ヤクザの息子と医者の娘、和菓子屋の娘同士がそれぞれ出会いまして 作:九店直下
ニセコイのポップアップストアにいったことと、ちょうどラブライブ無印の楽曲を聞き返していたことが重なって衝動的に書きました()
余りにも異色なクロスオーバーなのは認めます。
ラブライブ、ニセコ双方見直して真姫ちゃんの口調とか楽が言いそうな事とか意識して書いたつもりですがなにかおかしい所があればご指摘をば……(土下座)
我が父親が経営する西木野総合病院に、よく顔を出す男子がいる。
どうやら聞く話によると、その人はこの近辺では有名なヤクザの跡取り……というか子息なのだそうで。
そう聞いてしまうと少し身構えもしてしまう……が、しかしながら、そんな彼からは不思議と悪い噂はひとつも聞かない。
むしろ、『一条の坊ちゃんにはえらく助けて貰ったのよ』だの、『今の子にしては珍しい、どこまでも愚直で素直な子だよ』だの、病院の常連さん(老人)からはそんな話も聞く。
私こと
故にパパの病院に顔を出す機会は多かったし、そんな中で彼の顔を見る機会も、噂話を聞く機会も多かった。
そんな彼は、今日も今日とて顔見知りの先生と顔を突き合わせて、診察を受けている訳だが。
「一条君。君が正義感溢れる子なのはよく知ることではあるけどさ……、さすがに自分を顧みなさすぎだよ」
「……すみません先生。でも」
「危険な目に遭ってる子を見て放ってはおけなかった、か。そこは君の美徳だけど、故に君自身の身を危険に晒すんじゃ元も子もない。そうだろう?」
「……返す言葉もないです」
盗み聞きした話によると、駅中の階段から落ちそうになっている子どもを見つけ、慌てて駆け寄ったところその子どもが階段から足を滑らせ転げ落ちそうになった。
でもすんでのところで彼がその子の手を引いたお陰でその子自身は怪我なく済んだ。ものの、今度は彼が勢い余って階段から頭から転げ落ち、足首を捻挫。全治1週間。
……こんなところだろうか。
いや、階段から勢いよく転げ落ちて捻挫で済むなんて、彼はめちゃくちゃ頑丈なのか、それとも強運の持ち主なのかどっちかなの? イミワカンナイ。
……なんて、医者の娘としてはツッコミたい。
でもまぁ、彼自身小さい頃からこれと似たような理由でよく来院していたし、もう驚かなくなってしまっている。
それに、きっと今回だって考えるよりまず先に身体が動いてしまったとか、そんなところだろう。噂に違わないやつというか、らしいというかそんな印象すらうける。
きっと立場が、とか偽善が、とかなんかそんなことごちゃごちゃ考えずに突っ込んでいっちゃうタイプなのでしょうね。
そう思えば常連さんの評価にも、少し頷けるものがあるかも、なんて真姫ちゃんは考えちゃう訳だ。
「とにかく、1週間は絶対安静にすること。また無茶して悪化させるようなことしたら頭叩くよ。いいね!?」
「わかりました善処しま——————」
「善処じゃなくて必ずやるの!! マストなの!! こっちは心配してんだからねぇ!?」
「あっハイすんませんでしたっっっっ!!!」
そう怒鳴る女性の医師とこんな風に縮こまる彼。最早私にとっては見慣れた光景と化している。
あの女性医師も彼が小さい頃からほぼほぼ専属で彼の事を見てる訳だし、親心的なのも芽生えているのだろう。
そう思うと、この光景もどこか微笑ましいものにも思えてくる。
彼はそれから暫く彼女のありがたいお小言を頂き、診察室から出てきた。
そんな姿を見計らって、私は彼に声をかける。
「全く、外にも聞こえてたわよ。相変わらずね。楽くん?」
そう私は、目の前の男子、
そんな言葉を受けて彼は少しバツが悪そうに顔をしかめるも、その後すぐに少しはにかむ。
「へへ、そーかよ。情けねぇところ見られちまったもんだな。真姫」
こうしてお互いに話すようになったのは2年前。名前で呼び合う間柄ではあるけど。
恋仲なんてことは絶対ないし。
恋愛感情をお互いに抱いてるなんてことも、ない。
◆◇◆
名前で呼び合うようになったことに深いわけはない。
だって「西木野」じゃ私のパパともママとも被るし。呼ぶなら名前の方が都合が良いと私の方から申し出たのだ。
じゃあ彼も私が苗字呼びじゃ違和感があるから『楽』と呼べ、と言われて今に至る。
決して、お互いに恋愛感情を抱いてる訳ではない。
かと言って距離を置きあってる訳でもない。そんな関係性だ。
それに彼は今、私ではない別の人間に想いを寄せているみたいだし。
「……で、楽くん。最近小野寺さんって人とはどうなの? 何か進展はあった?」
「ブッッホ!!!?? いや真姫お前っ、なんで今突然その話をぅ……!?」
「あったりまえでしょ。なんてったって友達の恋路だもの。応援してるし気にならないわけないじゃない」
病院の外にあるこぢんまりとした公園で私が何気なく放った一言。
それに彼は余程驚いたのか、飲んでいたお茶をみっともなく吹き出す。汚いわね。拭いときなさいよ……と思ったらハンディタオルを取り出して拭いていた。律儀ね。
「……いや、まぁ進展っつーかなんつーか……あ、そうだ! この前一緒に昼食ったぜ? 宮本っていう小野寺の友達とも一緒だったけど」
「それ、この前も似たような話聞いたんだケド? 私はそれよりもっと踏み込んだなにかはあったかって聞いてるの」
「…………それを言われたら、なんもねっす、としか」
「進展ナシ、ってことね。いくらなんでも奥手すぎない?」
余りにも奥手な彼に少し呆れて天を仰ぎ見たあと、そのまま目を細めて彼を見る。
そんな私の視線を受けて、彼は肩身が狭そうにするけど……ちょっとヘタレな貴方が悪い。
「う、うるせーな。物事には何事も順序ってもんがあんだろ? それに……告白するにしたって一緒になにかするにしたってシチュエーションってモンが」
「理想ばっかり追い求めてても何もできないじゃない。というか、楽くんって意外とロマンチストよね。公務員なんて現実的なところ目指してる割には」
「それは……俺があの家を継ぎたくねーからってだけだからな。てか、それは今の話と関係ねーだろ!?」
かもね。なんて、そう言って私はくすっと笑う。
そう、地域きってのヤクザの息子と総合病院の医者の娘……お互いに『御曹司と令嬢』なんて呼べる共通点はあれど、ここはお互い異なるところ。
私は医者になる運命を受け入れてる(私も望んでる事ではある)けど、彼はその運命に抗おうとしている。
そもそも、一般人にとっての非日常が日常な彼にとっては公務員になる、なんて普遍的なこと自体、理想なのかもしれないし。
そう考えると、彼、やっぱりロマンチストね。なんて思いもする。
「それに……まだつけてるんだ。その鍵型のペンダント」
「ん、まぁな。10年前のものとはいえ、俺にとっちゃ大切なモンだからな」
「また会おうって約束の印に、結婚の約束をした女の子が鍵を、楽くんはその錠を持って別れたのよね。そういうのを大事にしてるあたりやっぱり楽くんは理想主義者ね。嫌いじゃないけど、そういうの」
うっせーな。いいもんだろ。なんて抗議するように彼は言うけど、照れ隠しね。顔赤いし。そういう所は可愛いんだから。
「……話は逸れたけど、好きな子がいるなら隣にいるだけで満足するんじゃなくて、もっとアプローチしてきなさいよね。そんなんじゃその小野寺さんって子、誰かに取られちゃうわよ?」
「貴重な女子の意見痛み入るわ……ってか、そーいう真姫は最近どうなんだよ。ほら、ピアノの事とか」
「っ、それは……」
……今度は私が、痛いところをつかれてしまったようで。
小さい頃からずっと続けてきたこともあり、特技でもあるピアノと、音楽。医者を継ぐ関係上終わっているものだ……と思っている。
「前も言ったでしょ? 私はあなたと違って家を継ぐから……、その、ピアノとか音楽はもう終わりにするんだって」
私も、彼も中学3年生。受験だなんだで進路を考えなきゃいけない頃だし、ある程度、色々と見切りをつけなきゃいけない頃、だと思ってる。
でも、彼、楽くんは知っている……というか察している。
私が、ピアノの、音楽への想いを断ち切れずにいることを。
「まぁ、なんだ。医者を継ぎてえってお前の考えはいいと思うし、他でもねぇお前の事だ。俺がとやかく言えることじゃねーのかもしんねーけどよ」
彼はそんな私の心境を察してか、少し優しい笑顔になる。
全く、そういう時だけ勘がいいんだから。そう思うと少し憎らしくもなる。
「続けたらいいんじゃねーか? 世の中どんな時に何が役に立つのかなんてわかんねーしさ。そのピアノって特技も、プロにはなれなくてもきっと続けてれば必要としてくれる存在が見つかると思うぜ」
「そう……かしら」
「あぁ。むしろ俺は、どんな形でも真姫のピアノは聴きてぇって思うぜ? 俺、演歌以外は音楽なんててんでわかんねぇけどさ。それでもこう、心がグワーって——————」
だから終わってる、なんて言うなよ。そう言いたげな目で楽くんは私を見ながら、言葉を紡ぐ。
私のピアノを初めて聞いた時もそうだった。「これで諦める、だなんて勿体ねぇな」なんて言ってくれたっけ。
今も数少ない語彙でだけど、必死にそれに近いことを説明してくれようとしているのはわかる。
今度は私が、諭されるような感じになっちゃったわね。
「ふふっ、そうね。ありがと楽くん。そしたら高校に上がっても……続けていってみようかな」
「おっ、なら良かったぜ。因みに高校はどこに行くんだ?」
「音ノ木坂よ。UTXと迷ったけど……家族の出身校だから。楽くんは?」
「凡矢理高校ってとこだな。家も近いしよ。音ノ木坂ってぇと国立だよな確か。難しいと思うけど頑張れよ」
「私を誰だと思ってんの? 当然受かってやるわよ。楽くんも油断はしないでよね。凡矢理って普通より少し上程度の学力とは聞くから大丈夫だと思うけど……」
あぁ、当然だ。とサムズアップする彼。どこか頼りないなと思うけど、いい相談相手にはなってくれる。そんな存在だ。
さて、受験勉強、頑張らなくっちゃね。彼に向かって大きく出た手前、下手な結果は出せないし。
そんな他愛もないことを考えながら、彼との時間は過ぎていく。
(恋仲にするつもりなんて)ないです。あくまで2人は良き友達であり相談相手、という感じ。楽こさを描きたくて始めた事でもあるので、うまく2作品を絡めつつそこまで書いて行きたいなと思います。
ちなみにラブライブでは穂乃果ちゃん推しです。
ニセコイでは小野寺とるりちゃん推し……っていうのはヒロイン上のみでの話で。
作品通してなら男は黙って楽か集かゴリ沢だと思ってるヤバいやつです()
どうかよろしく頼みますm(_ _)m