レンがCODE本部へ無機質な事後報告に向かっている最中、シャッセール本部のメインサーバーへCODEから一通の極秘資料データが転送されてきた。そこに記載されていたのは、レンが始末したバイオネットの幹部「ジョン・ビッグス」の醜悪極まる詳細な犯罪経歴であった。ジョン・ビッグスは、10年以上にわたり世界各国で凶悪犯罪を重ねてきた大犯罪者であった。レイプや強姦、尊属殺人、強盗殺人などの残虐な凶行はもちろんのこと、違法兵器の海外横流しや大規模な大麻密売組織の統率など、多岐にわたる悪行に手を染めていた。今回フランスへ潜伏した真の目的も、パリ市内に大量の大麻を流通させて街を退廃させることだった。
幸いにも、その大麻はレンの手によって現場で痕跡なく完全に爆破処分されていた。CODE側は元より彼を生死不問の最重要ターゲットとして指定しており、今回レンを単発で投入した理由について、資料には以下のように記載されていた。
『CODE-No.4単独による出撃は、リスク管理上の最善策である。シャッセールメンバーに余計な負担やリスクを負わせる必要はなく、No.4単体の戦闘能力のみで完全に遂行可能なミッションであった。バイオネットの重大な脅威は取り除かれ、大麻汚染も未然に防がれ、シャッセール側の損害および負担はゼロである。ジョン・ビッグスは人道的に見ても社会的に見ても抹殺されて当然の存在であり、No.4(レン)の取った一連の行動に何ら誤りや問題は存在しない』
バイオネットの脅威を完全に排除し、結果としてフランスの平和を守り抜いた。数字と成果だけを見れば完璧な大勝利。
だが、その背後で7歳の少年の心がどれほど削り取られたかを知るシャッセールの面々にとって、この「完璧な報告書」は激しい怒りと不快感を煽るものでしかなかった。
CODEの見解と今回の事件に対し、シャッセールメンバーそれぞれが抱いた思いは以下の通りである。
【シャッセールメンバーの反応と意見】
ルネ・カーディフ・獅子王
成果主義のCODEに対する激憤:「負担がゼロだ? ふざけるんじゃないよ! あんな7歳のガキにすべての泥を被せて、心に消えない傷を負わせておいて、何がリスク管理だ!」と激怒。CODEがレンを「人間の心を持つ子供」としてではなく、単なる効率的な「使い捨ての兵器」としてしか見ていない非道さに怒りを爆発させている。
レンの行動への全肯定と救済の誓い: ジョン・ビッグスが殺されて当然の極悪人であり、レンが街と人々を守った事実そのものは全肯定している。しかし「どれだけ正当な理由があろうと、あんな凄惨な現場を一人で背負わせていい理由にはならない」と強く感じており、自分の命と引き換えにしてでもレンをこの地獄から引きずり出す決意をさらに固めている。
パピヨン・ノワール
センシングマインドによる精神的危機の痛感: 遠隔からレンの精神波(センシングマインド)をダイレクトに受信していたパピヨンは、CODEが主張する「問題なし」という見解が完全な虚妄であることを誰よりも理解している。「データ上は問題なくても、あの子の魂は死にかけているわ……」と胸を痛めている。
論理的冷徹さの裏にある歪みの指摘: 「確かに大麻の蔓延を防ぎ、シャッセールの損害をゼロにした選択は軍事合理性としては正しいかもしれない。でも、その合理性の犠牲になっているのは、まだ幼い男の子の尊厳そのものよ」と語り、CODEの冷酷なリスク管理の裏にある人倫の欠如を深く憂慮している。
光竜
幼いレンへの深い同情と恐怖: 「レンくんが街を守ってくれたのはすごいと思う……だけど、あんなに苦しそうに叫んでたんだよ!? 悪者を倒したからって、レンくんが傷ついていい理由には絶対にならないよ!」と涙ぐみながら訴えている。
CODEへの強い不信感: レンが普段見せない冷酷な面を強制的に引き出し、返り血を浴びせるCODEのやり方に対して「レンくんをあんなに冷たい目でお仕事をさせるCODEなんて大嫌いだ!」と素直な拒絶感と怒りを示している。
闇竜
戦術的成功と人道・倫理の乖離に対する分析: 「戦術的観点から言えば、バイオネットの幹部撃滅・違法物質の完全焼却・味方の被害ゼロという成果は100点満点です。ですが……勇者警察やGGGの理念から見れば、これは救済ではなく『虐待』に他なりません」と静かに語る。
レンの正当性の防衛: ジョンの凶悪性を鑑み、レンが下した決断と行動自体は「市民を守るための正当な防衛・討伐であった」と認めつつも、「その成果の代償として少年の心を踏みにじる構造そのものを許してはならない」と分析し、ルネとともにレンを守る姿勢を明確にしている。