What happened in the story ? 作:斬【Zan】
読みやすさを追求したいのだが、上手く行っていないような気もする・・・。
そう言う訳で第03話を投稿したのだが、この話もフォーマットが微妙に変更されている。
その内形式を統一したいのだが、一話あたりの投稿文字数が3万語越えなので、うっかり再編集できないジレンマが・・・。
・・・まぁ、気が向いたらその内、その内・・・。
あ、それから、今話はあの作品のパロが入っています。
登場人物の名前が読みにくいとは思いますが、何とか頑張って読んでみて下さい。
(そのまま出すのは、やっぱり不味いっしょ)
では取り敢えず、第03話をどうぞ・・・。
Side Other
2001年11月11日 日本帝国新潟県
日本帝国国防省本土防衛軍 東北方面軍新潟前線基地
第14戦術機甲大隊 先行強襲偵察スレイプニル中隊 待機室 第三小隊
・・・・・・・・・ふぅ・・・と、私は溜息をついてしまった・・・・・・。
秋も深まり、紅葉が彩りを誇る頃。
しかし、そろそろ冬が来ようかという気配も見せている為か、
夜の帳が徐々に早くなって来ている。
それに合わせたかの様に、日の出も徐々に遅くなりつつある。
今日の日の出まであと5分。
5時半少々過ぎた頃で、一番夜明け前の闇が深いという時間帯・・・・・・。
戦術機の衛士適性があった私は、それ程就きたい訳でもなかったのに、
彼を押しのけて衛士になってしまった。
二人揃って戦術機で日本を守ろうと彼に誘われたのと、世論的に
徴兵されそうだったと言う事もあり、志願兵と言う枠組みで衛士に応募したのだが、
何故か彼は衛士適性が無かったので、仕方なしに後方の補給基地で歩兵勤務をしている。
今は夜勤シフトの最中であり、出撃待機中であるために99式衛士強化装備の上に
ウォームジャケットを纏ってソファーに身をあずけて待機中である。
だが、ウォームジャケットが掛け布団代わりになっている為か、
ソファーの座り午後地が良い為か、極めて睡魔が私を眠りに誘おうとしている。
でも、ある適度の緊張を以って、私はそれらの誘惑に抗っている最中・・・なのよね。
昨日からの夜勤もあと2時間足らずであけようとしている・・・。
此処でうたた寝をするわけにはいかないわね・・・。
それに私には、睡魔からの誘惑に抵抗できる理由があった。
その理由とは・・・、私にとっては一大事的な出来事であり・・・、
成果は残念ながら実らなかった・・・。
正確には、そこに至るまでの道程が開かなかったので、試合開始にも至っていない。
だから成果として語るとすれば、せめて頭に『惜しむらくは』と付けさせて欲しい・・・・・・。
そう、惜しいのよ・・・。
本来の勤務シフトであれば、我がスレイプニル中隊は夜勤シフトに入ったので、
交代で休息を取ることになっている。
だが、私にはどうしても今月の10・11日の連日で休暇が欲しかったので、
他の第一・第二小隊の隊員に掛けあって、勤務を交代してもらった。
そして、何とかその両日の休暇を取り付けたわ。
ここまでは計画通りだった。
事が思惑通りになったので、私は有頂天になっていたのかも知れない。
そして10日。待ちに待った休暇、彼とのデートに出かけたのだが、
相手にすっぽかされてしまった。
どうして連日で休暇が欲しかったのかと言うと、私の予想では
そろそろ彼からプロポーズの言葉を引き出る様に仕向けていたこともあり、
この休みが二人にとっての一つの天王山的な山場になると期待していたからに
他ならないからよ。
でも、それが一気に御破算となってしまった。
また、そのツケを払うため休みとして確保した10日、つまり昨日から
3日連続で夜勤シフトに入る事に切り替えた。
ああ、本来の計画通りであったなら、昨日の10日辺りは告白を受け、
更に言えば、これで愛の結晶でもできたなら、半年後辺りには寿退職となるハズだったのに・・・・・・。
BETA大戦に突入して、我が日本帝国の人口も減りつつあるので、
オメデタで寿退職はスムーズに行く事が多い。
昨今の国内事情も私の計画に上乗せされていた。
だが無常にも、私の計画は希望通りに事は進まなかった・・・。
『この世に神など居ない』 私は心の中でそう叫びたかった・・・。
何故すっぽかされてしまったのか?
それは言わずもがなな事ながら、彼の方の勤務地で騒動が有り、
彼がヘマをしたからと言う説明を彼の上司から受けた。
事の詳細は教えてくれなかったのだが、彼の居る歩兵部隊が何らかの騒動に巻き込まれ、
彼は負傷しなかったものの勤務に問題があり、今は懲罰房の中で謹慎しているらしいのだ。所謂、連帯責任の一環でそういう事になったらしい。
10日の昼前、何も知らない私は、待ち合わせである喫茶店で2時間も待った。
彼自身、ドジなところもあり多少のトラブルに巻き込まれる体質(?)なので、待ち合わせと言っても指定した時間から2・30分遅れることは今までにもあった。
だが、理由もなく遅れてくるようなことはしないので、最初はいつものパターンだと思っていたが、流石に2時間も遅れてくることは無かったので、彼の勤務先に問い合わせて事情を知った。
私はソファーの中で身を屈め肩を怒りでプルプルと震わせてしまった。
今回のデートについて、一連のことを思い出していたら、怒りのあまり叫びだしてしまいそうになってしまっていた。
そこに不意に、私の後頭部に何か柔らかい物が当たる衝撃を受けた。どうやら誰かに後ろから抱きしめられているらしい・・・。
「・・・こらっ、市之瀬! 眠いのは分かるけど後少しなのだから、もうチョット頑張りなさいな・・・。」
「ハイッ、 あ・いいえ、御都梨副長ッ!! 私はうたた寝などしていませんッ!」
声から誰何しなくても、私を抱きかかえてくれたのが御都梨副長だと分かった。
私の落ち込みや、彼からプロポーズを受ける計画などの一切合切を知っていてくれている、我が中隊のお母さん的存在。御都梨 響子大尉は、私の良き上司なのよね。
「・・・・・・まぁ、例の件で落ち込んでいることは分かっていたんだけれど、今それを考えても仕方ないじゃない?
こんな時は勤務に集中して、キッパリ忘れてしまう方が精神衛生上良いものよ。」
「・・・ハァ・・・、それは・・・、まぁ・・・分かっているんですけれど・・・ねぇ・・・・・・。
せめてアイツが何をやらかして、そうなったのかが分かれば、もうチョットこう怒りの矛先を変えることもできると思うんですが・・・・・・。」
「・・・・・・・・・まぁこればっかりは、私でも詳細はわからないのだけれどもね・・・。
私が聞いた範囲で知っている情報だと、後方の補給基地に侵入者が入ったらしいの。
で、警備中だった歩兵部隊の一部を沈黙させて、配備されていたジープを強奪された、って聞いたわよ。」
「えっ?! そ・それって、大問題じゃ・・・。
しかも、”沈黙”って、負傷者は? ま・まさか、死者も出ていたりしますか?」
「ちょ、ちょっと落ち着いて、市之瀬。
安心して良いわよ。死者は出ていないから。負傷者だけよ。
負傷したと言っても一時気を失っていただけだから、大したことはないわね。
でも、高々一人の賊を抑えることができないのは気の緩みが原因だってことで、警備にあたっていた歩兵部隊は待機中の人間も含めて連帯責任で懲罰房送りになったみたい。
まぁ、所謂”綱紀粛正”ってヤツね。」
「・・・・・・なるほど、そう言う事でしたか・・・。
電話に対応してくれたアイツの上司の方も、何か私に気遣ってくれている雰囲気が感じ取れたので、アイツが何をやらかしたのか凄く気になっていたんですが、連帯責任だったら逃げ様が無いですね。
教えてくれてありがとうございました、御都梨副長。 かなり気が楽になりました。」
「フフフ。 それは良かったわ。
まぁ、今回の事は彼に落ち度が無かったかも知れないから、今度の機会に会ったら、やさしくしておあげなさいな。 こんな事で二人の仲が拗れてもつまらないわよ。」
「はい。 お気遣いありがとうございます。
・・・にしても、賊は一人ですか? 何で抑えることができなかったのかな?
高々民間人に負ける兵士って、私でも綱紀粛正って言いそうになるわね。」
「・・・・・・さぁ?
相当なやり手の泥棒さんって事か、本当に歩兵が腑抜けていたのか、或いは両方・・・と言うことは幾ら何でも無いかな? ウフフ・・・・・・。」
・・・などと緊張感が掛ける会話をしていた矢先に、それは突然起こった。
待機室に前線基地司令部から、出撃準備を知らせる警報が鳴ったのだ。
待機室に居た私達は、一瞬その場で固まってしまったが、次にスピーカーから出てくるであろう状況に関して一言一句を聞き逃さないように傾注した。
スピーカーを通じて、基地司令部から以下のオーダーが発せられた。
「・・・旧国道402号付近に埋設してあった、深度振動探知機より異常を検出。
甲21号からの侵攻の可能性大!
待機中の偵察部隊要員は指定ポイントの状況確認の為、出撃を命じる!」
これを聞いた副長以下第三小隊の面々は、待機室の隣の建屋である戦術機格納庫目掛けて部屋を飛び出した。
勿論私も御都梨副長の後に続いてウォームジャケットを脱ぎ捨てて部屋から飛び出していた。
戦術機格納庫には既に整備済みの私の愛機初め、スレイプニル中隊用の撃震12機が待機していた。
私は自分の愛機に飛び込むと直ぐに座席調整を行い機体のエンジンに火を入れた。
エンジンの始動と戦術機制御用OSの起動を確認し、発進準備完了状態となった。ここまでの所要時間は約3分。
私の戦術機々付けの整備兵は、私が利き手親指を立てての、「準備善し」の合図を見て、ハンガー固定用ロックボルトをリリース(解除)してくれた。
同時に無人である搭乗用のキャットウォークが、戦術機前から最速度でリフトアップして行った。
進路クリア状態となったので、私は愛機を微速前進させる。
既に兵装は準備が終わっており、私達は強襲前衛装備で戦術機を格納庫から順番に出していった。
格納庫から出た第三小隊各機は、発進位置まで戦術機を歩行させると、そこから滑走路スロープまで平行跳躍機動を以って滑走路に移動した。
既にコントロールセンターからはスクランブル発進許可が降りていたので、滑走路に到達した私達は、一気に飛行体制を取り前傾匍匐飛行へと移り前線基地から飛び立ち、バレルロールを交わしてから発進した。
私達スレイプニル中隊は、通常の戦術機部隊の撃震とは異なる点がある。
それは戦略的な意味合いから、私達の主任務は先行偵察及び偵察中の敵迎撃を行う点に特化している事だ。
そしてもう一つ。戦略的にだが、私達の撃震の跳躍ユニットは、通常の撃震のそれとは大いに異なっている。
現場への最速で到達するため、普通は第三世代機の吹雪に搭載されているFE108−FHI−220Eの跳躍ユニットを流用していた。
その為、出力は不知火よりも若干劣るものの、ロケットブースター部分の出力を不知火壱型丙並にチューンしてあり、通常の撃震と比べ移動力が上がっていた。
新潟前線基地から飛び立ち、規定高度まで駆け上がった私達第三小隊は、装備されている
自慢の跳躍ユニットのロケットブースターを起動させ、高度を下げつつ加速した。
自機を加速させながら高度を下げて飛行するのは、結構な腕前が必要だ。
その為この中隊には、一般の戦術機部隊から選抜された腕の良い衛士で固められていた。
私も一番最初に配属された長野の戦術機部隊で”エース”と称されていたのだが、この中隊に配置転換されてからは、それは『井の中の蛙』でしかなかたのだと思い知らされた。
特に御都梨副長は戦術機機動に於いては、隊内でも一番の腕利きだ。新人教育においても副長が新人の面倒を見ている。 私も最初は丁寧に副長のお世話になった。
ただ、BETA撃破数的には、実兄であり隊長の御都梨 惣一朗先任大尉が、戦績では上を行っている。
隊長も機体操縦に於いて副長に劣っていないが、隊長は更に戦略的見地を持っておられるので、このスレイプニル中隊は御都梨兄妹のお陰で今日を生き抜いていると言っても過言ではなかった。
・・・目的とする偵察地点まであと数分。跳躍ユニットのロケットブースターのお陰で、
基地からここまでの距離を十分に稼ぐことができたので、現在は通常スピードで高度40mと言う低空を飛行している。
それは光線級と呼ばれるBETAが居るためで、あまり高く高度を取ると奴らのレーザーで撃墜される為、それを警戒する必要が在るためだ。
時刻は午前6時数分前に差し掛かった。
前線基地に残っているCPのスレイプニル・マムから緊急通信が齎された。
「 (ビッ) ・・・・・・スレイプニル・マムから先行中の第三小隊へ。
先程異常が検出された深度振動探知機とは別の探知機から、侵攻中のBETAに関して情報を受信。
この探知機からの情報を元に、敵からの侵攻を受けていることが判明し、新潟前線基地は防衛体制を2に移行した。
拠って、当基地所属の第14戦術機機甲大隊本隊にも出撃命令が下った。
先行中の第三小隊は、状況確認から戦況確認へと任務内容を変更する。
尚、振動数値から、敵BETA郡の規模は旅団規模と推定。
偵察任務が第一目標だが、任務上場合に拠っては敵BETA郡への先制攻撃を許可する。
以降は全機兵装使用自由!」
すかさず御都梨副長から第三小隊に檄が飛んだ。
「第三小隊各機、指令は聞いていたな?! 間もなく中隊本体もやってくる!
我々はこのまま指定ポイントまで先行し、戦況確認の任務を全うするぞっ!!
03・市之瀬は11・美高と。12・伍代は私とエレメントを組めッ!!」
と、此処で異議申立てを行うバカが居た。 スレイプニル11の美高少尉だ。
「御都梨副長、意見具申ッ!
伍代少尉は偵察任務に不慣れです。 ここは私が副長と組む方が任務達成しやすいかと思います!」
この美高という少尉は、所謂”ルーキー”と呼ばれる期待の新人に位置する野郎だ。
転属前は帝都西部防衛警備隊からの配置転換だったか。 親類は軍閥に顔が利くお偉いさんだった筈・・・。
反対に伍代少尉は、腕は確かだが期待されるほどの新人ではなかった。
ここ新潟が故郷であり、地元出身だと言っていた気がする・・・。
何故か御都梨副長とは馬が合うのか、目を離すと副長と一緒に居ることが多い。
ま、副長の好みは兎に角、此処は部下の私から諭すほうが無難だな・・・。
「・・・これだから、全くなっちゃいないわね・・・。
おい、美高少尉。 偵察任務に不慣れだから、副長が伍代少尉の面倒を見るんだろうが・・・。
それとも何かい? 美高少尉は私とエレメントを組むと偵察任務が難しいとでも言うのかい?」
「い・いえ、市之瀬中尉。 そんな事はありませんが・・・。」
「そんな事だから、未だに二人共訓練中は副長から”ちゃん”付けで呼ばれるんだよ。
今は任務中だ。 副長の指示通りに動くことが最善だろう。
それと、普段訓練を付けてくれている副長に良い所を見せて、独り立ちしているところを披露できてこそ 恩返しってもんだろう? そう言う期待に答えられないで、何が男かっ! 帝国軍人かっ!!
副長の指示通り、美高少尉は私とエレメントを組んで海岸沿いを偵察するよっ!
おい、伍代少尉っ! あんまり副長に世話を焼かすんじゃないよっ!!」
「「りょ・了解っ!!」」
これにて一見落着ってもんよ。 全く最近の野郎共は、もやしっ子だねぇ・・・。
ムフーーッと言わんばかりに息巻いた表情を披露していると、網膜投写の向こう側に写っている御都梨副長の顔が苦笑いをしていた。
私達は早速指定ポイントの戦況偵察を開始した。
私と美高少尉の撃震は、旧国道402号線を南下し、海岸線に向かっている。
遠目でみても、既にBETAは上陸を開始し、眼下のあちらこちらには戦車級やら突撃級・要撃級がうじゃうじゃ海から上がりつつあった。
凡そその数は、100前後の個体が上陸しており、佐渡ヶ島から新潟県へ上陸し、関東方面に向けて移動しているように見えた。
また、日本海側の波打ち際、と言うか海の中にも多数のBETA郡が、その黒いシルエットが上空から見えたので、その存在が分かった。
スレイプニル・マムから報告のあったように、5000体前後の旅団規模のBETA郡の大半はまだ海の中にいるらしい。
ここまでの情報を新潟最前線基地に送るため、副長との連絡をつけようとしたその矢先、
信じられないぐらいの土砂が大音響と共に巻き上がり、その後に大衝撃波が私達を襲った。
私達はまるで嵐の中の木の葉のように、一気に反対方向の新潟前線基地方向に吹き飛ばされてしまった。
撃震の中で、嫌というほどシェイクされている私。
勿論、撃震からは警報のアラートが鳴りっぱなし。でも、そんなことはお構いなしに、吹き飛ばされている撃震は新潟の地に軟着陸、いや、撃墜されたというべきか、地面にシコタマ叩きつけられて、そこで私は気を失ってしまった。
Side Out of Other
「・・・・・・どうしてこうなった・・・?」
俺は待機していた塹壕の中で、突然の衝撃波に襲われた。
そのとてつもない衝撃波を受ける直前、何も対応する事ができなかった俺は、しかし咄嗟に対応策を錬るべく、絶対的時間間隔を発動させ状況の確認を行うことにした。
今現在の俺の思考力は、対抗策を出すために10ミリ秒の時間間隔で思考を開始している。
しかしここ最近、何故かこんなセリフばかりを言っているような罪悪感にかられつつも、
突然の事態に俺は、脱力感と呆気に囚われていた。
よし、ここはクールになろう。
何をしたのか思い出して、そこから対策を練れば良いんだ。 うん、そうしよう。
えっと、確か・・・・・・。
6時15分程前だったっけ? 佐渡ヶ島ハイヴからの侵攻してきた旅団規模のBETAさん達が上陸しそうだったから、この前見つけておいた帝国軍の深度振動探知機を弄って、監視している拠点に装置から信号を送ろうとした。
だが、俺の操作が悪いのかウンともスンとも反応しないので、装置をいぢくるのに少々の時間を要した。
そして、何の信号だったかは知らないが、多分信号が送られたのが分かったので、迎撃を行うべく対応した。
また、事前に帝国軍の連中に警報を知らせることができたので、後からゆっくりと部隊を派遣するだろう。
・・・そんで、BETAさん達の先発隊(?)が迎撃用塹壕の上を何体か通過したので、仕込んでいた迎撃装置を起動したんだ。
・・・・・・? えっと、それから・・・・・・・・・??
どうして迎撃用の徹甲弾を打ち出しただけで、こう言う状況になったんだ??
何か他に要因があったっけ・・・?
<・・・・・・ハァ。 どうして肝心な所が抜けているのかしら、この男は・・・・・・。
>
俺がウンウンと悩んでいると、どこかの女神様が横槍を入れてきた。
「(・・・・・・何だアテナ? 心当たりでもあるのか?)」
<大洗海水浴場よっ(大ありよっ)!!
アンタ自分で徹甲弾を打ち出す時に、属性を付加していたじゃないっ! 何であんな属性を付加したのよっ! 私はてっきり狙っていることがあるのだと思って、何も言わなかったのにっ!
>
ん?! 属性の付加??
そう言えば、徹甲弾を打ち出した後、その弾に【対光速弾】と【速度変更・光速】を付加したな。
・・・・・・・・・・・・ぅん??
【速度変更・光速】って、その物体を光速移動させるってことだよな?
えっと、今土砂その他諸々が舞い上がっているのって、ひょっとして、この”光速”って言う属性の性か?
<・・・やっと気がついたの? 全く先が思いやられるわ!
今度アンタ暇な時に、ネットで『光速 う○こ』でググりなさい。
私はてっきりそう言うネタだと思って何も言わなかったのに、私だけ馬鹿を見ているんじゃ収まらないわ。
>
「(・・・・・・あーー、その何と言うか・・・・・・。ゴメンなさい?
それと因みに、そのネタの結果だけ言うと、今の状況ってどう言う状況なの?
今の俺って、簡単にググ先生のお世話になれないから、教えて下さい! お願いしますっ!!)」
<・・・・・・アンタ独りでやれって言ったでしょ!
ああ、もうっ!! つまり、光速で打ち出された弾の撃った側がどうなるかって事が出ていたの。
それによると、大凡音速の2〜3倍で、反対方向に吹き飛ばされる、って回答が載っていたわ。
だから、今アンタが吹き飛ばされているのは、正にその状態って事よ。 分かった?!
>
ああ、なるほど。 確かに1秒間に地球を7周半できるんだっけ?
数字に直すと、確か約30万km/秒だっけ? 反対に言えば、光速で打ち出した弾が地上に当たったら、大きなクレーターの一つくらいは簡単にできるわな・・・・・・。
それだけの威力だと撃った側は音速の2〜3倍で吹き飛ぶわ。こりゃ失敗・失敗。
威力を弱めるために、あと一つ【威力・1/100】とかにして制限を掛けておけば良かったよ。
しかし、原因がわかれば、後は行動あるのみ。
対応策としては、俺とその周りにも【対光速】属性を1ミリ秒感覚で付加した。
いくら思考が早くに回ると言っても、鍛え抜かれている肉体を持っていたとしても、物理的に瞬間に動作を終えることなどできないのだから、そこは要領良く行う必要が出てくる。
まぁ、属性の付加については高速思考のついでにできるから、そこは大丈夫だけれども、
実際戦闘行動を行っている時は、俺の肉体は実時間世界に留まっているので、そのギャップは覚悟しないといけないだろう。
つまり、光速で弾を打ち出したとしたら、その影響が直後の俺の肉体を襲うので、弾を撃った後は俺自身が高速移動するなりして、撃った地点から移動して置かなければ属性の影響を受けてしまう。
こりゃ、マシンガンで連射とかしない方が良いかもな。 3点バースト射撃くらいだろうか?
兎に角、10ミリ秒が経過するかしないかの刹那な時間に、【対光速】の属性を俺と俺の周辺に掛けた事で、危うく『うっかり死』の手前くらいの危機を回避することができた。
正に”間一髪”で間に合ったのだった。
【対光速】属性を展開できた俺は、改めて周りの状況を落ち着いて見ることができた。
俺自身は五体満足のままで、音速の2・3倍で吹き飛ばされている最中だ。
その中で周りに使えそうなものや、危険になりかけている物を探すと、先ほどまで俺が跨って乗っていた
オカモチ付きの出前用単車も一緒に吹き飛んでいる最中らしかった。
俺は空中遊泳宜しく、手足を動かして何とかその単車に辿り着くと、単車の状態を確認してエンジンを回した。
すると幸先良く単調な音を立てて、出前用の単車はいつでも発進できる体制になった。
でも、俺も単車も空中に浮いているから、地面にグリップされていないから、単車に跨って走りだす事はできないけれどもな・・・・・・。
だが、俺の持っている能力は、言わずと知れた”チート能力”だ。
だから、たとえ地面に接地していなくても、俺が跨った単車はそれだけで自在に思った通りに駆け出すことができた。
これは所謂、”何人たりとも俺の前を走らせない”と言う事だ。
早速俺は、自分がまたがっている単車の移動について、性懲りもなく【移動:光速移動可】の属性と【速度調整:認識したスピートでの移動可能】の二つの属性を追加した。
これにより、打ち出した弾よりも早く移動し、安全な場所に移動を行いつつ攻撃もできるというチート無双に近い属性を付加した。
早速俺は、突き飛ばされついでに地上に飛び出し、地上のBETAさん達の襲撃情報を確認した。
既に上陸し俺の後ろに進行してしまった100体前後のBETAさん等は放っておくとして、未だ日本海の中に潜んでいる連中の排除から始めた。
・・・・・・では、早速・・・・・・とばかりに俺は、アサルトライフルを左腕に装備し、日本海側に単発撃ちで攻撃を開始した。
勿論、先程の反省は踏まえているので、撃った後は俺本体はさっさと移動を開始し、弾道の影響を受けない所まで避難してから属性の付加を行った。
付けた属性は、【対光速弾】と【速度変更・光速】。それと、【威力変更:1/100】とした。
まぁ、これで光速の威力をある程度落とすことができるだろうと踏んでいたのだが、結果は外れた。
衝撃波の大きさは、俺が受けた衝撃以上にあったからだ。
どうしてかと頭をひねったら、よく考えると光速とは30万km/秒であり、その100分の1だから、3,000km/秒と言う数字。・・・確かマッハ1(音速)が約300km/秒だった筈だ。
・・・って事は、これってマッハ10って事と同じじゃん?! 全然威力が落ちてないじゃん?!
・・・・・・う〜〜ん。 これは期待していたほどじゃないか・・・・・・。
ハッキリと言ってしまうと、「あんま、使えないなぁ〜」と言う感想だった。
問題点を上げてみると・・・・・・。
最初は初めて見る事に目を見張るものはあった。それは、音速の衝撃波が海を割った事だ。
まるで、モーゼの十戎の様に衝撃波だけで海が割れたのを見たのには、漫画ネタとかでは良く読んだ事があるが、本当にそう言う現象を目の当りに見ると驚愕を通り越して感動した。
衝撃波を受けた海水が散らされて、海中に居たBETAさん達団体が丸見えになったのは良いのだが、そこに更に別ベクトルからの音速の弾を届けようとした。
だが、最初に撃った初弾の影響が邪魔をして、期待した以上の威力のある攻撃ができなかった。
音速弾でBETAさん達を攻撃しようと思っていた事について、この手は余りにも有効じゃない。
光速弾での攻撃はもう懲り懲りなので、攻撃目標に対してその射程間に様々な障害が多くあり、狙った所に狙った威力の弾が届かないので、他に対応策が必要となっている。
「・・・・・・ってなことで、威力が全然足りない・・・・・・。
弾も当たらない物もあるし、銃で攻撃していても意味がないな・・・・・・。
もっと、こう・・・・・・、想像していたチート攻撃となんか違う・・・・・・。
どこを改良したら・・・・・・・・・。」
うーーん、これはWD(ウォッチドックス)でもよくあった、攻略手順の検討と同じだな。
手順を間違えると何度も死ぬし、そのクエストをキャンセルしない限りは同じシーンを繰り返してしまう。
初期の頃は、よくこれを繰り返して落ち込んだものだ。
だが、今はゲームの中じゃない。
現実だ。 此処での死は、即ゲームオーバーだ。 冗談ぢゃ済まない事なんだ!
俺はもう一度観点を変えるべく、迫ってくるBETAさん達から逃れつつ、冷静に俯瞰した位置から状況を確認してみた。
攻撃方法に問題があるが、攻撃方針的にはあっている筈だ。
光速の何分の一かの衝撃で、BETAさん達を押しつぶす事で撃退すると言う方針には、誤りはないと思う。
と言う事で、今の問題点は、BETAさん達を丸裸にするために、衝撃波用の初弾を発射するが、この影響下が俺の攻撃を邪魔していることが、問題なんだ。
いっその事、衝撃波用の弾を打たずに直接トドメを刺せたら良いのに・・・・・・。
でも、それを行うと、回りにいるBETAさん達を倒すのに衝撃波だらけとなり、他の個体を攻撃する時に影響が出るからなぁ・・・・・・。
・・・・・・イヤ待て。 本当にそうなのか・・・・・・?
属性を付加した直後に、そのままの状態で標的に届けば良いんじゃないのか?
つまり、飛んでいく距離、撃った所から的であるBETAさん達が居る空間までをすっ飛ばすことができたなら、良いんじゃね?!
・・・・・・・・・あっ?! ティンと来た!!
もう一個属性を追加して、これが上手く行けば、多分・・・・・・・・・。
俺から見て真正面に居た要撃級BETAさんに注目した。
その距離92.84m。 このBETAさんを迎撃するのに、アサルトライフルから打ち出した弾に、【対光速弾】【速度変更:光速】【威力:1/100】と【空間跳躍:92.84m】で打ち出してみた。
すると、狙った所に居た要撃級BETAさんはモノの見事にぶっ潰れてしまった。
しかもご丁寧に、跡形も残骸残らずに散ってしまった。そしてその後に地面に大きなクレーターが出来上がった。
「・・・・・・フフフ。 せ・成功だっ!! これで勝つるッ!!」
勝利を確信した俺は、思わず叫んでいた。
そして、アサルトライフルを自動小銃に持ち替えて、適当に数発の弾を発射した。
勿論、絶対的な時間間隔を用いて、先ほどと同じように空間跳躍属性を付加し、発射し多数発分と同じ数のBETAさん達を倒した。
ただ、敵を攻撃するのは良いとして、でもクレータを作ってしまうことに違和感を感じた俺は、
攻撃方法の改良を試みることにした。
と言っても大したことじゃないけれど、要は撃った弾がBETAさんを攻撃した後、地面にぶつからなければ問題は回避できると思った。
だから、貫通した後の撃った弾を連続で流用すると言う方法を考えた。
つまり、撃破した弾を続けて空間跳躍させて、第二・第三の目標を攻撃し続ければ、最終的にクレータを作らずに済むのでは無いかと踏んだんだ。
で、今度は自動小銃をヤメて、拳銃に持ち替えて一発だけ撃って数珠繋ぎ攻撃を試してみた。
回りにいたBETAさん達を対象に攻撃してみた所、思惑通りに迎撃することができた。
ついでに言うと、10体前後のBETAさん達が血祭りに上げられたのだが、最後の一匹については、足元から突き抜けるようにし、弾を衛星軌道方向に打ち上げておいた。
こうする事で、無駄なクレータを量産せずに済むようになった。
空間跳躍属性の距離の部分を絶対的距離感覚で図りつつ、俺はその後の攻撃を続けた。
今の俺は、チート能力により、”絶対的時間間隔”を身につけている。
他に似たような能力で”絶対的距離感覚”もあるが、要は認識できる時間や距離を時計や計測器を使わないでも感覚で把握することが行える。
今回の空間跳躍属性を多用することで、効率よく敵勢力を屠ることが行えている。
言葉にすると簡単だが、しかしながら行っていることはひどくマメに能力を行使している。
俺は最大値的に言えば、1フェトム秒と言う「10のマイナス16乗」という小数点以下ゼロの数が14個とか
15個という数まで認識することができる。
ちょっと前までは、1ミリ秒までの認識で精一杯だったが、空いた時間などを使って時間感覚を鍛えた結果、「10のマイナス4乗」だったのが「マイナス16乗」まで増やすことができた。
(SP値的には12段先まで行けたので、これで1,200SPを計上した)
つまり1秒という時間を思いっきり”長い”と感じる時間として認識することができ、その作業を持ってすれば、
ケタが多い分様々な作業を行うことができる様になっていた。
まぁ今回はそこまで時間を必要とはしていないので、咄嗟に慣れているミリ秒という単位で対応したのだが、
目標とする敵の処理を1ミリ秒内で、距離を計測し、その数値を先程の空間跳躍属性の値として流用し攻撃したとすると、1秒という時間の内に1,000体と言う敵勢力を屠ることができた。
そして、後から知ったことだが、「絶対的な・・・」能力を2つ同時に使用することで、攻撃属性的に新しい固定化能力が開花した。
ひょっとすると、この後も取得している能力を磨くことで別の能力を開発できるかも知れないと思った。
兎に角、取得した新しい攻撃属性能力は、【認識内変動的攻撃】と言う。 何かパチンコみたいなネーミングだなぁ・・・。
だが、内容的には「かなりエグい」と言ったほうが正しいと思った。
つまり今回の攻撃について、見方を変えると『・・・と同じ結果だから、新しい能力として認識しましょう』と言うことらしい。
詳しく説明すると、俺が認識している敵までの距離・・・、多分直線じゃなくて、本当に面積とか空間とかにも適応される”距離”の事なんだが、その範囲内に居る敵に対して同じ攻撃方法を用いることで、色々と細かい設定を、攻撃する度に設定しなくても良い様になった、と言う事だ。
実際、攻撃する対象までの距離を測り、攻撃する設定として適応、即実行しているだけだが、距離の情報だけを繰り返し入力することで同じ効果・結果となっていた。
この能力を使えば、認識範囲に居る全ての対象に対して同じ効果を齎すことができ、非常に便利だった。
・・・何でこんな面倒臭いことを述べているのかというと・・・・・・。
「(・・・・・・迎撃、もう終わっちゃんだよな・・・。
実際に検証とかも含んでいたから、処理時間が5秒じゃ無いけれど、5,000体程の旅団規模のBETAさん達の迎撃が10秒切っているのって、ホント夢の様だよ・・・・・・。)」
まぁ、正確に言うと後ろに逃してしまった百数十体のBETAさん達以外の、と言うところが正確だろうが、
兎に角、約5,000体のBETAさん達は10秒懸らない時間で、それこそ”アトカタモナク”屠ることができた。
さすがの俺も、この拍子抜け状態に、一瞬唖然としそうになったが、丁度俺の後ろ辺りに居た戦車級のBETAさんが俺にかじりつきそうに覆いかぶさってきたので、この時に正気に戻り先ほどの方法で処理した。
此処で気づいた俺も呑気者だと思ったが、そう言えば残党掃討していなかったっけ・・・。
「(・・・・・・イカン、イカン・・・。
うっかり死んでしまうところだった・・・。 ここは戦場のど真ん中・・・。 チョットの油断が命取り・・・。)
気を引き締めないとダメだろ、俺・・・・・・。」
・・・てな訳で、”残党狩りの時間だぜ! ヒーハー!!”と言い出しそうなモヒカン(小杉?)が居たかもだが、俺は残りのBETAさん達を屠ることにした。
それで此処で気づいたことがあった。
いつの間にか、帝国軍所属の撃震4機ほどだがが、この戦線の近くに居ることに、だ。
何でそう思ったかというと、俺から見て北方向の方に派手に転がりまくりながら土煙と土砂を巻き上げている個体が居て、よくよく見てみると帝国軍カラーの撃震だった訳で・・・・・・。
「・・・ッわっちゃーー!!
イカンッ!! マジに帝国の他所様にご迷惑をおかけしちまったっ!! ど・どうしよう・・・・・・。
助けたほうが良いのかな?! でも、コチトラ隠密作戦中(自己設定)だしなぁ・・・・・・。」
俺の迎撃による衝撃波を受けたのが俺だけなら自業自得で済む問題だったが、俺の予想以上に帝国軍の偵察部隊がやってくるのが早かった。
このことを計算できていない時点で俺のミスなわけだが、そうは言っても現実に事故っているのだから何とかしなければいけないのは、当たり前のことだった。
乗り気ではないが、一応人助けはやっておこうと思い、墜落した撃震の近くに移動を行う俺だった。
墜落した撃震は4機ほどだった。 機数から推測するに偵察部隊の一小隊だろう。
海側に近い方に2機と山側の方に2機の分隊・・・、えっと、”エレメント”だったっけ? で行動中に衝撃波に巻き込まれたらしい。
俺は先に海辺の方に転がっている2機の撃震の方にやって来ていた。
しかもこの付近にもBETAさん達は数体から数十体いるので、先にBETAさん達を屠ることにした。
・・・で、撃退処理が終わったので、続いて衛士の安否確認を行った所、戦術機はボロボロだが中の人には重傷者はいないみたいだ。
だが、意識を失うほどの状態って軽傷って言って良いのだろうか?
でも、戦術機は大破したみたいだし、ちょっと珍しい型の撃震だったので、中の人を回収してから壊れた戦術機は俺が貰っちゃう事にした。
戦術機の上に移動して、チート能力で自由に操作する感覚でキャノピー開閉スイッチを操作した。
此処で例え装置自体が壊れていても、チート能力のお陰で思うとおりに操作できた事は今更言うまでもない。
そんなこんなで、最初の撃震から何とか一人の衛士を救出しようとした。
・・・うわっ、じょ・女性だ。 しかも結構かわいいタイプの女性衛士が、例のエロスーツ事、99式衛士強化装備を纏っている。
転生前はビビリ君で、しかも童貞だった俺は、ハッキリ言って女性をお姫様抱っこしたことがない。
だから、目の前の女性を運びだそうとは思うのだが、どこを掴んでよいのかすら分からない為、一瞬パニクってしまった。
<・・・ああっ、もうっ!! 見ていてイライラするわねッ
意識体を切り替えるわっ 私がやってあげるッ!!>
何かもう、残念なのやら助かったのやら、自分でも情けないとは思ったが渡りに船とばかりに、俺の意識体を身体から切り離して、一時的に俺の身体の自由をどこかの女神に任せることにした。
そうして目の前の女性衛士を墜落した撃震から運び出すことに成功した。
比較的平地の安全な場所に彼女をおろした辺りで、アテナは俺に意識体を戻してくれた。
俺は次にやることとして、女性衛士のバイタルを確認する事にした。
一度深呼吸をして、自身の気持ちを落ち着かせてから、自分の腰辺りにある衛士強化装備の端末からコードを引張り出し、女性衛士の同じく腰にある強化装備の端子に挿した。
そして、強化装備を操作して、女性衛士のバイタルをチェックすることを行った所、身体の各所を打ち身などで痛めたりしているらしいが、大して酷い状況でもない事を確認することができた。
このまま安静にして寝かせておければ、問題ないだろう。
続けてもう一つの撃震の衛士、こちらは男性衛士だったので、安心して俺が救助してやった。
同じくバイタルを確認したら、こちらも先程の女性衛士と同じ状態だった。
「(・・・・・・ふむ。今のところは、大事無いらしいな。良かった。)」
続いて、俺はもう一つの分隊である2機の撃震の方に移動することにした。
勿論移動については、属性を付加してあるので、1秒もあれば目的地には着くことができた。
だが、問題は救出した二人の衛士を一人づつ背負って運ぶという事をした。
面倒だったが、短時間ですむので、その様にした。
山側の方向に居た2機の戦術機から、同じく一人の衛士を救出できた俺は、一つの問題を抱え込んでしまっていた。それは、助けだした衛士が重傷を負っていたと言うことだ。
反対にもう一人の衛士、こちらが女性大尉だった訳だが、彼女は部下の男性衛士が庇ったことで軽傷で済んでおり、しかも意識を保っていたので俺が救出するよりも自ら戦術機から降りてきてくれた。
だが女性大尉である彼女は、部下の男性衛士のバイタルが低下していくことに対してパニック状態だった。
「・・・お・お願いですッ!! ゆ・裕ちゃんをっ!! ど・どうか、裕ちゃんを助けて下さいッ!!」
「・・・・・・解ったから、ちょい、落ち着いてくれ・・・・・・。
そ・そんなに身体を、ゆ・揺すらないでくれないか、大尉・・・・・・・・・。」
俺の対応にチョットだけ大人しくなった女性大尉だったが、俺が見た目外国人ということもあってか、なぜか睨まれた。
それは兎に角、まぁ、確かに目の前の負傷している男性少尉は、一見重傷者に見える。
俺も先ほどバイタルチェックをしてみたが、数値上では確かに重傷者と判断できる。
でも何故かなぁ・・・・・・? 死にかけているはずの男性少尉について、漠然とした勘なのだが、しぶとく生き残れるような気がしてならないのだが、はて・・・・・・??
俺は男性少尉の衛士強化装備の上から、触診を行ってみた。
「(・・・・・・フム。 骨格の損傷は無さそうだな。
肋骨なども他の臓器を痛めている様子はない。 強化装備からの情報を見方を変えてみると、確かに破片が刺さって出血しているが、その量も大したことはないし、これってひょっとすると大丈夫なのか・・・・・・??)」
俺がしたり顔で悩んでいると、今まで我慢していたらしい女性大尉はヒステリックに声を荒らげた。
「・・・こんなに苦しそうにしているのが分からないのッ!!
もう良いッ!! わ・私が前線基地まで運ぶッ!! そこを退きなさいッ!! 邪魔よッ!!」
「・・・ヾ(゚Д゚ )ォィォィ 重傷患者を簡単に運ぶとか、怖いことを言うなよ。
まぁ別にアンタの部下だから、どうしようとアンタの勝手だが、今自分にできる事をやってから行動する方が確実なんじゃないのか?」
「・・・? 今わたしにできること?」
「ああ。
例えばアンタのType−77は小破なのだろう? って事は当然通信機なども無事という可能性があるよな?
俺だったら、メーデーを発して所属基地に救助要請を出しているが、それはしなくても良いのか?」
俺がそう言い終わらない内に、女性大尉は自機の撃震に駆け出していた。
それから5分位だろうか。 随分と早足で俺達が居る所にアサルトライフルを持って戻ってきたと思ったら、再び俺を睨みつけた。
「・・・報告。 今、貴方の指示通りに救援要請を出してきた。
それと、私達の本隊があと数分で此方の方に現着することを確認しました。
で、その後はどうしたら、良い?!」
・・・・・・うん、素直でひたむきなところは好感が持てるが、一言言わせて欲しい・・・・・・。
「・・・・・・アンタ、本当に帝国軍の大尉さんか?
俺みたいな見ず知らずの、しかも一見して外国人だと分かるだろうに、怪しさ満載の人間の意見を 素直に実行するって、軍人としての常識を疑うんだが・・・・・・。」
「・・・そんな事、今はどうでも良いのよッ!!
今は裕ちゃんが助かればそれだけで良いのッ!! お願いだから、私に裕ちゃんを助けさせて下さいッ!
お願いしますッ!!」
「・・・・・・ハァーー・・・・・・。
全く、この少尉さんが羨ましいよ。 こんな美人の上司であり恋人にここまで想われているなんてな・・・。
男冥利に尽きるってもんだ。」
「なぁっ!! な・ななな何をりってるんでっひゅかっ!!
そ・そんなんじゃ、ありませんよッ!! わ・わりゃひは、この子のおばあさまから!!
そう! おばあさまから、『この子のことを頼みます』って、任されているから、それでッ・・・・・・」
「・・・・・・あーーー、ハイハイ。 うん、ごちそうさま。
じゃ、大尉さんに嬉しいお知らせ。
先ほど触診した所、骨が骨折しているようなところは無かった。それと内臓が傷ついている様子も見られていない。
また頭部からの出血についてだが、見た目は出血が激しそうに見えるが、実はそれほどの流血は出ていない。
最後に太ももに刺さった破片についてだが、今抜くと傷が広がるからそれはしない方が良いだろう。
つまり、総合的に述べると、強化装備のバイタル情報から出血した量がそれ程計量されていない観点から、見た目ほどの重傷ではない可能性が高い、と言う事だ。」
「ええっ!! ほ・本当ですか?!」
俺からの報告を受けた女性大尉は、先ほどまでのヒステリックさも抜けて一安心した様子に落ち着いた。
顔の方も検が取れ、春風の様な暖かさを醸し出している。
何やら腰が抜けたのか、俗に言う女の子座りをして脱力している。その様を見て俺の方も、人心地付いた感を受けた。
「ああ。
だが、頭部は部品が当たった形跡があるので、一度精密検査を行うことを御薦めするよ。
あと、破片の方は太い血管を損傷している可能性が低いから、大した出血は計測されていないと思われる。 破片を抜くとしたら、設備の整った病院の方が良いだろうな。」
と、ここまで話をしていたら、俺の距離感覚にひかかる感触を覚えた。
その勘に従い、遥か北東方向に目を凝らすと、戦術機の集団がこちらを目指してやってくる様子が見えた。
「・・・・・・日本帝国本土防衛軍 東北方面軍 第14戦術機機甲大隊・・・か。
良かったな、大尉さん。 お仲間が来たみたいだぜ。 後数分もすれば、あんたの小隊は助かるよ。」
俺はそう言いつつ”回れ右”をし、オカモチ付きの出前用単車の方に歩みを進めた。
勿論トンズラする為にこの小隊から離れようとしていた。すると、女性大尉は俺に誰何してきた。
「・・・あっ!! ま・待って下さいっ!!
あ・貴方は私達の命の恩人です! どうか一緒に来て下さい!!」
「・・・・・・いいや、遠慮しておくよ。
そもそも、アンタ等が此処にやってくるって言う見積りが甘かったせいで、俺の攻撃の巻き添えを喰らったんだ。
アンタ等は、しなくても良い負傷を負わされたんだ。その責任は、俺にあるってことだ。
だから、俺がアンタ等を助けるのは当然の行為って訳だ。気にしないで欲しい。
イヤ、寧ろ俺を恨んでくれて構わない。
アンタの良人が怪我をしたのは、元はといえば俺の性だ。」
「・・・・・・それにしたって、正体不明の怪しい人をこのまま野放しにするなんてできません!
せめて官姓名だけでも教えてもらわないと、私が上司に怒られてしまいます!」
寧ろ彼女の意見の方にも一理ある。
確かに名無しの権兵衛では格好が着かないのは事実だ。
・・・・・・ふぅ、やれやれ・・・。 此処でも情報撹乱のため、約10割方嘘設定をバラしておこうかね・・・・・・。
「・・・・・・あーー、それはそうか・・・。
だが、俺も特殊任務部隊の人間だから、悪いが個人情報である官姓名等の情報は明かせられないんだ。
・・・・・・そうだなぁ・・・。コードネームとラジオコールくらいは、伝えても良いかも知れないな。
あまり多くは語れないが、俺のコードネームは、『Watch Dogs of Chicago.』だ。
ラジオコールは、『WD00』で頼む。」
「・・・その、国外の方ですよね? と言うことは、国連軍横浜基地所属と言う事で宜しいのでしょうか?」
「・・・・・・あーー、それについては、今は何とも言えない・・・・・・。微妙な立場なんだ。済まないな。
ただ、『第四計画関係者』と言うことで宜しく頼む。 その計画関係の極秘作戦を実行中でな。
この後も移動を行い、目的地に潜入ミッションを行わなければいけないんだ。」
「だいよんけいかく・・・・・・??
それに、潜入ミッションって・・・・・・。 ま・まさか、私達日本帝国のどこかの基地が目標だったりしていますか?」
「ああ、いや、それは無い。
潜入ミッションは甲21号である佐渡ヶ島ハイヴが目的地だ。
ここでの情報収集が俺のメイン・ミッションだ。
本来は作戦内容を伝えるべきではないのだが、ある程度の開示は止むを得ないだろうから、開示した。
で、此処でお願いなのだが、俺の雇い主に伝言を頼みたい。」
「雇い主に伝言・・・・・・・・・ですか?」
「ああ。
内容はこうだ。『番犬から魔女へ。 H21からの侵攻は予定通り迎撃成功。引き続き潜入ミッションを続行する。
当初の予定通り1115の2359時にRTB予定。以上。』だ。
憶えることができたか?」
「・・・・・・はい。大丈夫です。
でも、宛名である『魔女』って、どこの魔女ですか?」
「・・・・・・そうだなぁ・・・・・・。いや、ひょっとするとアンタの上司辺りは知っているかもな。
まぁ最低でも前線基地の司令官辺りなら分かると思う。
ま、この伝言はそれ程重要な情報は含まれていないから、魔女に伝わらなくても特に問題はないけどな。
じゃ、今度こそこれでおさらばだ。 そこの色男とお幸せにな。」
俺はそう言って、出前用単車を勢い良くスタートさせた。
毎度のことながら、この単車には【移動:光速移動可】が付いたままだから、俺の認識で勢い良く飛ばすと、
先ほど経験している様に後ろに居る人達は音速の3・4倍の影響を受けてしまう。
そうならないように、俺は通常スピードでバイクを発進させ、偵察小隊とある程度の距離を開けてから
今度は勢い良く上空にジャンプした。
高さも20m近くジャンプしてから、そこから甲21号ハイヴ目掛けて、今度は光速で移動を開始した。
恐らく、この配慮を行うことで、あの女性大尉初め、お仲間の3人も無事だろうことを願って、俺は次の
ステージに進むのだった。
Side : 香月 夕呼
その日、私はいつもの通りに研究に勤しんでいた。
時間は有用で待ってはくれない。”光陰矢の如し”とは良く言ったものだ。
つい先日、ここ横浜基地は正体不明の愉快犯『Watch Dogs of Chicago.』の襲撃を受けた。
その時、奴からの”彼”に関するメッセージが齎され、それに従い私は拘束されていた彼、つまり”もう一人の白銀 武”との邂逅を果たした。
確かに奴の言う通り、”彼”は私の研究を持ってすれば、その存在の証明を行えると言う要素を持った「逸材である」事が判明した。
であるけれども、しかし、”彼”の話を聞いていても、あれから私の研究はロクに進むことは無かった。
何かまだピースが足りないのかも知れない・・・。 それも決定的な何か、他の要素が・・・・・・。
取り留めの無い袋小路に思考が入り込み、気分を変えるために飲みかけていたコーヒーが入っているマグカップに手をやると、既に中は空だった。
溜息を吐きつつ、コーヒーサーバーまで移動し、ドリップされているコーヒーを注ごうとした時、執務机に設置されている電話が不意に鳴り響いた。
「・・・・・・こんな朝早くに、一体誰よ・・・・・・・・・?!」
マグカップをコーヒーサーバーの近くに置きつつ、私は急いで受話器を上げた。
すると呼び出してきたのは、宿直勤務中の司令部付きオペレーターの一人だった。
「香月副司令、緊急事態です! 至急中央司令室までお越しくださいっ!!」
全く私を誰だと思っているのかしら? いつも要領よく迅速に報告を上げろと言っているのに・・・。
「・・・いきなり、なぁに? 何がどう緊急なのか報告なさい。
私には要領の得ない報告はしないように、常日頃から言っているでしょ!」
「・・・失礼しました。 本日未明、日本海沖の佐渡ヶ島ハイヴから旅団規模のBETA郡の侵略が確認されました。
これに合わせて、日本帝国新潟前線基地の防衛体制が、デフコン2を発令されました。」
「ッ!! そう言う報告を先にあげなさいッ!!
解りました! 直ちにそちらに参ります。 私が到着するまでに、詳細状況をまとめておくようにッ!!」
私は乱暴に受話器を置くと、早足で自分の執務室から地下20階にある横浜基地中央司令室に向かった。
「状況を報告してっ!!」
直通のエレベーターを使って急いで中央司令室に入って行くと、既に基地司令であるパウル・ラダビノッド准将が中央モニターを睨みつけていた。
先程報告を入れたオペレーターも居たが、私が中尉待遇で雇い入れたピアティフ中尉が既に司令室に詰めており、彼女から私に報告が成された。
一通りまとまった情報を聞いた私は、ラダビノッド准将のそばに近寄り、敵であるBETAの動向について意見をまとめようとした。
「・・・司令。 今回の侵攻について、連中の目標はやはり・・・・・・。」
「・・・・・・ウム。恐らく、ここ横浜基地を目指してくるだろうな。
なにせ此処にはハイヴ・コアが残ったままだからな。」
「・・・・・・そうですわね。
しかし、高々旅団規模でこの基地を攻め落とせると、連中は思っているのでしょうか?」
「・・・・・・それについては、何とも言えないな。
決定的な根拠がない上に、何より相手の意図が掴めない。
それこそ意思疎通の通じないBETAだからな。」
「・・・・・・はい。 では直ちに当基地にも防衛体制強化を発令しますか?」
「・・・いや、まだ戦況がよく分かっていない。
迎撃に向かった帝国軍の損害について、第一報が入ってからでも遅くはないだろう。
それに、まだ戦況がどの様に動くかわからない。 暫くは情報収集に当たるべきだろう。」
「・・・・・・解りました。 その様に致します。」
それから間もなく、30分もしない内に新潟からの第一報が知らされることになった。
だがその内容は、当初かなりの被害が齎されると予想していた我々の考えを覆し、『予想外の結果に終わりました』と、ピアティフ中尉から報告を受けた。
「・・・えっ?! 何ですって?!
もう一度報告してちょうだい。 佐渡ヶ島ハイヴから侵攻してきた旅団規模のBETAがどうしたって?」
「はい。 信じられないことですが、本日0620頃、上陸していたBETAを含め、恐らく海中にいただろう約5,000体のBETAは、全て迎撃が完了しました。
これにより、新潟の最前線基地は防衛体制を通常シフトに戻したとの報告が上がっております。
また、迎撃方法については不明との事。
損害と言いますか、被害についても、侵攻情報の確認に出ていた先行偵察小隊の撃震が小・大破しており、また、同小隊の撃震2機が行方不明です。」
「・・・・・・何を言っているの? それが正式の報告だと貴女も思っているのではないでしょうね?
誰がその報告をもたらしたの? 帝国国防省も腑抜けたものね・・・・・・。
それと、新潟の前線基地の防衛体制が2に変更して30分少々しか経っていないのに、5,000体ものBETAが跡形も無く迎撃された?!
最初から旅団規模のBETAが出現したという情報が間違っていたとでも言うの?」
「・・・いいえ、副司令。
BETAが佐渡ヶ島ハイヴから侵攻してきたのは間違いありません。
また、その規模も5,000体以上と言う情報にも誤りはありませんでした。
生き残った撃震のフライトレコーダーが生きており、中に敵勢力に関するデータが確認されましたので、旅団規模のBETAが侵略の為上陸した事は間違いありません。
ただ、先行偵察に出ていた小隊の指揮官が言うには、戦況を報告しようとした間際に、音速並の衝撃波を受け、その先行偵察小隊の戦術機は墜落してしまったそうです。
その間、衛士を含め約10分ほどらしいのですが、気を失っていたその間に、次に気がついたら周りにあれだけいたBETAが全て迎撃されていたそうです。」
「・・・・・・・・・? その様な与太話を信じろ、と?
墜落してしまった衝撃で、頭までおかしくなってしまったんじゃないの? その指揮官はどうして ”敵が迎撃された”と思ったのかしら?」
「はぁ・・・・・・。
帝国国防省へ報告をあげた指揮官の報告書の下書き原稿をそのまま読みますと・・・、
『・・・・・・私が気がついた時には既に戦闘は終了していた。
コックピットには撃震の異常を知らせるアラームが鳴り響いていた。
私は急いで状況の確認と、機体状況を確認した。 すると結果的にではあるが、私の機体は比較的ダメージが軽微である事が確認できた。
だが、私と一緒にエレメントを組んでいた部下が、私が墜落する間際に、私の機体と地表の間に入り代わりにクッションになってくれていたらしく、そのお陰で私は大事に至らなかった様だ。
急いで部下のバイタルをチェックすると、極めて重傷を負ったという情報が知らされた。
私は早速自機を移動させ、部下の撃震のコックピットハッチを開こうとした。
だが、リモートコントロールを受け付けず、エラーが帰ってくる有り様だった。
私は次に手動による緊急用ハッチ開放を試みたが、緊急用装置自体が破損しており、故障の為まともに動く事ができなかった。
途方に暮れ、しかし焦る気持ちもあるために、軽いパニック状態になりつつあった私だったが、その時天の助けがやって来た。
その男は、国連仕様の99式衛士強化装備を着込み、何故かオカモチ付き出前用の単車に乗ってやって来た。
”そこは戦術機でしょう”と心の中で突っ込みつつ、何故出前用の単車なのだろう?と頭をひねった。
しかし、今はそんなことはどうでも良い。 次の瞬間声をかけようとしたら、怪しさ満載のその男性が部下が乗る撃震のコックピットハッチを簡単に開いくてくれた。
何をどの様に操作をしたのか、その時の私には全く理解できなかった。
だが、特に私から何も言っていないのに、何も聞かないままで、しかし、やるべき仕事が分かっているかの様に流れるような操作で部下の状況を確認してくれた。
強化装備の情報端子を自分の装置の制御ユニットに接続し、部下の状況を見てくれた。
何やら呟いた後、大破した撃震のコックピットから部下を抱え込んで出し、平坦となっている広い場所に移動した。
この時私は、周りにBETAが潜んでいるかもしれないことに気付き、慌てて自機の中からアサルトライフルを持ち出してきて、周囲警戒をし始めると、先程の男性から声がかかった。
彼が言うには、『佐渡ヶ島ハイヴから侵攻してきた5,000体の旅団規模のBETAさん達は既に俺が迎撃しちゃったよ。』とのこと。
何をどうやったのか? については、『・・・企業秘密です。』の一点張り。
・・・教えてくれる気は無い様子だ。
その男は、そのまま部下の状況を確認し、怪我の状況を教えてくれた。
強化装備のバイタルでは重傷でも、触診や出血状況からそれ程慌てるほどの怪我ではないと診察してくれた。
私はそこで安堵をつくことができた。
何故BETAを迎撃したと言い切れるのか? と問うと、『周りをよく見てみると良い。微かにだがBETAさん達だった破片が散らばっているはずだから。』と教えてくれた。
にわかには信じられない状況だったが、現に今は私の周囲にBETAらしき物はいないのが確認できた。』
と、この様な報告が上がっております・・・・・・。」
「・・・・・・・・・そんな頭の痛い情報を信じろと?!
バカにするにも程があるわよっ!!
・・・・・・・・・でも、現状BETAはいないことには変わりないのよね?
・・・その報告、確認作業はその小隊だけじゃないでしょうね?」
「はい・・・。 BETA侵攻に合わせて、新潟前線基地から東北方面第14戦術機機甲大隊が後発で出撃しております。
その機甲大隊からも同じくBETAは確認できず、の報告が入っております。
それと、日本海側の波打ち際の浜辺には、多数のBETAらしき破片や残骸が散らばっている事が確認できた、との報告も上がっており、少なくとも旅団規模のBETAは存在していた証明にはなりそうである、との事です。」
「・・・・・・そう。
一応、これまでの経過報告と状況をまとめて頂戴。
当基地の防衛体制は現状を維持のままとします。
報告書がまとまったら、司令には私から報告に参ります、とお伝えしておいて頂戴。
私の方も情報を収集してみます。 私の執務室にいますので、後で連絡を頂戴。」
「了解いたしました。」
憔悴したピアティフ中尉の声を背に聞きながら、私は中央司令室から自分の執務室に向かった。
自分の執務室に戻った私は、一連の訳の分からない騒動について思考を巡らせた。
中央司令室で聞いた現地の指揮官の与太話に近いファーストレポートのとある一節が気にかかっていた。
「(・・・・・・何かしら? 最近似たような話を聞いたような気がする・・・・・・。
既視感・・・・・・、 ・・・と言う訳でも無いでしょうに、でも、確かに聞いた事があるフレーズが在ったわよね?)」
そう・・・。先程のファーストレポートに、聞き逃してはいけない部分があった。
確か”その男は、国連仕様の99式衛士強化装備を着込み”と”怪しさ満載のその男性が”と”5,000体の旅団規模のBETAさん達は既に俺が迎撃”がそれに該当しそうだ。
・・・・・・ひ・ひょっとして、いや、真逆・・・・・・。 ・・・・・・奴なの?
・・・・・・でも一連の行動を顧みると、やはり奴しか思い当たる犯人がいない・・・。
アイツは一体何者なのだろう? 横浜基地訪問・・・は、物品の窃盗は兎も角、人的被害はほとんど無し。
機材的な損害も軽微。 結果的に見れば様々な基地内部の点検が行えたため、コンサルタント費として考えたらお安い費用だと言えた。
・・・まぁ、余計なお世話であったとも言えるのだが・・・・・・。
続いてBETAによる新潟侵攻阻止。 こちら側の兵士として この戦果であれば大手柄でしょうけど、今は味方か敵かわからない状況・・・。
ただ、奴抜きで考えた場合の損害は、途轍もない被害が出ていたことは言うまでもない事実だろう。
下手をすると戦術機甲大隊の一つや二つは壊滅していたかもしれないからだ。
報告を受ける立場のこちら側としたら、先のピアティフ中尉の報告は受け入れ難いのだが、被害がそれ程出ていない事実からは歓迎したい内容だった。
・・・ギャップありすぎて拍子抜け感が半端ないのだけれどもネ・・・・・・。
・・・・・・さて。
犯人の目星も付いた所で、どうやってこれらの裏付けを行えば良いのだろう?
これに関する情報源を探すとして、やはり帝国側に居るアノ男から情報を引き出すのが良いように思うが、アノ男が今の時点で情報を持っているとは限らない。
むしろ、私と似たような情報だったとしたら、反対にこちら側の弱みを見せる分、私が不利になってしまう。
それは面白くない。 時期尚早だと言わざるを得ない。
では、どうしたら・・・・・・。
その様に自席で悩んでいたら、丁度卓上の電話から呼び出し音が鳴り響いた。
それも滅多に懸らない外線を知らせるベルの音だった。
私は一瞬緊張してしまった。
何故なら、この呼出音は私の名刺に書かれている番号であり、私から直接名刺を渡さない限り懸らない筈の番号だったからだ。
自慢ではないが、私は初対面でも滅多に自分の名刺は渡さない。
それほどまでに私の名刺には価値があるからだ。 だが、一体誰からだろう?
私は恐る恐る静かに受話器を上げた。
「・・・・・・はい、香月です・・・・・・。」
すると、受話器の先に居た人物もある程度の緊張をしていたのだろうか、強張った声色で返事が帰ってきた。
「・・・突然連絡差し上げまして恐縮です。
あの、私は日本帝国東北方面軍に在籍しております者で、御都梨 惣一朗と申します。
以前、富士教導部隊に在籍しておりました際に、香月博士からスカウトして頂いた者ですが、憶えておられますでしょうか?」
その内容から、私が帝国軍の富士教導部隊に赴いた際のことを思い出した。
確かアレはまりもを呼び出して国連側に引き込んだ時、最後の手続きとして富士教導部隊に必要書類を提出しに行った事があった・・・・・・かな。
しかし、その時に私は名刺を渡したのだろうか?
「・・・・・・ハァ。 富士教導部隊の御都梨様ですか・・・?」
「・・・ええ。 当時の私は神宮司とエレメントを組んでおりまして、その際のパートナーと言う紹介で博士からお名刺を頂いたのですが・・・・・・。」
そう言われ、必要書類を提出したあと、ちょうど演習中だったまりもの不知火とエレメントを組んでいたもう片方の不知火の衛士に面会したことを思い出した。
兎に角影の薄そうな男であり、だが反対に不知火を操る操縦技術はまりもに引けを取っていない事からその操縦技術の高さに、ダメ元で一応声がけをした事を思い出した。
「・・・・・・?・・・・・・あっ、そう言えば・・・・・・。
ああ、はいはい、思い出しました。 確か、御都梨中尉でしたかしら?
まりもと同期で大陸派遣されていた方でしたでしょうか?」
「ええ。 ・・・お恥ずかしながら、派遣途中で負傷し、そのまま帰国しましたので同じ同期でも階級が一つ下であると、神宮司から紹介を受けておりました、あの御都梨です。
随分とご無沙汰しております。」
確かに彼の紹介を受けた後に、最後の演習だから見ていけとまりもから言われて、戦術機演習を見学した事があったわね。
で、その内容がとても息が揃っていたから、ついでに彼もスカウトした時に、名刺を
渡したことを思い出した。
でも、こちらも忙しいし、あれから数年経っているわけで、今更転属はありえないだろうけど一体何のつもりで連絡を寄越したのかしら?
不信を抱きつつ要件を聞いてみることにした。
「・・・ああ、そう言えばその様な紹介をまりもから受けたことがありましたわね。
それはそうと、今日はどう言ったご用件でご連絡を? 国連の方に転属希望でしょうか?」
「・・・ああ、いえそう言う訳ではなくてですね、ひどくオフレコ的な伝言を頼まれましたので。
しかし、宛先が果たして貴女で良いのかどうか、かなり迷っております。」
「・・・・・・はぁ・・・。
しかし、要領を得ませんわね。 一体何をおっしゃりたいのかしら?」
「・・・まぁ、伝言を聞いて頂いて、そこから判断して頂く、と言うことをお願いします。
では、伝言を述べさせて頂きます。 ウォッホン!
『番犬から魔女へ。
H21からの侵攻は予定通り迎撃成功。引き続き潜入ミッションを続行する。
当初の予定通り1115の2359時にRTB予定。以上。』
伝言は以上です。
・・・あ・あの、博士。 この伝言に心当たりはございますでしょうか?」
それを聞いた私は、頭がフリーズした。
”このめっせーじは、いったいなにをいっているのだろう?” そう思った。
図らずとも、一連の事件についての犯人は、間違い無く”奴”だ。
これは裏付けが取れた。確定だ。
しかも私宛のメッセージですって? 私から奴に何かを依頼した覚えはないわよッ?!
なのに、『潜入ミッション』ですって? 何処に何の調査で潜入したのよっ!!
頭が痛くなってきた・・・。 そう言えば電話の最中だったわね。 相手からの問いかけが聞こえる。
「・・・・・・?? あ・あの、は・博士っ!!
あの、大丈夫ですか?! 香月博士っ!!」
「・・・ええ。聞こえておりますわ。
余りにも突拍子のない内容でしたので、一瞬フリーズしてしまったのですわ。ゴメンなさい。
しかし、どうして御都梨中尉は、このメッセージを私に?」
「ああ、良かった。 正気に戻られたみたいだ。 いえ、・・・もとい。
・・・私の知る限りに於いてですが、暗号とか隠語で”魔女”と呼ばれるのは、貴女しか思いつきませんでしたので、ご連絡した次第です。
あの、見当外れでしたでしょうか?」
「・・・・・・そうですわね。
しかし、私からお答えするとしたら、『何とも言えません』としか申せません。」
「・・・はぁ、やはりそうですか。
いえ、私の思惑と致しましては、もしも博士から依頼を受けて動いておられる特殊任務部隊の方でしたら、一言お礼を申し上げたくて、恥を忍んでご連絡さしていただいた訳でして・・・・・・。」
「・・・? ・・・恥を偲ぶ? あ・あの、その意味を問うても宜しいでしょうか?」
「はぁ。 もうご存知かも知れませんが、本日未明、新潟に於いてBETAによる侵攻を受けた際に、戦況確認に偵察に出ておりましたのが私の部隊の者でして、先程伝言しました”番犬”の方に助けて頂きました。
ですので、もしそちらの関係者であったなら、一言お礼をと思いご連絡致しました。」
・・・・・・フム。 この連絡には特に勘ぐるような事は必要ないのかも知れないわね。
「・・・・・・ああ。なるほど。 そう言う意味でしたか・・・。
しかし、御都梨中尉も確信もないのに思い切った連絡をなさいますわね? 少々迂闊では?」
「・・・ハハハ。これは手厳しい。
しかしながら、先程の”番犬”さんは、部下が言うには、『だいよんけいかくかんけいしゃ』とおっしゃったそうですよ?
第四計画と言えば、香月博士が総括されておられる、オルタネイティブ計画の事でしょう? 違いますか?」
ッ!! 前言撤回ッ!! こ・コイツッ!! 言質を取ろうとしているッ!! 凄いタヌキだッ!!
「ッ!! ・・・・・・御都梨中尉。 どちらでその情報を?!」
「・・・ええ。 不詳この私にも、帝国大学大学院に物理学を学ぶ友人が在籍しておりまして、貴女様のご活躍と言うものを、過去に聞いたことがあったものですから、そのことを憶えておりました。
しかしながら、部下が言うには先程の”番犬”さんに『国連軍横浜基地所属の方か?』と誰何した際に、詳細は教えられないと断りつつも『微妙な立場』と答えたそうです。
で、お礼がてら所属をはっきりさせたいと思いまして、思い切ってご連絡させて頂いた次第でして・・・。」
・・・フンッ!! 全く変に勘の良い奴ねッ!!
此処は恍けておいた方が良さそうね・・・。 ・・・いや、無駄か・・・。
いっそ認めてしまって、帝国側で捕獲されてもこちらに引っ張ってくる方が得なのかしら・・・・・・??
・・・・・・ああ、でも・・・・・・奴が大人しく帝国側に確保されるような、”可愛げのある曲者”でもないし、・・・・・・本当に判断に困るわね。
御都梨中尉は、当然この件について国防省や城内省に報告を上げるはず・・・。
と言うことは、多少のブラフを混ぜて欺瞞情報で混乱するとすれば、あくまで帝国側ということよね。
例えこの会話が収録されていたとして言質を取られても確信の行くような情報を与えなければ、勝手に判断を下したのも帝国側ということだから、要はこちらの方に被害が及ばないような情報を巻いて、勝手に判断させれば良いってことよね。
後はそれを匂わすような単語が出るかが勝負所となるのだけれども・・・・・・。 えぇいっ!! ままよ!!
「・・・ふぅ。 アレほど隠密に、人様にご迷惑をおかけしないように言い含めましたのに、結果的にはそちらの偵察中隊にご迷惑を掛けてしまった様で、本当に申し訳ありませんでした。
今更隠し立ていたしましても後の祭りですから申し上げますと、ほとんど先程中尉がおっしゃった内容に相違ございません。
今回たまたまではありましたが、BETAによる新潟への侵攻について その可能性が高かった為、甲21号に対しての情報収集と言う形でここから非公式に動かしたのですが、飽くまでも隠密行動で軍関係者に被害が及ばない事を徹底させていたのです。
ですが、当人の不注意による行動でそちらに類が及びましたこと、改めて謝罪申し上げます。」
「・・・・・・そうでしたか。
いえ、こちらと致しましては、部下、取り分け私の愚妹でしたのですが、アレが無事に戻っただけで、本当に僥倖でした。
身内びいきが過ぎるとお叱りを受けるとは思いますが、血を分けた実の妹でしたので、戻ってきてくれて本当に有難かったです。
しかし、相変わらず過激な任務を行われているご様子。 ”番犬”さんの任務内容を聞いた時はその過激さから、本当にハイヴ内の偵察任務を単独で行えるのか、と報告内容を疑っておりましたが、読もや本当だったとは・・・。」
「・・・・・・御都梨中尉。 アノ者がその様な事を申しておりましたでしょうか?」
「・・・はい。
愚妹が申すには、何処に潜入ミッションするのかと尋ねたそうで、その時ハッキリと『甲21号ハイヴ』であると答えたそうです。
潜入すると言うのなら、てっきり人間の基地に入るものと思ったらしいのですが、まさかBETAハイヴと答えるとは思わなかったと、申しておりました。」
・・・・・・どうやったら、生身でBETAハイヴに潜入できるのだろう?
ソビエト陸軍第43戦術機甲師団ヴォールク連隊でも、戦術機から歩兵に至るまで約5〜6,000人がその犠牲になったというのに・・・・・・。
まぁ良い。今は話を合わせておこう・・・。
「・・・・・・御都梨中尉。
既にお分かりかと思いますが、私が統括するオルタネイティブ第四計画は、人類が持てる総力を注ぎこむように便宜をはかると言う密約が成されており、これは国連加盟国全体に厳命されております。
故に、その命令やそれに関わる作戦・情報に対しても秘匿性を持たされており、今回の件についても、例え中尉が正規の報告を行われても、記録自体が抹消される部分が含まれている事が予想されます。
そう言った事情をお忘れなく。」
「・・・やはり、そうでしたか。
いえ。今回ご連絡いたしましたのは、本当に感謝の意を述べるだけのもので、他意は含んでおりません。
香月副司令がお気になさるような事は申しませんので、その点はご安心下さい。
では、恩人からの伝言、確かにお伝えいたしました。
些か不躾ではありますが、これにて失礼いたします。
ああ、それとついでで結構ですので、神宮司の奴に『たまには富士教導隊の方にも顔を出せ』と、伝言をお願いしても宜しいでしょうか?」
「ええ。 まりもにもその様に伝えておきます。
では、これで失礼いたします。」
・・・・・・私は静かに受話器を置いた。
・・・誤魔化せた・・・かしら?
色々と緊張がほぐれて、どっかりとリクライニングチェアーにその身を預けてしまう。
それにしても”番犬”め・・・。
トコトンこちらを振り回してくれる。これは本格的にリードを握り直さないといけないようね。
このままだと完璧に私がコケにされてしまうわ。
一端ヤツに対しての思考に囚われそうになったが、先に御都梨中尉の方の案件を片付けようと、私は再び受話器を上げた。
多分、この時間だとあの娘の事だから、自室よりも自席のある教官室に居るに違いない・・・。
数コール鳴った後、まりもが電話口に出た。
「・・・・・・はい、神宮司です。」
「はぁい、まりも。元気〜〜ィ・・・。」
「・・・何だ、夕呼か。 どうしたのよ? 休日なのに、こんなに早くに珍しいわね?」
「そう? ちょっとした気分転換なんだけれど、今日って休日だったっけ?」
「もう、しっかりしてよ。 今日は11月11日の日曜日よ。
いつもそんな地下にいるから、運動不足の上に休日を忘れるのよ?
久々にこちらに来て食事とかしたら?」
「・・・悪かったわね、ワーカーホリックで。
でも、そう言うアンタも、教官室で何やってんだか・・・。
どうせ、教え子用の資料の作成とか訓練の日程の作成でしょ? 相変わらず色気のない・・・・・・。」
「・・・夕呼にだけは色気のことでは言われたくないわ。
で? 私に何か用でもあったんじゃないの?」
「・・・まぁ良いわ。 そうね。 用事という程でもないんだけれど、先程までやっていた作業で、懐かしい人物から連絡を貰ったの。
その男というのがね、なんとアンタの嘗てのパートナーの・・・。」
「・・・えっ?! ま・まさか、御都梨大尉?!
彼って確か、今は帝国の東北方面軍第14戦術機機甲大隊に居たはずだけれど、彼に何かあったの?」
「・・・・・・おや、随分と詳しいじゃない(・・・そっか、中尉中尉って呼んでしまったけれど、彼は大尉だったんだ。まぁ良いか・・・)。
うぅん、彼がどうこうじゃないわ。先程連絡があったから、無事なのは間違いないわね。
でも、その慌て様。 アンタの浮いた噂を聞いたことはあまり無かったけれど、そう、彼が想い人だったのね・・・・・・。」
「・・・えっ?! ち・違うわよっ!! エレメントのパートナーというだけだったし、訃報であったなら弔電の一つも入れないと不義理だから、本当にそれだけよ。
本当に違いますからねっ!! 勘違いしないでねっ、夕呼っ!!」
「フーーン。 ま、良いわよ、そう言う事で。
で、愛しの彼から伝言。 『たまには富士教導隊の方にも顔を出せ』ですって。
色気のないメッセージね? ここはデートのお誘いでも「本当に違うったらっ!! 夕呼ッ いい加減にしてっ!!」
・・・もう、分かったわよ。本当に、ちょっとした悪戯じゃない。
お互い良い歳なんだから、そんなに目くじら立て無いでよ。」
あらあら、ちょっと弄り過ぎたかしら?
でも、伝言は伝えたから、御都梨大尉への義理は終わったわね。 アラ? まりもが何か言っているわね。
「・・・・・・全く、何で御都梨くんと私が・・・・・・。
大体彼に対してはフィーリングが合わないから、彼と居るともの凄くストレスがかかるんで、大変な目に合うのは、いつも私の方で・・・・・・・・・。
でも、彼にはお酒の席での借りが幾つもあったから、下手に逆らえなくって、富士教導隊に居た時は私が先任の上官だったけれど、同期の彼に対して反対に気を使って大変だったんだから・・・・・・。」
あらら、まりもが明後日の方に意識を飛ばしてしまったわ。
でも面倒だから、このまま受話器を置いてしまいましょう。
変に意識を引き戻すと私に絡んでくる事は間違いないし、私も忙しい身だしね・・・・・・。
ゴメンナサイ、まりも。 また、相手してあげるわね・・・。
「・・・じゃ、そう言う事で。 伝言、確かに伝えたわよ。 じゃぁ ねぇ〜〜っ。」
ガチャン と私はそのまま受話器を置いた。 まりも、迷わずに成仏してね(黒笑)。
しかしながら、御都梨大尉の報告通りであれば、番犬の奴は四日後にここ横浜基地に戻ってくるらしい。
本当に戻ってくるつもりがあるのかは不明だが、こうもコケにされてそのままと言うのも、反対に考えにくくなって来た。
べ・別に期待しているわけじゃないんですからねッ!
・・・私ったら、誰に言い訳しているのかしら・・・・・・?
兎も角、私の方でも禄に詳しい情報を収集することはできずに、そのまま基地司令であるラダビノッド准将に報告を上げた。
四日後の15日が一つの天王山になりそうであると考えつつ、午前中は過ぎていった・・・・・・。
Side Out : 香月 夕呼
リザルト報告:
繰越経験値ポイント & SPポイント
経験値ポイント : 0ポイント(繰越分無し)
絶対的時間感覚 Level.4 → .16 (1200SP)
繰越SPポイント : 750SP
経験値取得
内訳
11月11日新潟侵攻迎撃行動・・・・・・約5、000体のBETA郡
大・中級型BETA(要塞級・要撃級・突撃級)約4,000体
累計:2,000,000 ポイント
小級型BETA(戦車級・闘士級・兵士級)約1,000体
累計:約1,000,000ポイント
小計:3,000,000ポイント(3,000SP 相当)
自己能力レベル上げ
認識内変動的攻撃(特殊攻撃能力の開発)
同 (固定化能力の付加)
各 300SP を計上(小計:600SP)
拾得物
特殊仕様戦術機(撃震改)の残骸:2機分
総合計 5,550SP
はい、第03話でした。
此処で簡単に、ネタばらしと言いますか、『めぞん一刻』の面子の紹介を・・・。
御都梨 惣一郎 → 音無 惣一郎
御都梨 響子 → 音無 響子
市之瀬 → 一ノ瀬
美高 → 三鷹
伍代 → 五代
でした。 CVは特に設定していませんでしたので、”中の人繋がり”的なネタは含まれていません。 念の為。
で、第04話の仕込みなんですが、ちょっとウッカリしていまして、15年2月にCADの認定試験を受けないといけなかったんです。
その為、第04話投稿が遅れることを予めご報告しておきます。ゴメンナサイ。
だから次入れることができるとすると、何とか試験が終わってからとすると、3月初旬だったり、2月中でも合間を縫って投稿できるかも・・・、と言う状況です。はい。
まぁ、ボチボチ亀更新で行こうと思います。皆さん、お元気でお過ごしください。
では、また。