いと思っております。
ですので、やれ『新戦術機構想』がどこの国が管理するとか、やれ『思考情報処理技術』の本拠地は
どこの軍基地に任せる・任せない、と枠に嵌めては考えておりません。
では、何処にそれらを任せるのか? と問われれば、『管理・運用できる者が行えば良い』と言う考えを
持っております。」
「・・・・・・なるほど。 しかし、ピアース君。
それは突き詰めて言うと、その中心は君であったり、香月博士であったりする、と言う理解で
良いのかね?」
「・・・いいえ、生存時間が限られている私などは、中心メンバーに成り得ません。
まぁ、香月博士は当然でしょうが、しかし、博士にも自身の研究も有りますので、全体的な管理はもっと
別の者がその任にあたるでしょうね。
それこそ、私以外のアメリカ合衆国出身の人間が担当するかも知れませんね。
まぁ、公平に言えば、それがソビエト連邦出身の人間に成るかも知れませんし、それは確定して
おりません。」
俺は砕けたフレンドリー的な対応をしたつもりだったが、どうやら俺は琴線に触れてしまったらしい。
途端に大統領は眼力を入れて、有無を言わせない態度を取り始めた。
「・・・そうか。 しかし、もう周りくどい言い回しをこのまま続けるつもりは、私には無くてね。
私も正直に話そう。
私は我が国の兵士であれば、君達が開発した戦術機を十二分に使いこなせると確信している。
そこで、一定量のサンプルを我が国に先行して納品してくれないかね?
勿論タダでとは言わない。 君には相当の地位と報酬を約束しようじゃないか。 どうだろう?」
本当にストレートに対応を切り替えてきたな。 だが、それについては、こちらも引く訳にはいかない。
俺も先ほどのフレンドリーな態度を崩さずに返答を行った。
「・・・おやおや、随分と性急ですね、ブッシュ大統領閣下。
そんなアプローチじゃ、女の子をダンスに誘えませんよ。 道理で煌武院殿下との会話が弾まなかった
訳ですね。 それとも、ダンスは苦手ですか、ブッシュ大統領閣下?」
「なっ?! ど・どうして、その様な回答をするのだっ!! ピアース君ッ!!」
まさかの俺からの回答は、”大統領閣下”と呼ばれる男に対して行われるはずもないものだった。
その内容に言われた本人も、回りにいたユーコさんや煌武院殿下でさえ、『鳩が豆鉄砲を喰らった』
様な顔をした。 そして言った本人である俺は、両肩を竦ませて「仕方のない人だなぁ」と言わん
ばかりのゼスチャーをしてみせた。
その様子を見ていたユーコさんと殿下は、その直後に二人共クスリと失笑した。
その様な事態になって、”大統領”と呼ばれている男は益々激高した。
「・・・当然でしょう?
”笑えないジョーク”ほど真剣に取り合う価値が無いからこそ、先程の様な”冗談”の様な受け答えを
返したのですよ。
正直、今の私の立場は『国際連合の安保理直轄軍の中佐』なのです。
その事を、閣下は失念されておいでの様だ。
いくら母国の為とは言え、合衆国だけを贔屓にするかの様な対応ができる筈も無いことは、
聡明な閣下であればお気づきになられる事でありましょう。
その相手の立場を顧みないような、交渉とも呼べないような”脅し”に乗れるような人間は、
この会場にはいないでしょう。 此処に参加しておられる皆様におかれては、各自の母国に於いては
それ相応の立場と役職を担っておられるのですから、当然ですね。
ましてや、閣下は『アメリカ合衆国の大統領』ではないですか? 冗談にもならない申し出というものを、
もしも閣下が行われたのであれば、言われた側は”洒落”で返すしか手がありませんよね?
と言う訳で、先ほどの回答となったわけです。 ご理解いただけましたか、大統領閣下?」
俺からの回答を聞いていたブッシュ大統領は、苦虫を潰したような顔をしていたが、”フゥ”と溜め息を
一つ漏らしたかと思った次の瞬間、その表情を一変させて少しリラックスした態度で接してきた。
「・・・ヤレヤレ、全く・・・。
何時も側近の皆が”貴方は馬鹿正直過ぎるので、腹芸の一つも憶えてください”と小言を言うものだから、
適当な機会にでも実地訓練を行っていたのだが、私とした事が”使う”時と場所の選択を誤ったようだ。
・・・にしても交渉事と言う物は、全く思惑通りにいかないものだ。 一つ勉強になったよ、ピアース君。
だが、交渉ベタである私だが、変なバカし合いは性に合わない。
だから先程も述べたように、直球で勝負したいと考えたのだ。」
「・・・大統領・・・。 ”直球勝負”と言う物は、傍で聞く限りでは”正々堂々”と言うイメージが強いでしょうが、
使いドコロを間違うと、”何も考えていない粗忽者”と正体を表しかねない、『危険球』なのですよ。
『諸刃の刃』という表現も有りますが、”使い方を間違えた『直球勝負』と同意”ではありませんので、
そこの所は正しく認識してください。
まぁ、確かに性の合わないバカし合いほど疲れるものはありませんし、此処で本題に戻るとしますか。
では私も正直に申し上げますが、そもそも『新戦術機構想』は、対人戦を行なうために開発したもの
ではありません。
あのシリーズの戦術機は、全ての世代で対象とする目標敵は”BETA”に固定しているのです。
大変失礼ながら、この事柄については、ブッシュ大統領閣下はじめ、第四計画関係者以外の皆様は
同じく誤解されていらっしゃるのが、現実なのです。
その認識を改めない状況では、いかな”国際連合参加国”の資格が合ったとしても、私は一機たりとて
先行して『新戦術機』と称する第五世代以降の機体を、特定の国に供給するつもりはありません。」
俺はその様に述べて、祖国の大統領の要請を一蹴した。
だが、言われた当の本人は、その内容の意味が良く分からない為か、些か困った表情をして聞き直して
来た。
「・・・いや、ちょっと待ち給え。
一体君が言う所の”誤解している状況”と言う事の本質の意味が良く分からないのだ。
その部分の詳細を説明してはくれないだろうか?」
「・・・では、最初からお話しましょう。
そもそも私がこの考えに行き着いたのは、第三世代機最高傑作の一機である”F-22”、
通称『ラプター』の最新資料を選査していた時に感じたからです。
ご存知の通り、一般公開様資料にも記載されているように、『ラプター』には最新技術である対レーダー
波認識阻害塗料が施されております。
しかしながら、BETA共は我々が使用しているレーダー波などの情報収集技術は使用されておりません。
些か分析が遅れすぎた感がして業腹なのですが、BETA共はそれに代わるグレイ6等を経由して情報の
収集を行う術を他に持っており、我々が扱うレーダー波を使わなくても事足りると言う手段を構築して
いたからです。
反対に申せば、対レーダー波等の兵装は、どちらかと言うと対人戦を考慮した結果としか言えません。
であるならば、例え『新戦術機構想』規格に基づく第五世代以降の『思考情報処理』を用いた戦術機
などを合衆国やその他の国に配備させる事はできないと結論に至りました。
何故ならば、もし契約や条約上で交わした約束があったとしても、それらを反故にされてしまったとしたら、
納入した直後から各国が勝手に独自の対人戦機構を盛り込んだ機能を搭載し、派生的な『思考情報
処理』を搭載した戦術機が対人戦に使用される可能性が高くなるのは火を見るよりも明らかな事
だからです。
ですが、私はその様な戦術機は作ってほしくありませんっ!!」
先ほどの冗談交じりの受け答えとは打って代わり、俺は厳しい口調でそう訴えた。
俺は相手が例え自分が居た世界の合衆国大統領であったとしても、同じ態度で答えただろう、その様に
ブッシュ大統領相手に怒鳴りつけてやった。
流石に、俺達の遣り取りを遠巻きに見ていたアメリカ人は皆、震え上がった。
それは、とても考えられない事だからだ。 アメリカ人にとって合衆国大統領と言う位置づけの人間は
絶対に”Yes”を返さなくてはいけない対象だからだ。
だから、大統領に”No”を突きつける”アメリカ人”が存在すること自体、彼等のアイデンティティ(固定
観念・自然的な思考概念)を真っ向から否定する事に他ならないからだった。
だが俺はそんなことはお構いなしに、一呼吸置いてから説明を続けた。
「先程も申し上げましたが、私がこの第五世代以降の新戦術機構想を開発したのは、あくまで敵対する
対象がBETAで固定されているためであります。
それを人の思惑、いや、政府や国家の方針に合わないからと言って、自国や他国の人間を対象に
使用してほしくありませんっ!! 私が申し上げたいのは、人類を救う術(すべ)として、その為の
『新戦術機構想』であると申し上げたいっ!!」
何を条件として提示しても、俺の意思は変わらないことを感じ取ったブッシュ大統領は、不遜な態度を
崩さずに、反論を試みた。
「・・・”その様な事”が理由なのかね? だとしたら、それは到底納得できない内容だ。
そもそも、君達が考案した新戦術機構想というものがどの程度役に立つシロモノか、ハッキリ言って
私は理解していない。
だが、報告を上げてきたオブライエン博士初め、トレイシィー空軍大将もが絶賛してきたのだから、
それ相応に優れた技術なのだろう。
そしてそれを私達がどの様に使用するのか、と言う部分について、私は不用意に干渉を受けたくはない。
それこそ戦術機をどう使おうが、それは運用する国や組織の人間の自由というものだろう。
また、確かに他国人を勝手にどうにかする行為は、たとえ戦争状態であったとしても、非戦闘員に対して
行って良い事と悪いことの区別は当然ある。
だが、そこに至る行為云々については、各国に置いて事情もあるのだから、作り手たる君達が兎や角と
口を挟むのは如何なものではないだろうか?」
などと一般的なことを言って、『常識的に考えて』路線で俺を説得にかかってきた。
それに対して反対に俺は、破顔して恣意的ではない笑顔(でびる・ふぇいす では無い)で答えてやった。
「そうですか。 ”使う人間の勝手”であるとか、言やがりますか?
では、”どうぞお好きになさいませ”と申して上げましょう。
大統領にも思うところがあるのでしょうし、そこがネックとなり交渉に乗れないと言うのであれば、
是非もありません。 このお話はここまでですね。」
俺はそう答えて、この交渉毎を強制的に終わらせると、そのままソッポを向いてやった。
本音を言えば、『では、”お前ェ等なんか、勝手に滅びやがれ”と言い返して差し上げましょう。』と
言い返してやりたかった。
だがそんなことは言わずに、俺はそのまま回れ右をしてブッシュ大統領から離れようとした。
しかしそれに”待った”を掛けたのは、俺の腕に手を預けていて、俺にに引きずられていたユーコさんだった。
「・・・ちょ・ちょっとっ!!
ア・アンタってば、それで良いの? ちょっと短気すぎないかしら?! と言うよりも、私を引きずって
好きな事しないでよねっ!! 私はアンタの付属品じゃないのよっ!!」
「・・・OK。 短気は損気とも言うしね。
それと、ユーコさんは俺の付属物じゃないよ。 俺の”かわいー”奥さんだもん。」
「・・・あー、ハイハイ。 そんなの今は要らないから。
ウザイだけだし、白けるから止めてくれる?! ちょっと私も申し上げたい事があるから、少し黙ってて。」
・・・結構本気で惚気けたんだけれど、「そんなの」扱い、酷くね?
・・・てか今の対応、結構傷ついているんですけれど、俺、グレても良いよね?
・・・何か煌武院殿下が哀れみの様な眼で俺を見つめているんですけれど、俺、泣いても良い?
隣で俺が打ちひしがれているのを放っておいて、ユーコさんはブッシュ大統領と交渉を継続した。
良いですよ。好きにして頂戴。 不貞腐れつつも先ほどのブッシュ氏の大統領としての対応について、
気になったことを一瞬考えた。
もうちょっとで、俺の本音が駄々漏れしてしまったら、”角が立って”しまうので言えなかったのだが、
ここで一つの疑問が生じた。 ”本当の為政者というものが、こうも簡単に意見を述べるのだろうか?”と。
片や大国であるアメリカ合衆国大統領その人。そして、俺といえば、国籍こそアメリカ合衆国では
あるものの、国連安全保障部所属の軍人と言う、中途半端な立場である。
最初から対立すること自体が無理がある。 月とスッポンくらい無理だ。
だがそうだとしても、それなりの立場の人間は、先のブッシュ氏の様な対応は決してしない。
大義名分があろうとも、非人道的な政策について政治力を駆使することは、所謂”ファシズム”と評される
事と同義であり、正常(まとも)な政治家なら、例え三流のそれであったとしても、絶対に避けなければ
ならない評価であるからだ。
この仮定を立証するに辺り相手に詰問を試みようとしても、既に匙を投げてしまった俺では対応できない。
ではどうしたら良いかというと、『相手を代えて外堀を埋める』事にした。
その間、大統領との交渉にはユーコさんに対応してもらうことにする。
違う目的をもって俺も”外堀を埋める”ために、そのターゲットに向かう事にした。
その新たなターゲットとは、今まで俺達の遣り取りを傍で聞いていた彼女に質問することにしよう。
「・・・少々お時間宜しいでしょうか? 煌武院殿下?」
殿下としては、引き続き大統領とユーコさんの話を聞きたかった様子だが、思いがけず俺から声を
掛けられて、彼女自身が呼ばれたことについて少々驚いた様子から「何でしょうか 中佐?」と返事して
くれた。
「いきなりの声掛け、礼を失していて大変恐縮ですが、殿下に少々お尋ねしたいことが・・・。
この様に申し上げるのは本当に心苦しいのですが、私が感じた”違和感”にお心当たりが有りましたら、
正直にお答え頂きたいのです。」
俺の質問について何事か分からないものの、その内容に興味を持った彼女は、黙って頷いてくれた。
俺は正直に自分の感じた疑問を述べた。
「・・・はい。 自分でも気にし過ぎている感がするのですが、どうも私は”ブッシュ氏”について、
彼の評価情報に不信感を抱いているのです。
先ほど来の対応に於いて、私が感じたブッシュ氏の評価は”正常(まとも)なアメリカ合衆国の大統領”で
あると思えないのです。
この事について、日本帝国内の情報はどの様なものだったのか、認識のズレが生じていないかを確かめ
たいと思います。」
俺は自分が仕入れた情報源、それこそ国連安保理事務局内のデータベースの一般情報と詳細情報の
二つについて内容を述べ、そこからブッシュ氏の人物像を解析した情報も合わせて殿下にお伝えした。
俺から申し上げた内容について殿下は黙って聞いてくれた。そして、暫く話しの内容を吟味した後、
日本帝国外務省の特秘人物情報からの情報と、その殆どが一致している事を認めてくれた。
勿論、殿下が知り得る情報の全てが俺が提出した情報と完全に一致するのではない。
飽く迄も、”俺が知り得るレベルの情報が”一致していることの確認と言う意味での合致であり、しかし、
そこから類推するに、交渉事における人物像の共有も同じであると俺も殿下もその様に判断を下した。
勿論その様に殿下が判断を下すに辺り、彼女なりに心当たりがあったことは容易に想像がつく。
彼女も対外的に交渉してくる関係者に”お飾り”と称されていたのだが、その彼女とて分かるほどの
『交渉的な不味さ』をブッシュ氏に感じていたのだと、俺はアタリをつけて今回質問をした訳だが、
正にビンゴであったということだろう。
つまり、ここで言わんとする仮説としては、所属する組織や国家が異なる場合に於いて、特定人物の評価
というものについては、閲覧する人間のレベルの差こそあれ、評価が一言一句にわたり完全に一致する
と言う事は、通常考えられない。 それはその所属組織なりの評価が加味されるので、その情報が
100%完全一致する方が怪しいと言わざるを得ないと言う事だ。
国連安保理情報部のソレも、日本帝国外務省監修人物情報集のソレも『全く同じ』と言う事実を
確認し合った俺達は、これが意味する事柄を考慮すると、とある懸念が浮上する事と成り、アメリカ合衆国
政府が故意に国連や日本帝国、その他の国家に対しても、同じ情報を何らかの理由で『認識』或いは
『黙認』させたと言う邪推が懸念される。
俺も殿下もこの仮説について、顔を曇らせる事になった。
それは、信頼関係を構築できない国家との交渉ほど、交渉する価値がない事を意味しているからだ。
「・・・些か困ったことになりそうですね、煌武院殿下。
考えたくはないのですが、合衆国政府の中に良からぬ事を考えている人間が、大統領の側近に居る
可能性が高くなりました。
先の会議から以降で、日本帝国と合衆国とで何か交渉などが進んでおられますか?」
「いいえ。 幸いにも中佐に”壁役”になって頂いていましたので、具体的な交渉は行っておりません。
ですが、この様な事がもし事実であるとしたら、帝国にも”獅子身中の蟲”を飼っている事になりかね
ません。 早急に帝国に戻り、事実確認をしたく存じます。」
「・・・そうですか。 それが良いかも知れませんね。
ただ、現状においては、その時間を稼げるかは微妙であると申し上げねばなりません。
その意味で、何か鎧衣課長などから、アドバイスなりはありませんでしたでしょうか?」
「鎧衣からですか? ・・・そう言えば、会議前に合衆国大統領については『臨機応変な対応が必要』と
言っていたように思います。
もし、鎧衣が申していた真意が、今私達が直面している事柄のことであるとすれば、この会議が始まる
直前に何らかの事情を知り得ていたのかも知れません。
ですが、今となっては後の祭り。
この後の対応としては、日本帝国と合衆国との関係を悪化させずに、後日再協議する方向で宜しい
でしょう。」
「そうですね。 私も殿下の仰られる通りであると思います。
では、香月博士の対応の後、第四計画も新技術供給については、後日対応すると言う対応としたいと
思います。
『呉越同舟』と言う訳ではありませんが、改めて一つ殿下にお願いしたいことがあるのですが、宜しい
でしょうか?」
「・・・? 何でしょうか、ピアース中佐?」
「はい。 このレセプションからの撤退にあたり、各国の要人に私達で到達した結論、『このレセプション後の
交渉については、後日改める』と言う趣旨を、殿下を通じて他国の方々にお伝えしていただきたいのです。
そうですね、殿下には取り分け英国と印国、土耳古(トルコ)の代表部に連絡をお願いします。
『木を隠すには森の中』を逆手に取って、『隠すための森がなくなれば木は隠し切れない』のです。
つまり・・・。」
「・・・なるほど。 『周りが居なくなれば交渉も継続できない』ということですね。
分かりました。帝国としては、合衆国は兎も角、英国や印国との付き合いは長いですし、土耳古との
お付き合いも、帝室を通じて交流を持っていますから、問題なく伝播できるでしょう。
後日の連絡については、第四計画の方からと言う事でお願いできますか?」
「ま、そうなるでしょうな。
ただ、前提条件として、教導部隊であるV.E.D の仕上がり具合によるものですので、年内は無理かも
しれません。 ・・・できるだけ急がせますが、吉報は何とやらでお願いします。
では、英国代表部のマクラーレン提督の方をお願いします。その後に”攻機”の荒巻部長を他の代表部
の方に行かせてください。 土耳古までの伝播が終わりましたら、殿下には早急に会場から撤退して
ください。 それまでの時間稼ぎはこちらで対応しますので。」
「・・・? はい、それは分かりましたが、あの、「こうき」とは何の事でしょうか?
荒巻予備役中佐が、どの様に関係するのかお教え頂けますか?」
「は? ・・・はい。 あ・あの、失礼を承知で申しますが、殿下は荒巻予備役中佐のことはご存じない
のですか? あれ程のやり手をご存じないとは、少々勿体無い気がしますが・・・。
『こうき』と申しましたのは略語であります。 略名『攻殻機動隊』と申しますが、この組織は内閣府
直属の情報戦のエキスパート部隊であり、分類上は公安部隊に属しております。
公安部隊内での正式な呼称は『公安九課』と呼ばれており、日本帝国内外の犯罪の芽を探し出し
除去する為の攻性の独立部隊の事を言います。
また、予備役となっておりますが、荒巻中佐は前大戦末期における所謂”北方奪還作戦”の立役者でも
有ります。
前政威大将軍・九条 宗正閣下指揮のもと、前大戦における大日本帝国陸軍内の腹心の一人、
殿田中将麾下の”殿田塾三羽烏”の一人が荒巻大輔少将だったのです。
荒巻少将は当時、北部方面司令部に於いて主幹参謀として指揮を行っておりましたが、皇帝陛下の
停戦宣言において降伏を受ける意思を示していた大日本帝国が武装を解除している間際に、
日ソ停戦条約を一方的に破棄して攻めて来た一部のソビエト連邦軍の動向を一早く察知し、
札幌の司令部から急遽旅団編成した部隊を引き連れて樺太を起点として迎撃を開始しました。
しかし、敵艦隊は更に南進を敢行し戦場を移動されてしまいました。
荒巻少将は部隊を樺太から北海道稚内を経て、網走、羅臼、最終的に千島列島の歯舞諸島、色丹島、
国後島、択捉島まで防衛ラインを移動しつつ構築し、ソビエト連邦の二個艦隊からなる侵略部隊に
対して一歩も引かず、二週間持ち堪えました。
あとは、殿下もご存知の通り、アメリカを始めとする連合軍が駆けつけ、日本帝国側の武装解除を
以って奪還作戦は集結しましたが、荒巻少将が二週間持ち堪えなければ確実に樺太と北海道の
留萌、旭川から帯広辺りの地域はソビエト連邦に蹂躙・専有されていたことでしょう。
ですが、この作戦指揮にあたった荒巻少将は、”停戦命令無視”の罪状から捕縛、軍事裁判に於いては
少将の単独行動による職権乱用であり、今上陛下からの停戦命令を無視した罪により死罪を受ける
直前でした。 本当に敗戦でもしていたら、その様になっていたことでしょう。
ですが、それ以前の功績により大日本帝国陸軍勲章の一つである『甲種陸軍武功章』を受ける程の
士官を、結果的に国土奪還の功績を成した人材を処刑するのは如何なものか、との”お声がかり”が
あり、今上陛下の特赦により、異例の三階級降格処分と軍部退職とされました。
まぁ、些か茶番が過ぎる感がしないでは無いのですが、もし仮にこれが正式辞令であっての成果で
あれば、彼の少将閣下は二階級特進の上で功二級正章の金鵄勲章を授与していたのは間違い無い
でしょう。 荒巻少将が単独で動くこと自体に無理が有り、それこそ”やんごとなき御方”からの勅令が
あったと考えるべきでしょうし、当時の状況を鑑みれば、殆ど”捨て石”扱いの上で”成功して当然”
と言わんばかりの押し付け感があった指令だったと言えるでしょう。
それを最低限の軍部支援と現場状況だけで構築してしまうとは、荒巻少将の差配と言うモノは苛烈の
一言で表すことができ、正に”軍神の如き働き”と評するべきでしょうね。
それら諸々の諸事情により軍部追放が妥当であるところを、”退職”扱いして”予備役”に留める事で、
陸軍の一部の反発を抑えて、今の”荒巻予備役中佐”と成ったわけです。
そして荒巻中佐は、彼自身が理想とする攻性の機動部隊を構築し、帝国内部の治安維持活動を実施し、
徐々にではあるものの、その道のエキスパートが招集され、その数々の功績が認められ、公安部隊
預かりとなったものの、実質的には内閣府直属の部隊という”二足の草鞋”を続けているわけですよ。」
「(九条殿が私が渡米するにあたって、彼をSPに推薦したのはそう言う経緯があったのですね。
今思えば、鎧衣以外の情報部員を私に警護させるという配慮に疑問を持っておりましたが、帝国内部の
不穏分子に対抗していたとは・・・。)
・・・全く存じ上げませんでした。 彼の人物がそれ程の傑物であったとは、私もまだまだ認識不足で
あることを恥入ります。
いままで、そちら関連は鎧衣に任せきりであったことを不甲斐なく思います。 もっと多くの人材と
その役割を把握して、治世に臨みたいものです。」
「まぁ、その様に思い悩まないでください、殿下。
情報を統制して管理するのは、決して間違っておりませんから。 それに荒巻予備役中佐は、どちらか
と言うと、派閥的には”九条派”ということでしょう。 他派閥の人材を勝手に動かすと組織的な軋轢を
生じさせますので、それこそ臨機応変さが必要ということですね。
ではレクチャーはこの位として、速やかに行動に移りましょう。
もうそろそろ香月博士の方も保たない頃合いでしょうしね。」
そうして俺達は、打ち合わせた通りに行動を開始した。
ユーコさんによる大統領との折衝は佳境を迎えていた。
大体の話の流れを後半になって聞き直してみると、何でも先進国の中で一番の、今のアメリカ合衆国の
文化水準を保つための必須と成る最低限の地球人口についてとか言い出して、その必要分の人口は
既に無くて、半分を切っているとか言っている。
そこから類推して、減少係数を逆に算出すると、今の係数を基準とすると順調に行くと5年ほどで
地球人口が「0」、つまり、全滅させられるとか言っている。
俺もザッと計算したら、ユーコさんの言う通りとなった。 なるほど、そう言う計算式もあったんだ。
まぁ、滅びることが分かっているんだから、そこを抵抗して引き伸ばすことができても、生産性能も落ちて
いるから、年々細ぼそりして、十分に戦えない状態で全滅する期間を予想したら、長くても8〜10年で
終わるらしい。 俺が言った通り、今アメリカ合衆国が無事であっても、来年も無事でいる保証はない
のだ。 ユーコさんの意見が正しいと傍で聞いている俺でも分かった。
そしたら、とても信じられないと言わんばかりに、半分切れたブッシュ大統領が怒鳴り気味に声を
荒らげて反論した。 ・・・コラッ、若造! ユーコさんに失礼を働くと、いくら”大統領”であっても
『泣かすぞ』この餓鬼っ!!
「・・・バ・バカなッ!! 聡明であると評されている香月博士ともあろう人が、その様な戯言を仰るとは、
とても信じられないっ!!
隣の粗忽者に感化されて、貴女までもが正気を失っているのではありますまいなっ!!」
隣って、先ほど戻ってきた俺について、態々このタイミングで言うかね?
やっぱコイツってば、”ナンチャって的な残念な方の”大統領だわ。 見掛け倒しも良い所。
ユーコさんも国連データベースの情報を鵜呑みにしているみたいで、表情を若干引きつり気味で、
反論を試みた。
「・・・いいえ、これは確かな根拠に基づく数字です。
決して世迷い言ではなく、現実に起こりうる”最悪のシナリオ”の一つに過ぎません。
或いはもっとひどい結果が待っている可能性の方が高いのです。
ですから、そうなる前に第四計画の最後の作戦「神々の黄昏作戦」を実施する必要があるのです。
本作戦の第一段階が成功すれば、少なくとも今以上にBETAユニットは増え続けるということは
無いでしょう。
最低でも増えるユニットの数に制限が掛かるはずです。 その隙を突いて、全人類に依る総力戦として
BETAユニットを殲滅する事を目的とした第二段階の作戦を、地球全人類で行う必要があるのです。
そして、そこには国家間の駆け引きは必要ありません。 戦術機適性のない人間であっても、思考情報
処理技術を搭載した第五世代戦術機以降の新戦術機構想に基づく機体を用いれば、その総数を
減じさせる事が可能と成るはずです。
本日の国連総会に於いて、私達が報告と提案させて頂いた全てが、今申し上げたことなのです。」
・・・うーーん。 流石俺が惚れた女だ、ユーコさん。 本気パネェわ・・・。
いや、そのブレない姿勢に反対に惚れ直してしまいそうだ。 良かった、こんな嫁さんを貰えて、俺幸せ者
だな。ウン、ウン。 とか思って、頭をウンウン縦に頷いていたら、ユーコさんから肘鉄を突かれた。
ジト目で俺を見ているユーコさん。 何かあったの?
「・・・アンタ真逆、話聞いていなかった、とか言わないわよね?!
ブッシュ大統領がご丁寧にも、『作戦:神々の黄昏』において、月面までの運搬を申し出て下さったのに、
本気で聞いていなかったとか言ったら、後でオシオキだからねッ!!」
「・・・うん、ゴメン。 俺、話聞いていなかったわ。
だって、ユーコさん、カッケーとか思ってて、惚れ直していたから。
で、大統領が寝ぼけてて、月面まで送ってくれるって? うん、要らないや。 足手まといはゴメンだし。
メーデー(緊急救援要請)とか言われても助けてやる義理は無い以上、放置するから。
って言うよりも、作戦当日はオルタネイティブ計画優先権限を使って、防衛任務以外の出撃は行わない
様に要請出すから、勝手に出て行って、勝手に返り討ちに成っている部隊については、”自己責任”で
対応してもらうし。 何で最優先上位の俺が手を貸さなきゃいけないのさ? 筋が違うでしょ?!」
とか、今度こそ本気で本音で答えたら、ユーコさんはゲンコツでボディーブローを放ってきた。
うん、そんな弱腰で打たれても「屁の突っ張りにも成らんと」でしたよ。
「アンタッ、本気でバカなのッ?!
幾ら管轄外の部隊であっても、『メーデー』要請が在ったら、その部隊を助けなさいよッ!!
たとえ助けられなかったとしても、助けるための姿勢とその努力を惜しむんじゃ無いわよッ!!」
とか、本気で怒られた。 ・・・解せぬ。 何で俺が怒られる??
俺が頭を捻っていると、俺のボケに対して目頭を押さえつつ、如何にも”辛抱しながら”大統領が突っ込みを
入れて来た。
「・・・月まで約30万kmもの距離が有ることを理解しているのかね、ピアース中佐?
どうやって、月面まで行くつもりだ? こう言っては何だが、人類で初めて有人で月面に到達したのは、
我が合衆国が最初であることを、知らんわけではあるまい?
それとも、国連軍横浜基地には、月面まで到着できるロケットブースターが揃っているのかね?」
「・・・はぁ、勿論存じておりますよ、大統領閣下。
で、私がどの様に月面に到着するのか? というご質問ですが、『企業秘密』です、とお答えしておきます。
(作者注:『言うつもりはない』と同義です)」
流石にこの遣り取りを傍で聞いていたユーコさんは、遠い目で『懐かしいフレーズを聞いた』と言う
顔をした。 俺がこの台詞を言う時は、質問者が幾らその理由を知りたがっていようとも、絶対に折れない
姿勢で貫き通すことを理解していたからだった。
だが、その様な扱いを受けたことのない合衆国大統領は、額の見える所の血管が井桁状(#)に盛り
上がるのだった。
「・・・もう良いッ!! 勝手にし給えッ!!
未だかつてこの様な不愉快な目に合ったことは無いッ!!
この次に、日本帝国や国連軍横浜基地から要請が在ったとしても、合衆国は今後一切助力などしない
からなッ!!」
そこいらのチンピラ宜しく、捨て台詞を吐いて会場を出ようとする大統領だったが、今度もアメリカ側の
SPに阻まれてしまった。
・・・なんか大統領が”偉い”んじゃない。 周りの官僚が”偉い”んだ、って言われているような感じだ。
彼が本当のブッシュ大統領本人であっても、これじゃ”影武者”扱いだ。 哀れだな・・・。
本当は俺の役目じゃないけれど、”助け舟”を出してやるとしよう。
「宜しいですか大統領閣下? 先程もお答えしましたが、貴方の折衝というものはチグハグなのですよ。
それは、基本的な使い方や運用の考え方が異なるのに、道具だけを寄越せと言うのは、提供する側
としては対応に困ると申し上げたい。
例えるならば高性能爆弾の正式な使い方は、岩盤などを掘削するためにノーベルが発明したのに、
彼以外の人類、特に私を含めた軍人が【その殺傷性から殺人用の爆弾】に使用したと言う事実を
参考にしてください。
爆弾を使用する事により助けられた人間も多くいますが、それ以上に無残に殺された人間の方が
遥かに多いのが現状なのです。
オルタネイティブ計画自体も同じです。我々はBETAとの戦争を行っておりますが、計画自体は人類に
貢献するための主旨を持っています。
その上での新技術開発です。 思考情報処理や新戦術機構想はそのベースの上に成り立っております。
ですが、それを棚上げにして、”戦争のみ”に使用すると言われて、「ハイそうですか」と言うわけには
行かないのです。
貴方がアメリカ大統領だからとしても、対応している人間はそれぞれの立場があります。
その配慮を欠いて、いかに”直球勝負”と言われても、言われた側はその”ボール”は
受けることができません。
大統領閣下、その点をどうかご考慮ください。
そしていつまでも現状のまま、合衆国国内の状況が変わらないと思うのは止めてください。
合衆国(ステイツ)だけが利潤を得られれば状況の推移が遅くても良いと考える時期は既に過ぎ去って
いるのですから。 香月博士の本当に述べたい事柄は、そこに掛かってくる事なのです。
どうしても、産業などを活性させる手立てとして、軍需産業を利用したいというのであれば、別の手段を
構築してください。 間違ってもオルタネイティブ計画を利用しようとはしないで頂きたい。」
と、今までの総括をダメ出ししてやった。
ブッシュ大統領本人に対してと言うよりも、寧ろ彼の後ろに控えている幾人かの官僚たちに対して、「彼の
正体はバレている。 仕切りなおしたほうが良いぞ」の意味を込めてその様に言ってやった。
だが、何か勘違いして、当の大統領自身が俺の言葉に返事を返してきた。
100%正直であり、彼自身の感想としての言葉だった。
「冗談ではないっ!! 第五計画における運用費の額は、国家予算の約30%強を費やしていたのだぞっ!!
それを勝手にご破算にしやがって、黙っておられるかっ!!
投資した資金を回収もできずに、このまま引き下がれる訳がなかろうっ!!
俺を説得させたければ、此等の回収プランの一つも出してからにしてもらおうっ!! 話はそれからだっ!!」
何か”とうとう化けの皮が”的な発言をしだしたが、相変わらずアメリカ側のSPに阻まれて何処にも
行けない大統領が駄々をこねていた。 ・・・ホントに現職の大統領か、こいつ?
それと、会場にはあれ程いた人間の数が七割程減っている。
日本帝国の煌武院殿下の姿も既に無い事から、撤収は完了したと見て良いだろう。
そろそろ締めに入ろうか・・・。
「・・・投資云々については、そちらの自業自得なので私からは何もお話することはありません。
しかし、会場を見渡してみれば、折衝を行っている各国関係者の皆様は既にお帰りになられたご様子。
これでは、交渉云々を行うのは至難の業でしょう。 ブッシュ大統領閣下も近日の激務にお疲れの
ご様子ですし、今夜はもうご帰宅なされたほうが宜しいでしょうな。
と言う訳で、これ以降の続きは後日改めてと言うのが宜しいでしょう。
まぁ、祖国への配慮として何を行うかだけ、先行して大統領にだけお伝えだけしておきましょう。
神々の黄昏作戦後に成ると思いますが、今回発表した新戦術機構想の一環として、準規格の教導を
行うべく、各国の衛士を横浜基地に招待する事になると思いますよ。
準規格は、現行の戦術機に思考情報処理技術を用いることで、通常運用処理を高速化できる規格
です。 正規版の第五世代機に搭載されている武装は使用できませんが、それでも現行のOSよりも
高出力の演算が行えますので、効率は飛躍的に向上することでしょう。
それ等を使いこなせる様にするための先行選抜訓練への招待と言うアクションを世界各国に行う
つもりです。 ああ、ですがアメリカ合衆国は第四計画への賛同が得られないお立場なのでしたね?
残念ですが、募集する衛士は合衆国(ステイツ)抜きで行うことになりそうですな。」
俺がワザとそう言うと、敵(かたき)を見るかの様にブッシュ氏が無言で俺を睨んできた。
「・・・・・・分かりましたよ。 合衆国(ステイツ)の衛士もキチンと招待しますから、そんなに睨まないで
ください。 その代わり腕の良い衛士で固めて欲しいので、こちらから指定する人間を寄越して
頂きますから、悪しからず。
他の任務を帯びた”余計なもの”を送ってきたら、即座に訓練を中止して合衆国(ステイツ)に
荷物扱いで送り返しますから、そのお心算りでお願いします。
また詳細は、後日連絡しますので、それを待ってください。 以上です。」
結局成果らしきものは得ることができなかったが、確かに折衝を行う環境にないとアメリカ側の官僚も
そのことを再認識したらしい。 相変わらず敵(かたき)を見ているような形相で俺を睨みつけたまま、
ブッシュ大統領は何も言わずに回れ右した。
そして、あれだけ大統領の行く手を阻んでいた官僚たちは、今度は彼の進路を邪魔しないで、そのまま
大統領と帰って行くのだった。
俺とユーコさんはそれを見送った後、近くに居たボーイが従事していたワインを2つもらい、喉を潤した。
「・・・やれやれ、何とか終わったね。 お疲れ様、ユーコさん。」
「ねぇ、あんな対応で良かったの? それと後日対応については、いつ取り決めたのよ?」
そう言えば、ユーコさんは俺と煌武院殿下との遣り取りは聞いていないのだった。
俺は簡単に、ユーコさんが聞いていなかっただろう内容について報告を上げた。 それを聞いたユーコさん
は、最初は吃驚したような表情をしたが、徐々に”ブッシュ大統領”の人物情報について、煌武院殿下と
同じく、その情報について嫌悪感を抱いたようだった。
「・・・なるほどね。 確かにその情報は剣呑さを含んでいるわね。
私もあの男と折衝していて、他の国の代表とは異なる違和感を感じていたんだけれど、そう言われると
思い当たる節を感じたわ。」
「ま、どちらにせよ、今日何かを取り決めたわけでは無いから、『取りあえずの危機は去った』って事でしょ。
問題を先送りしたとも言うけれど、今はこれで善しとしようよ。 今日は兎に角疲れたから、もうホテルに
戻ろう。 後は帰るだけだし、今夜くらいはゆっくりしよう。」
「・・・そうね。 私も疲れたわ。そうしましよう。
それはそうと、明日の予定で何か買い物したいとか言っていたけれど、今度は何を買うつもりなの?」
「そんなの言わずと知れた、ユーコさんとまぁーちゃんに贈るエンゲージリングだよ。
今度も”私そんなの要らないから”とか言わないでくれよ。 何度も言うけれど、これは男としての
甲斐性の問題なんだから、受けてもらわないと俺が困るんだよ。」
「・・・あーー、ハイハイ。 解ったわよ。
明日はアンタの買い物に付き合えば良いのね? それが終わったら帰国って事ね。」
「・・・そうだけれど、何か急いでいるの?」
「・・・アンタは忘れているかもだけれど、一応前に約束した事で言うと、アンタと私とで取り交わした
約束に”12月2日まで私は自分の研究を凍結する”って事にしたわよね?
私も自分の研究を取りまとめたりしたいから、できれば早く研究室に戻りたいってのが、本音なのよ。」
「大丈夫だよ。来る時と同じで帰る時も、”あっ”と言う間に帰れるから。
それと約束のことも忘れていないよ。 約束通り、研究の方も進めてくれて良いから。
ただ、第四計画としての仕事も残っているから、その兼ね合いで対応をお願いするよ。
あっ! 指輪のことで思い出した。 ユーコさん良い加減にモトコお姉さんを紹介してよ。
いつまでも俺は”ユーコさんのヒモ”とか、ユーコさんの身内に言われたくないよ。」
「(・・・何でこのタイミングでモトコ姉さんの事を・・・?
しかし、そう言えば姉さんの手配については、まだ行っていなかったわね。 ここはスッ惚けた方が
良さそうね)
さぁー、つかれたから さっさと ほてるにもどりましょう。 あー、つかれた、つかれた。」
「何で棒読み?! ってか、待ってよー ユーコさ〜んっ!」
と言いつつ、俺達もレセプション会場を後にした。
<レセプション・エピローグ>
俺達がホテルに戻ると、ホテルのロビーにソビエトのエージェント(男)が待ち構えていた。
言わずと知れた『ハッキングを受けたネットワークの修理』を頼みに来たのだが、ユーコさんは第三
計画の遺産の上前を刎ねられた件を、俺は自分に非がなく既にアメリカに対応した後なので、二度手間は
したくないと言う件で、その依頼を断った。
そのエージェントは何としても協力を取り付けないといけないと強行的に迫ってきたので、俺は代替案を
彼に提示してやった。 つまり、相当額の金額を吹っ掛けるのだった。
『男の甲斐性』とか男前の発言をしていたのだが、他力本願的に指輪の代金分を稼ぐかの様な行為を
している俺に対してユーコさんはジト目で睨んでいたが、気にせずに押し通した。
多分金額的に無理な額だったのだが、そのエージェントは涼しげな顔をして小切手でその金額を
寄越してきた。 ソビエト連邦ってそれ程お金もっていたの?
言い値の金額を寄越されてしまっては、もう俺は対応するしか無くて、仕方なしに同じ機能のPCに
同じ対策を施したPCを返してやった。 稼働条件についての説明も同じ事を説明してやると、その
エージェントはとっとと帰っていった。
俺達はやっとの事で、つかの間の休息を取ることが出きた。
そして翌朝。 ホテルをチェックアウトすると、小切手を現金に換金するべく近場の連邦銀行の
マンハッタン支社に立ち寄った。 まさかガセの小切手とかじゃないだろうなと勘ぐりつつ、手続きは
滞ること無く済み、相当額の金額を入手することになった。
その金額の内、必要と思われる金額100万ドルを引き出して、俺達はティファニー本店に向かい、
念願のエンゲージリングを二人分購入できた。
勿論デザインは二人別々だが、嵌っているダイヤの大きさは同じものとした。
特注の指輪にしても良かったのだが、度々何度も渡米できる暇がないのと、品物だけ輸送させるのは
心配であったので、既成品を購入することになった。 ユーコさんの指に調度良いサイズの物が
あったのは僥倖だった。 まぁーちゃんの分も同じくサイズのあった既成品があり、ダイヤモンドを
調整する時間が必要とのことで、午前中は専用のラウンジで寛ぐことにした。
総額は当初の予定の約1.5倍となったが、二つで1,500万円相当なので特に問題にならなかった。
そして二人分の指輪を受け取り支払いを終えた俺達は、ティファニーを後にした。
だが、店の前には何故か荒巻部長が待ち構えていた。 どうやら急ぎ殿下も帰国の途に着くとの事で
俺達も一緒に誘いに来たとのこと。 俺達のランチャーは部長の部下である草薙少佐が運転し、
俺とユーコさんは荒巻部長と一緒にリムジンに乗り込んだ。
「・・・別に今更『呉越同舟』と洒落こまなくても宜しかったのに・・・。
寧ろ部外者が一緒だと気を使うでしょうに、殿下も律儀なのですね・・・。」
と、ユーコさんが牽制をかけると、荒巻部長は社交辞令を返してきた。
「ハハハ、何をおっしゃいますやら・・・。
寧ろ香月博士やピアース中佐については、殆ど身内のように感じておられるのではないですかな?」
等と、あからさまな対応を返してきた。 喰えねぇオヤジだなこの人・・・。
そうこうしている内に、俺達は帝国政府専用機が駐機されているJFK国際空港の専用機発着場に
通された。 リムジンやランチャーの積み込みのために、一旦要人専用の出発ロビーにて待機した。
このロビーの近くには、一般客用のラウンジもあるとのことと、出発まで2時間近くの時間があるとの事
だったので、白銀君達向けのお土産を購入するべく、俺とユーコさんは繰り出すことにした。
その旨を荒巻部長に断って30分ほど買い物をしてから、要人専用出発ロビーに戻って、2・30分ほど
経過した頃、やっと殿下が到着された。
「・・・あら? 香月博士や中佐が何故此処に? 私達へのお見送りなどせずとも宜しかったのに・・・?」
俺達を見た殿下の開口一番の一言だった。 おいっ、クソオヤジッ! 誘いに来た時と対応が180度
違っているぞ?! 俺達を謀るとは良い度胸だな、おいっ?!
「・・・恐れながら殿下。 先のレセプションにおける交渉において、我が帝国は先の最新技術の何たるか
についての説明を受けておりません。 折角同一方向に帰国するのですから、この機会に詳細情報を
個別に説明していただければと思いまして、香月博士とピアース中佐に無理を申しまして、来て頂き
ました。」
・・・等とフォローになっていない説明を荒巻部長が殿下に説明しだした。
って言うか、煌武院派閥の人間に於いては、この様な『気の利いた』対応はしない。
飽く迄も相手を想う対応をして、その裏で密かに情報を収集するから、寧ろそちらの方の対応に慣れて
いたと言うオチなのだろう。 それに対して、直接情報を収集させると言うダイレクトさ。荒巻予備役中佐の
本領発揮という事であり、これが”九条家派閥”のやり方なのだ。
「・・・荒巻予備役中佐。 中佐の差配については感謝したいのですが、それは香月博士やピアース中佐の
了承を得た上でのものでしょうか?
もし、それらを異にしていたとしたら、その様な配慮は行わないようにお願いします。」
事前に釘を差していなかったのは、明らかに煌武院殿下の落ち度なため、少々消沈した面持ちで、
殿下自らが荒巻予備役中佐に注意を行った。 とは言え、荒巻予備役中佐の言う意見も最もであり、
今更別々に帰国するのも、間抜けな話と感じた俺達は、まんまと荒巻予備役中佐の差配に同意せざるを
得なかった。 ・・・或いは、コレも殿下に奏上した上での荒巻予備役中佐の手配なのかも知れない。
本当に”喰えない”オヤジだぜ、この爺様はよ・・・。
と言う事で、俺もユーコさんも殿下と一緒に日本帝国に着くまでの一時を一緒にする仕儀となった。
俺もユーコさんも帝国の専用機に乗り込み、出発準備に備えた。
ま、良いでしょう。 ”帝国に着くまで一緒”と言う部分について、俺は了承を出した。
その時間がどの位残されているのかについては、特に指定を受けていなかったから、その移動時間に
ついては、俺が好き勝手に調整してあげやう・・・。
「・・・じゃ、ユーコさん。 俺ちょっとコックピットに行ってくるわ。
その間ユーコさんは、殿下のお相手をお願いするね。」
俺は有無を言わさずに行動を開始した。 俺の後ろ姿を見送ったユーコさんは俺が何をするのか
想像がついているらしく、何も言わずに俺を見送った。 殿下は何のことか解らず、呆気に囚われていた。
そして、定刻通り14時に専用機はJFK国際空港を飛び立った。 予定通りに30分後には機体を
高度1万mにまで上昇させ、水平飛行に移った。 ここまでは予定通りの行動。
で、次の瞬間、通常のアンカレッジ経由での北方周りと成る航路をすっ飛ばして俺達は、いきなり
日本帝国管制区に居た。 言わずもがななことながら、俺が帝国政府専用機ごと機体を光速移動
させて、移動距離を大幅に削減したのだ。
仕事の終わった俺は、コックピットから自席に戻り、安全ベルトを締めて着陸に備えた。
今頃日本の航空管制官は突如帝国の管轄区域に現れた日本政府専用機の対応に大慌てで対応中
だろう。そうして俺達が乗っている機体は、予定時間よりも遥かに短い時間で羽田国際空港の政府
専用機発着場に着陸を果たした。 フライト時間として考えると、離陸から着陸まで1時間少々であり、
途中は高度を下げるなどの道程については、シートベルトをしないといけないので、実質会議などが
行えたのは5分〜10分有るか無いかぐらいだった。
勿論、そんな時間では交渉事など無理なので、アメリカ合衆国同様日本帝国も、後日対応すると言う
事で殿下自ら了承を得た。 喰えないオヤジは俺を睨みつけていたがね。
到着した時の日本帝国の現地時間は12月3日の午前5時を少々過ぎた頃だった。
勿論真夜中に戻ってきても、政府専用機なので離着陸は許可されているので、問題なく対応して
もらえた。 俺とユーコさんは、カーゴからランチャーを下ろしてもらうと、そのまま横浜基地に帰還を
果たすのだった。
リザルト報告:
繰越経験値ポイント & SPポイント
経験値ポイント : 0ポイント(繰越分)
SPポイント : 2,615,350SP
経験値取得
内訳
開発中
第9世代戦術機(プロトタイプ・『撃震モドキ(仮)』→『心神(仮)』)
仮組立中 達成率50%前後
OS部分達成率20%
(アウター9開発中+空間戦闘機動用モジュール未開発)
戦術機本体部分達成率80%
(ムーバブル構造体。本体駆動部など未調整部分多数)
総合計 2,715,350SP (繰越ポイント:0 変更なし)
はい。と言う訳で15話完了しました、っと。 文字数だけなら3万文字オーバーらしいです。久々だなー、こんなに書いたのって。
いやー、本当に疲れましたわ。
もうね、大統領のコンセプトが甘かったので、書き直しが10回以上って、”エタってやる”と何度思ったことか。 リアルでは仕事が忙しいし、気分転換としてBDでアニメ見ていたり、ゲームしてたりして、その間にもストーリ性を考えていたのですが、構想を纏めるのが大変でした。
”ブッシュ氏”自体が本当に居るわけで、でも「平行世界のブッシュ氏であったら、どの様な差配を行うのか?」を基本に考えつつ、第四計画にとって、敵となるのか味方にしようかで悩みました。
それと、前話との絡みで持ち上げていたことと関連させて、いっそ陥れてみた方が味が出て編集しやすいのか、とかでネタを捻り出しました。
で、この後についてですが、未だ手を付けていません。
ですが、多分予告通りに色々と挟むため1話分あけましてから、『ラグナロク』を実施してエピローグに入る予定です。
マブラブ部分のエピローグとなるわけですが、それほど多くの引き出しはありません。
一応マブラブはバッドエンドにはしないつもりでいますが、ハッピーな終わり方になる保証も今の所は未定です。
それと”エイデン・ピアース”に扮している転生者主人公の部分の後話が続きます。
彼は転生を繰り返さなければいけませんから、その絡みを展開させます。
ですので、後このお話が続くとして、5話無いと思います。酷ければあと3話くらいかな? 駄文が続きますが、お付き合いいただけたら嬉しいです。
年内に終了できれば御の字ですが、年越しってしまったら御免なさい。
では、次回までごきげんよう。